再採点(リマーク)


スコアが上がる科目
下がる確率は?


ENQUIRY ON RESULTS (EOR)

再採点(リマーク)

IELTSの試験結果を受け取ったあと、実は「再採点(リマーク)」を申請できることはご存じですか?

採点結果に不服がある場合、一定の費用はかかりますが、採点の見直し(再スコアリング)をしてもらうができます。

制度自体は知っていても、「リマークって本当にスコアが上がるの?」「逆にスコアが下がることってないの?」といった疑問を持っている方も多いかと思います。この記事では、受験生の権利の一つである再採点(リマーク)の制度について詳しくお話しします。

意外と知られていない再採点

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利用経験者は約20%

以前、Twitterで再採点(リマーク)に関して次のようなアンケートを実施しました。

    これまでにIELTSを受験したことがある方にアンケートをさせてください。 採点結果を不服として再採点(リマーク)を申請することができますが、リマークの制度を利用したことがありますか?
  • ①利用したことがある(スコアが上がった)
  • ②利用したことがある(スコアは変わらなかった)
  • ③利用したことがない(制度は知っている)
  • ④利用したことがない(制度を知らなかった)

結果は意外なものでした。リマークの利用経験者は約20%しかおらず、制度自体を知らなかったという人も20%いることが分かりました。2019年12月17日に実施したアンケート結果はこちら です。

再採点(リマーク)の制度は誰でも利用することができる受験生の権利の一つです。

正式にはEnquiry on Results (EOR)と呼ばれます。IELTSの試験結果に不服がある場合に、定められた手数料を支払うことでもう一度採点をし直してもらうことができます。なお、リマークでスコアが変わらなかった場合にはこの手数料は返金されませんが、スコアが上がった場合には全額返金されます。

※追記

2021年9月13日に再度実施した結果はこちら です。

再採点は誰が担当するの?

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IELTSの再採点は、最初の採点をした試験官とは別の試験官が採点をします。通常は、最初の採点をした試験官よりも上級の試験官(経験の長い試験官)が担当をします。

リマークの採点をする試験官は、オリジナルの試験結果を見ずに、バイアスのない状態で採点を行います。

試験官もミスをする

試験官は「採点基準(Band Descriptors)」を元に採点をしていますので、基本的には誰が採点をしても同じスコアになるのが原則です。

しかし、試験官も人間ですので、時には主観が入ることもありますし、ミスをすることもあります。試験官は常日頃から厳しいトレーニングを受けており、2年に1回程度はその能力を確認するため試験も受けていますが、100%パーフェクトな採点をするということは不可能に近いことです。

だからこそ、公平性を維持するためにも再採点(リマーク)の制度が設けられているわけですね。

試験結果のブレ

試験官のネガティブな印象が強いと低めのスコアに出ることは時々あります。特にスピーキングなどでは試験結果が0.5〜1.0程度ブレることは珍しいことではありません。

何度も試験を受けている方は経験があるかと思いますが IELTSの試験結果が以前の結果よりもはるかに低いということがあります。

  • スピーキングではいつも7.0が取れていたのに、急に6.0に下がってしまった...

このようなことを、経験したことがあるのではないでしょうか。

試験の結果がぶれるのは、もちろんその時のパフォーマンスが悪かった可能性のほうが高いのですが、IELTS試験官の受ける印象が悪かった可能性もあります。

費用と期間

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リマーク手数料

リマークにかかる費用は国や主催者によって異なります。

以下の表は2021年8月8日現在のEnquiry on Results(EOR)の手数料です。

国(主催者) 費用(現地価格)
日本
(IDP/JSAF)
JPY ¥11,000
最新情報はこちら
日本
(英検)
JPY ¥9,000
最新情報はこちら
日本
(British Council)
JPY ¥15,000
最新情報はこちら
日本
(英検/UKVI)
JPY ¥15,000
最新情報はこちら
オーストラリア
(IDP)
AUD $176
最新情報はこちら
カナダ
(IDP)
CAD $165
最新情報はこちら
イギリス
(British Council/MTS)
GBP £120
最新情報はこちら

複数の技能を指定しても実は同料金

申請の際に、どの技能について再採点を希望するかを選ぶことができます。しかし、1技能を選んだ場合にも4技能すべてを選んだ場合にも同じ料金がかかります。だとすれば、4技能すべてを選んだほうがお得ですよね(笑)。実際のところ4技能すべてを選ぶ人が多いと思いますが、チェックする技能数が多くなるほどリマークの返却に時間がかかります。出願などで結果を1日でも早く受け取りたい方は必要な技能だけ選ぶ人も多いようです。

結果を受け取るまでの日数

リマークにかかる期間は国によって異なりますが、概ね4〜6週間程度となります。

リマークの申請は受験日から6週間以内としているところが多いようですが、例外として、英検(ブリティッシュカウンシル)主催のIELTSでは受験日から39日以内に申請する必要があります。このように、主催者や試験会場により申請の期限が異なりますので上の表のリンクを参考にしてください。

また、試験の結果を受け取った日ではなく、試験を受けた日から起算しますので注意してください。結果を郵送する場合には、到着日で判定されますのでリマークを申請する方は早めに申請をするようにしましょう。

リマークの申請期限を1日でも過ぎた場合は、リマークの申請は受理されません。

申請に必要なもの

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主催者により異なりますが、リマークの申請に必要なものは以下の2点です。

リマークの申請に必要なもの(主催者により異なる)
  • 申請フォーム(Enquiry on Results Application Form)
  • 試験結果(Test Report Form)

参照:Enquiry on Results (IDP)

試験結果はオリジナル(原本)を送る必要があります。また、リマーク申請中は元の成績が一時的に無効となります。

リマークの結果がでるまでに最大6週間ほどかかりますので、大学などに提出する人は事前に担当者に相談するなどしておきましょう。

申請フォームはどこから手に入れるの?

IDP主催のIELTSではウェブサイトからダウンロードできます。

日本で受験された方は、IDP主催のIELTSの場合、こちらのウェブサイト からダウンロードできます。

英検主催のIELTSの場合は、ウェブサイト に記載されている方法に従って手続きをします。

英検主催IELTSではリザルトの提出は不要

英検主催IELTSでリマークを申請する場合は、指定書類と振込を証明する物を郵送するのみとなります。

混雑状況にもよりますが、数営業日で再採点の結果が出ることもあります。

スコアが上がりやすい科目

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再採点(リマーク)でスコアが上がることが最も期待できるのは、ずばりスピーキングとライティングです。

その理由は、どちらの科目も採点に試験官の主観的な要素が入ってくるからです。特にスピーキングは試験官によるスコアの幅が大きいため、再採点申請によって1.0以上あがることも稀ではありません。

ライティングも、スピーキングほどではないものの再採点によって0.5〜1.0程度あがることがあります。

IELTSの結果を出さなければならない最終期限が迫っている方で、ライティングだけ届いていない、あるいはスピーキングだけあと0.5足りない、という方は再採点(リマーク)を申請してみる価値があるかもしれません。

スコアが上がる可能性はどのくらい?

正確な数字は公表されていませんが、再採点(リマーク)を申請してスコアが上がる可能性は経験的に3割前後です。冒頭のアンケートでは9/21の確率(42.9%)でしたので、だいたいあっていそうですね。

この数字を大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれですが、実はスコアが上がりやすいレンジ(点数の範囲)があります。これまでの受講生の方のフィードバックを元に考えると、

  • 元のスコアが6.0以下 → スコアが上がる可能性が比較的高い
  • 元のスコアが6.5以上 → スコアが上がる可能性が比較的低い

という傾向があります。もちろん、あくまで経験則です。

特に7.0以上のスコアでリマークをして上がったケースはほとんど見たことがありません。過去に筆者自身も3回ほどリマークに出していますが(いずれも元のスコアで全科目7.0以上の状態)、やはり一度もスコアが上がったことはありません。

これは、IELTSの試験官が6.5〜7.0あたりの回答を非常にたくさん見ているために、そのレンジで採点ミスをする可能性が非常に低いためと思われます。

そうはいっても、再採点(リマーク)でライティングで6.0から7.0に上がったケースも経験していますので、やはり後がない人はワンチャンスにかけてみるというのもアリかもしれません。

リスニング・リーディングのスコアが上がる可能性

リスニング・リーディングははっきりとした回答があるため、採点に不備がない限りはスコアはあがりません。

リスニング・リーディングの採点は、人間の手で行われています。そのため、正答数のカウントミスなどにより誤ったスコアが提示される可能性が非常に稀にあります。

しかし、過去にリスニング・リーディングのリマークでスコアがあがったケースを聞いたことないので、通常はこのようなことはほとんどないと言っていいでしょう。

スコアが下がる可能性

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  • 再採点を申請して結果のスコアが下がることはありますか?

再採点(リマーク)に関して寄せられる最も多い質問の一つです。

結果から言うと、 再採点(リマーク)でスコアが下がることはありません。0%です。

公式サイトを見ても、「再採点によってスコアが下がることはない」とは明記されていませんので、ひょっとしたらリマークでスコアが下がるのではないかと不安になってしまいますよね。

そこで、IELTSを運営するブリティッシュカウンシルに問い合わせをしてみましたので、回答を共有いたします。

再採点でスコアが下がることはありますか?

Dear Hibiki,

Thank you for your enquiry.

If you undertake an Enquiry on Results, your mark will either increase or remain the same.
For further assistance, you will need to contact your test centre who will be able to help you.

I hope this information is helpful.

Kind regards

つまり、「再採点を申請した場合あなたの試験結果は上がるか、そのまま変わらないかのどちらかです。」ということですね。

実例と体験談

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最後に、これまで再採点(リマーク)でスコアが上がった例をご紹介しておきます。

ライティング

ライティングではスコアが上がらずに返却されることも多いですが、上がる場合には0.5あがるケースがほとんどです。稀に、1.0あがったという方もいらっしゃいます。

最も上がったケースでは、スコアが1.5上がったというケースです。オリジナルのライティングスコアが5.5だったテストを再採点(リマーク)に出したところころ、なんと7.0になって返ってきたそうです。

この方は、これで目標スコアを達成し、IELTSを卒業されました。出してみるものですね!

スピーキング

スピーキングは、ライティングよりもスコアが上がる可能性が高い科目です。スピーキングの方が、試験官が感じる印象などによってスコアが変わりやすいためと思われます。

最も上がったケースでは、スコアが1.5上がったというケースです。1.5は比較的稀なケースですが、再採点(リマーク)によりスピーキングのスコアが上がったという話はよく報告を受けますので、スピーキングの採点結果はライティングよりも上がりやすいと言えるでしょう。

リスニング・リーディング

筆者の知る限りでは、再採点(リマーク)でスコアがあがったケースは遭遇したことがありません。

まとめ

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IELTSの再採点(リマーク)制度についてまとめました。試験結果に不服がある場合は、是非再採点(リマーク)の制度を活用してみましょう。

Mika
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この記事を書いた講師

hibiki
Hibiki TAKAHASHI
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は2,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住10年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。
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