サミット受講生限定記事
基本的な段落の書き方ができるようになると、次にぶつかる壁は「具体例」かもしれません。 「PREP(point - reason - example - point)」に従って書いているつもりでも、 具体例で議論から逸脱してしまった、というような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、サミット受講生の方のエッセイを見ながら、具体例で議論の方向性を見失わないための対策を考えてみましょう。
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まずは受講生の書いたエッセイを見てみましょう。
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今回のエッセイで最も改善をしたいポイントは具体例における議論です。第1ボディの第3文を取り上げてみましょう。
この段落では「インターネットに常時アクセスができることによって人びとの記憶力が悪化している」ということを説明しようしていました(議論の方向性)。しかし、ここで書かれている具体例から分かることは「昔の人は道の名前や目的地への方向を知っていた」ということだけであり、「インターネットがどのように記憶力に影響を及ぼしているのか」については深く議論がされていません。
このように具体例を説明するときに段落の議論の方向性を見失ってしまうことはよくあります。こうならないようにするためには、事前にしっかりとしたプランニングをしておき、具体例を書きながらトピックセンテンスを確認する習慣を身につけることが大切です。
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では残りの部分についても内容・表現の両方から改善点を探ってみましょう。
「Some people said that ...」のように動詞を過去形にしてしまうミスをよく見かけますが、「〜と言っていた人がいます」という意味になってしまいます。「〜という意見の人がいます」という現在のことを表したいわけですので、動詞は現在形を使います。(『英語ライティングの鬼100則』Must 56参照)
「この議論のある部分に賛成です」と書かれていますが、ポジションとしては曖昧に聞こえます。より具体的に、「記憶力が悪化する(worsens people's memory)」には賛成だが、「クリティカル・シンキング力が悪化する(worsens critical thinking skills)」には反対するというポジションを具体的にかつ簡潔に書くと、読み手に分かりやすくなります。
この表現が読み手に伝わりにくいために、話の流れが阻害されています。直訳すると「彼らが外出する前に」という意味になりますが、前の文からの流れを考えるとやや唐突な展開です。「外出する際」という意味であれば、「when they go out」「when going out」などが無難です。あるいは以下のように言い換えてしまってもいいでしょう。
関係代名詞として使われていますが、動詞と目的語(先行詞)が一致していません。関係代名詞 that の前にある名詞(先行詞)が動詞 search の目的語であったはずなので、元の形に戻すと「they(S) want to search(V) the information(O)」となります。(『英語ライティングの鬼100則』Must 45参照)
しかし、searchを他動詞で使う場合には「(主に場所)を調べる」という意味になります。例えば、search the house(家を探す)、search the Internet(インターネットを検索する)など。情報を探す場合には、自動詞の search を使います。search for information(情報を求めて探す)とするか、他動詞として使える obtain(手に入れる)のような動詞を使うといいでしょう。
「road(道路)」は可算名詞です。可算名詞を単数形かつ無冠詞で使うことは通常はありません。可算名詞の一般論をする場合には、無冠詞の複数形を使って「know names of roads」のように表現します。(『英語ライティングの鬼100則』Must 08参照)
あるいは複合名詞を使って「know road names」のように表現するとさらに良い表現となります。(『英語ライティングの鬼100則』Must 33参照)
「in light of ...」は「〜を考慮して」という意味です。「クリティカル・シンキングを考慮して」だと前の段落からの話の流れが悪くなります。ここでは「in contrast(対象的に)」や「on the other hand(他方で)」のようなつなぎ言葉が良さそうです。
同じセンテンス内で、メインアイデアとして「ウェブサイトは解決策を与えてくれないから」と書かれていますが、「解決策を与えてくれないからクリティカル・シンキング力は影響を受けない」という要旨からは読み手は書き手の主張を十分に汲み取れません。原文とはやや主張が変わりますが、「インターネットは、むしろ物事をクリティカルに考えるきっかけを与えてくれる」のような肯定文で書くことで書き手の主張をストレートに伝えることができます。
なお、「website(ウェブサイト)」は今では1語で使われることがほとんどで、「web sites」のように2語で綴ることはまれです。
省略形の使用に関しても注意をしましょう。フォーマルなライティングでは、「don't」のような省略形を使わずに「do not」と書くほうがいい場合もあります。
サポートセンテンスでもトピックセンテンスと同じ方向性を保って、「インターネットにはあらゆる情報があり、自分でそれらを分析したり適用することを促す」というような流れにしていくといいでしょう。
なお、「searching results」のところは「検索結果」と表現した買ったと思われますので、ここでも複合名詞を上手に使って「search results」のようにすると意味が伝わります。「a lot of search results」でも伝わりますが、「a large number of search results」のようにするとさらに良くなります。
「some people think that ...」という表現は「このような意見の人もいる」というような他人の意見の紹介です。(『英語ライティングの鬼100則』Must 56参照)
原文の書き方の場合、結論が他人の意見の紹介になってしまいます。今回のエッセイでは特に他人の意見について議論をしていませんでしたので、「自分の主張の総まとめ」をするといいでしょう。
この文章は受動態です。元の形である能動態に戻してみると意味が伝わらない文になっていることがわかります。
by ... の部分(the Internet)が能動態の主語で、受動態の主語(critical thinking)が能動態の目的語ですので、「the Internet still does not overcome critical thinking(インターネットはクリティカル・シンキングを今なお克服しない」という意味になり、意味が伝わりません。「overcome(克服する)」という動詞に代わって「bring about a decline in ...(〜の低下をもたらす)」という表現を使って、「the Internet does not bring about a decline in critical thinking skills」のように能動態で表現するといいでしょう。(『英語ライティングの鬼100則』Must 35参照)
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では、モデルアンサーを通して読んでみましょう。
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最後に、今回のテーマで覚えておきたい表現をいくつかピックアップしてみましょう。
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