IELTSとは、International English Language Testing Systemの頭文字を取った略語で、日本語ではアイエルツと読みます。これまでは主にイギリス・オーストラリア・ニュージーランド・カナダなどの海外留学(大学・大学院)や移住・永住権ビザの申請の際に必要な資格でしたが、最近ではアメリカ・ヨーロッパを始めほとんどの国で英語能力試験として採用されるようになり、日本でも大学入試として採用する学校も増えてきています。

日本でもIELTSの受験者数は年々増加しており、現在では、東京・大阪を中心に、筆記試験はほぼ毎週実施されており、また、2019年3月に始まったコンピュータの画面上で受験するIELTS(Computer-delivered IELTS)は土日を除いてほぼ毎日実施されています。

これからIELTS対策を始める方は、まずはIELTSとはどんな試験なのか、を知っていただくことが重要です。

この記事を書いている筆者は、IELTS講師歴10年。2006年にNAATI 通訳・翻訳の資格取得し、医療通訳など第一線で活躍。科目別最高スコアは、リスニング9.0、リーディング8.5、ライティング7.5、スピーキング8.0(Overall 8.0を保有)。

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IELTSは受験者数が世界1位の英語試験

IELTSは、世界中で最も広く利用されている英語の試験です。リスニング、 リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を評価してくれます。受験者数は毎年増え続けており、昨年、2018年には世界中で350万人が受験しました。

IELTSでは、各技能のスキルを0(英語が全く使えない)から9(英語のエキスパート)までのスコアで評価します。IELTSのスコアのことをバンドスコアと呼び、実際には、0〜9.0の、0.5単位でスコアリングされます。

スコア レベル 説明
Expert user 十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。
Very good user 時折、非体系的な不正確さや不適切さが見られるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない状況においては、誤解が生じることもありえる。込み入った議論に、上手く対応できる。
Good user 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生じる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。
Competent user 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況において、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。
Modest user 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いをおかすことも予想される。自身の分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。
Limited user 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。
Extremely limited user 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。
Intermittent user 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労をする。
Non-user いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。

引用元: IELTSバンドスコア(英語検定)

国や提出先の期間によって必要なIELTSスコアは異なる

IELTSの結果を提出する国や提出先の機関(大学・大学院)およびその学部などにより、必要となるバンドスコアは異なります。一般的には海外留学のためには、5.5から7.0くらいのバンドスコアが必要となります。

また専攻する学部によってはより高いスコアが必要になることもあります。例えば、オーストラリアでは、医療系で働くためには全科目で7.0以上が必要とされていますし、教師として働くためには全科目で7.0以上かつリスニング・スピーキングで8.0以上という大変高いスコアが必要となります。

これからIELTSが注目される理由

移住、留学などの必要条件として、IELTSのスコアは、ほぼどこでも認められています。どの国でも、どの教育機関でも、IELTSではダメというところはありません。そのくらいユニバーサルな試験です。

IELTSは、どの英語試験よりも実践的で、内容も採点基準も「英語を使うこと」にフォーカスしています。単語をいくら覚えても、文法の知識をいくら持っていても、日本人はなかなか英語が使えません。日本の英語教育が証明してくれています。中学から高校までの6年間、英語を勉強し続けるにも関わらず、その後、英語でコミュニケーションが取れる人がどれだけいるでしょう?

IELTSの問題は、実際の英語圏での生活で、読めなければ困る、書けなければ困る、聞き取れなければ困る、喋れなければ困る事柄をベースにデザインされているため、「使える英語」が身につきます。

基礎知識1:大学・大学院ならアカデミック、移住・永住権ならジェネラルが基本

IELTS の試験は、アカデミック・モジュール(通称:アカデミック)ジェネラル・トレーニング(通称:ジェネラル)の2種類に分かれており、目的によってどちらかを選ぶ必要があります。ジェネラルは主に就職や移住のために受験することが多く、アカデミックは専門学校や大学・大学院などへの進学のために必要となります。

教育機関で受け入れられているのはアカデミックのみですが、移住や就職のためにはジェネラルの代わりにアカデミックを利用することも可能な場合があります

以下に試験の概要とアカデミックとジェネラルの違いについては以下の記事も参考にしてください。

基礎知識2:手書きの試験とコンピュータでの試験を選べる

これまでは、IELTSの試験は全て手書きで行われていましたが、2016年よりコンピュータの画面上で受験するIELTS(Computer-delivered IELTS)が始まりました。

それぞれのメリット・デメリットについては以下の記事をご参照ください。

基礎知識3:IELTSは約3時間の大変長い試験

IELTSの試験は、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能の試験です。このうち、スピーキングを除く3科目については連続して試験が行われます。

日本、オーストラリアなど多くの国では、午前中に、ライティング→リーディング→リスニング、の順で行われ、午後にスピーキング試験が行われます。スピーキングは別の日に行うこともあります(申し込みの時点で、2 daysなどと書かれています)。

科目 時間
ライティング 60分
答案回収・問題配布 約10分
リーディング 60分
問題配布 約10分
リスニング 約35〜40分

トイレに行くには自分の試験時間を削っていく必要あり

上記の通り、IELTSの筆記試験は合計約2時間半ほどありますが、実際には、答案用紙を回収したり次の試験の問題を配付する時間が必要ですので、それぞれ10分のインターバルを設けてあります。そのため合計で約3時間の大変長い試験になります。

また、試験と試験の10分間はトイレに行くことは許されておらず、トイレに行きたい人は自分の試験時間を削って行くことになります。トイレに行く場合は不正防止のためにパスポートでの顔写真の照合や指紋認証などもあるため最低でも数分はかかりますので、なるべくなら行きたくないところです。

ですので、朝のコーヒー・紅茶は控えるようにしましょう。また、緊張のあまりたくさん水分を取ってしまうと試験中にトイレに行きたくなってしまいますので注意が必要です。

基礎知識4:試験は頻回に行われているが費用は結構高い

IELTSの試験は、東京・大阪などの大都市では、ほぼ毎週実施されており、コンピュータの画面上で受験するIELTS(Computer-delivered IELTS)は土日を除いてほぼ毎日実施されています。

ただし、1回の受験料が非常に高く、日本で受験する場合は、¥25,380(2019年8月時点)となります。

受験地 費用
日本(通常) ¥25,380
日本(UKVI) ¥32,184
オーストラリア AUD $340

基礎知識5:IELTSは想像以上に難しい試験

IELTSは思っている以上に難しい試験です。特に6.0〜6.5以上のハイスコアを必要とする方は、早めに対策を始めるほど有利になります。特に社会人にとってはいかに時間を作るかがポイントになってきます。

IELTSのスコアを0.5上げるために必要な勉強時間は、3ヶ月(240時間)とも言われています。これは毎日1時間勉強したとしても240日(8ヶ月)かかることを意味します。なるべく早めにIELTS対策を開始しましょう。

IELTSの基礎知識のまとめ

IELTSとはどういった試験かお分かりいただけましたでしょうか?これからIELTS対策を始めるという方のために知っておくべき基礎知識をまとめました。

  • 自分に必要なものがアカデミックかジェネラルかを確認
  • 手書きの試験とコンピュータでの試験から選べる
  • 約3時間の連続した体力のいる試験
  • 1回の受験料が25,380円(日本の場合)と結構高い
  • 早めにIELTS対策を始めることが重要

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