ネイティブでも苦戦する
試験で難しいトピックに当たったらどうする?
IELTSスピーキングはやや特殊な試験かもしれません。特にパート2では、普段の会話ではあまり経験しないような「1〜2分間のスピーチ」を通して、「話し続ける力」が評価されます。トピックは試験官が選びますので、英検1級のスピーキング試験のように与えられたトピックから得意なものを選ぶというようなことができません。 そして不運にも「苦手なトピック」に当たることも往々にしてあります。ネイティブ講師であってもたじろぐような難しいトピックもあります。今回の記事では、IELTSスピーキングで満点(9.0)を達成しているプラスワンポイント講師 Tanya先生にもお話を伺いながら、もし試験で難しいトピックに遭遇してしまったらどう対処するのがいいのかをお話しします。
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IELTSのスピーキング試験は、パート1からパート3まで3つのパートで構成されています。これから初めて試験を受ける方は、スピーキング試験全体の流れとそれぞれのパートの特徴を大まかに理解しておきましょう。
なかでも、パート2はその場で与えられた問題に対して、たった1分間の準備時間で「1〜2分間のスピーチ」をすることが求められます。日本語でも2分間も話し続けるということは滅多にありません。ましてや英語で2分間も話し続けるというようなことは普段の英会話ではあまり経験しないことです。
せっかくパート1を無難に乗り切ったのに、「パート2で失敗をして狙っていたスコアを達成できなかった」という悔しい思いをしたことがある方も多いでしょう。スコアメイクをする上で「パート2対策」は欠かせません。
実は、IELTSのスピーキング試験で出題される問題は期間ごとに決められています。年に3回入れ替えが行われ、その時期は1月・5月・9月と言われています。言い換えると、1月〜4月、5月〜8月、9月〜12月のそれぞれの期間は、同じ問題リストから出題されるということになります。
各期間に採用されているリストは概ね50種類ほどと言われており、上記の期間中は原則的に同じ問題のリストから出題されます。プラスワンポイントのIELTS対策講座の授業ではこのリストを繰り返し練習しながら対策をしていますが、出題される問題には「頻出トピック」がありますので、まずは頻出トピックを知るだけでもかなりの対策になります。
パート2対策をする上でまずしておきたいことは、頻出トピックを知ることです。「人物」「場所」「もの」「出来事・イベント」のような頻出トピックについては繰り返し練習をしておきましょう。『サンプルアンサー【音声】付き IELTS高得点保有者が教えるスピーキング対策』をまだお読みでない方は、ぜひ先にお読みいただくことをおすすめいたします。
これらのテーマについては繰り返し出題されていますので、それぞれ最低でも2〜3分は話ができるように準備をしておきましょう。
実際にこれらのトピックごとにメモを作っていくのもいいでしょう。それぞれのテーマについてどのようなことを話せそうか(箇条書き)、その話をする上で使いたい表現がありそうか、描写に困る表現はないか、など。
例えば、「人物」の中から「有名人」について話をすることを想定してみましょう。まずは、どのような項目について話を広げられそうかを箇条書きにしてみます。その際に役立つのは「5W1H」です。「いつ(when)」「どこで(where)」「だれ(who)」「何(what)」「なぜ(why)」「どのように(how)」を意識しながら、話せそうなことを書き出してみます。
次に、それぞれの項目について30秒ほど話せそうな内容をイメージしてみます。実際に独り言で話し見てみると、どこで詰まるかがはっきりします。
Sir David Attenborough is an English broadcaster and natural historian. He is currently over 90 years old and has been active for several decades. Although he is most famous for his documentaries, which include 'Blue Planet' and 'Natural World', he is also famous for writing several books about nature. He was awarded several prizes over the years for his documentaries.
I first found out about him in my first year of school when the teacher showed us one of his documentaries. If I remember correctly, the teacher showed us one of his documentaries because it was relevant to the topic which we were studying at the time. I think we were studying about the environment at the time, although I can’t say for sure.
The teacher made the students arrange their seats in front of a large projector, which was at the front of the classroom. The room was dark as all the blinds were closed and the lights were turned off. We were all quiet as we watched the documentary and I remember being totally enraptured by what was being shown to me.
The documentary was called ‘Blue Planet’, which I mentioned earlier. It was about the ocean and the marine life which inhabited it. We didn’t finish the documentary as it was two hours long and each class period was only about 50 minutes. We ended up finishing it on another day.
I like Sir David Attenborough as his documentaries are very interesting and informative. I have watched several of his documentaries over the years and they taught me a lot about nature and the environment. Furthermore, I really respect him because he campaigns against environmental destruction and climate change. I think it’s important that we consider the impact we have on the environment before it’s too late.
Sir David Attenborough became famous through his career as a television producer for the BBC. His fame increased as his career continued due to his involvement in the production of several popular TV series including 'Zoo Quest'. He reached the height of his fame in the late 70s when his 'Life on Earth' documentary series was released.
このようにスピーキングで話す内容を準備しだすと、いろいろと「おしゃれな表現」を使いたくなります。もちろん練習では自分の知らなかった表現を取り入れていくことは大切ですが、もし試験が近いのであればあまり無理をしてはいけません。新しい表現を使うリスクも考えなければならないからです。
新しく覚えた表現を試験で使うリスクには次のようなものがあります。
新しい表現を試験で使うためには、少なくとも数回はネイティブ・スピーカーとの会話で使ってみてからにしましょう。意識をしなくても口から出てくるくらいのレベルになれば、いよいよ「自分の表現」として使ってもいいでしょう。
IELTSのスピーキングの採点は、流暢さ・首尾一貫性、語彙、文法、発音の4項目で評価されます。特に独学で勉強を勧めていると、「語彙」や「文法」に意識が行きがちですが、IELTSのスピーキング試験において最も意識したい部分は「流暢さ」です。「語彙」のスコアを上げようとして失敗し、しかも「流暢さ」が犠牲になったのでは決していいスコアは期待できません。スコア7.5〜8.0のレベルであればそれほど難しい表現や文法は必要ありませんので、普段の会話と同じように「自然に話せる」ことを意識して取り組みましょう。
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残念ながらパート2の問題は変更をしてもらうことができません。難しい問題が与えられたとしても、諦めて答えることに集中しなければなりません。ただし、質問の内容が理解できない場合には、試験官に質問をすることはできます。これについては後ほどお話しします。
人によって「難しい」と感じるトピックは異なりますが、プラスワンポイントの多くの受講生の方が「難しい」と感じる問題(実力者であってもパフォーマンスが落ちる問題)には、「法律・規則に関する問題」「歴史・文化に関する問題」「ビジネスに関する問題」などがあります。いずれも「普段あまり考えたことがないテーマ」「自分が興味のない分野」であることが多いですね。
では、不運にも試験でこのような難しいトピックに遭遇してしまったときには、どのように対処をすればいいのかを考えてみましょう。
まずは問題が理解できているかどうかを考えましょう。もし与えられたキュー・カード(トピック)が十分に理解できていないのであれば試験官にその旨を伝えましょう。
多くの場合、試験官はよりわかりやすい表現で説明をしてくれます。
IELTSのスピーキング試験は、「話す力」を評価することが最大の目的です。「聞き取る力」「読み取る力」ももちろん重要ではありますが、質問が聞き取れなかったから減点、質問を読んで理解できなかったから減点、というような試験ではありません。答えるべきことをクリアにして、話すことに集中しましょう。
質問が理解できたとしても、何を話していいかわからないとき、あるいは頭の中が整理できないまま話し始める時間になってしまったときには、自分の頭の中で考えていることを「そのまま」英語で表現してみましょう。例えば、次のようなフレーズを使って、自分の頭の中で起こっていることを素直に試験官に伝えてみましょう。
スピーキング試験の採点基準には、ライティング試験で見られているような「Task Response(質問への応答)」という評価項目がありません。ついついこのことを忘れがちですが、スピーキング試験は、基本的に「英語を話す能力」をメインで評価しているということを忘れないようにしましょう。あなたが「何を答えるか」ももちろん大事ではありますが、それ以上に大事なことは英語でどれだけのことを話せるかです。言い換えると、試験官が評価をする上で重きをおいているものは「内容」以前に「英語力」なのです。
トピックが難しければ難しいほど、早く終わらせたいという気持ちから話を端折りがちになります。与えられているブレットポイント(箇条書き)の質問にもさっと答えてしまい、さていよいよ話すことが無くなってしまった...という経験をお持ちの人も多いでしょう。
例えば自分の職業についてはおそらくたくさん練習をしているはずです。なんとかその話に少しでも関連させることができないか考えてみましょう。仮に15秒でも自分の「得意な話」に引き込むことができれば、流暢さのアピールにもなり、自分も流れに乗ることができます。
もちろん、得意分野に意識的に話を逸らせたあとは本題に戻ってくる必要がありますので、そのような場合には以下のフレーズを使うとスムーズに話を戻すことができます。
このように、ところどころで「自分の得意な話」「よく練習しているトピック」に関連付けることで2分間のスピーチを乗り切ることができます。そのためにも、頻出トピックを繰り返し練習しておくことは重要ですね。
最後に、IELTSスピーキングで満点(9.0)を達成しているプラスワンポイント講師 Tanya先生によるサンプルアンサーをご紹介します。
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IELTSのスピーキング試験で難しいトピックに当たったらどう対処をするべきかについてお話ししました。百戦錬磨のIELTS講師であっても苦手な問題は存在します。絶対出てほしくないと思う問題ほど出題されるものです。運悪くそのような問題に出くわしたとしても、今回ご紹介したような方法でなんとか切り抜けられるように練習をしておきましょう。
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