IELTSリーディングの問題を解くとき、どんな環境で問題を解いていますか?仕事の合間や帰宅後の疲れた状態で解いている方も多いかもしれません。しかし、そのような環境で測定したスコアで自分の実力を判断するのは適切ではありません。この記事では、最適な学習環境の作り方と、医学的見地からも推奨される練習時間について解説します。
多くの人が陥る練習環境の罠
多くのIELTS学習者が、仕事や学業の後、帰宅してからリーディングの問題を解いています。中には、仕事の合間や休憩時間を利用して問題を解いている方もいるでしょう。忙しい日々の中で時間を捻出して勉強する姿勢は素晴らしいことです。
しかし、問題があります。そのような状態で測定したパフォーマンスで、自分の実力を評価してはいけないのです。
仕事で8時間頭を使った後、通勤で疲れた状態で帰宅し、夕食を済ませてからリーディングの問題に取り組む。このような状態では、本来の集中力や読解力を発揮することは困難です。
- 避けるべき練習環境
- 帰宅後の疲れた状態で取り組む
- 夜遅い時間に問題を解く
- 家族や来客などに中断される可能性がある時に解く
なぜ環境が重要なのか
IELTSリーディングテストは60分間、非常に高いレベルの集中力を維持する必要がある試験です。本番のテスト環境は、静かな試験会場で、携帯電話などの電子機器は一切使えず、周囲の受験者も同様に集中している状態です。
練習環境と本番環境があまりにも異なると、次のような問題が生じます。
正確な実力測定ができない
疲れた状態や集中できない環境で解いた結果は、あなたの本当の実力を反映していません。リーディングで6.0を目指しているのに、疲労困憊の状態で5.5しか取れなかったとしても、それはあなたの英語力が足りないのではなく、単に練習環境が不適切だっただけかもしれません。
本番で実力を発揮できない
普段から集中できない環境で練習していると、本番の静かな環境でかえって集中しづらくなることがあります。また、60分間集中し続ける持久力も養えません。
学習効率が著しく低下する
集中できない状態で1時間勉強するよりも、完全に集中した状態で30分勉強する方が、はるかに学習効果が高いのです。
理想的な練習環境の作り方
では、どのような環境でリーディングの練習をすべきでしょうか。
朝の時間を確保する
最も理想的なのは、朝、脳が最もクリアな状態で、一人で集中できる時間を確保することです。朝は疲労が蓄積しておらず、意志力も最大値です。多くの成功者が朝の時間を大切にしているのは、この理由からです。
- 理想的な練習時間
- 起床後1〜2時間以内
- 朝食後、十分な栄養補給をした状態
家族の協力を得る
家族と同居している場合は、協力を得ることが重要です。「朝の1時間は試験勉強のために中断しないでほしい」と事前に伝えておきましょう。IELTSという明確な目標があることを説明すれば、家族も理解してくれるはずです。
携帯電話はフライトモードに
練習中は、携帯電話を必ずフライトモードにしましょう。SNSの通知、メールの着信、メッセージアプリのアラート、これらすべてが集中力を著しく低下させます。60分間、完全にオフラインになることが理想です。
時間の確保が難しい場合
朝に60分確保するのが難しい場合は、パッセージ1つ(20分)だけでも構いません。短時間でも、質の高い集中した練習の方が、だらだらと長時間取り組むよりもはるかに効果的です。
ただし、時間が許すのであれば、3パッセージ通して60分で解くことを強く推奨します。その理由は、パッセージごとに難易度が異なるため、トータルのパフォーマンスを正確にトラッキングしたいからです。
例えば、パッセージ1は易しく、パッセージ2は標準、パッセージ3は難しいという構成が一般的です。パッセージ1だけを解いて好成績を取っても、それは必ずしもあなたの総合力を示していません。また実際にパッセージ1を早めに切り上げて、余った時間をパッセージ3に割り当てられていたかもしれません。本番と同じ60分間で3パッセージ通して解くことで、時間配分の練習にもなりますし、集中力の持続力も養えます。
医学的見地から見た最適な学習時間
ここで、医学的な観点から朝の学習が推奨される理由を説明します。
コルチゾールとサーカディアンリズム
人間の体内では、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは「覚醒ホルモン」とも呼ばれ、起床後30分から1時間でピークに達します。このホルモンは、集中力、記憶力、判断力を高める働きがあります。つまり、朝の時間帯は生理学的にも最も学習に適した時間なのです。
前頭前野の機能
脳の前頭前野は、集中力、意思決定、計画や複雑な思考を司る重要な領域です。神経科学の研究によると、この領域は一日の中で多くの意思決定や自己制御を行うほど神経活動に負荷がかかり、代謝資源が消費されやすくなります。これにより、日中の後半になると前頭前野の機能が低下し、判断力や注意力が落ちやすくなることが知られています。
朝は、前頭前野が比較的フレッシュで代謝資源が十分に確保されている状態です。また、起床後のコルチゾール分泌のピークがこの領域の覚醒と認知機能を支えるため、リーディングテストのような高度な認知課題に取り組むには最適な時間帯といえます。
夜の学習が非効率な理由
夜遅い時間は、メラトニンという睡眠ホルモンが分泌され始め、体が休息モードに入ります。この状態で無理に集中しようとしても、脳は効率的に機能しません。また、夜遅くまで強い光を浴びながら勉強すると、睡眠の質が低下し、翌日のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすという悪循環が生じます。
夜の時間の効果的な使い方
では、夜の時間は勉強に使えないのかというと、そうではありません。夜は、集中力をあまり必要としない学習活動に充てるのが効果的です。
- 夜に適した学習活動
- 過去に解いた問題の復習
- 間違えた問題の分析
- 単語学習や語彙の復習
これらの活動は、リーディングテストのような高度な集中力を必要としないため、夜でも効果的に取り組めます。特に復習は、記憶の定着という観点からも、問題を解いた当日の夜に行うことが理想的です。
パフォーマンスを記録する重要性
適切な環境で練習することと同じくらい重要なのが、自分のパフォーマンスを記録し、トラッキングすることです。
なぜ記録が必要なのか
記録をつけることで、次のような利点があります。
- 記録をつける利点
- 弱点が可視化される
- 練習の頻度や質を客観的に評価できる
- モチベーションの維持につながる
プラスワンポイントでは、マイページ にて、以下のようなリスニング・リーディングの学習記録機能を無料で提供しています。また、1週間に解く問題数を設定してアラートを受け取ることができます。自分ではついつい管理が甘くなってしまう人はぜひご活用ください。
まとめ
IELTSリーディングの実力を最大限に引き出すためには、適切な学習環境を整えることが不可欠です。仕事の合間や疲れた夜に問題を解くのではなく、朝の集中できる時間を確保しましょう。携帯電話をフライトモードにし、家族の協力を得て、本番と同じような静かな環境を作り出してください。
時間が限られている場合は、パッセージ1つでも構いませんが、できれば3パッセージ通して解くことで、より正確な実力測定ができます。そして、その結果を必ず記録し、進歩を可視化していきましょう。
夜の時間は、復習や単語学習など、集中力をあまり必要としない活動に充てることで、効率的に学習を進められます。
医学的見地からも、朝の学習が最も効果的であることは明らかです。あなたの脳が最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯に、最高の環境で練習する。この習慣を身につけることが、目標スコア達成への最短ルートです。
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この記事を書いた人
Hibiki Takahashi
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。
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