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試験前に必ず行いたい声帯ウォームアップ|PlusOnePoint

声が高い人こそ要注意

試験前に必ず行いたい声帯ウォームアップ

「日本語英語からなかなか抜け出せない」

「試験で思うように話せなかった」

スピーキング試験でこんな経験をした方は多いのではないでしょうか。

特に普段、日本語の発声が高めの人にとって、英語の発声は想像以上に難易度が高いものです。日本語と英語では発声の仕組みが根本的に異なり、試験直前に突然モードを切り替えることは、バイリンガルや上級者でない限り、とても難しいとされています。本記事では、試験前に行うべき声帯ウォームアップの重要性と、その具体的な方法について解説します。

普段の声が高い人が陥りやすい罠

日本語で普段から声が高めの人は、英語スピーキング試験において二重の不利を抱えています。

英語は低い音域で話す言語

まず知っておくべき事実として、英語は日本語よりも低い音域で話される言語です。これは単なる印象ではなく、音響学的に測定可能な違いとされています。

日本語話者の平均的な話し声は、女性で220Hz前後、男性で120Hz前後とされています。一方、英語話者は女性で180Hz前後、男性で100Hz前後と、明らかに低い音域で話しています。

こちらの動画は、YouTuberのレベッカさんが英語と日本語の声の変化を語ったショート動画です。エンタメ要素もありますが、英語と日本語の音の高さの違いに注目してみましょう。

イギリス人のレベッカさんが話す、英語と日本語の声の変化に注目

高い声で英語を話すリスク

普段の声が高い人が、その声のまま英語を話そうとすると、以下のような問題が起こります。

  • 高い声で英語を話す問題点
  • 喉に余計な力が入り、長時間話すと疲れる
  • 強勢(stress)やイントネーションの幅が狭くなる
  • 母音の響きが浅くなり、発音が不明瞭になる
  • 聞き手(試験官)に「緊張している」「自信がない」という印象を与える

特に最後の点は重要です。声の高さは感情状態と直結しており、高い声は本能的に「不安」や「緊張」のサインとして受け取られます。これは言語や文化を超えた、人間に共通する反応です。

「声が高い」は性格の問題ではない

もちろん、普段の声が高いこと自体は何も悪くありません。日本語を話すときの声の高さは、育った環境や話し方の癖によるものであり、性格や能力とは関係ありません。

問題は、日本語モードの発声機構のまま英語を話そうとすることです。

日本語と英語の発声は根本的に違う

多くの学習者が見落としている事実があります。それは、日本語と英語では、使っている筋肉や共鳴腔の使い方が根本的に異なるということです。

日本語の発声メカニズム

日本語は1つ1つを同じ長さで発声する特殊な言語で、これを「モーラ拍リズム」と言います。例えば、「こんにちは」は5個の音節と捉え、5文字の長さを全て同じ時間の長さで発話する、モーラの等時性(等時的な拍音形式)が特徴です。そのため、日本語の発声は以下のような特徴を持ちます。

  • 日本語の発声特徴
  • 口の開きが小さい(口腔共鳴が浅い)
  • 喉頭の位置が高め
  • 息の流れが比較的弱い
  • 音程の変化が緩やか

英語の発声メカニズム

一方、英語は「強勢拍リズム」の言語であり、強く発音される音節と弱く発音される音節が明確に区別されます。そのため、英語の発声は以下のような特徴を持ちます。

  • 英語の発声特徴
  • 口の開きが大きい(口腔共鳴が深い)
  • 喉頭の位置が低め
  • 息の流れが強い
  • 音程の変化が大きい

この違いを実際に体感するには、YouTuberのだいじろーさんによる解説動画が参考になります。日本語の「こんにちは」を英語話者が発音すると、どれほど音の質が変わるかを実演しています。

すぐにモードを切り替えられるのはバイリンガルだけ

ここで理解すべき重要な事実があります。それは、日本語モードから英語モードへ瞬時に切り替えることができるのは、バイリンガルか、それに近い上級者だけだということです。

バイリンガルの脳は、言語の切り替えと同時に、発声機構も自動的に切り替えることができます。これは長年の訓練によって獲得された、高度な神経制御の結果でしょう。

しかし、多くの日本人学習者にとって、この切り替えは意識的な準備なしには起こりません。普段、日本語で会話している人が、スピーキング試験会場に入った瞬間に英語モードに切り替わることはないのです。

準備なしで試験に臨むとどうなるか

声帯のウォームアップなしに試験に臨むと、以下のような問題が起こります。

  • 準備不足による問題
  • 声が高く不安定になる
  • 喉に力が入り、英語らしい発音ができない
  • 強勢やイントネーションが平坦になる
  • 発音が不明瞭になる

IELTSのスピーキングはたった11-14分程度です。ウォームアップなしで試験に臨むと、ウォームアップが完了した頃には試験の大半が終わっている、なんてことも多々あります。

声帯は直接コントロールできない

ウォームアップの方法を説明する前に、重要な前提を理解しておきましょう。

声帯そのものは操作できない

まず押さえておくべき事実として、声帯そのものを意識的に「ほぐす」「下げる」といった直接操作はできません。声帯は喉頭内部にある小さな筋肉組織であり、意識的にコントロールすることはできないのです。

実際の発声調整は、以下の要素を通じて間接的に行われます。

  • 発声を調整する間接的要素
  • 呼吸:息の流れと圧力
  • 喉頭の位置:喉ぼとけの上下運動
  • 共鳴腔の使い方:口腔、鼻腔、咽頭腔の形状
  • 舌の位置:舌根の緊張と位置

ウォームアップの本当の目的

ウォームアップの目的は「声帯に余計な負荷をかけない状態を作ること」にあります。具体的には、以下の状態を目指します。

  • 理想的な発声状態
  • 喉頭が自然な(やや低めの)位置にある
  • 呼吸が深く、安定している
  • 舌根に余計な力が入っていない
  • 共鳴腔が適切に開いている

これらの状態を作ることで、声帯は自然に適切な振動を始め、英語に適した音域で話すことができるようになります。

試験前3分でできる声帯ウォームアップ

それでは、具体的なウォームアップ方法をご紹介します。これらは試験会場の待合室や、試験室に入る直前のトイレなどで、静かに行うことができます。

1. 呼吸リセット

まず、呼吸を整えることから始めます。

  • 呼吸リセットの手順
  • 1. 鼻から静かに息を吸う(4秒)
  • 2. 口を軽く開けて、無声音のまま長く息を吐く(8秒)
  • 3. 同じ息の流れに、ごく弱く「はー」と声を乗せる
  • 4. これを3回繰り返す

ポイントは、息が主導し、声が後から自然に付いてくる感覚を確認することです。声を出そうとして喉に力を入れるのではなく、息の流れに声が乗る感覚を探してください。

2. ハミングによる軽い振動

次に、ハミングで声帯に軽い振動を与えます。

  • ハミングの手順
  • 1. 口を閉じたまま「んー」とハミングする
  • 2. 音程は低めから中音域に限定する
  • 3. 唇や鼻の奥が軽く振動する感覚を探す
  • 4. 喉に力が入らないことを確認する
  • 5. これを10秒×3回ほど行う

喉に力が入らないことが最も重要です。もし喉が詰まる感じがしたら、音程を下げるか、音量を小さくしてください。

3. 喉頭の開放

最後に、喉の奥を開く練習をします。

  • 喉頭開放の手順
  • 1. あくびを途中まで再現するように、喉の奥を縦に開く
  • 2. その状態で、息だけを静かに吐く(5秒×2回)
  • 3. 同じ喉の開きで「uh」「ah」と短く発声する
  • 4. 音量は最小限で構わない
  • 5. これを5回繰り返す

この練習により、喉頭が自然に下がり、英語の低い音域で話す準備が整います。

まとめ

声が高くなりやすい、緊張で喉が固まりやすいといった傾向は、適切な準備によって十分にコントロール可能です。

  • 重要ポイント
  • 普段の声が高い人は、英語試験で特に不利になりやすい
  • 日本語と英語では発声機構が根本的に異なる
  • 声帯は直接コントロールできないが、間接的要素で調整できる
  • 試験前3分のウォームアップで大きく改善できる

試験前の数分を声帯ウォームアップに充てることで、英語本来のリズムと響きを引き出しやすくなり、第一印象から安定したパフォーマンスを発揮できます。

次回の試験では、待合室で静かにこのウォームアップを行ってから試験室に入ってみてください。声の安定性と、話しやすさの違いを実感できるはずです。

Ask the Expert
Mika

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Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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