IELTSライティング・タスク2 対策記事 最上級・ONLYなどの極論に対するagree/disagree

更新日:2025年1月6日

この記事はライティングサミット受講生のロードマップ記事です。

目次

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IELTSライティングのタスク2の問題の中には、いわゆる「極論」を取り上げるものがあります。極論とは、以下のような表現がタスクの中に含まれているものです。

all、every、none、always、never、the only、the best、the worst、the most、the least、impossible、など。

例えば、以下のようなタスクが該当します。

Some people think that the best way to solve global environmental problems is to increase the price of fuel. To what extent do you agree or disagree?

世界的な環境問題を解決する最善の方法は、燃料の価格を上げることだと考える人もいます。あなたはどの程度同意しますか?

Some people believe that money is the only measure of success in life. To what extent do you agree or disagree?

人生における成功の唯一の尺度はお金だと信じる人もいます。あなたはどの程度同意しますか?

すでにIELTSライティングの勉強をしてきている方は、これらの問題を一度は目にしたことがあるかもしれません。

一見すると「書きにくい」と感じるかもしれませんが、この先に説明する基本的な戦略を知っていると、このタイプの問題は、むしろ「回答しやすい」問題に変わるでしょう。

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基本的な戦略は、「反例をあげる」というものです。

反例とは、「ある主張について、それが成立しない例のこと」、つまり、その主張が否定されてしまうことを(少なくとも)1つ紹介することです。具体的に説明してみましょう。

先ほど紹介した以下のタスクを例に、「反例」を考えてみましょう。

Some people think that the best way to solve global environmental problems is to increase the price of fuel. To what extent do you agree or disagree?

世界的な環境問題を解決する最善の方法は、燃料の価格を上げることだと考える人もいます。あなたはどの程度同意しますか?

このタスクでは、「最善の方法は燃料の価格を上げることだ」と主張していますから、この主張が成立しないような例を考えればいいのです。「最善の方法は(燃料の価格を上げることの)他にある」、つまり「燃料の価格を上げることよりももっと効果的な方法がある」ということさえ言えれば、この主張に対して十分な反論ができたことになります。

もちろん自分のポジションは、タスクの意見に「反対」であることは言うまでもありません。

ちなみに、「より効果的な方法」は何でもいいのですが、例えば、再生可能エネルギーの開発、環境にやさしい製品の開発、などをあげることができそうです。

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大筋の流れが理解できたところで、極論のタスクに対するエッセイの構成パターンを考えてみましょう。

基本的な方向性は「反例をあげる」ことですが、その前に少し準備が必要です。まずはタスクで紹介されている方法の有効性を議論しておく必要があります。

もちろん、燃料の価格を上げることは「全く効果がない」というように切り捨てることもできますが、オーソドックスな方法としては「確かに効果はある(かもしれない)」という前提で話を進めるといいでしょう。

これをエッセイでは「譲歩」と呼びます。

ボディ1: 確かに、燃料の価格を上げることにも効果があるかもしれないことを主張

ボディ2: しかし、(燃料の価格を上げることよりも)より効果的な方法があることを主張

大まかな道筋としては、このような構成を考えます。

ここで重要なことは、ボディ1で「最善の方法だ」と表現しないことです。なぜなら、ここで「最善」と表現してしまうと、ボディ2で「より効果的な方法がある」という主張すると、矛盾を生じるからです。

ボディ1を他者(some people)の意見にするのはダメ?

もちろん、ボディ1を他者(some people)の意見にすることも可能です。その場合は、ボディ1で「最善の方法であると考える人もいる」というように、他者の意見として紹介することになります。

  • ・ボディ1: 中には、燃料の価格を上げることが最善の方法であると主張する人もいるかもしれないことを主張
  • ・ボディ2: しかし私は、(燃料の価格を上げることよりも)より効果的な方法があることを説明

というような論理展開になります。ただし、この場合には、ボディ1で「最善の方法だ」と考える(人の)根拠を推測していますので、ボディ2での反論がやや難しくなる場合があります。

一方、譲歩の場合には、ボディ1もボディ2も自分の主張ですので、主張の流れを作りやすいと言うメリットがあります。主張の流れがわかりやすいことは、IELTSライティングの採点基準の1つである「Coherence and Cohesion(首尾一貫性とつながり)」にも関わるため、スコアメイクの点でも有利に働くことが期待されるのです。

繰り返しになりますが、「譲歩」では、ボディ1で「最善の方法」という表現を使っていないからこそ、ボディ2で「より効果的な方法がある」という主張がスムーズに展開できるのです。

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それでは、実際に「譲歩」を使って反例を示す方法を、サンプルアンサーを通して確認してみましょう。

Some people think that the best way to solve global environmental problems is to increase the price of fuel. To what extent do you agree or disagree?

世界的な環境問題を解決する最善の方法は、燃料の価格を上げることだと考える人もいます。あなたはどの程度同意しますか?

  • It is true that increasing the price of fuel can be an effective way to address global environmental problems because it discourages the use of harmful fossil fuels and reduces overall consumption. Higher fuel costs often prompt individuals to reconsider their reliance on private vehicles, opting instead for public transportation or car sharing. More importantly, it incentivizes individuals and businesses to adopt sustainable alternatives, such as solar energy or wind power. By making fossil fuels less financially attractive, this approach is expected to encourage a broader shift toward greener energy sources, which ultimately helps reduce carbon emissions and mitigate ecological harm.
  • 燃料価格を引き上げることは、地球規模の環境問題に対処する効果的な方法であると言えます。その理由は、有害な化石燃料の使用を抑制し、全体的な消費を減少させるからです。燃料費が高騰することで、人々は自家用車の利用を見直し、代わりに公共交通機関やカーシェアリングを選ぶことが多くなります。さらに、これは個人や企業が太陽光発電や風力発電などの持続可能な代替手段を採用する動機付けとなります。化石燃料を経済的に魅力のないものにすることで、この方法はより広範な再生可能エネルギーへの移行を促進し、最終的に二酸化炭素排出量を削減し、環境への悪影響を軽減することが期待されます。
  • However, there are more impactful ways to tackle global environmental issues, the most promising of which is for governments to set clear targets with penalties for non-compliance. By each nation committing to reduce emissions within a specific timeframe, backed by strict enforcement, global cooperation can drive significant change. This approach ensures that governments encourage industries to adopt cleaner technologies and reduce their environmental impact. The success of frameworks such as the COP agreements highlights how international collaboration and accountability can lead to meaningful progress, far greater than the effects of higher fuel prices alone.
  • しかし、地球規模の環境問題に取り組むためには、より効果的な方法があります。その中でも最も有望なのは、政府が違反に対する罰則を設定した明確な目標を設定することです。各国が特定の期間内に排出量を削減することを約束し、厳格な執行を裏付けることで、グローバルな協力が大きな変化をもたらすことができます。この方法により、政府は産業によりクリーンな技術を採用し、環境への影響を軽減するよう促します。COP協定などの枠組みの成功は、国際的な協力と責任を持つことが、高い燃料価格だけよりも意義ある進歩をもたらすことができることを示しています。

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極論のタスクに対する基本的な戦略は「反例をあげる」というものでしたが、もちろん、この戦略を使えない(使いにくい)状況もあります。

その一つは、質問のタイプが「To what extent do you agree or disagree?」ではなく、「Discuss both views and give your opinion」のようなものです。この場合、与えられている両方の意見を議論する必要があるため、与えられている議論が極論であればそれを議論しなければなりません。

Some people think that the best way to succeed in life is to get a university education, while others disagree and say that it is no longer true nowadays. Discuss both views and give your own opinions.

成功するための最善の方法は、大学教育を受けることだと考える人もいますが、他の人は異なる意見を持ち、現在ではそれが当てはまらないと言います。両方の意見を議論し、自分の意見を述べてください。

このような場合には、与えられた極論に対して反例をあげて対応をすることだけでは十分な回答になりません。そのため、このようなタスクに対しては、あくまで与えられた両方の意見を議論することが必要になります。

もう一つは、「反例をあげる」ことが難しい場合です。「最善」「唯一」などの極論が、実際にはほぼ正しいと思われる状況、あるいはそもそも判例のアイデアが思い浮かばないような状況です。

例えば、犯罪を減らすための解決策を考えるタスクで、「犯罪を減らす最善の方法は、犯罪者に厳しい刑罰を与えることだ」という主張があった場合、これに対して反例をあげるのは難しいかもしれません。このような場合には、素直に同意する方が書きやすい場合もあります。

Some people think that the best way to reduce crime is to give longer prison sentences. To what extent do you agree or disagree?

犯罪を減らす最善の方法は、犯罪者に長期の刑を与えることだと考える人もいます。あなたはどの程度同意しますか?

もちろん、教育の改善や社会福祉の向上など、他の解決策を考えることもできますが、それでは十分に反論ができないと感じた場合には、この戦略にとらわれすぎず、柔軟に対応することも大切です。

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IELTSライティング・タスク2でしばしば見かける「極論のタスク」に対する基本的な戦略をご紹介しました。

極論のタスクに対する基本的な戦略は、ボディ1で「譲歩」をした上で、ボディ2で「反例をあげる」ことで反論をする、というものです。

ぜひ、次回「極論のタスク」に出会った際には、この戦略を使ってみてください。

Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。