「know」を「知る」と覚えていませんか?実は、「know」は「知っている」という状態を表す動詞であり、「知る」という動作を表す動詞ではありません。この違いを理解していないと、「can know」のような不自然な表現を使ってしまいます。
この記事では、動作動詞と状態動詞の違いと、IELTSライティングでよく見られる誤用について解説します。
動作動詞と状態動詞の基本
英語の動詞は、大きく分けて動作動詞(Action Verbs)と状態動詞(Stative Verbs)の2種類に分類されます。
- 基本的な違い
- 動作動詞:意識的に行う動作や活動を表す(run, write, eat など)
- 状態動詞:状態、感情、所有、知覚などを表す(know, love, have など)
動作動詞の特徴
動作動詞は、始まりと終わりがある具体的な行為を表します。進行形(-ing形)にすることができます。
- 動作動詞の例
- I am writing an essay.
- 私はエッセイを書いている。
- She is running in the park.
- 彼女は公園で走っている。
- They are studying for the exam.
- 彼らは試験のために勉強している。
状態動詞の特徴
状態動詞は、継続的な状態や感情を表します。通常、進行形にすることができません。
- 状態動詞の例
- I know the answer.
- 私は答えを知っている。
- She loves classical music.
- 彼女はクラシック音楽が好きだ。
- They believe in climate change.
- 彼らは気候変動を信じている。
「know」は状態動詞
「know」は典型的な状態動詞です。日本語では「知る」と訳されることが多いため、動作を表す動詞だと誤解されがちですが、実際には「知っている」という状態を表します。
knowの正しい理解
- knowの意味
- 正しい理解:知っている(状態)
- 誤った理解:知る(動作)
「know」は、ある情報や知識を持っている状態を表します。「知る」という瞬間的な動作ではなく、「知っている」という継続的な状態なのです。
- knowの使用例
- I know his name.
- 私は彼の名前を知っている。
- Do you know where the library is?
- 図書館がどこにあるか知っていますか?
- She knows a lot about Japanese culture.
- 彼女は日本文化について多くのことを知っている。
「知る」と「知っている」の違い
日本語の「知る」と「知っている」の違いを理解することが、英語の「know」を正しく使うカギとなります。
日本語の「知る」
日本語の「知る」は、新しい情報を得る瞬間の動作を表します。
- 「知る」の例
- 昨日、彼が結婚したことを知った。
- ニュースでその事件を知った。
- 初めて彼女の名前を知った。
これらは「情報を得た瞬間」を表しており、英語では「learn」「find out」「discover」などを使います。
日本語の「知っている」
日本語の「知っている」は、情報や知識を持っている状態を表します。
- 「知っている」の例
- 私は彼の名前を知っている。
- その事実は誰でも知っている。
- 彼女がアメリカ出身だということは知っている。
これらは「現在持っている知識」を表しており、英語では「know」を使います。
英語での表現
- 「知る」を英語で表現
- I learned that he got married yesterday.
- 昨日、彼が結婚したことを知った。
- I found out about the incident from the news.
- ニュースでその事件を知った。
- I discovered her name for the first time.
- 初めて彼女の名前を知った。
- 「知っている」を英語で表現
- I know his name.
- 私は彼の名前を知っている。
- Everyone knows that fact.
- その事実は誰でも知っている。
- I know that she is from America.
- 彼女がアメリカ出身だということは知っている。
「can know」は正しいか?
「can know」という表現について、よく質問を受けます。結論から言うと、ほとんどの場合、「can know」は不自然です。
なぜ「can know」が不自然なのか
「can」は「〜できる」という能力や可能性を表す助動詞です。しかし、「know」は状態動詞なので、「知ることができる」という能力の概念とは相性が悪いのです。
- 不自然な表現
- Through education, people can know about different cultures.
- →「can know」は不自然
- 正しい表現
- Through education, people can learn about different cultures.
- 教育を通じて、人々は異なる文化について学ぶことができる。
「can know」が使える稀なケース
ただし、非常に限定的な状況では「can know」が使われることもあります。
- 使える稀なケース
- How can I know if it's true?
- それが本当かどうか、どうやって知ることができるのか?
- No one can know the future.
- 誰も未来を知ることはできない。
これらは「知る可能性」を議論する哲学的・修辞的な文脈で使われますが、一般的なエッセイではほとんど使いません。
「can know」の代替表現
「can know」を使いたくなったら、以下の動詞を検討しましょう。
- 代替表現
- can learn:学ぶことができる
- can find out:知ることができる、発見できる
- can discover:発見できる
- can understand:理解できる
- can gain knowledge about:〜について知識を得ることができる
その他の状態動詞
「know」以外にも、多くの状態動詞があります。これらも基本的に進行形にできず、「can」との相性も悪い場合が多いです。
知覚・認識を表す状態動詞
- 知覚・認識の状態動詞
- know(知っている)
- understand(理解している)
- believe(信じている)
- think(思う)※意見を表す場合
- remember(覚えている)
- forget(忘れている)
- recognize(認識している)
感情を表す状態動詞
- 感情の状態動詞
- love(愛している)
- like(好きである)
- hate(嫌いである)
- prefer(好む)
- want(欲しい)
- need(必要である)
所有・関係を表す状態動詞
- 所有・関係の状態動詞
- have(持っている)※所有の意味
- own(所有している)
- belong(属している)
- possess(所有している)
- consist(〜から成る)
存在・状態を表す状態動詞
- 存在・状態の状態動詞
- be(〜である)
- exist(存在する)
- seem(〜のように見える)
- appear(〜のように見える)
- contain(含んでいる)
進行形にできない状態動詞
状態動詞の多くは進行形にできませんが、これには明確な理由があります。
なぜ進行形にできないのか
進行形(-ing形)は、「今まさに進行中の動作」を表します。しかし、状態動詞は継続的な状態を表すため、「今まさに〜している」という概念と矛盾するのです。
- 進行形の概念
- 進行形は「一時的で進行中の動作」を表す
- 状態動詞は「継続的な状態」を表す
- → この2つは概念的に矛盾する
間違いやすい例
- 進行形にできない状態動詞
- I am knowing him.
- She is loving chocolate.
- They are wanting a new house.
- He is believing in God.
- 正しい表現
- I know him.
- She loves chocolate.
- They want a new house.
- He believes in God.
状態と動作の両方の意味を持つ動詞
一部の動詞は、文脈によって状態動詞にも動作動詞にもなります。この区別を理解することが重要です。
have の2つの使い方
- 状態動詞としての have
- I have a car.
- 私は車を持っている。(所有)
- → 進行形にできない
- 動作動詞としての have
- I am having lunch.
- 私は昼食を食べている。(動作)
- → 進行形にできる
think の2つの使い方
- 状態動詞としての think
- I think that technology is beneficial.
- 私はテクノロジーは有益だと思う。(意見)
- → 進行形にできない
- 動作動詞としての think
- I am thinking about my future.
- 私は将来について考えている。(思考の過程)
- → 進行形にできる
see の2つの使い方
- 状態動詞としての see
- I see what you mean.
- あなたの言いたいことがわかる。(理解)
- → 進行形にできない
- 動作動詞としての see
- I am seeing my doctor tomorrow.
- 明日、医者に会う予定だ。(会う)
- → 進行形にできる
taste の2つの使い方
- 状態動詞としての taste
- This soup tastes delicious.
- このスープは美味しい味がする。(味がする)
- → 進行形にできない
- 動作動詞としての taste
- I am tasting the soup to check if it needs more salt.
- 塩が必要かどうか確認するためにスープを味見している。(味見する)
- → 進行形にできる
まとめ
動作動詞と状態動詞の違い、特に「know」の正しい使い方について解説しました。
「know」は「知る」ではなく「知っている」という状態を表す動詞です。そのため、進行形にできず、「can know」も一般的には不自然です。「知る」という動作を表したい場合は、「learn」「find out」「discover」などの動作動詞を使いましょう。
状態動詞の特徴を理解し、適切に使い分けることで、より自然で正確な英語表現ができるようになります。
- 重要なポイントのまとめ
- 「know」は「知っている」という状態を表す状態動詞
- 状態動詞は基本的に進行形にできない
- 「can know」は一般的に不自然(「can learn」などを使う)
- 一部の動詞は文脈によって状態動詞・動作動詞の両方になる
- 「知る」という動作には「learn」「find out」「discover」を使う
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この記事を書いた人
Hibiki Takahashi
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。
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