- ・日頃から様々なテーマに興味を持ち、アイデアを考えておくこと
- ・質問タイプに合わせた解答を意識すること
- が大事だね!
スコア9.0の講師が教える
パート別・目標スコア別対策方法
IELTSのライティングは、日本人受験者が最も苦戦する科目の1つです。独学で勉強を進めるなか、スコアの伸びに限界を感じている。。。そんな方も少なくありません。しかし、私がIELTS講師として10年以上たくさんの生徒様を指導してきたなかで言えることは、スコア取得のためには「適切な学習方法を継続すること」が不可欠であるということ、そして、効率のよい対策をすることで、目標スコアを取得するまでの道のりを大幅に短くすることができるということです。
この記事ではIELTS対策を専門とする当校(PlusOnePoint)でも日々多くの方からご相談をいただくIELTSライティング対策の方法やコツを、基礎から応用まで徹底的にまとめ解説いたします。特にライティングスコア5.0から6.0へ、また6.0から7.0へとステップアップするために対策すべきポイントを踏まえた解答例は必見です。ぜひご活用ください。
01
IELTSのライティング試験は、2つのタスクがあります。タスクはジェネラルトレーニングとアカデミックで異なった課題が出されますので、どちらを受験するのか確認して試験対策を行っていきましょう。試験時間は60分で2つのライティングタスクを完成させます。
ジェネラル・ トレーニング |
アカデミック | |
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タスク1 (150ワード) |
手紙 | グラフ・表・地図・ダイアグラムのレポート |
タスク2 (250ワード) |
エッセイ・ライティング | |
試験時間 | 60分 |
ペーパーベースの試験では、まず解答用紙が配布され、氏名等の必要事項の記入の時間が与えられます。この時間に一斉に必要事項の記入をし、試験監督官の合図で試験が開始されます。タスク1とタスク2の解答用紙は色が異なるので、しっかりと色の違いを確認しましょう。異なった色の用紙に別のタスクを解答してしまった場合の解答は無効となり点数に反映されなくなります。気をつけましょう。60分以内に2つのタスクを完了できれば良いので、細かい時間配分は決められていません。
試験中、解答用紙が足りなくなってしまった場合は、挙手をして試験官から2枚目の解答用紙をもらうことができます。
試験会場には大きめの時計が設置されている、または大画面のスクリーンにデジタル時計が映し出されており、自分の時計がなくても時間の確認ができるようになっています。タスク1終了の目安となる20分経過した段階や、試験終了10分前の時点で試験監督官がアナウンスをしてくれます。
ライティング試験では、トイレに行く場合など一時退室は許可されていますが、最後の10分間に退室すると、それ以降の試験を受けることはできませんので、タイミングには十分注意しましょう。
試験が終了すると「終了」のアナウンスと共に、鉛筆を置くように指示されます。時間を過ぎても書き続けてしまうと、その箇所は試験監督官によってその場でクロスアウトされ、採点されません。試験監督官の指示に従わないと、場合によっては退場させられるので、追加したい箇所や修正したい箇所があっても、必ずルールに従いましょう。
コンピューター試験(CDI)が導入されはじめ、試験会場によって受験者は申込時にペーパーベースで受けるか、コンピューターベースで受けるか選べるようになりました。CDIでは、試験会場に行くとひとりひとりコンピュータのブースが用意されていて、コンピュータ画面上で問題を解きます。CDIで受験する場合のライティングは、ペーパーベースのIELTSと比較すると、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
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CDIでは、語数を自動でカウントしてくれる機能があります。これまでのペーパーベースのIELTSでは、自分で語数の要件を満たしているかどうか確認する作業が必要でしたが、CDIではその点の心配をする必要がなくなりましたので非常に便利です。文章の訂正もコピー&ペーストの機能が使えるため、とても簡単です。活字の文章を一画面で全体的に見ることができるため、見直しがしやすくなります。
ただし、通常のワードやドキュメントの文章作成と異なり、スペルと文法のチェック機能がありません。普段パソコンでチェック機能に頼っている場合は細く注意する必要があります。逆に、そもそも日常生活のなかでパソコンを使う習慣が少なく、タイピングが苦手な方は、逆にタイピングの方が時間がかかってしまう可能性もあります。
どちらの試験でも、アイデアなどの準備(プランニング)をするためのメモ用紙と鉛筆が配布されます。もちろんそのメモ用紙を使ってもいいですが、CDIの場合は画面上でプランニングをして、後で消すこともできます。
IELTSライティングのタスク1は、ジェネラルトレーニングとアカデミックとで、別の課題が出題されます。どちらも語数は150ワード以上という指定があり、ライティングの制限時間60分のうち、タスク1には20分程度を使うことが推奨されています。
ジェネラル・トレーニング | アカデミック |
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ジェネラルトレーニングのタスク1は手紙形式の課題が出題されます。面識のない人物への手紙、目上の人物への手紙、友人への手紙などが出題され、状況によって「フォーマルな手紙」と「カジュアルな手紙」の書き方を使い分けることが求められます。タスクの内容はテストによって異なり、以下のような種類があります。 フォーマルレター
インフォーマルレター
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アカデミックのタスク1は、グラフや図を分析して説明するレポート形式の課題です。全体の傾向を把握しつつ、グラフの特徴を整理して、詳細のデータを示しながら説明する力が求められます。 タスクの内容はテストによって異なりますが、以下のような種類がありパターン別に練習しておくことができます。 グラフ・表
地図・プロセスなどのダイアグラム
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タスク2はジェネラルトレーニングとアカデミック共にエッセーを書くことが求められます。タスク2にかける時間の目安は40分間です。250ワード以上という語数の指定もあり、タスク1以上に長い文章を書くことが求められます。
タスク2では、主に下記に示した7つの質問タイプが出されます。テーマは多岐にわたり、環境問題、犯罪、文化の違い、教育など一般知識で解答できる範囲で時事的な内容が取り上げられます。与えられたタスクの解答となるよう、エッセイを書き上げることがタスク2の課題です。似たような問題が出題されることもあるため、頻出のタスクにはしっかりと目を通して練習しておきましょう。
質問タイプ |
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質問タイプ 1 To what extent do you agree or disagree? (どの程度賛成、または反対ですか?) |
質問タイプ 2 Discuss both views and give your own opinion. (両方の意見について議論し、自分の意見を述べなさい。) |
質問タイプ 3 What are the advantages and disadvantages of this? (利点と欠点は何ですか?) Do the advantages of this outweigh the disadvantages? (利点は欠点を上回ると思いますか?) |
質問タイプ 4 What are the causes? What can be done to solve this? (この原因は何ですか?また解決するために何ができますか?) *2つの質問があるタイプです。ある状況について、原因、問題、影響、解決策のどれか2つの組み合わせで聞かれます。 |
質問タイプ 5 Is it a positive or negative development? (このことは、ポジティブな傾向ですか?ネガティブな傾向ですか?) |
質問タイプ 6 その他の質問形式(より直接的な質問や、上記の質問の組み合わせ) |
02
IELTSのライティング試験は、2つのタスクがあります。これらのタスクはジェネラルトレーニングとアカデミックで異なった課題が出されますので、受験予定のIELTSの問題を確認して試験対策を行っていきましょう。試験時間は60分で2つのライティングタスクを完成させます。
タスク1とタスク2用にそれぞれのバンドディスクリプターがあります。タスク1では最初の項目がTask Achievementと呼ばれ、タスク2ではTask Responseと呼ばれます。
ライティングの採点基準 |
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Task Achievement/Response (TA/TR) タスクへの応答(タスクにどの程度答えられているか) アイデアの展開(どの程度、展開・発展できているか) |
Coherence and Cohesion (CC) 首尾一貫性 アイデアの繋がり |
Lexical Resource (LR) 語彙 |
Grammatical Range and Accuracy (GR) 文法の範囲と正確性 |
参照
Writing
Task1: Band Descriptors (public version)
Writing
Task1: Band Descriptors (public version)
ライティングのバンドスコアはバンドディスクリプターに示されている4項目のスコアの平均値を元に計算されます。ライティングのバンドスコアは、0.5刻みの値となるよう、4項目の平均値から端数を切り捨てて算出されます。これはOverallのバンドスコア(4技能平均)を計算する方法とは異なるので注意しましょう。
TR 6, CC 6, LR 7, GR 7 合計26(平均6.50) 6.5
TR 6, CC 7, LR 7, GR 7 合計27(平均6.75) 6.5
TR 7, CC 7, LR 7, GR 7 合計28(平均7.00) 7.0
TR 7, CC 7, LR 7, GR 8 合計29(平均7.25) 6.5
タスク1もタスク2もバンドディスクリプターを参考に、以上のような計算方法でそれぞれ採点されます。
タスク1とタスク2の大きな違いは、Task Achievement / Responseの採点基準です。タスク1では、Task Achievement (出題された問題にどの程度答えられているか)という観点のみが採点対象ですが、タスク2では、Task Response (出題された課題にどの程度答えられており、どの程度議論を展開できているか)という観点までが採点対象となります。
まずは、タスク1とタスク2それぞれのバンドスコアが決定し、ライティングの最終スコアが決定されます(タスク1:タスク2の比率がだいたい1:2となると言われていますが、計算方法の詳細は公表されていません)。基本的には、タスク2の方が圧倒的に採点の比重が高いので、その点も考慮してライティングの対策をしていきましょう。
03
スコア5.0を目指すためには、IELTSライティングのタスクの読み方と基本のかたちを知り、最後まで書ききるように練習することが重要です。
IELTSのライティングでは、60分間という短い試験時間で素早く文章をまとめて書くスキルが求められています。タスク1では150ワード以上、タスク2では250ワード以上が要求されており、時間内でこのワード数を達成することがバンド5.0へ近づく1歩です。
5.0+のライティングは「タスクに部分的に解答している」という特徴があります。つまり、完璧に答えることができていなくてもよいレベルです。ただし、ワード数が足りない場合はエッセイが完成していないことになるため、部分的にも解答ができていないリスクも生じます。よって確実に、最後まで書ききることが安全な対策です。また、ランゲージの面(英語スキル)でも完璧は必要ありません。ときどき意味がわからない英語になってしまったとしても、解答していると理解できる部分が半分くらいあれば5.0は取得できます。しいて言えば、自分の知っている英語を駆使して、一生懸命答えることが重要です。練習では、これを言いたいな、と思った単語は調べて覚えましょう。
このように、IELTSライティングでは、最後まで書ききる事さえできれば、高い確率で5.0が取得できることになります。試験を意識して、時間内にワード数を達成できるような練習を心がけましょう。
スコア6.0を目指すためには、タスクをしっかり理解しすべての部分に答えることが重要です。
IELTSのライティングで6.0が達成できていない場合、タスクの理解力に課題があることが多いです。バンドディスクリプターの項目の一つであるTask Responseを見ると、バンドスコア5.0では「タスクに部分的に解答している」特徴がありますが、バンドスコア6.0以上では「タスクで聞かれている要素に全て回答している」ことが必須となります。このため、タスクの理解が不十分であれば、タスク全てに答えることができずTask Responseの項目がバンド5、もしくはそれ以下と採点されてしまう可能性が高くなります。
では具体的にはどのようなところに注意しなければならないかというと、1つは、先述したようにタスクで聞かれていることを正確に理解することです。もう1つは、質問タイプ別に利用できるエッセイの構成とはっきり回答するための構文を学ぶことが重要となります。質問が理解できていても回答方法によっては、読み手にはっきりと伝わらない場合があります。回答が曖昧にならないように表現方法をインプットしておくのがいいでしょう。
タスクに回答するために必要なエッセイ構成や表現(構文)は、詳しい参考書には例が記載されていることもあります。タスクの内容や質問タイプによって異なりますのでしっかり使い分けができるように練習しましょう。参考書によっては書かれていない場合もありますので、経験豊富なIELTS講師からのフィードバックをもらうと早く理解できます。また、このレベルになると、ランゲージ面では全体的に「理解できる英語」が使えるようになります。ミステイクはまだたくさん残りますが、意思疎通を阻害しない文章を書けるということです。口語表現が減り、文語的な表現が使えるというところも特徴ですので、エッセイで使える便利な構文や、関係代名詞などを使った複雑な文を使えるよう挑戦してみましょう。
このエッセイは、バンドスコア6.0が想定されるレベルです。今回のタスクは、質問が2つ含まれている、2 Questionsタイプの質問です。ここでは理由と防止策(解決方法)を聞かれています。Causes & Solutionsと呼ばれることもあり、IELTSのタスク2では大変良く出題されるタイプです。
Nowadays children watch too much TV. Why is this happening, and what can be done to prevent it?
(日本語訳)
最近、子どもたちはテレビを見すぎています。
質問①:なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?
質問②:これを防ぐためには何ができるでしょうか?
サンプルのエッセイでは、聞かれている2つの要素に次のように明確に解答することができています。評価項目のTask Responseで6.0を達成するためには必須の特徴です。
回答が理由だけだったり、防止策だけだったりすると、「タスクに部分的にしか解答していない」ことになり、6.0を取得することは難しくなります。また、タスクの質問タイプに合わせて効果的なエッセイ構成を使うことができています。ボディ1で理由、ボディ2で防止策、というように、はっきりとパラグラフを分けて書かれていることが分かります。“To
solve this issue / For example, / As a result, / To sum up, / This — / ”
のようにつなぎ言葉を使い、文章を連結していることもわかります。ただし、つなぎ言葉の使い方に誤りがあったり、適切でなかったりすることもあるようです。
ここからさらに上を目指すのであれば、もう少し詳しく議論を展開する必要があります。
サンプルのエッセイでは、「どのような立場の子供が、どんな状況で」テレビを過剰に見るようになったのか、詳しい状況がわかりません。例えば、以下のような情報を組み込むことで、論理的な議論の展開を強化でき、より明確な状況を読者に伝えることができるでしょう。
語彙・文法面で、ミステイクや不自然な表現も頻繁にあることも6.0の特徴です。意思疎通は阻害しませんが自然な英語でない表現も目立ちます。(this is because children spending ... / at works / some ... / to arrange those facilities to engage children ... など)
関係代名詞などを使って複雑文に挑戦することができていますが、センテンスが複雑になるほどミステイクが増えています。タスクの理解さえ間違えなければ問題なく6.0が取得できるレベルのエッセイが書けています。さらに上のスコアを目指す場合は、練習の段階で、語彙・文法の表現をしっかりと調べて確認し、自分が正確に使える表現を増やしましょう。
スコア7.0を目指すためには、タスクをよりしっかり理解し、議論を論理的に進行させることが重要です。
IELTSのライティングでバンドスコア7.0を目指すには、高い英語スキル(知識や理解度)が必要です。また、タスクに回答するための論理的な議論展開をする必要もありますので、情報を整理する能力も重要です。「英語スキルだけではなく、知識や物事を論理的に説明する力が必要」というIELTSライティング特有の採点基準が、特に7.0以上を目指すことの難易度を上げる要因となっています。
IELTSのライティングでバンドスコア6.5から7.0に上がらずに困っている方の多くは、エッセイの内容面、つまりタスクの理解・展開 (Task Response) と首尾一貫性・つながり (Coherence/Cohesion) に課題がある場合が大半です。7.0で求められる論理的な展開とはどのような書き方で、どのような要素が必要となるのか理解をしている必要があるからですね。
ランゲージの面(語彙・文法)にもまだ課題が残る場合は、正確性を意識して練習をしましょう。7.0+レベルの語彙・文法というのは単にハイレベルの単語や文法構文を使うということではありません。実際には、タスクに解答するために必要な語彙・文法を正確に使えていることが重要です。ランゲージ面の6と7の違いはまさにこの点にあります。6レベルではまだたくさんのミステイクが残るのに対し、7レベルでは激減します。特に、基本的な用法の誤りはほぼなくなると思っておくと良いでしょう。
すなわち、7.0以上を目指すのであればうろ覚えで正確かどうかわからない語彙や構文は試験では使わず、100%理解しているものだけを使うようにしたほうが有利となるということです。もちろん練習では、曖昧に覚えている表現を、意識的に正確に覚えて使えるようにするのがいいですね。
IELTSライティングのバンドスコア7.0以上を独学で達成できる方は、素晴らしい英語能力と勉強スキルを持っています。ただ、多くの方は独学を続けながら「自分の書いたエッセイはいいのか、悪いのか」判断できずに迷っています。一生懸命勉強しているのに、何度受験しても7.0が達成できないという方も多いでしょう。それだけIELTSライティングで7.0を達成するには時間がかかるということです。
このままでは難しいな、と感じる場合や、できるだけ早く確実に達成したい場合は、IELTS専門の講師に直接的な指導をしてもらうのがやはり近道かと思います。
このエッセイは、バンドスコア7.0-7.5が想定されるレベルです。
まずは、内容面でタスクで聞かれている2つの要素に対して明確な解答があり、ボディ内で補足説明や背景の情報を紹介し、具体例に発展させ詳しい説明をすることができています。パラグラフごと明確にアイデアを分けた構成を作り、ボディ内部でも、アイデアを2つずつ順番に紹介しながら、論理的に情報をつなげることができています。文章やアイデアをつなぐためのデバイス(In addition, / In order to encourage more people to— / Additionally, / To conclude)も的確に使用できていますね。
語彙・文法面では、ミステイクが少なく、安全な表現を適切に使用しているのがわかります。若干繰り返し同じ表現を使っているように見えてしまう部分はありますが、述べるべきにトピックに沿ってパラフレーズできる範囲で工夫をしているのがわかります※。多少シンプルになっても、意識的に自信のある表現のみを使うことは、7.0を取得するためには非常に重要です。
ここからさらに上のスコアを目指すためには、より複雑な構文を自然に組み込めるようになることを目指すのがいいでしょう。複雑な文を上手にコントロールすることができると、高度な語彙・文法の評価が上がり、さらに簡潔かつ明瞭でスキのない論理構成を展開することができるようになります。
そもそも、IELTSライティングで8.0を要求されることはほとんどありません。レベルの高い大学や大学院の必須入学要件や、職業的な免許の取得、書き換えのためでもライティング8.0を要求されることはほとんどないため、必要ないのです。OA7.5やOA8.0が必須だったとしても、他の(よりハイスコアが取りやすい)科目で8.0以上を取ればライティングは7.0でも、達成できます。その上で、ライティング8.0のパフォーマンスとはどんなものなのかを見てみましょう。
まず、非常に高い英語のスキルが必須で、洗練された英語の使い方に普段から慣れている必要があります。日常的に英語でものを書く(小論文、アサイメント、説明資料など)機会があり、情報収集も基本的に英語のニュースやジャーナルを使っているくらいの英語レベルと考えていただくといいでしょう(もちろん実際に行っていなくてもやろうと思えばできる、ということです)。このくらいの英語レベルがあると、書く内容を自在にコントロールできる柔軟さがあるため、IELTSの採点基準に沿った解答を意識的に書くことができるようになります。7.0レベルではまだ意識的にコントロールできていない箇所が見られます。これが、バンドスコア7.0と8.0の違いでしょう。
その上で、8.0の採点の基準(パフォーマンスの特徴)とはどういったものなのでしょうか?7ではネガティブな特徴としてover-generaiseされた箇所があることがありますが、8ではよりスキのない議論ができていることになります。また、ロジックや文章のつながりもより洗練された方法が使えるようになります。
バンドディスクリプター記載されているように、6.0や7.0との違いは「自然で洗練されている」点でしょう。例えば、つながりのために必要な表現は、“in addition” や “as a result” などのいわゆる「つなぎ言葉」だけではありません。指示代名詞やパラフレーズが “cohesion” として機能し自然なつながりを作ることもあります。また「つなぎ言葉」を使用しなくても、十分に文章のつながりを示すこともできます。このようなスキルを見せながら自然な流れができていることが8のCoherence & Cohesionの特徴です。Coherence & Cohesionは8.0+を目指す上では最も難しい点と言えるかもしれません。
語彙・文法面では、「正確な意味」を伝えるため表現を、正確かつ柔軟に使いこなす力が必要です。8.0ではミステイクはほとんどなくなりますが、それでいて、幅広い語彙・構文を使い詳細を明確に説明できるということです。
英語では、特にIELTSのような「自分の意見を表明する」文章の場合は、曖昧な表現を嫌います。こうとも取れるし、ああとも取れる、ような文章は読み手を混乱させるからですね。「この人が言いたいことは何なんだろう?」こう思わせないように、表現力を高めることが鍵となります。
注目していただきたいのは、ロジックのシンプルさと、英語表現の自然さです。無駄な部分が削ぎ落とされたように、きれいに必要なアイデアだけをロジカルにつなげて説明してあります。ワード数も272ワードと決して長くありませんが、必要なことはすべて説明されています。
このエッセイでは、タスクの極論「変化は常に良いことである」にチャレンジ(反論)する見解を述べ、それを踏まえた上で、自分の見解「それでも変化がある方が良い」をはっきりと示すことができています。また、英語でよく使われる自然な表現 (idiomatic expressions) や正確で洗練されたワードチョイス、ワードの組み合わせが使われており、読み手に誤解なく正確な意味を詳細まで伝えることのできる英語力を示すことができています。もしかしたら、みなさんの中には「それほど難しい語彙や表現を使っているようには見えないな‥?」と思われる方もいるかもしれません。それこそが、IELTS採点基準の特殊なところです。「洗練された表現を使い、正確な意味を詳細まで伝えることができる」というのは、ハイレベルの語句を頻繁に使うということとは違うのです。ノンネイティブが書いたエッセイですので、それでもまだ文法の誤りや、より良いチョイスが望まれる箇所もありますが、全体として非常に精緻に書かれた、お手本としたいIELTSエッセイとなっています。
エッセイの中から、ぜひ正確に使えるようになりたい表現を以下にピックアップしてみましょう。
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04
IELTSライティングのタスク1はタスク2と違ってパターンが少なく、書くべきことも決まっているため暗記フレーズやテンプレートが使いやすいため、ひと通りしっかりと対策をすればあまり困ることはなくなります。採点の配分もタスク2の半分程度と言われているため、試験本番で、自分のベストパフォーマンスよりも少し質が下がってしまったとしても、ライティング全体のバンドスコアに大きく影響する心配はないと思っていいでしょう。ただし、絶対に押さえておくべき点ができていない場合は、十分なスコアが取れない可能性が大きくなりますので、何が重要な点なのか、何を優先的に学ぶべきなのか確認して対策をしましょう。
6.0以上を目指すのであれば、少なくとも以下の点を確認しましょう。
アカデミックのタスク1は図表を読み取って、まとめることが課題です。よって図表の読み取り能力がスコアに影響します。そのため、普段から、図表の読み取りに苦手意識を持っている方は、少し難しい課題と言えるでしょう。
例えば、棒グラフがあるとして、など、「どんな順番で書くか?」「どのように説明するか?」から少し考えてから書き始めるのがいいでしょう。
また、数値や図表を説明するために適した構文があります。棒グラフや折れ線グラフ、年代別の数値の比較をする場合には、数値の増減を表す構文が必要となります。また、単なる数字を示しているのか、パーセンテージ(割合)を示しているのか、はたまた比率を示しているのかでは使うべき語句が異なります。
他にもグラフ以外でもダイアグラム(絵や図)を説明することもあります。グラフが頻出だからといって「グラフしか練習していなかった!」という方もいますが、全体の30%くらいは出題されていますので、しっかり対策をしておきたいですね。ダイアグラムではグラフでは使わない、より具体的な動詞などが必要になります。そういった構文をしっかりと使って、グラフの特徴をおさえた説明ができるかどうかが、アカデミックのタスク1を乗り越えるポイントです。
上で紹介したアカデミックタスク1の問題タイプ別に、しっかりと書き方を押さえましょう。
ジェネラルトレーニングのタスク1の難易度はそれほど高くはありません。英語の手紙やメールの書き方の特徴をしっかりと学び、課題に合わせた書き方をすることができれば、目標点の達成はできるでしょう。
具体的にはフォーマルか、カジュアル(インフォーマル)かで、言葉遣いが全く異なります。フォーマルな手紙で友達に書くような口語表現を使ったり、カジュアルな友人への手紙で、堅苦しい挨拶などをするのは良くないということです。>ただし、手紙やメールの目的によって、語彙の選択や言い回しなどが変わってくるため、課題の読み取りとそれに合わせた適切な表現の選択が高得点の鍵となっています。具体的にはフォーマルか、カジュアル(インフォーマル)かで、言葉遣いが全く異なります。フォーマルな手紙で友達に書くような口語表現を使ったり、カジュアルな友人への手紙で、堅苦しい挨拶などをするのは良くないということです。
英語の手紙の書き方にはテンプレートがあります。また、書くべきこともあらかた決まっていますので、決まった箇所は決まったフレーズを覚えすぐに書けるようにしておきましょう。
IELTS試験では、名前、敬称以外の宛名の部分はすでに示されています。これによりどの程度フォーマルに書くべきなのか知ることができます。
形式 | 具体的な 宛名の書き方 |
|
---|---|---|
友人 | カジュアル (インフォーマル) |
Dear Mary, ファーストネームのみ |
面識のある目上の相手 (名前を知っている) |
セミフォーマル | Dear Mr Brown, 敬称+ラストネーム |
面識のない相手 (名前を知らない) |
フォーマル | Dear Sir/Madam, (すでにタスクに示されている) |
IELTSのライティング・タスク2で出題されるテーマは多岐に渡り、この点が、タスク2の最も難しい部分です。世の中で注目されているテーマはタスクとして出題されやすく、また、昔からずっと議論されている問題などもよく出題されます。
もちろん、テーマによって必要となるアイデア・単語も様々です。日頃からできるだけ幅広いテーマに興味を持ち、アイデアを蓄えておくことが必要です。また、テーマだけでなくそれぞれのタスクでは質問のタイプによって解答の方向性が変わります。同じ環境問題を論じるにしても、「原因と解決策」を聞かれている場合と、「どのような影響があるのか」聞かれている場合とでは解答すべき事柄が全く異なります。
「タスク2の特徴」の項目でも取り上げましたが、タスク2の質問タイプは主に以下の6種類でしたね。
質問タイプ |
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質問タイプ 1 To what extent do you agree or disagree? (どの程度賛成、または反対ですか?) |
質問タイプ 2 Discuss both views and give your own opinion. (両方の意見について議論し、自分の意見を述べなさい。) |
質問タイプ 3 What are the advantages and disadvantages of this? (利点と欠点は何ですか?) Do the advantages of this outweigh the disadvantages? (利点は欠点を上回ると思いますか?) |
質問タイプ 4 What are the causes? What can be done to solve this? (この原因は何ですか?また解決するために何ができますか?) *2つの質問があるタイプです。ある状況について、原因、問題、影響、解決策のどれか2つの組み合わせで聞かれます。 |
質問タイプ 5 Is it a positive or negative development? (このことは、ポジティブな傾向ですか?ネガティブな傾向ですか?) |
質問タイプ 6 その他の質問形式(より直接的な質問や、上記の質問の組み合わせ) |
試験で初めて考えるテーマや、取り組んだことのない質問タイプがなくなるように、練習では可能な限り多くの頻出問題に取り組み、準備をしておきましょう。ライティング・タスク2の難易度を少しでも下げるためには、以下の準備はぜひともやっておきたいですね。
05
英語のライティングでは、段落分けが非常に重要です。段落の分かれ目は内容の区切りを示しますので、1つの段落には1つのまとまった内容というふうにしっかり内容を整理しましょう。IELTSライティングでも、段落分けは重要で、段落分けができていないと、バンド6.0以上の点数を取得することは困難になります。適切な段落分けができることは「エッセイの基本的な書き方を理解しているかどうか」の指標ともなります。
段落とは、複数の文が集まった文の塊を指し、パラグラフとも呼ばれます。
イントロダクション・パラグラフ (導入部) |
単にイントロダクションと呼ばれ、エッセイの最初の段落となるものです。 これからどのような議論が進んでいくのかを読み手に伝える段落です。 |
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ボディ・パラグラフ (本文) |
単にボディとも呼ばれ、エッセイのメインの議論を展開する部分です。 IELTSのエッセイは、通常2~3個のボディで構成されます。 |
コンクルージョン・パラグラフ (結論・まとめ) |
単にコンクルージョンとも呼ばれ、エッセイの最後に結論をのべたり、ボディでの議論をまとめる役割を果たす段落です。 |
タスク2のエッセイの場合、イントロダクションとコンクルージョンにそれぞれ30-50語を使うのが好ましいです。導入やまとめでは詳細の議論をする必要がないので、短くなるのが自然です。その分、ボディには十分なワード数を使い、しっかりした議論を展開しましょう。エッセイを4段落構成にする場合は1つのボディには90-100ワードくらい使えるといいでしょう。5段落構成で書く場合は60-70ワードくらいで全体のワード数は満たすことができます。
4段落構成で書く場合
イントロダクション(30-50ワード)
ボディ1(90-100ワード)
ボディ2(90-100ワード)
コンクルージョン(30-50ワード)
5段落構成で書く場合
イントロダクション(30-50ワード)
ボディ1(60-70ワード)
ボディ2(60-70ワード)
ボディ3(60-70ワード)
コンクルージョン(30-50ワード)
トピックセンテンスとは、パラグラフの1番始めのセンテンスで、パラグラフの主旨を端的に述べた文です。
“Thesis Statement” と呼ばれることもありますね。
特にボディパラグラフの書き始めは重要で、トピックセンテンスがわかりやすいと読み手に与える印象が格段に上がります。IELTSエッセイでは書くことがタスクにより決まっていますので、ボディの主旨を示しているはずのトピックセンテンスにより、しっかりと解答できているかどうか判断されてしまうことになります。IELTSエッセイでは、トピックセンテンスにトピックとメインアイデアあることがわかりやすいトピックセンテンスのポイントです。
「タスクへの解答になっているか?」「そのボディで伝えたい最も重要なポイントとなっているか?」を意識しながら簡潔で明瞭なトピックセンテンスを作りましょう。トピックセンテンスがタスクや解答からブレてしまうと、「何が言いたいのか?」はっきりしないエッセイになってしまうことがあります。
トピックセンテンスがない場合やトピックセンテンスがボディの段落内で埋もれてしまっている場合などは、バンド6.0以上のスコアが取りにくくなってしまいます。そのため、トピックセンテンスで主張したいことを的確に述べるスキルを身に付けていきましょう。
以下に、トピックセンテンスの作り方の例を示してみます。
いかがでしょうか?
それぞれのパラグラフでこれから始まる議論が容易に想像がつくのではないでしょうか?
また、トピックセンテンスに「トピック」と「メインアイデア」が入っており、そのまま「タスクへの直接的な解答」となっているのがわかるかと思います。上手にトピックセンテンスが作れるようになると、トピックセンテンスを読んだだけで、エッセイ全体の主旨や方向性がすでに分かる状態になります。
IELTSのライティングはフォーマルなライティングですので、話し言葉ではなく書き言葉を使えるほうが望ましいでしょう。
例えば、getという単語はとても便利ですが、やや口語的です。状況によって、さらに詳細の意味を表してくれる別の単語が使える場合が多くあります。例.obtain / gain / acquire / attain /
receive
もちろん状況によって使い分けなければならないので、getよりも難易度は高くなりますが、語彙の幅を見せることができるいい機会になります。あまり見分けがつかない場合など、必要以上に気にする事はありませんが、より洗練された表現が選べるときにはそちらを使えるように練習しましょう。また、辞書を引いたときに、「(くだけて)〜する」のように書かれている単語は、やや口語的な表現ですので、覚えておくといいですね。
06
IELTSのライティングで高得点を取るために欠かしてはならないのがプランニングです。プランニングとは、ライティングを書き始める前に、書く内容について考えておくことです。
一般的に、文字数を達成できない原因はプランニング不足にあると言われています。プランニングを丁寧に行えば行うほど、思考の整理がされやすく、まとまりのあるエッセイを書くことができます。一方でプランニングが不十分だと内容を考えながらエッセイを書いていくため、途中で行き詰まったり、論旨がずれたりしがちで、結局はタイムロスにつながってしまうことがあります。特にライティングのタスク2では、目標スコアが高くなればなるほど、まとまりのある文章が求められます。そのため、闇雲につながりのない文章を並べるだけでは、文字数が達成できても、必要とするスコアの達成はできません。
練習では時間をかけてプランニングを行い、アイデアの構成を明確にしてからエッセイを書くようにしましょう。プランニング自体も練習することで上達します!
目標のスコアによって異なるところですが、6.5以上のハイスコアを目指すなら、自分が書くことがあらかじめイメージできている状態で書き始められるのが理想です。
プランニングにかける時間も、目標スコアやタスクの難易度によって変わってきます。理想的には5分〜10分くらいでできるといいですね。
ハイスコアを目指す人ほど、プランニングは丁寧に行い、議論のスキをなくしてから書き始めるのが理想的ですね。私自身もそうでしたが、プランニングに15分ほどかける人もいます。そもそもプランニングがうまくできていないと、完成したエッセイもアイデアが整理されていない読みづらいものになることが多いですので、特に、7.0以上のスコアが必要な方は、少し長めに時間をかける価値はあると思います。
IELTSでは、エッセイが書けるようになったら、さまざまなタスクで練習をして行くことになりますが、1回書いたエッセイをどのように扱っていますか?
ここで、もし、一度書いたエッセイを振り返らず、そのままにしておいているのであれば、非常にもったいないことです。一度書いたエッセイを使って、復習として自分で添削してみると、小さなミスに気づくこともありますし、より良いエッセイの構成が考えられることもあります。また、取り組んでみた課題のモデルエッセイや他の方が書いたエッセイに目を通してみると、また別の視点から課題を捉えることもできるようになります。
このように、アウトプットをしたあとに、多くのインプットを経て、新たに同じ課題でエッセイを書いてみるとより質の高いエッセイを書くことが可能です。そのため、これまでに取り組んだ課題は、そのままにせず、何度も繰り返しエッセイを書いてみて、一つのエッセイの質を高めるような学習をしましょう。
先に述べたように、ライティングのタスク2の課題は多岐に渡り、それがタスク2の難易度を高めている要因です。そのため、普段から色々なアイデアを考えておくことが非常に重要です。このような取り組みが、エッセイのプランニングにかける時間を短縮することに繋がり、内容の濃いアイデアでエッセイを仕上げることを可能にするのです。エッセイのアイデアは、スピーキング対策にも繋がるため、アイデアを考えておくことはIELTS全般の対策として肝心なことです。日々の練習問題で一度解いたタスクについては、他にどのような考え方ができるか、どのようなアイデアがあるのかなどを考え、ノートにまとめておくようにしましょう。
このようにアイデアを貯めながら勉強を進めていくことが、効率的なIELTS対策と言えます。
ライティングの勉強を始めてみると、どうしても独学の限界を感じることがあります。その理由は主に2つあります。
独学の場合アイデアを増やしたり、問題の傾向を知ったり、論理的なエッセイの構成を学ぶことはできます。しかし、エッセイには一つの答えが存在しないため、自分のエッセイがどの程度の点数であるかという判断は一人ではできません。試験を受けてみても、「どこが良くてこのスコアが取れたのか?」「どこが悪くて上のスコアが取れないのか?」わかりませんよね。特に何度も受験して同じスコアから変わらない場合は、一体どうしたらスコアを上げることができるのか全くわからず、途方に暮れてしまうわけです。
IELTSのバンドスコアは、IELTS専用のバンドディスクリプターに基づき採点されていますが、これは専門の知識を持った試験官だからできることで、学習者自身で、採点基準を正しく理解して、エッセイを書くことは非常に難しいのです。
ライティングを効率的に勉強したいと考えているのであれば、IELTSのライティングの採点基準をしっかりと把握しているIELTS専門の先生のフィードバックが必要でしょう。そのような先生のアドバイスは、バンドディスクリプターに基づいたアドバイスなので、目標スコアのためのポイントを教えてくれたり、適切な勉強方法を指導してくれたりと、IELTSのライティングに特化した学習方法が学べます。このような機会を利用することで、独学では達成できなかった点数を目指すことができるでしょう。
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IELTSのライティングで、時間内書ききれないという方は、文章の組み立てに時間がかかってしまっている可能性があります。このような受験者は、エッセイを書く際に使いやすい構文を把握しきれていなかったり、正しい構文を覚え切れていなかったりする傾向にあります。そのため、ライティングでよく使う構文については、何度も練習を重ね、自由自在に使いこなせるように練習しておきましょう。
使いやすい構文には次のようなものが例としてあげられます。
このような表現をおおよそ20-30個用意しておくことで、ライティング試験当日には迷いなくエッセイを書き始めることができるでしょう。また、構文を覚えておくことで、文章の組み立てにかかっていた時間をアイデアを考えることに費やせるようになるので、ライティングにかかる時間を短縮することにも繋がります。
IELTSライティングはタイムプレッシャーが非常に大きな試験です。
1時間の制限時間内に、150ワード以上のタスク1と、250ワード以上のタスク2、2つのタスクをこなさなくてはなりません。特にタスク2はアイデアや構成を考えて議論を組み立てなければならないので、ほとんどの方は時間に余裕がなくなります。このため、かなり急いで書きますので、レポートやエッセイには、どうしてもミスが起こってしてしまいがちです。しかし、IELTSでは文法や語彙用法のミスを減らすことが非常に重要です。特に、自分が知っているのに間違えている箇所は、「見せる必要のないミス」です。ミステイクが多いというだけで、語彙・文法の印象は下がってしまいますので徹底してなくしておきましょう。ミステイクを減らすためには、最後の2分間を、必ずチェックの時間に使うことが大切です。複数形の
“s” 抜け、冠詞 “a” “the” の抜け、三人称単数の区別 (is/are,
has/have)、時制の誤りなど、落ち着いて考えたら間違えなくてもよいミステイクを正しておくことで、ライティング全体の印象が大きく変わります。
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IELTSのライティングには最低ワード数の指示があります。
タスク1:150ワード以上
タスク2:250ワード以上
ワード数が足りない場合は、「タスクを完成できていない」と評価され、スコアにも大きく影響することがありますので、最低のワード数は必ず達成しましょう。ただし、IELTSライティングは、長く書きすぎても不利です。
ついついたくさん書いてしまい、気がつくと300ワード以上になっている方もたまにいらっしゃいますが、ライティング試験ではワード数が長くなればなるほどミスを露呈しやすくなります。また、IELTSライティングでは250ワードあれば十分に議論ができる内容のタスクしか出題されません。長く書いても不要な部分が多い場合はやはりスコアにも良い影響がありません。長く書く時間があるのであれば、その分をプランニングに使い、論理構成のしっかりしたライティングを目指すのが得策でしょう。目安として、タスク1では160-170ワード、タスク2では260-280ワードくらいが書けるようにしておくと安全ですね。
IELTSのライティング試験では、タスク1よりもタスク2の方が採点の比重が重く重要とされています。そのため、基本的にタスク2を優先して取り組むようにしましょう。実際に、タスク1がどれだけ上手に書けていたとしても、タスク2が目標スコアに届いていなければ、ライティングで目標スコアを取得するのは困難です。タスク1のスコアがタスク2のスコアの2つ上くらいになってはじめて、トータルスコアを上げる助けになってくれるようです。もちろん、だからといって、タスク1が全く書けていないのも問題です。タスク1では、最低でも目標スコアの-0.5~1.0くらいを達成できるように取り組みましょう。それ以下になると今度はトータルスコアを下げる可能性が出てきます。時間も20分はかけないように15~18分くらいを目安に練習しましょう。
「タスク1は無難に、素早く仕上げる」練習が必要です。
試験中、どうしてもタスク1に時間がかかってしまい、時間配分をコントロールするのが難しいという方は、タスク2から取り組むといいでしょう。最悪の場合、タスク1が少し途中になってしまったとしても、タスク2が完成していることは、スコア達成には非常に重要な要素です。もちろん、両方しっかり書ききる練習をして、時間配分も上手にできるよう対策しておきましょう!
IELTSにはペーパーベースとCDIの2つのIELTSがあります。CDIの特徴については、前述した通りですが、もしペーパーベースのIELTSを受験しようと考えているのであれば、解答用紙の特徴をしっかりと把握した上で、試験に臨みましょう。
特に次の3つについて理解しておくことが大切です。ライティングの解答用紙は表面15行であることを覚えておきましょう。しかし、実際には段落の間に1行、行間を開ける方が多いので、表面に書ける行数は13~14行となります。また、一般的な文字の大きさの方であれば、1行あたりの語数は9~11ワード程度です。文字の小さな方であれば、14~15ワード、逆に文字の大きな方であれば、8~9ワードのこともあります。平均的な文字の大きさの方であれば、表面で130~140ワード書くことができますので、タスク1を解答する場合は、表面だけでは語数が足りず、裏面の2~3行目で書き終われると、おおよそ160~170ワード程度の分量が書けるでしょう。
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ライティングはIELTSの4科目の中で最も平均点の低い科目です。2019年のライティング(アカデミック)の世界平均スコアを見ると、リスニング、リーディング、スピーキングについては、だいたい平均6.0前後であるのに対して、ライティングでは、男性が5.62、女性は5.70です。このことから、ライティング試験は他の科目よりも難易度がやや高めだということがわかります。
また、日本人だけで見ると、リスニングが5.9、リーディングが6.1であるのに対し、ライティングとスピーキングはともに5.5ですので、アウトプット科目は、私たち日本人にとっては特に難易度が高く感じられると言えるでしょう。
ライティングには正解が存在しないという特徴も、ライティング試験自体の難易度を高めていると言えます。
点数が伸び悩みやすいライティングの特徴を把握した上で、どのような対策をしていくのか計画を立てて、勉強に取り組みましょう。
最近はオンラインのライティングの添削サービスが増え、大変利用しやすくなりました。一般的に、このようなサービスは価格が安価で、手軽にライティングのフィードバックをもらうことができます。英語の文法や語彙を添削してもらいたい場合には、非常に有効なサービスです。ただし、IELTSライティングの評価をしてもらいたい場合は注意が必要です。
まず、IELTSの講師は採点をしてはいけないことになっているので、IELTS講師が担当している場合は採点は基本的にしてもらえません。IELTSの採点を返却してくれるサービスは、IELTSの講師ではない講師が採点をしていることになります。自分の知っている信頼できる講師であれば問題ないですが、オンラインの添削では誰が採点しているかわかりませんので、スコアリングサービスがあってもどの程度信用できるかわかりません。また、フィー
ドバックの内容が定型文の組み合わせであったり、採点も甘めである場合もあるので、ご自身の現状とニーズに合わせて有効的に活用するのがいいでしょう。
添削サービスではないですが、唯一、IELTSのスコアを知りたい場合に信頼できるサービスが、IELTS Progress Check です。もちろん模試ですので正式なスコアとして使うことはできませんが、公式の模試なのでかなり正確なスコアリングが期待できます。英語の公式ページもありますが、日本語だとIDP (IELTS公式テストセンター) のページの説明が見やすいかと思います。
IELTSを受験されている方々は、IELTS受験の目的に移住や大学院留学を目標としている方が多いと思います。忙しいスケジュールの中、目標とすることの手続きなども合わせてIELTSの勉強をしなければいけないため、多くの方があまりIELTSに時間をかけることができないように感じます。しかし、その忙しい日程のなか独学で勉強を続け、何度もIELTSを受験した結果、なかなか目標の点数に到達できすIELTSの壁にぶつかってしまう方も少なくはありません。
ライティングというスキルの性質上、独学には限界があるため、IELTSの受験をなるべく短い期間で終わらせようと考えている方は、早めに専門家からのフィードバックをもらい、短期間で集中して取り組むことをおすすめします。
勉強方法 | どんな人に向いている? |
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オンラインコミュニティ / 学習グループ |
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IELTS専門のスクール |
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インターネットを見ると、IELTS対策用のテンプレートを見つけることができると思います。テンプレートの使用については、目標点数次第で異なるため、ご自身の目標点を考慮に入れてテンプレートをどの程度使用するのか考えてみましょう。
目標スコア6.0までの受験者の場合は、テンプレートを使用しながら、制限時間内に語数を達成することを目指しましょう。テンプレートを活用することで、比較的早い段階から、一人でエッセイを書けるようになります。中には、インプットを大切にし、語彙の暗記やモデルアンサーの勉強に重点を置いている方もいますが、それではいつまでたっても、自分でエッセイを書くことができません。短期間でIELTSの目標点数を達成するためには、テンプレートを使用しながら、エッセイの基礎基本を身に付けていくこと先決です。
目標スコアが6.0~7.0の受験者の場合、テンプレートを使用してもいいですが、使いすぎると内容が犠牲になってしまうので、使用は最小限にしましょう。6.0以上のスコアを目指す場合は、エッセイの内容や議論がより重視されるため、テンプレートに頼ってしまうと、課題に正しく答えられないだけでなく、自分の英語力や論理性を示すことができなくなってしまいます。そのため、6.0以上のスコアを目指す方は、テンプレートに頼りすぎないように注意しましょう。
目標スコア7.0以上の受験者の場合は、十分な英語力を備えていますので、テンプレートは極力使わず、オリジナルの英語で英語力を見せましょう。テンプレートの使用だけでは表現できない少し難しい構文や、高度な語彙の使用が、高いバンドスコアには非常に重要となってきます。
IELTSのライティングでは構文を覚えることは、ライティングのスピードをあげることに効果的です。しかし、文章をまるごと暗記することはおすすめしません。
IELTSライティングのバンドディスクリプターを参照すると、暗記された文章 (memorised phrase / sentence) について、極端な場合はスコア0となると明確に記載されています。
試験官は、目の前の文章が丸暗記されたものなのか、その場で考えて書いた文章なのかを見極めるトレーニングを受けているため、暗記は点数に直結しません。
このような理由から、日々の学習ではいいエッセイを暗記することに時間を費やすのではなく、使いやすい構文をある程度覚え、プランニングで考えたアイデアと構文を合わせ、一つひとつのエッセイを丁寧に考える練習を積み重ねていきましょう。
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IELTS試験の4技能のうち、ライティングは最も難易度が高い試験です。データを見ると、第一言語が英語の受験者でもライティングのスコアは平均して6.5ということですので、英語学習者の私達にとって難しいのは当然です。
ただ、目標スコアによっては少しコツや注意点を知るだけで、スコア達成が圧倒的に早くなるケースもあります。必要なのは、自分の現在のレベルを把握することと、目標スコアまでの具体的な対策や勉強方法を知ることです。
これはひとりひとり状況が異なるためどうしても一口でお伝えすることができませんが、もしライティングで悩んでいるなら、まずはプロに相談してみるとことで、今後の道が見えてくるのではないかと思います。
IELTSの実践的な学習は、みなさんがIELTS試験で成功して、留学や就職という次のステップに進んだときに、必ず役に立ってくれるものになるでしょう。ここで紹介した情報が少しでもお役に立てば幸いです。
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