IELTS対策専門学校 プラスワンポイント
代表Hibikiの本音トーク

#3 あえて数値化しない勇気

皆さんはどれくらい頻繁に自分の学習進捗を数値で把握していますか?過去に受験したIELTSのスコアを分析する、リスニングやリーディングの正答数を記録するなど、多くの人が何らかの形で数値を活用していると思います。しかし、数値化とデータ分析には過度に依存すると逆効果になる可能性があることを理解しておく必要があります。

中には自分の学習状況を非常に細かく数値化し、分析している方もいらっしゃいます。過去のスコアはもちろん、平均点や変化率、予測値など、多角的にデータを分析されている方もいます。数値を視覚化することで、自己の能力変化を客観的に捉え、弱点を明らかにすることは多くの場合、有益です。特に試験のスコアは、自分の実力を証明する指標として、モチベーションを高める源泉となります。しかし、過剰なデータ化は、長期的な学習視点を見失うリスクを伴うため、慎重に扱う必要があります。

学習曲線が常に右肩上がりであるわけではなく、時には数値が一時的に下がることもある、というのはよく指摘される事実です。逆に、数値が上昇していてもそれが一時的な変動であり、実際の能力向上とは連動していない場合もあります。こうした現象を正確に理解していないと、前回の試験と比べてスコアが大幅に下がったと過度に落ち込んでしまうかもしれません。数値の伸び悩みや下振れが必ずしも能力の停滞や後退を意味するわけではないのです。私が推奨するのは、定期的な数値化を行いながらも、時には数値を忘れて直感に従って学ぶことの大切さです。

私が担当する「ライティングサミット」の授業では、基本的に毎回スコアリングを実施していますが、前回と比べてスコアが変わらなかったり、下がったりすることもしばしばです。しかし、数値はそれほど気にしないように参加者の方には伝えています。スコアが毎回上がることはあり得ませんし、数週間から数ヶ月にわたり継続的に学習を続けていく中でスコアがほとんど変わらないこともよくあることです。数値に現れるのは突然です。ある時、急にブレイクスルーが訪れ、突然スコアが上がることが多いのです。これはゲームでいうレベルアップに似ていますね。経験や知識が蓄積され、一定のレベルに達した時にレベルアップするという感じです。このように、定点観測を通じて長期的な進捗をラフに観察しておくことが重要です。

この記事を書いたIELTS講師

Hibiki TAKAHASHI

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は2,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住10年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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