IELTS対策専門学校 プラスワンポイント
代表Hibikiの本音トーク

#7 書き手が理解していない内容は絶対伝わらない

IELTSのライティング・タスク2のエッセイを書く時に、皆さんはどの程度、自分で書いている内容を理解して書いているでしょうか。ある意味当然のことではありますが、書き手が理解できずに書かれたエッセイは、読み手(試験官)にはほぼ100%伝わらないことでしょう。

では、なぜそのような書き方になってしまうことがあるのでしょうか?これまでのお話とも重複しますが、アイデアの暗記に頼った書き方をしている場合、表現の言い換えに注意が向きすぎていて内容が軽視されている場合、そして何より多いのが具体例を想定できていない場合です。一つずつ説明していきましょう。

まず、アイデアの暗記に頼った書き方をしている場合。これは今回タスクで尋ねられている内容を十分に理解せずに、類似のエッセイからアイデアを流用していたり、アイデア集などで暗記したアイデアを使ったりしている状況です。この方法では、テーマに合わせた柔軟な対応ができず、結果として内容が浅くなりがちです。

次に、表現の言い換えに注意が向きすぎている場合です。なるべく同じ表現を使わないようにパラフレーズ(言い換え)をすることに意識が向きすぎるあまり、本来伝えたい内容から逸れてしまうことがあります。例えば、「ambition(野心)」がテーマのタスクであった場合に、「aspiration(大志)」「determination(決意)」「zeal(熱意)」など、似たような概念が並べられているだけで、具体的に書き手がどのような内容や状況を伝えようとしているのかなど、読み手に伝えるべき内容が不明確になるのです。これは次のポイントとも関連しています。

最後は、具体例が想定できていない場合です。理論やアイデアだけではなく、それを支える具体的な例や経験を考えることはとても重要です。実際に具体例を挙げることで、抽象的なアイデアに信憑性と理解のしやすさをもたらし、読み手にとってより鮮明で納得のいく内容となります。例えば、先ほどの「ambition」について書く際には、自身の経験や目撃した事例を挙げて、その野心がどのように実現されたのか、または失敗に終わったのかを具体的に述べるといいでしょう。

エッセイは単に言葉を並べる作業ではありません。書き手の考えを整理(organise ideas)し、それを分かりやすく読み手に伝える(logically explain ideas)ための手段です。IELTSライティングで高得点を狙うには、ただ正確な英語を使うだけでなく、自分の考えを明確にし、それを効果的に読み手に伝える能力が求められます。エッセイを書く際には、自分が何を伝えたいのか、そしてそれを読み手がどのように受け取るかを常に意識してみましょう。詰まるところ、自分自身の言葉で、自分自身の考えを伝えようとする姿勢が大事ですね。

この記事を書いたIELTS講師

Hibiki TAKAHASHI

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は2,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住10年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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