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「recently」は現在の話ではない|PlusOnePoint

「最近」という訳語の落とし穴

「recently」は現在の話ではない

IELTSのスピーキングやライティングで、「recently」という単語は頻繁に使われます。しかし、多くの日本人受験生が「recently = 最近」と覚えているために、不自然な英語になってしまうことがよくあります。

この記事では、「recently」の正しい使い方と、日本語の「最近」との重要な違いについて詳しく解説します。この違いを理解することで、より正確で自然な英語表現ができるようになるでしょう。

よくある間違い

まず、実際によく見られる誤用の例を見てみましょう。

  • 誤った使い方の例
  • Recently, I study English every day.
  • 最近、私は毎日英語を勉強している。
  • Recently, many people are working from home.
  • 最近、多くの人が在宅勤務をしている。

これらの文は、日本語としては自然に聞こえるかもしれません。しかし、英語としては不自然、あるいは間違いです。なぜでしょうか?

それは、「recently」は現在形や現在進行形と一緒に使うことができないからです。

「recently」は過去の話

「recently」の示す期間は、過去のある時点から現在までの期間です。つまり、「recently」は「現在」そのものを表すのではなく、「少し前から今まで」という過去を含む期間を表すのです。

現在形や現在進行形とは相性が悪い

現在形は「習慣」や「一般的な事実」を、現在進行形は「今まさに起こっていること」を表す時制です。一方、「recently」は過去の期間を含むため、これらを組み合わせると論理的に矛盾が生じるのです。

  • なぜ相性が悪いのか
  • 現在形:「いつも」「習慣的に」という時間を超えた状態を表す時制
  • 現在進行形:「今まさに」「現在継続中」という現在の状態を表す時制
  • → 「recently」は「少し前から今まで」という過去を含む期間を表す時制なので時制が合わない

例えば、「Recently, I study English every day.」という文は不自然です。現在形の「study」は時間を超えた習慣を表すため、「少し前から」という期間を示す「recently」とは矛盾するのです。

この点については、拙著『英語ライティングの鬼100則(明日香出版社)』(Must 21)でも詳しく解説をしておりますので、あわせてご参照ください。

「recently」と相性の良い時制

「recently」は、以下の時制と一緒に使うのが自然です。

  • 「recently」と相性の良い時制
  • 現在完了形:I have recently started learning Spanish.
  • (私は近頃スペイン語を学び始めた)
  • 過去形:I recently visited Kyoto.
  • (私は近頃京都を訪れた)

日本語の「最近」との違い

なぜ日本人学習者が「recently」を誤用してしまうのでしょうか。その最大の原因は、日本語の「最近」という言葉の幅広さにあります。

日本語の「最近」は2つの意味を持つ

日本語の「最近」は、実は2つの異なる時間的概念を表すことができます。

  • 日本語の「最近」の2つの意味
  • 意味1(過去):「最近、新しいカフェができた」
  • → 少し前に起こった出来事(過去の話)
  • 意味2(現在):「最近、毎日ジョギングしている」
  • → 今もまさに継続していること(現在の話)

日本語では、この2つの意味を同じ「最近」という言葉で表現できます。しかし、英語では明確に区別する必要があります。

英語では使い分けが必要

英語では、日本語の「最近」の2つの意味を、異なる表現で表す必要があります。

  • 英語での使い分け
  • 過去の出来事:recently + 現在完了形/過去形
  • 例:Recently, a new café has opened. / A new café recently opened.
  • 現在の状態:these days, nowadays, lately(現在完了進行形と共に)
  • 例:These days, I am jogging every day.
  • 例:I have been jogging every day lately.

つまり、「最近、毎日ジョギングしている」と言いたい場合、「recently」ではなく「these days」や「nowadays」を使うのが適切なのです。

正しい使い方

それでは、具体的にどのように使い分ければよいのでしょうか。実践的な例文を見てみましょう。

現在完了形との組み合わせ

「recently」は現在完了形と非常に相性が良く、この組み合わせが最も一般的です。

  • 現在完了形での使用例
  • I have recently moved to Tokyo.
  • 私は近頃東京に引っ越した。
  • The government has recently announced new policies.
  • 政府は近頃新しい政策を発表した。
  • Have you recently seen any good movies?
  • 近頃何か良い映画を見ましたか?

過去形との組み合わせ

過去形と一緒に使うこともできます。

  • 過去形での使用例
  • I recently attended a conference in London.
  • 私は近頃ロンドンで会議に参加した。
  • The company recently launched a new product.
  • その会社は近頃新製品を発売した。

現在の状態を表したい場合

「今まさに継続していること」を表したい場合は、「recently」ではなく他の表現を使います。

  • 現在の状態を表す表現
  • These days, I am working from home.
  • 最近、私は在宅勤務をしている。
  • Nowadays, many people are using smartphones.
  • 最近、多くの人がスマートフォンを使っている。
  • I have been studying English every day lately.
  • 最近、私は毎日英語を勉強している。

より良い訳語は?

ここまで見てきたように、「recently = 最近」という訳語が、実は多くの誤用の原因になっています。では、どのように覚えればよいのでしょうか。

「近頃」という訳語の提案

「recently」をより正確に理解するために、「近頃」という訳語を使うことをお勧めします。

  • 「近頃」という訳語のメリット
  • 「近頃」は過去の出来事を指すことが多い
  • 「近頃引っ越した」「近頃会った」など、完了した出来事との相性が良い
  • 「近頃〜している」とは言いにくく、現在進行形との不一致を防げる

日本語でも、「近頃、私は毎日ジョギングしている」とは少し言いにくく、「最近、私は毎日ジョギングしている」の方が自然です。この感覚が、まさに英語の「recently」と「these days」の違いに対応しているのです。

使い分けの整理

  • 日本語と英語の対応関係
  • 「近頃〜した」(過去の出来事)
  • → recently + 現在完了形/過去形
  • 「最近〜している」(現在の状態)
  • → these days / nowadays + 現在進行形
  • → 現在完了進行形 + lately

まとめ

「recently」の使い方について解説しました。

最も重要なポイントは、「recently」は現在の話ではなく、過去の話だということです。日本語の「最近」という言葉は、過去の出来事も現在の状態も表せる幅広い言葉ですが、英語の「recently」は基本的に過去の出来事に使います。

「recently = 最近」という訳語にとらわれず、「recently = 近頃」と覚え、現在完了形や過去形と一緒に使うことを意識しましょう。現在の継続的な状態を表したい場合は、「these days」や「nowadays」を使うことで、より自然な英語表現ができるようになります。

  • 重要なポイントのまとめ
  • 「recently」は過去の出来事を表す(現在の話ではない)
  • 現在進行形とは通常一緒に使わない
  • 現在完了形や過去形と相性が良い
  • 日本語の「最近」は2つの意味を持つため注意が必要
  • 「recently = 近頃」と覚えると使い分けやすい
  • 現在の状態は「these days」「nowadays」「lately」を使う
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Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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