トピックセンテンスとは、その段落でどのようなことを議論しようとしていて、それに対して書き手がどのように主張をする予定であるか、を簡潔にまとめた文です。前者のことを「トピック」、後者のことを「メインアイデア」と呼ぶのでしたね。
トピックセンテンス
=
トピック(議論の方向性)
+
メインアイデア(書き手の主張)
トピック:その段落でどのようなことを議論しようとしているのか
メインアイデア:トピックに対して書き手がどう主張をする予定であるか
トピックは、IELTSの場合はタスクそのもの(もしくはそれに対立する意見)です。つまり、トピックセンテンスにおけるメインアイデアは、タスクに対する回答 ということになります。以下のタスクを例に確認してみましょう。
In many countries, a lot of food is wasted. Why do people waste food? How can we reduce the amount of food waste?
多くの国々で大量の食べ物が無駄にされています。人々が食べ物を無駄にするのはなぜでしょうか?どうすればこの無駄を減らせるでしょうか?
ここで1つ目の質問である「原因」についての回答をしている受講生のエッセイの一部を見てみましょう。トピックは「食べ物が無駄にされる理由」です。そして、メインアイデアに以下のような内容を考えられたようです。
The main reason why so much food is wasted is that in affluent countries, food is often taken for granted.
裕福な国々では、食べ物が当たり前のように手に入るため、無駄にされることが多いです。
一見すると、綺麗なトピックセンテンスが作れているようにも見えますが、示されているメインアイデア「食べ物が当たり前のように手に入るから」という内容を読んだ時に、読み手は「なぜ食べ物が無駄にされるのか」の理由になっていないと感じるかもしれません。このように、明確なアイデアでない場合には、書き手の理解と読み手の理解にギャップが生じてしまう のです。
つまり、メインアイデアを示す際には、トピックセンテンスを読めば、その段落でどのような議論が展開されるのかをある程度予測できるようにする 必要があるのです。それが「メインアイデアで直接回答する」ということです。
では、このエッセイの続きを見てみましょう。
The main reason why so much food is wasted is that in affluent countries, food is often taken for granted. In the past, people had to go all the way to separate shops such as a butcher, a vegetable market, and a bakery. However, just going to a supermarket, every food they need is available now, and they are sold cheaper due to globalization. Since food is easily accessible and affordable, they often fail to appreciate its value and discard it without sensible thought.
裕福な国々では、食べ物が当たり前のように手に入るため、無駄にされることが多いです。以前は、肉屋や青果店、パン屋など、別々の店に行かなければなりませんでした。しかし、今ではスーパーマーケットに行くだけで必要な食べ物が手に入りますし、グローバリゼーションのおかげで安く売られています。食べ物が簡単に手に入る上に安価なので、その価値を理解せずに無駄にしてしまうことが多いのです。
最後まで読み進めると、この書き手が伝えたかった「理由」が少しはっきりしてきますね。書き手が伝えたかった理由は、「食べ物が当たり前のように手に入るから」ではなく、「消費者が食材のありがたさを理解せずに無駄にしてしまうことが多いから」ということのようです。では、改めてトピックセンテンスだけを書き直してみましょう。
The main reason so much food is wasted is that, in affluent countries, consumers often discard food without appreciating its value.
多くの食品が無駄にされる理由は、裕福な国々では消費者が食材の価値を理解せずに無駄にしてしまうことが多いからです。
先ほどのトピックセンテンスに比べて、段落の要旨がより明確になりましたね。トピックセンテンスを読んだ段階で、読み手は「食べ物が無駄にされる理由」についての予測をしやすくなったことを実感できると思います。
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明確なメインアイデアを示すことができると、その段落の展開は自然にスムーズになり、Coherence/Cohesionも改善します。なぜなら、メインアイデアで段落の容姿をまとめることができている時点で、書き手はその段落で何を伝えたいのかを明確に理解しているからです。つまり、メインアイデアが決まっていることで、段落全体の流れが自然に整うのです。
一方で、メインアイデアが曖昧なまま書き始めてしまうと、どの方向に話を進めればよいか自分でも分からなくなり、結果的に内容が散漫になったり、結論がぶれてしまったりすることが多いのです。これがCoherence/Cohesionのバンドスコアの低下につながります。
つまり、「メインアイデア」は段落の羅針盤 の役割を果たしています。メインアイデアで直接タスクに回答をできることで、以下のような効果が期待できます。
説明の焦点が定まり、余計な情報を省ける
適切な具体例を選びやすくなる
段落間のつながりも強化され、全体の流れがスムーズに
結果としてエッセイ全体の説得力が増す
IELTSのライティングでは、限られた語数と時間の中でいかに論理的かつ明確に意見を伝えるかが評価の鍵となります。そのため、プランニングでしっかりとメインアイデアを固めてからエッセイを組み立てる 習慣をつけることで、無駄のない効率的なライティングが可能になります。
ライティングでハイスコアを狙う人にとっては、プランニングは必須の作業です。特に、メインアイデアを明確にすることで、段落の流れがスムーズになり、全体の説得力が増すことが期待できます。プランニングを怠ると、エッセイ全体の流れが散漫になり、Coherence/Cohesionのバンドスコアが低下する可能性があります。プランニングについては、上記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事はライティグサミット受講生限定記事です。
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この記事を書いた人
Hibiki Takahashi
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。