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let vs allow|PlusOnePoint

上級者でも間違える表現

let vs allow

letとallowは、どちらも「許可する」を意味しますが、使用場面やニュアンスに重要な違いがあります。この記事では、両者の使い分けを具体例とともに詳しく解説します。IELTSライティングで正確な語彙を使用するために、この違いをしっかり理解しましょう。

基本的な意味の違い

letとallowは、どちらも日本語で「許可する」と訳されることが多いですが、実は根本的にニュアンスが異なります

  • 本来の意味
  • let: (したいように)させる、止めはしない = 妨げない、自由にさせる
  • allow: 許可する、認める = 公式に承認する

letの本来の意味

letの本来の意味は「(したいように)させる、止めはしない」です。つまり、積極的に許可を与えるというよりも、妨げない・邪魔しないというニュアンスです。相手がしたいことを自由にさせる、という感覚に近いです。

例えば、"Let me go"は「私を行かせてください」というよりも、「私が行くのを止めないでください」「自由に行かせてください」という意味合いが強いのです。

allowの本来の意味

一方、allowは、権限を持つ者が公式に許可や承認を与えるという意味です。規則、法律、ポリシーに基づいて「認める」という積極的な許可のニュアンスがあります。

フォーマリティの違い

このニュアンスの違いから、letは日常会話や非公式な場面で使用されるカジュアルな表現となります。家族や友人との会話、親しい関係での自由を与える表現に適しています。文法的には「let + 人 + 動詞の原形」という構造を取ります。

一方、allowは、公式文書、ビジネス、学術的な文章などフォーマルな場面で使用されます。規則、法律、組織のポリシーなどを表現する際に適しており、IELTSライティングではallowの方が望ましい場合が多いです。文法的には「allow + 人 + to + 動詞の原形」という構造を取ります。

使い分けのポイント

両者を使い分ける際の重要なポイントは、ニュアンスの違い、文脈のフォーマリティ、そして文法構造です。

  • ニュアンスの違い
  • let:妨げない、自由にさせる → カジュアルで個人的な関係
  • allow:公式に許可する、認める → フォーマルで権限に基づく許可
  • 使い分けの判断基準
  • letを使う場合:日常会話、個人的な関係、「止めない・妨げない」という感覚の許可
  • allowを使う場合:公式文書、ビジネス、学術的文章、規則や権限に基づく正式な許可

文法構造の違い

  • 文法パターン
  • let: let + 人 + 動詞の原形(例:let me go)
  • allow: allow + 人 + to + 動詞の原形(例:allow me to go)

この文法的な違いは非常に重要です。letの後にはtoを使わず動詞の原形が直接続きますが、allowの後には必ずtoが必要です。

IELTSライティングでの推奨

IELTSライティング、特にTask 2のエッセイでは、allowを使用することが推奨されます。なぜなら、アカデミックライティングではフォーマルな表現が求められるためです。letは会話的すぎる印象を与え、また「妨げない」というニュアンスよりも「公式に認める」という意味の方が論理的な議論に適しているからです。

具体例で理解する

  • letの使用例(非公式・「妨げない」のニュアンス)
  • My parents let me stay out late on weekends.
  • 両親は週末に遅くまで外出することを止めません(自由にさせてくれます)。

この文は家族間の日常的な自由を表しています。「let me stay」は「私が外出するのを妨げない」「自由にさせてくれる」というニュアンスで、積極的な許可というよりも邪魔しない・止めないという感覚です。また、letの後にtoがないことに注目してください。

  • allowの使用例(公式・「認める」のニュアンス)
  • The company policy allows employees to work from home twice a week.
  • 会社の方針により、従業員は週に2回在宅勤務をすることが許可されています(正式に認められています)。

こちらは会社の公式な規則を表しています。「allow employees to work」は会社が権限を持って公式に承認・認めているという積極的な許可のニュアンスです。「allow employees to work」のように、allowの後にはtoが必要です。

ニュアンスの違いを比較

  • 同じ状況での比較
  • Let me explain. → 私が説明するのを止めないで(説明させて)
  • (カジュアルで、自分の意志で説明したい感じ)
  • Allow me to explain. → 私に説明することをお認めください
  • (フォーマルで、相手の許可を求めている感じ)

IELTSライティングでの使用例

  • allowの使用例(アカデミック)
  • Governments should allow citizens to express their opinions freely in a democratic society.
  • 政府は民主主義社会において市民が自由に意見を表明することを許可すべきです(正式に認めるべきです)。
  • Modern technology allows people to communicate instantly across vast distances.
  • 現代の技術により、人々は遠距離でも瞬時にコミュニケーションを取ることが可能になります。
  • Many universities allow students to choose their own course schedules.
  • 多くの大学は学生が自分で授業スケジュールを選択することを許可しています(制度として認めています)。

letが適切な場合(日常会話)

  • letの使用例(カジュアル)
  • Can you let me know when you arrive?
  • 到着したら教えてくれますか?(知らせるのを妨げないで)
  • Don't let this opportunity pass you by.
  • このチャンスを逃さないでください。(チャンスが通り過ぎるのを妨げないで)
  • She won't let anyone help her with the project.
  • 彼女はそのプロジェクトで誰にも手伝わせません。(誰かが手伝うのを妨げる)

受動態での違い

受動態になると、さらに明確な違いが現れます。allowは受動態で使用できますが、letは通常受動態では使用されません。

  • 受動態での使用
  • ✓ Students are allowed to use calculators in the exam.
  • 学生は試験で計算機を使用することが許可されています(公式に認められています)。
  • ✗ Students are let to use calculators in the exam. (不自然)

理解度チェッククイズ

以下の文で、letとallowのどちらが適切か選んでください。

  • 問題1
  • The new regulation _____ companies to reduce their carbon emissions gradually.
  • 新しい規制により、企業は段階的に二酸化炭素排出量を削減することが___。
  • 問題2
  • Can you _____ me borrow your notes for tomorrow's class?
  • 明日の授業のためにノートを借りても___?
  • 問題3
  • The new policy will _____ employees work flexible hours from next month.
  • 新しい方針により、来月から従業員は柔軟な勤務時間で働くことが___。
  • 問題4
  • Visitors are _____ to take photographs in the museum without flash.
  • 訪問者は美術館でフラッシュなしで写真撮影することが___。
  • 問題5
  • Modern education systems should _____ students explore their individual interests and talents.
  • 現代の教育システムは、学生が個々の興味や才能を探求することを___べきです。

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Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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