IELTSライティング・タスク2 対策記事 ライティング・タスク2 プランニングの方法と注意点

ライティング・タスク2(エッセイ)のプランニングの方法や注意点について、ライティング8.0を保有する代表が解説します。

更新日:2024年10月26日

ライティング・タスク2 プランニングの方法と注意点

IELTSのライティングでは、表現力(語彙・文法)に加えて、論理性・明瞭性などのコミュニケーション能力も評価されます。そのため、ライティング・タスク2では、エッセイのプランニングが非常に重要になります。プランニングをしっかりと行うことで、論理的な構成を持ったエッセイを書くことができ、スコアアップにつながります。この記事では、ライティング・タスク2のプランニングの方法と注意点について解説します。

これまで一度もプランニングをしたことがないという方も、プランニングは一応しているけれどもうまく結果に繋がっていないという方も、ぜひこの記事を参考にして、プランニングをしっかりと行いましょう。

プランニングとは?

「プランニング」とは、今から書く予定のエッセイ(ライティング・タスク2の問題)の構成を考えることです。プランニングを行うことで、エッセイの構成を明確にすることができます。また、プランニングを行うことで、エッセイの構成が論理的になり、スコアアップにつながります。

なぜプランニングが必要なの?

そもそも、なぜプランニングは必要なのでしょうか?プランニングを行わないでエッセイを書くと、以下のような問題が発生します。

  • 途中で書くことがなくなる(アイデア)
  • 議論が繰り返しぎみになる(アイデア)
  • 具体例が思いつかない(アイデア)
  • 時間が足りない(アイデア)
  • ボディ間で議論が重複する(アイデア整理)
  • ボディ間で議論が矛盾する(アイデア整理)
  • 話がまとまらない(アイデア整理)
  • 具体例中心の議論になる(構成)
  • 自分の主張の方が他者の意見よりも弱い(構成)

ライティング(特にライティング・タスク2)で悩んでおられる方のほとんどは、これらのどれか、もしくは複数の問題を抱えていると思います。これらの問題は、プランニングの正しいやり方を知り、実践することで解決することができるのです。

プランニングとアイデア出しは違うの?

そもそもプランニングとアイデア出し(いわゆるブレーンストーミング)とは違うのでしょうか?言葉の問題もありますが、プランニングとアイデア出しは全く別のものです。「アイデア出し(ブレーンストーミング)」は、プランニングの前段階(もしくは一部)として行うもので、これから書くエッセイでどのようなアイデアを使えそうかを考える(あるいは書き出す)作業です。一方、プランニングは、アイデア出しの結果をもとに、エッセイの構成を考えるプロセスを指します。

目指すスコアによってどのくらいのプランニングが必要かは異なってきますが、必要な語数をまだまだクリアできていないという方(目標スコアが5.5くらいまでの方)は、アイデアが不足していることが大きな原因ですので、アイデア出しだけでも十分かもしれません。

一方、すでに語数をクリアすることはそれほど大きな問題ではなくなっており、アイデアの論理性や明瞭性を追求しなければならないレベルの方(目標スコアが6.0以上の方)は、アイデア出しだけでは不十分です。アイデア出しの結果をもとに、エッセイの構成を考えるプロセス、すなわち「プランニング」が必要になります。

アイデア出し(ブレーンストーミング)

  • ・どのレベルでも絶対必要
  • ・目標スコア5.5までならアイデア出し中心でもOK

プランニング

  • ・エッセイの構成を考えるプロセス
  • ・目標スコア6.0以上では必須

プランニングにかける時間

プランニングの重要性がわかったところで、次はプランニングにかける時間について考えてみましょう。プランニングにかける時間もまた、目指すスコアによって異なります。まだ書くスピードがゆっくりな方は、プランニングにかける時間はあまり多くなくても大丈夫です。一方、目標スコアが高い方で書くスピードにはそれほど問題がない方は、プランニングにかける時間を多くするほうが有利になります。

一般的には、目標スコアが5.5までの方であればプランニングにかける時間は5〜6分、目標スコアが6.0以上の方であればプランニングにかける時間は5〜10分が目安です。ただし、これはあくまで目安であり、超ハイスコアを狙うような方の中にはプランニングに15〜20分ほど書ける人もいます。後述の通り、プランニングにかける時間は、自分が書くスピードに合わせて調整する必要があります。

自分のプランニング時間の上限を知る

そうは言っても自分に最適なプランニングの時間を知るのはなかなか難しいものです。そこで、自分のプランニング時間の上限を知る方法を紹介します。自分のプランニング時間の上限を知るためには、以下の2つのことを知る必要があります。

  • 自分が書くスピード(1分間に書ける語数)
  • 自分が書くエッセイの語数

このうち1つはすでにほぼ決まっています。エッセイの語数は指定されていますから、多くの人は「260〜270語」となるでしょう。余談になりますが「エッセイの語数は多いほどいい」というのは誤りで、語数が多いことによるメリットは全くと言っていいほどありません。もし300語以上のエッセイを書いている方がおられましたらこの機会に見直してみましょう。

では、もう一つの「エッセイを書くスピード」についてはどうでしょうか?これは、自分で計測する必要があります。

エッセイを書くスピードの測定方法

エッセイを書くスピードを測定する最も簡単な方法は実際にエッセイを書いてみること、ではありません。もちろん、実際にエッセイを書いてみること(できれば複数のエッセイを買いてみること)で測定することも可能ではありますが、この記事を読んでくださっているほとんどの方はそれでは正確なスピードを知ることはできません。なぜなら、プランニングができていない状態でエッセイを書くスピードと、プランニングができている状態でエッセイを書くスピードは全く異なるからです。

私たちが今知りたいのは、プランニングができている状態でエッセイを書くスピードです。すなわち、これから書く内容がほぼ決まっていて、あとは英語にする状態でセンテンスを作るのにどのくらいの時間がかかるかを知りたいのです。そこで、プランニングができている状態でエッセイを書くスピードを測定する方法を紹介します。

  • 例文1:最近、ますます多くの人がインターネットで買い物をするようになっています。
  • 例文2:オンラインでの買い物はクレジットカードの情報漏洩の危険を伴います。

例えばこのような2つの例文があったとします。タイマーを用意していただき、時間を測りながらこの2つの例文を英語にしてみてください。

  • 例文1:Recently, an increasing number of people have started to shop on the Internet.
  • 例文2:Online shopping carries the risk of credit card information leakage.

いかがでしたでしょうか?それぞれのセンテンスを完成させるのにかかった時間はどのくらいだったでしょうか?上級者であれば30秒程度で書き終えることができたかもしれません。初級者であれば1分程度かかったかもしれませんね。

次に、自分が書いたセンテンスのワード数をカウントしてみます。上記の例であれば、例文1は13語、例文2は10語です。ほとんどの方がこのくらいの語数になったのではないでしょうか?

つまり、皆さんはいま約10〜15語のワードを書くのにかかる時間を知ったことになります。実際にはこれよりも難しいセンテンスも出てきますので、1.2倍くらいの時間を想定しておくほうがいいですので、10語書くのに45秒かかった人は「45秒 x 1.2 = 54秒」という計算になり、260〜270語のエッセイを書くのにかかる時間は「54秒 × 27 = 約25分」となります。同様に、10語書くのに60秒かかった人は「60秒 x 1.2 = 72秒」という計算になり、260〜270語のエッセイを書くのにかかる時間は「72秒 × 27 = 約32分」となります。

全体でかけられる時間は40分で決まっていますので(厳密にはタスク1の時間を削ってあと数分充当することもできますが)ここから逆算したものが自分がプランニングにかけられる時間の上限となります。上記の例であれば、書く時間が25分の方はプランニングにかけられる時間の上限は15分、書く時間が32分の方はプランニングにかけられる時間の上限は8分となります。

実際はもっと時間が足りない・・・?

自分の書くスピードがなんとなくわかり、プランニングにかけられる時間の上限もわかったところで、皆さんの中には少しもやもやしている人もいるかもしれません。「実際に書いているときはもっと時間がかかっている気がするのはなぜ?」という疑問です。

そうですよね。先程の例文ならたしかに1分前後でかけるかもしれませんが、そのペースで最後まで書けることなんかないですよね。それはなぜなのでしょう。勘の鋭い方ならもうお気づきかもしれませんが、それはプランニングが十分にできていないからなのです。ちょっと逆説的に聞こえるかもしれませんが、最初にプランニングをしっかりできていないと、書いている途中でアイデア不足に陥ったり、アイデアの繰り返しや矛盾に気づいて修正したりすることに余計に時間がかかってしまうのです。

確かに慣れるまでは最初に5分も10分近くもプランニングに時間を使うことは勇気がいります。早く書き始めなければ書き終わらないのではないか、という不安は誰でも経験するところです。しかし、プランニングが不十分な状態で書き始めても、結局途中で考えるプロセスが必要になり、途中でプランニングをしているのと変わらなくなるのです。それであれば、最初にしっかりとプランニングをしてから書き始めたほうが、結果的には早く書き終わることになるのです。

プランニングの手順

プランニングの重要性がしっかりわかったところで、次はプランニングの手順について解説します。まだあまりプランニングに慣れていない方は「初・中級者向け」を、プランニングに慣れてきてさらに細かいプランニングの方法を知りたい方は「上級者向け」を参考にしてみてください。

  • 1. 問題文を正しく理解する
  • 2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)
  • 3. エッセイの構成を決める
  • 4. ポジションを決める

この手順はあくまで原則ですが、ライティングサミットなどでも実践されている実用的な方法です。この手順を守ることで、プランニングの効率・質が上がり、結果的にスコアアップにつながることは間違いありません。

1. 問題文を正しく理解する

まずは、問題文(IELTSライティングでは「タスク」と呼びます)を正しく理解することが重要です。問題文を正しく理解することで、エッセイの構成が明確になり、アイデア出しの効率が上がります。また、IELTSライティング採点基準のTask Responseにも記載されている通り、問題を正しく理解して全てに回答をすることが、Band 6以上では必須とされています。

問題文を正しく理解するためには、以下の3つのことを確認することが大切です。

  • 問題タイプ
  • 大きなテーマ
  • タスク内の細かな指示

IELTSライティング・タスク2の問題にはいくつかの問題タイプがあります。問題タイプによって、エッセイの構成やアイデアの出し方が異なりますので、まずは出題されている問題タイプを確認しましょう。問題タイプ別の回答の注意点については、『ライティング・タスク2問題タイプ別回答の注意点』もぜひご参照ください。

また、問題文の大きなテーマを把握しましょう。「教育」「環境」「犯罪」など、大きなテーマを把握することで、エッセイの構成が明確になります。問題文を見た直後はテーマは明らかですのでそれほど重要に感じないかもしれませんが、プランニングを進めていくうちに細かい部分に目が行き過ぎてしまい、そもそもの大きなテーマを忘れてしまうことがあります。そのため、問題文を見た直後に大きなテーマを把握しておくことが重要です。

最後に、タスク内の細かな指示を確認しましょう。特にアカデミック・モジュールでは、単に大きなテーマに沿ってエッセイを書けばいいというのではなく、タスク内の細かな指示にも回答する必要があります。例えば、「若者の再犯の防止策」のように細かい指示がある場合があります。このような指示がある場合には、単に「再犯の防止策」について書くだけではなく、「若者」というキーワードにフォーカスをして回答する必要があります。このような細かい指示を見落とさないようにしましょう。

2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)

問題文が正しく理解できたら、次はアイデアを出しましょう。アイデアを出すことをブレーンストーミングと呼びます。ブレーンストーミングは、プランニングの中でも最も重要なステップです。ブレーンストーミングの結果が良ければ、あとはそれを整理してエッセイを書くだけです。ここはほとんどの方が実践されているプロセスでしょう。

初・中級者の方でアイデア不足に悩んでいる方は、このプロセスをしっかり練習することが大切です。今の世の中は何でも検索をすれば答えがすぐに見つかる時代です。昔のようにじっくり考えるということが少なくなったいま、アイデアを考えるということが苦手と感じる人が増えています。それどころか苦痛に感じる人もいるくらいです。しかし、このプロセスを避けて通ることはできませんので、ぜひ普段から考える週間を意識してアイデア出しに慣れておきましょう。

幸い、IELTSのライティング・タスク2のエッセイで求められる語数は260〜270語と短いですので、最低2つアイデアがあればなんとかエッセイを書くことができます。アイデア出しが苦手な方は、まずは2つアイデアを出すところから始めてみましょう。

また、各ボディパラグラフで議論するメインアイデアを決めましょう。メインアイデアは、その段落で議論するトピックに対する主要なアイデア(直接の回答)をひとことで表したものです。Task Responseにも繰り返し強調されているように、説得力のあるエッセイを書くためには、各ボディパラグラフに明確なメインアイデアを簡潔に示せていることが重要です。

メインアイデアを決める際には、エッセイ全体の流れと一貫性を考えるとともに、各ボディパラグラフで議論する内容を代表するアイデアになっているかを確認しましょう。言い方を変えると、トピックとメインアイデア(これらを合わせてトピックセンテンスと呼びます)で、その段落の議論のおおよその流れを読み手に想像させるようにしましょう。詳しくは、『トピックセンテンスはなぜ重要なのか』もぜひご参照ください。

ワンポイントコラム
英語にしやすいアイデア出しを意識しよう

アイデア出しをする際には、このあと英語にするということを少し意識しておくといいです。英語にしやすいアイデア出しをすることで、英語にするときに苦労したり、意味が伝わらない英語になってしまういうリスクを避けることができます。特に、日本の文化や感覚が強く反映された表現を英語に翻訳しようとすると、難しくなることがあります。例えば、以下のようなアイデア出しをしてみましょう。

  • 問題:高齢者は定年後も働くべきである
  • アイデア:なぜなら、それが生きがいになるから

アイデアとしては良さそうに感じますが、いざ英語にするときに困りますよね。そもそも「生きがい」というのは日本特有の概念である可能性が高く、無理に直訳しようとすると誤った英語表現になったり意味が伝わらなくなってしまったりします。「reason for living」や「something one lives for」と表現できるかもしれませんが、あえてそのようなリスクを冒す必要はありません。

このような場合、アイデア出しの段階で「高齢者が仕事を通じて社会と繋がりを持ち続けることで、活力を保てる」というような具体的かつ簡潔な表現を心がけると、英訳もスムーズになります。「Through work, elderly people can maintain their vitality by staying connected with society」のように、直訳できるシンプルな英語表現に置き換えることが可能です。こうすることで、英語話者にも「生きがい」という概念を直接説明することなく、同じような意味合いを伝えることができます。

3. エッセイの構成を決める

アイデアを選別したら、次はエッセイの構成を決めましょう。ライティングサミットに参加される受講生の方を見ると、ほとんどの方がこの先のプロセスを実践できていません。それは、アイデアを出すことに時間を使いすぎていることが大きな原因ですが、実はこの先のプロセスこそがライティングのスコアアップに大きな影響を与える部分なのです。

もちろんそのためにはアイデア出しや選別をスムーズにする必要があります。アイデアを出すことに時間を使いすぎるのは、アイデアを出すことに慣れていないからです。練習を重ねてアイデア出しに慣れてくれば、アイデアを出すことに時間をかけずに済みますので、エッセイの構成を決めることにも時間をかけることができるようになります。ライティングで6.5以上のスコアを狙う上級者の方は、アイデア出しのスキルは必須です。たくさん問題を解くことでアイデアが蓄積されるとともに、柔軟な発想力も身につきます。焦らずに練習を重ねていきましょう。

さて、エッセイの構成を決めるにあたっては、以下の2つのことを意識しましょう。

  • 1. 段落数を決める
  • 2. 各ボディの方向性(トピック)を決める

4. ポジションを決める

次はポジション(立場)を決定します。当然のことですが、書き手のポジションがはっきりしていない状態でエッセイを書いてしまうと、首尾一貫性が失われ、読み手は議論の流れを追えずに混乱してしまいます。また「どちらとも言えない」というポジションは可能であれば避けましょう。もちろんIELTSライティングの回答として、いわゆるbalanced viewも可能ですが、議論が曖昧になりがちですので、上級者以外はできるだけ避けるようにしましょう。

ポジションを決める際には、自分が個人的にどう思うかを元に判断をするのも一つの方法ですが、これまでのプランニングの流れで選別したアイデアをもとに、どちらの立場がより強いアーギュメントを作れるかを考えるほうがスコアアップには有利に働きます。自分の個人的な意見がどちらであっても、エッセイとして強い立場を選ぶことが重要です。最初は抵抗があるかもしれませんが、普段から、自分の個人的な考えと異なる立場でも強いアーギュメントを作れるように練習をしておきましょう。

自分の主観が入ってしまってなかなかポジションを決められない場合には、一旦仮のポジションを決めて議論を組み立ててみて、その上で逆のポジションを考えてみて比較をするという方法もあります。ポジションを逆にしてみることで、どちらのほうがより強いアーギュメントを作ることができそうかを探ります。例えば、「環境への負荷が大きいが、経済効果が期待できる」とするのがよさそうか、「経済効果が期待できるが、環境への負荷が大きい」とするのが良さそうか、両方イメージをしてみることで、どちらのほうがより強いアーギュメントを作ることができそうかを比較することができます。この方法は、自分の主観が入ってしまっていることに気づくのにも役立ちます。

  • 1. なるべく「どちらとも言えない」は避ける
  • 2. 逆のポジションの可能性も検討する

プランニングの実例

それでは、実際にプランニングを行う際の手順を具体的な問題を使って説明します。

In some countries, schools teach foreign languages to primary school children. Do the advantages of teaching foreign languages to young learners outweigh the disadvantages?

もう一度プランニングの手順を確認しておきましょう。

  • 1. 問題文を正しく理解する
  • 2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)
  • 3. ポジションを決める

1. 問題文を正しく理解する

まずは問題タイプの確認です。この問題は、利点(Advantage)・欠点(Disadvantage)を比較するタイプの問題です。大きなテーマは「学校教育」です。タスク内の細かな指示を確認しておきましょう。そうすると背景のセンテンスで記載されているように、対象として想定しているのは「小学生(primary school children)」であることがわかります。

2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)

次にアイデアを出しましょう。この問題では、利点と欠点を比較する問題ですので、利点と欠点をそれぞれ考えてみましょう。まずはブレーンストーミングですので、とにかくアイデアを出してみましょう。例えば以下のようなアイデアを思いついたとします。

利点(の候補)

  • 英語の発音が上手になる?
  • 将来、英語が話せるようになる?
  • 外国の人と交流できるようになる?
  • 異文化を知ることができる?
  • いい大学に進学できる?
  • 将来の仕事のオプションが増える?

欠点(の候補)

  • 母語の発達が遅れる?
  • 他の教科の学習に支障が出る?
  • 子供のストレスになる?
  • 子供の自由な時間が減る?

3. エッセイの構成を決める

アイデアを選別したら、次はエッセイの構成を決めましょう。ライティングサミットに参加される受講生の方を見ると、ほとんどの方がこの先のプロセスを実践できていません。それは、アイデアを出すことに時間を使いすぎていることが大きな原因ですが、実はこの先のプロセスこそがライティングのスコアアップに大きな影響を与える部分なのです。

もちろんそのためにはアイデア出しや選別をスムーズにする必要があります。アイデアを出すことに時間を使いすぎるのは、アイデアを出すことに慣れていないからです。練習を重ねてアイデア出しに慣れてくれば、アイデアを出すことに時間をかけずに済みますので、エッセイの構成を決めることにも時間をかけることができるようになります。ライティングで6.5以上のスコアを狙う上級者の方は、アイデア出しのスキルは必須です。たくさん問題を解くことでアイデアが蓄積されるとともに、柔軟な発想力も身につきます。焦らずに練習を重ねていきましょう。

さて、エッセイの構成を決めるにあたっては、以下の2つのことを意識しましょう。

  • 1. 段落数を決める
  • 2. 各ボディの方向性(トピック)を決める

エッセイにはイントロダクション、ボディ、コンクルージョンの3つの要素が必ず必要ですので、最低でも3段落構成になりますが、語数から考えるとボディを2〜3つに分けるのが一般的です。プラスワンポイントではボディを2つで構成することを基本的にはおすすめしていますが、ボディを3つにする構成でももちろん構いません。

ボディの数が決まったら、それぞれのボディで何を議論するのかを決めます(これを「トピック」と呼びます)。例えば、「To what extent do you agree or disagree?」のような問題であれば、ボディ1には自分が主張する立場とは対立する立場を紹介するのか(両サイドの議論)、あるいはボディ1もボディ2も自分が主張する立場を説明するのか(ワンサイドの議論)を決めます。詳しくは、『トピックセンテンスはなぜ重要なのか』もぜひご参照ください。

4. ポジションを決める

次はポジションを決めましょう。この問題では、利点と欠点を比較する問題ですので、利点と欠点のどちらがどちらを上回ると言えそうか、どちらのポジションがより強いアーギュメントを作れるかを考えます。利点の方がより強いアーギュメントを作れそうですので、利点の方を選ぶことにしましょう。

ポジションを決める(利点が欠点を上回る)

  • イントロダクション:利点が欠点を上回るというポジションを示す
  • ボディ1:可能性のある欠点
  • メインアイデア(1):他の教科の学習時間が減る可能性がある
  • メインアイデア(2):子供のストレスになる
  • ボディ2:それを上回る利点
  • メインアイデア(1):将来の仕事のオプションが増える
  • メインアイデア(2):異文化を知ることができる
  • コンクルージョン:利点が欠点を上回るというポジションを再確認する

上級者向けのプランニング

  • 1. 問題文を正しく理解する
  • 2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)
  • 3. アイデアを選別する
  • 4. エッセイの構成を決める
  • 5. ポジションを決める
  • 6. メインアイデアを決める
  • 7. 各メインアイデアのサポートを考える
  • 8. エッセイの構成を再確認する

この手順はあくまで原則ですが、ライティングサミットなどでも実践されている実用的な方法です。目指すスコアによっては、この手順の一部を省略したり、手順を入れ替えたりすることもあります。この手順を守ることで、プランニングの効率・質が上がり、結果的にスコアアップにつながることは間違いありません。

1. 問題文を正しく理解する

まずは、問題文(IELTSライティングでは「タスク」と呼びます)を正しく理解することが重要です。問題文を正しく理解することで、エッセイの構成が明確になり、アイデア出しの効率が上がります。また、IELTSライティング採点基準のTask Responseにも記載されている通り、問題を正しく理解して全てに回答をすることが、Band 6以上では必須とされています。

問題文を正しく理解するためには、以下の3つのことを確認することが大切です。

  • 問題タイプ
  • 大きなテーマ
  • タスク内の細かな指示

IELTSライティング・タスク2の問題にはいくつかの問題タイプがあります。問題タイプによって、エッセイの構成やアイデアの出し方が異なりますので、まずは出題されている問題タイプを確認しましょう。問題タイプ別の回答の注意点については、『ライティング・タスク2問題タイプ別回答の注意点』もぜひご参照ください。

また、問題文の大きなテーマを把握しましょう。「教育」「環境」「犯罪」など、大きなテーマを把握することで、エッセイの構成が明確になります。問題文を見た直後はテーマは明らかですのでそれほど重要に感じないかもしれませんが、プランニングを進めていくうちに細かい部分に目が行き過ぎてしまい、そもそもの大きなテーマを忘れてしまうことがあります。そのため、問題文を見た直後に大きなテーマを把握しておくことが重要です。

最後に、タスク内の細かな指示を確認しましょう。特にアカデミック・モジュールでは、単に大きなテーマに沿ってエッセイを書けばいいというのではなく、タスク内の細かな指示にも回答する必要があります。例えば、「若者の再犯の防止策」のように細かい指示がある場合があります。このような指示がある場合には、単に「再犯の防止策」について書くだけではなく、「若者」というキーワードにフォーカスをして回答する必要があります。このような細かい指示を見落とさないようにしましょう。

2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)

問題文が正しく理解できたら、次はアイデアを出しましょう。アイデアを出すことをブレーンストーミングと呼びます。ブレーンストーミングは、プランニングの中でも最も重要なステップです。ブレーンストーミングの結果が良ければ、あとはそれを整理してエッセイを書くだけです。ここはほとんどの方が実践されているプロセスでしょう。

初・中級者の方でアイデア不足に悩んでいる方は、このプロセスをしっかり練習することが大切です。今の世の中は何でも検索をすれば答えがすぐに見つかる時代です。昔のようにじっくり考えるということが少なくなったいま、アイデアを考えるということが苦手と感じる人が増えています。それどころか苦痛に感じる人もいるくらいです。しかし、このプロセスを避けて通ることはできませんので、ぜひ普段から考える週間を意識してアイデア出しに慣れておきましょう。

幸い、IELTSのライティング・タスク2のエッセイで求められる語数は260〜270語と短いですので、最低2つアイデアがあればなんとかエッセイを書くことができます。アイデア出しが苦手な方は、まずは2つアイデアを出すところから始めてみましょう。

ワンポイントコラム
英語にしやすいアイデア出しを意識しよう

アイデア出しをする際には、このあと英語にするということを少し意識しておくといいです。英語にしやすいアイデア出しをすることで、英語にするときに苦労したり、意味が伝わらない英語になってしまういうリスクを避けることができます。特に、日本の文化や感覚が強く反映された表現を英語に翻訳しようとすると、難しくなることがあります。例えば、以下のようなアイデア出しをしてみましょう。

  • 問題:高齢者は定年後も働くべきである
  • アイデア:なぜなら、それが生きがいになるから

アイデアとしては良さそうに感じますが、いざ英語にするときに困りますよね。そもそも「生きがい」というのは日本特有の概念である可能性が高く、無理に直訳しようとすると誤った英語表現になったり意味が伝わらなくなってしまったりします。「reason for living」や「something one lives for」と表現できるかもしれませんが、あえてそのようなリスクを冒す必要はありません。

このような場合、アイデア出しの段階で「高齢者が仕事を通じて社会と繋がりを持ち続けることで、活力を保てる」というような具体的かつ簡潔な表現を心がけると、英訳もスムーズになります。「Through work, elderly people can maintain their vitality by staying connected with society」のように、直訳できるシンプルな英語表現に置き換えることが可能です。こうすることで、英語話者にも「生きがい」という概念を直接説明することなく、同じような意味合いを伝えることができます。

3. アイデアを選別する

アイデアを出したら、次はアイデアを選別しましょう。ブレーンストーミングで出したアイデアが少ない場合には、このステップを省略することもできますが、アイデアが比較的多く出た場合は、アイデアを選別するようにしましょう。それによりアイデアの繰り返しや矛盾を防ぐことができます。

具体的には、前述のような英語にしにくいアイデア(特に日本独特の考え方や文化が反映されたアイデア)を選別してみましょう。自分の英語力と照らし合わせながらしっかり意味を伝えることができそうか、またそのアイデアはぜひとも使いたいアイデアなのか、そのあたりからアイデアを使うかどうかを判断しましょう。また、どちらの立場にも言えるようなアイデアや矛盾するアイデアもここで選別しましょう。

ワンポイントコラム
矛盾するアイデアを選別する

ブレーンストーミングではランダムにアイデアを出しますので、往々にしてアイデア間の矛盾を生じる場合があります。

  • 問題:オリンピックを主催することの利点と欠点
  • アイデア(利点):経済が活性化される
  • アイデア(欠点)大きな借金を背負うことになり経済が悪化する

やや極端な例ですが、これらの2つのアイデアは矛盾をはらんでいることがわかります。このようなアイデアをそのまま使ってエッセイを書いてしまうと、主張が矛盾したエッセイになってしまいます。したがって、このような矛盾したアイデアを選別しておくことが重要です。

4. エッセイの構成を決める

アイデアを選別したら、次はエッセイの構成を決めましょう。ライティングサミットに参加される受講生の方を見ると、ほとんどの方がこの先のプロセスを実践できていません。それは、アイデアを出すことに時間を使いすぎていることが大きな原因ですが、実はこの先のプロセスこそがライティングのスコアアップに大きな影響を与える部分なのです。

もちろんそのためにはアイデア出しや選別をスムーズにする必要があります。アイデアを出すことに時間を使いすぎるのは、アイデアを出すことに慣れていないからです。練習を重ねてアイデア出しに慣れてくれば、アイデアを出すことに時間をかけずに済みますので、エッセイの構成を決めることにも時間をかけることができるようになります。ライティングで6.5以上のスコアを狙う上級者の方は、アイデア出しのスキルは必須です。たくさん問題を解くことでアイデアが蓄積されるとともに、柔軟な発想力も身につきます。焦らずに練習を重ねていきましょう。

さて、エッセイの構成を決めるにあたっては、以下の2つのことを意識しましょう。

  • 1. 段落数を決める
  • 2. 各ボディの方向性(トピック)を決める

エッセイにはイントロダクション、ボディ、コンクルージョンの3つの要素が必ず必要ですので、最低でも3段落構成になりますが、語数から考えるとボディを2〜3つに分けるのが一般的です。プラスワンポイントではボディを2つで構成することを基本的にはおすすめしていますが、ボディを3つにする構成でももちろん構いません。

ボディの数が決まったら、それぞれのボディで何を議論するのかを決めます(これを「トピック」と呼びます)。例えば、「To what extent do you agree or disagree?」のような問題であれば、ボディ1には自分が主張する立場とは対立する立場を紹介するのか(両サイドの議論)、あるいはボディ1もボディ2も自分が主張する立場を説明するのか(ワンサイドの議論)を決めます。詳しくは、『トピックセンテンスはなぜ重要なのか』もぜひご参照ください。

5. ポジションを決める

エッセイの構成が決まったら、次はポジション(立場)を決定します。当然のことですが、書き手のポジションがはっきりしていない状態でエッセイを書いてしまうと、首尾一貫性が失われ、読み手は議論の流れを追えずに混乱してしまいます。また「どちらとも言えない」というポジションは可能であれば避けましょう。もちろんIELTSライティングの回答として、いわゆるBalanced Viewも可能ですが、議論が曖昧になりがちですので、上級者以外はできるだけ避けるようにしましょう。

ポジションを決める際には、自分が個人的にどう思うかを元に判断をするのも一つの方法ですが、これまでのプランニングの流れで選別したアイデアをもとに、どちらの立場がより強いアーギュメントを作れるかを考えるほうがスコアアップには有利に働きます。自分の個人的な意見がどちらであっても、エッセイとして強い立場を選ぶことが重要です。最初は抵抗があるかもしれませんが、普段から、自分の個人的な考えと異なる立場でも強いアーギュメントを作れるように練習をしておきましょう。

自分の主観が入ってしまってなかなかポジションを決められない場合には、一旦仮のポジションを決めて議論を組み立ててみて、その上で逆のポジションを考えてみて比較をするという方法もあります。ポジションを逆にしてみることで、どちらのほうがより強いアーギュメントを作ることができそうかを探ります。例えば、「環境への負荷が大きいが、経済効果が期待できる」とするのがよさそうか、「経済効果が期待できるが、環境への負荷が大きい」とするのが良さそうか、両方イメージをしてみることで、どちらのほうがより強いアーギュメントを作ることができそうかを比較することができます。この方法は、自分の主観が入ってしまっていることに気づくのにも役立ちます。

  • 1. なるべく「どちらとも言えない」は避ける
  • 2. 逆のポジションの可能性も検討する

6. メインアイデアを決める

ポジションが決まったら、各ボディパラグラフで議論するメインアイデアを決めましょう。メインアイデアは、その段落で議論するトピックに対する主要なアイデア(直接の回答)をひとことで表したものです。Task Responseにも繰り返し強調されているように、説得力のあるエッセイを書くためには、各ボディパラグラフに明確なメインアイデアを簡潔に示せていることが重要です。

メインアイデアを決める際には、エッセイ全体の流れと一貫性を考えるとともに、各ボディパラグラフで議論する内容を代表するアイデアになっているかを確認しましょう。言い方を変えると、トピックとメインアイデア(これらを合わせてトピックセンテンスと呼びます)で、その段落の議論のおおよその流れを読み手に想像させるようにしましょう。詳しくは、『トピックセンテンスはなぜ重要なのか』もぜひご参照ください。

ワンポイントコラム(上級者向け)
メインアイデアはあとから修正できる?

メインアイデアを決めたはずなのに、ボディを書き終わって振り返ってみると、メインアイデアとボディパラグラフの内容が一致していないことがあります。このような場合には、首尾一貫性を維持するために内容を調整しなければなりませんが、実はメインアイデアを修正するほうが簡単なこともあります。メインアイデアはあくまでその段落の議論のまとめですので、いわばタイトルのようなものです。タイトルを内容に合わせて修正するのと、内容をタイトルに合わせて修正するのとでは、前者のほうが圧倒的に簡単です。

プランニングで決めるメインアイデアは、あくまで仮のメインアイデアと考えておき、段落を書き終わってからメインアイデア通りに話を進められたかどうかを確認し、必要に応じて修正するようにしてみましょう。きっと首尾一貫性を簡単に向上ことができるはずです。

7. 各メインアイデアのサポートを考える

メインアイデアが決まったら、次はそれをサポートする具体的な情報や例を考えましょう。自分が主張するメインアイデアについて、「なぜそのように主張するのか」「いま世の中ではどのようなことが起こっているのか」などを考え、それをサポートする情報を考えます。このとき、自分の経験や知識を元にすることが大切です。IELTSのエッセイでは、一般的なアカデミックエッセイとは異なり、統計データや研究結果、専門家の意見などは不要とされています。代わりに、自分の経験や知識を元に議論を深めることが求められています。アイデアの正確性ではなく、アイデアの論理性が重要であることを忘れないようにしましょう。

マインドマップは有効?

使うなら注意しながら使おう!

サポートアイデアを考える際、アイデアをどのように書き出すかは人によって異なります。箇条書きで書き出す人もいれば、いわゆるマインドマップのように関連アイデアを書き出す人もいるでしょう。自分がアイデアを整理できればどのような方法でも構いませんが、マインドマップを使う場合には、以下の点に注意しましょう。

  • 1. アイデア同士の関連性を軽視しがち
  • 2. 関連性の低いアイデアまで出しがち

マインドマップは視覚的にアイデアを広げていくことができるので、アイデアを出すのには便利かもしれません。しかし、連想ゲームのようになってしまってアイデア同士の論理的なつながりを軽視してしまう傾向があります。その結果、議論に必要のないアイデアまで広げてしまう傾向があります。実際のエッセイライティングで必要なアイデアは「直接の」根拠や「直接の」影響であるにも関わらず、間接的な根拠や影響まで出してしまうことがあります。その結果、エッセイの焦点がぼやけてしまい、スコアアップを阻む原因となります。

おすすめの方法は、各センテンスにしっかりと役割をもたせながらアイデアを広げることです。いわゆる「PREP法」や「PEEL法」などはその一例です。「PREP法」については『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)の Must 66 でも紹介していますが、このあとの『プランニングの実例』でも詳しく解説します。

8. エッセイの構成を再確認する

すべての要素が揃ったら、最後にエッセイの構成を再確認しましょう。イントロダクション、ボディパラグラフ、コンクルージョンがしっかりと連携しているか、各パラグラフが流れるように繋がっているかを確認してください。この段階で必要に応じてアイデアの追加や削除、構成の調整を行い、エッセイ全体が一貫したアーギュメントを形成していることを確認しましょう。書き始めてからでも多少の修正可能ですが、大幅な修正は不可能です。修正の最後のチャンスだと思って、しっかりと確認を行いましょう。

以上でプランニングのステップは完了です。時間をかけてプランニングの説明をしましたが、実際にはここまでの作業を10分前後で行うことになりますので練習が必要です。ただ、プランニングがうまくなると、エッセイの質を大幅に向上させることができます。ぜひ実践してみてください。

プランニングの実例

それでは、実際にプランニングを行う際の手順を具体的な問題を使って説明します。

In some countries, schools teach foreign languages to primary school children. Do the advantages of teaching foreign languages to young learners outweigh the disadvantages?

もう一度プランニングの手順を確認しておきましょう。

  • 1. 問題文を正しく理解する
  • 2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)
  • 3. アイデアを選別する
  • 4. エッセイの構成を決める
  • 5. ポジションを決める
  • 6. メインアイデアを決める
  • 7. 各メインアイデアのサポートを考える
  • 8. エッセイの構成を再確認する

1. 問題文を正しく理解する

まずは問題タイプの確認です。この問題は、利点(Advantage)・欠点(Disadvantage)を比較するタイプの問題です。大きなテーマは「学校教育」です。タスク内の細かな指示を確認しておきましょう。そうすると背景のセンテンスで記載されているように、対象として想定しているのは「小学生(primary school children)」であることがわかります。

2. アイデアを出す(ブレーンストーミング)

次にアイデアを出しましょう。この問題では、利点と欠点を比較する問題ですので、利点と欠点をそれぞれ考えてみましょう。まずはブレーンストーミングですので、とにかくアイデアを出してみましょう。例えば以下のようなアイデアを思いついたとします。

利点(の候補)

  • 英語の発音が上手になる?
  • 将来、英語が話せるようになる?
  • 外国の人と交流できるようになる?
  • 異文化を知ることができる?
  • いい大学に進学できる?
  • 将来の仕事のオプションが増える?

欠点(の候補)

  • 母語の発達が遅れる?
  • 他の教科の学習に支障が出る?
  • 子供のストレスになる?
  • 子供の自由な時間が減る?

3. アイデアを選別する

ブレーンストーミングで出てきたアイデアを修正・選別してみましょう。ここでは利点の方を取り上げてアイデアの取捨選択をしてみましょう。最初の2つのアイデアは「英語の発音が上手になる?」「将来、英語が話せるようになる?」と書いていますが、そもそも「英語」に限った話だったでしょうか?問題文を読み返すとそうではないことがわかります。問題文では「外国語」を教えることについて言及していますので、英語に限らず、他の外国語についても考える必要があります。また、4つ目のアイデアは「外国の人と交流できるようになる?」と書いていますが、これはその次の「異文化を知ることができる?」と重複しているので、どちらかを選択する必要があります。最後の2つのアイデアは、将来のことを考えたアイデアですが、これは「将来、英語が話せるようになる」とアイデアが重複している可能性があります。どちらかを選択するほうが良さそうです。

「いい大学に進学できる」は利点か?

幼少期から外国語を学ぶ利点として「いい大学に進学できる」というアイデアはどうでしょうか?確かに日本や韓国のように、いい大学に進学することがその人の人生を大きく左右するような社会ではそのような考え方もできるかもしれません。しかし、世界全体に目を向けると、そうではない国も多いです。例えば、アメリカやイギリスでは、大学の入学は高校の成績や大学入学試験の結果によって決まります。幼少期から外国語を学ぶことが大学入学に直接的な影響を与えるわけではありません。いい大学に進学することが勉強の目的としてしまうと、やや偏った見方になってしまう可能性があります。同様に「高校に進学したときに英語の試験でいい点数が取れる」などのアイデアも要注意ですね。学校の試験でいい点数を取ったり大学に進学したりすることが最終目標ではないはずですので、その先にある「就職」「キャリア」などを目標として考えるほうが良さそうです。

最終的に以下のようなアイデアに絞り込むことができました。

利点

  • 将来の仕事のオプションが増える
  • 異文化を知ることができる

欠点

  • 他の教科の学習時間が減る可能性がある
  • 子供のストレスになる

4. エッセイの構成を決める

次はエッセイの構成を決めましょう。この問題では、利点と欠点を比較する問題ですので、利点と欠点をそれぞれ1つずつボディ段落を使って4段落で構成するのが良さそうです。次の「ポジションを決める」とも関連しますが、概ね以下のような構成をイメージすることになります。問題タイプ別の回答の注意点については、『ライティング・タスク2問題タイプ別回答の注意点』もぜひご参照ください。

エッセイの大まかな構成(利点が欠点を上回ると主張する場合)

  • イントロダクション
  • ボディ1:可能性のある欠点
  • ボディ2:それを上回る利点
  • コンクルージョン

5. ポジションを決める

次はポジションを決めましょう。この問題では、利点と欠点を比較する問題ですので、利点と欠点のどちらがどちらを上回ると言えそうか、どちらのポジションがより強いアーギュメントを作れるかを考えます。利点の方がより強いアーギュメントを作れそうですので、利点の方を選ぶことにしましょう。

ポジションを決める(利点が欠点を上回る)

  • イントロダクション:利点が欠点を上回るというポジションを示す
  • ボディ1:可能性のある欠点
  • メインアイデア(1):他の教科の学習時間が減る可能性がある
  • メインアイデア(2):子供のストレスになる
  • ボディ2:それを上回る利点
  • メインアイデア(1):将来の仕事のオプションが増える
  • メインアイデア(2):異文化を知ることができる
  • コンクルージョン:利点が欠点を上回るというポジションを再確認する

6. メインアイデアを決める

メインアイデアを決めましょう。メインアイデアは、その段落で議論するトピックに対する主要なアイデア(直接の回答)をひとことで表したものでしたね。すでに大まかなメインアイデアは決まっていますので、トピックセンテンスを英語で書くことを想定して少し言葉を調整しておきましょう。

メインアイデアを決める

  • イントロダクション:利点が欠点を上回るというポジションを示す
  • ボディ1:外国語を小学生に教えることの欠点
  • メインアイデア(1):外国語以外の従来の教科の学習時間が減る可能性がある
  • メインアイデア(2):また、子どもたちが外国語の勉強によって圧倒される可能性もある
  • ボディ2:しかし、外国語を小学生に教えることの利点は欠点を上回る
  • メインアイデア(1):将来の仕事(もしくはキャリア)のオプションが増える
  • メインアイデア(2):幼少期から異文化への理解を深めることができる
  • コンクルージョン:利点が欠点を上回るというポジションを再確認する
【上級者向け】ワンポイントコラム
小学校から教える必要はある?

エッセイを書き出す前に、もう一度問題文を読み返してみることにしましょう。もうすでに注目が薄れてしまっているかもしれませんが、私たちは「小学校」というキーワードに注目したはずでした。いま私たちがエッセイに採用しようとしているアイデアは本当に「小学生に」英語を教える利点や欠点になっているでしょうか?中学生や高校生から外国語を教えるのとは何が違うのでしょうか?

より高いスコアを狙う上級者はこのあたりの細かな部分にも再度目を向けて、「なぜ小学生から外国語学習を始めさせるべきなのか」あるいは「なぜ小学生に外国語学習をさせるべきではないのか」についてもしっかり答えられているかを確認しましょう。

7. 各メインアイデアのサポートを考える

次に各メインアイデアのサポートを考えましょう。各メインアイデアについて、なぜそのように主張するのか、どのような根拠があるのかを考えます。このとき、自分の経験や知識を元にすることが大切でしたね。例えば、以下のようなサポートを考えることができます。

各メインアイデアのサポートを考える

  • イントロダクション:利点が欠点を上回るというポジションを示す
  • ボディ1:外国語を小学生に教えることの欠点
  • メインアイデア(1):外国語以外の従来の教科の学習時間が減る可能性がある
  • サポート:算数や理科のような従来の教科はその先の勉強の基礎となるものなので学習時間が減ることは好ましくない
  • メインアイデア(2):また、子どもたちが外国語の勉強によって圧倒される可能性もある
  • サポート:母語文法や語彙が大きく異なる言語を学ぶ場合には特にそうである
  • ボディ2:しかし、外国語を小学生に教えることの利点は欠点を上回る
  • メインアイデア(1):将来の仕事(もしくはキャリア)のオプションが増える
  • サポート:職種を問わず複数の言語を使えることは企業から重宝される
  • メインアイデア(2):幼少期から異文化への理解を深めることができる
  • サポート:多様な文化に対する広い視野を養うことができ、偏見を効果的に防ぐこともできる
  • コンクルージョン:利点が欠点を上回るというポジションを再確認する

8. エッセイの構成を再確認する

最後にエッセイの構成を再確認しましょう。イントロダクション、ボディパラグラフ、コンクルージョンがしっかりと連携しているか、各パラグラフが流れるように繋がっているか(Overall Progression)を確認してください。この段階で必要に応じてアイデアの追加や削除、構成の調整を行い、エッセイ全体が一貫したアーギュメントを形成していることを確認しましょう。書き始めてからでも多少の修正可能ですが、大幅な修正は不可能です。修正の最後のチャンスだと思って、しっかりと確認を行いましょう。

エッセイの構成(大きな流れ)を再度確認する

  • 外国語を小学生に教えることの欠点として、外国語以外の従来の教科の学習時間が減ったり、子どもたちが外国語の勉強に圧倒される可能性もあるが、将来の仕事の選択が増え、多様な文化に対する広い視野を養うことができることから利点のほうが欠点よりも大きい。

サンプルエッセイ

それでは、実際にプランニングを行った後のエッセイを見てみましょう。以下は、上記のプランニングを元に作成したサンプルエッセイです。

モデルアンサー

In recent years, primary schools in some countries have started to introduce foreign language education as part of their curriculum. Although there are some disadvantages associated with this approach, I firmly believe that the advantages are more significant.

One of the main drawbacks of teaching foreign languages to primary school children is that it can potentially reduce the time allocated for other essential subjects. Fundamental areas of study, such as arithmetic and science, are crucial in earlier stages of education because they lay the foundation for higher education. Another drawback is that children might feel overwhelmed by the task of learning a foreign language while their native language skills are still developing. This issue is particularly concerning when the foreign language has grammar rules that are completely different from their mother tongue.

However, I argue that the benefits of exposing primary school children to foreign languages outweigh the potential disadvantages. Firstly, it can significantly broaden children’s future job prospects. In today's increasingly globalised world, the ability to speak multiple languages is highly valued by many companies, regardless of the industry. Secondly, learning foreign languages can deepen their understanding of different cultures because it enables them to directly engage with the traditions, customs, and literature of other nations. Acquiring such a broad perspective is crucial, and it is best done in early childhood before biases towards foreign cultures can take root.

In conclusion, although there are some concerns regarding foreign language education in primary school, I believe that the benefits outweigh the drawbacks.

まとめ

ライティング・タスク2のプランニングの方法や注意点についてまとめてみました。特に、IELTSライティングで高いスコアを目指す方はプランニングは必須です。プランニングをしっかりと行うことで、論理的な構成を持ったエッセイを書くことができ、スコアアップにつながります。ぜひ、この記事を参考にして、プランニングをしっかりと行いましょう。

Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は2,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住10年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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