知っておくだけでスコアアップ
まずは基本的な答え方を身に着けよう!
IELTSのライティングは4科目のなかで最も平均点が低く、多くの受験者を悩ませています。特にライティング・タスク2はライティング・タスク1に比べて配点が大きく、ライティング全体のスコアを決定する上で非常に重要になります。
ライティングのスコアを向上させるには、ライティング・タスク2を攻略することが鍵になります。その第一歩として、出題される問題タイプ別の回答の方法や注意点について知っておきましょう。
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ライティング・タスク2の問題は、大きく分けて以下の6つのタイプに分類することができます。
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与えられた意見(opinion)や記述(statement)に対して「どの程度、賛成または反対であるか」を答える問題です。最もよく出題される問題タイプの1つです。"to what extentは「どの程度」という意味で、「100%賛成」あるいは「100%反対」以外にも、例えば「80%賛成」のような答え方もできる問題です。"to what extent"の部分がなく、Do you agree or disagree?と聞かれる場合もあります。
このタイプの質問では、テーマに対して賛成か反対かをエッセイ全体で述べていきます。最初から最後までagreeまたはdisagreeのどちらか一方のスタンスで書く書き方(ワンサイドの議論)と、agreeとdisagreeの両方の考え方を紹介する書き方(両サイドの議論)があります。
どちらで書いても問題はありませんので、自分が書きやすい方で書くといいでしょう。
すべてのボディを通して自分のポジションを展開する方法です。対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)については論じません。
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「このような意見の人がいるかもしれない」と推測しながら、自分のポジションとは反対側の意見を考察します。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「譲歩」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「確かに、〜かもしれない」と自分のポジションとは反対側の意見を一部認めます。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
「他人の意見」と「譲歩」はどのように違いますか?
「他人の意見」として対立意見を紹介するということは、自分はその意見について賛成をしていないことを意味します。「自分はその意見に賛成ではないが、このような意見の人がいるかもしれない」と推測をしているに過ぎません。一方、「譲歩」として対立意見を紹介する場合には、自分はその意見についても一部認めていることになります。「確かに、〜かもしれない」と一部認めつつ、「しかし、自分はこのように考えます」とメインの主張をします。
ワンサイドで書くよりも、対立意見についても議論をするほうがスコアは高くなりますか?
確かに、対立意見についても議論をする(両サイドの意見を議論する)ことで議論の隙を少なくすることができます。そのためハイスコアを狙う上で有利になることは確かです。しかし、両サイドの議論をするためには注意点があります。それは、それぞれの議論でアイデアの矛盾を起こしやすくなることです。ボディ1とボディ2の議論の整合性が取れなくなると「首尾一貫性」に影響を及ぼします。ワンサイドの議論であってもスコア8.0までは達成が可能です。非常に高いスコアを必要とする方以外は、どちらが有利であるかをあまり気にせず、その時に使えそうなアイデアから書きやすい方法を選ぶといいでしょう。
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与えられた2つの意見(opinion)に対して「それぞれの意見の対する考察をした上で、自分の立場を示す」必要がある問題です。問題タイプ1:To what extent do you agree or disagree? と並んで最もよく出題される問題タイプの1つです。
以下の3つの質問に答える必要があります。1つでも回答が不十分だとスコア(Task Response)に影響をします。
問題で与えられた2つの意見について、それぞれのボディで議論を深めつつ、コンクルージョンで自分のポジションを示す方法です。
アイデアの展開を考えることが比較的容易な方法なので、ライティングでスコア6.0までを目指す人にはオススメの書き方です。
一方で、各ボディでの議論が平行線に終わりがちなエッセイ構成ですので、ライティングでスコア6.5以上を目指す方は、下に述べる構成例2や構成例3がオススメです。
To what extent do you agree or disagree? の構成例2と同様の構成です。多くの場合、イントロダクションの段階で自分のポジションを示した上で、ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開します。
To what extent do you agree or disagree? の構成例3と同様の構成です。この場合もイントロダクションの段階で自分のポジションを示した上で、ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「譲歩」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開します。
問題タイプ1:To what extent do you agree or disagree? では、意見または記述が1つしか与えられていませんので、多くの場合に「譲歩」という手法が成立します。一方、問題タイプ2:Discuss both views and give your own opinion. では問題に2つの意見(または記述)が与えられています。そのため、一方の意見を「譲歩」とできない場合がありますので注意しましょう。
例えば、「〜するべきである」という意見と「〜するべきではない」という意見が与えられている場合、「確かに〜するべきだが、〜するべきではない」というような議論は成り立ちません。エッセイ構成例のパターンに当てはめて「譲歩」をするのではなく、与えられた問題をしっかり理解してどのようなエッセイ構成が適切であるのかを都度考えることが大切です。
Discuss both views and give your own opinion. は「場合分け」をして議論をすることも可能です。「一部の例外として、こういう場合もある。しかし、多くの場合はこうである。」という構成になります。
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与えられた事実に対して、その利点と欠点を議論するタイプの問題です。
利点と欠点を紹介するだけの問題(What are the advantages and disadvantages of this?)と、利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題(Do the advantages of this outweigh the disadvantages?)があります。
利点と欠点を紹介するだけの問題(What are the advantages and disadvantages of this?)には以下のような問題があります。
利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題(Do the advantages of this outweigh the disadvantages?)には以下のような問題があります。
与えられた事実に対して、それぞれのボディで利点と欠点を紹介する方法です。問題タイプ3a:What are the advantages and disadvantages of this? でよく使う構成方法です。
この構成方法では利点と欠点を比較することができませんので、問題タイプ3b:Do the advantages of this outweigh the disadvantages? では使用できません。
与えられた事実に対して、それぞれのボディで利点と欠点を紹介しつつ、どちらがどちらを上回るかを答える方法です。問題タイプ3b:Do the advantages of this outweigh the disadvantages? でよく使う構成方法です。
例えば、「欠点が利点を上回る」というポジションで書く場合、ボディ1で「可能性として以下のような利点が考えられる」というように、まずは利点のついての考察をします。そのうえで、ボディ2で「しかし、(全体として考えると)その利点よりも欠点が上回ると思う」というように反論をします。
advantages / disadvantages と聞かれていますが、それぞれ複数答える必要がありますか?
厳密には利点と欠点それぞれについて複数のアイデアを展開するのが理想的です。一方で、提示するメインアイデアをしっかりサポートすることも大切です。バランスを考えるとそれぞれ2つずつ、多くても3つのアイデアを示すことができれば十分です。もちろん、1つのアイデアをしっかり掘り下げることができていれば、仮に1つしかアイデアを示せていなかったとしても大きなマイナス要素にはなりません。
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与えられた事実に対して、原因(cause)、問題(problem)、影響(effect)、解決策(solution)を答える問題です。通常は、これらの4つの要素から2つを選んで出題されます。
問題に記載されている質問の数を把握し、回答に漏れがないように注意が必要です。
原因(cause)と影響(effect)を組み合わせた問題です。
こちらは、問題点(problem)と解決策(solution)を組み合わせた問題です。最初の質問にcauseという単語が入っているので惑わされるかもしれませんが、これは「引き起こす」という意味の動詞のcauseです。「このことが引き起こす問題はなんでしょう?」と聞かれています。
原因(cause)、問題(problem)、影響(effect)、解決策(solution)を表現する際には、前置詞に注意が必要です。詳しくは、『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)の118−121ページをご参照ください。
問題で問われている要素について、それぞれのボディで回答をする方法です。ここでは、原因と解決策(cause & solution)を例に説明します。
それぞれのボディで、問題で問われている要素について組み合わせて回答をする方法です。原因と解決策(cause & solution)の問題であれば、ボディ1に「1つ目の原因とその解決策」、ボディ2に「2つ目の原因とその解決策」を述べます。
それぞれの原因に対する解決策を考える必要があるため、構成例1よりもやや難易度が上がります。ただし、構成例1よりも構成例2のほうがハイスコアを狙いやすいというわけではありませんので、より話の流れがスムーズになると思う方法を選択するといいでしょう。
causes / solutions と聞かれていますが、それぞれ複数答える必要がありますか?
厳密には尋ねられている要素について、それぞれ複数のアイデアを紹介するのが理想的です。利点・欠点の場合と同様、アイデアのサポートのことを考えて、それぞれ2つずつ、多くても3つにとどめておくのが無難です。
解決策を答える場合には、提示する解決策が本当に解決策になっているのかを考えてみましょう。
例えば、「都会の人口が増えすぎている」ことに対する解決策として、「より多くの人に田舎に住んでもらう」という解決策はどう聞こえるでしょうか?「誰が」「具体的に何をするのか」が見えてきませんね。これは解決策に「具体性」がないからです。
また、「公共の場での携帯電話の使用が問題になっている」ことに対する解決策として、「携帯電話の販売を禁止する」という解決策はどうでしょうか?もちろん、問題はそれで解決するかもしれませんが、実際にそのようなことができそうかどうかを考えると、やや「非現実的な解決策」に聞こえます。
解決策を考える際には、以下の両方が満たされていることを確かめてみましょう。
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与えられた事実に対して、それがポジティブなdevelopmentか、ネガティブなdevelopmentかを答える問題です。
このタイプの問題では、まずdevelopmentという単語の意味でつまずくことがあります。
developmentは「発展」という意味ですが、「ポジティブな発展」「ネガティブな発展」と訳したところでピンときませんよね。そこで少し言葉を補ってあげる必要があります。
「社会として」「国として」というような表現を補ってみると、「発展」の意味が見えてきます。多くの場合、この質問の前提にある「背景」には何らかの最近の傾向が示されています。つまり、このdevelopmentは「(社会としての)傾向」と捉えることができます。
「〇〇する人が増えてきているが、それは(社会や国にとって)ポジティブな発展(傾向)か?」と聞かれているのです。言い換えるなら、このタイプの問題は「個人レベル」でのポジティブ・ネガティブを考えるのではなく、もう少し大きな視点(社会・国、場合によっては世界全体)でその傾向を考える必要があります。
すべてのボディを通して自分のポジションを展開する方法です。例えば、「ポジティブな傾向である」というポジションであれば、「ネガティブな傾向である」と考える人の意見については論じません。
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
例えば、「ポジティブな傾向である」というポジションであれば、「ネガティブな傾向である」と考える人の意見をボディ1で展開した上で、ボディ2では「しかし、自分はポジティブな傾向だと思う」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
ただし、この構成方法はボディ1とボディ2の議論が平行線に終わる可能性が高いので、ハイスコアを目指す方にはあまりオススメできません。まずは構成例1の方法で書くことを考えてみましょう。
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問題タイプ1〜5に当てはまらないタイプの問題です。
上記の問題はcombined questions(複数の問題の組み合わせ)の例です。「原因」と「欠点」が組み合わせられています。
こちらはirregular questions(問題タイプ1〜5に当てはまらない質問)の例です。1つめの質問では、「国の成功を測る時に考慮されるべき他の要素」について問われています。2つ目の質問は「1つの要素が他の要素よりも重要であるか?」を聞かれています。
質問が複数ある場合には、問題タイプ4:Cause / Problem / Effect / Solution の構成例1に準じて答えます。すなわち、ボディ1で1つ目の質問に対して答え、ボディ2で2つ目の質問に対して答えます。上記のCombined questionsの例であれば、次のような構成が考えられます。
ライティング上級者向けですが、エッセイ全体としてすべての質問に答えることも可能です。上記のIrregular questionsの例であれば、「What other factors should also be considered when measuring a country's success?」と「Do you think one factor is more important than others?」について答える必要がありますが、これらをそれぞれのボディで議論するのではなく、すべてのボディを通してそれを議論していくことも可能です。
最終的にすべての質問に答えられているかどうか、主張に首尾一貫性が保たれているか、議論の展開がスムーズであるか、などを確認しながら書き進める必要があります。
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どの問題形式に答えるのにも、タスクに沿った回答をする、メインアイディアから議論を広げていくなど基本的な注意点は変わりません。タスクをしっかりと理解し、一貫性のある回答を心がけましょう。
それを達成するために、タスク2でのプランニングは必須となります。プランニングについてはこちらのライティング対策の記事でより詳しく話していますので、ぜひ参考にしてください。
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