IELTSのライティングやスピーキングでは、さまざまな場面で解決策を考える必要があります。このページでは、解決策を考える際に気をつけるべきことについて解説します。
解決策を考える際の2つのポイント
IELTSのライティング・タスク2では、問題に対する解決策を提案することを求められる場合があります。また、スピーキングでも同様に、社会問題や日常的な問題に対する解決策を説明する機会があります。
解決策を考える際には、提示する解決策が本当に解決策になっているのかを考えてみましょう。良い解決策には、次の2つの要素が必要です。
- 良い解決策の2つの条件
- 具体性:誰が具体的に何をするのかが明確である
- 実現可能性:実際にそれができそうである
これらの両方が満たされていない解決策は、説得力に欠けてしまいます。それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。
具体性:誰が何をするのか
解決策には「具体性」が必要です。つまり、「誰が」「具体的に何をするのか」が明確でなければなりません。
具体性に欠ける解決策の例
例えば、「都会の人口が増えすぎている」という問題に対して、次のような解決策を提案したとします。
- ❌ 具体性に欠ける解決策
- 「より多くの人に田舎に住んでもらう」
- 「都市部の人口を減らす」
- 「人々の意識を変える」
これらの解決策はどう聞こえるでしょうか?一見すると解決策のように見えますが、「誰が」「具体的に何をするのか」が見えてきませんね。これは解決策に「具体性」がないからです。
具体性のある解決策の例
同じ問題に対して、具体性のある解決策を考えてみましょう。
- ✓ 具体性のある解決策
- 「政府が地方都市に企業を誘致するための税制優遇措置を導入する」
- 「企業がリモートワーク制度を整備し、従業員が地方に移住できる環境を作る」
- 「自治体が移住者に対して住宅補助金や就職支援を提供する」
これらの解決策では、「誰が(政府、企業、自治体)」「何をするのか(税制優遇、リモートワーク制度、補助金提供)」が明確になっています。
実現可能性:本当にできそうか
解決策には「実現可能性」も必要です。つまり、その解決策が実際に実行できそうかどうかを考える必要があります。
実現可能性に欠ける解決策の例
例えば、「公共の場での携帯電話の使用が問題になっている」という問題に対して、次のような解決策を提案したとします。
- ❌ 実現可能性に欠ける解決策
- 「携帯電話の販売を禁止する」
- 「公共の場での携帯電話の使用を完全に禁止する法律を制定する」
- 「すべての携帯電話に音声制限装置を義務付ける」
もちろん、問題はそれで解決するかもしれません。しかし、実際にそのようなことができそうかどうかを考えると、やや「非現実的な解決策」に聞こえます。携帯電話は現代社会において不可欠なものですから、販売を禁止することは現実的ではありません。
実現可能性のある解決策の例
同じ問題に対して、実現可能性のある解決策を考えてみましょう。
- ✓ 実現可能性のある解決策
- 「公共交通機関に優先席と同様に『静かにするエリア』を設ける」
- 「学校で携帯電話のマナーについて教育プログラムを実施する」
- 「レストランや図書館などの施設が独自のマナールールを掲示する」
これらの解決策は、極端な規制を伴わず、実際に実施可能なものです。
良い解決策の例
それでは、「具体性」と「実現可能性」の両方を満たす良い解決策の例をいくつか見てみましょう。
例1:交通渋滞の問題
- 改善が必要な解決策
- 「人々に公共交通機関を使ってもらう」
- → 誰が何をするのかが不明確
- 良い解決策
- 「地方自治体がバスの運行本数を増やし、料金を割引することで、通勤者が公共交通機関を利用しやすくする」
例2:若者の失業問題
- 改善が必要な解決策
- 「若者にもっと仕事を与える」
- → 誰がどのように仕事を与えるのかが不明確
- 良い解決策
- 「政府が企業に対して若者を雇用した場合の補助金制度を導入し、また職業訓練プログラムを拡充する」
例3:環境汚染の問題
- 改善が必要な解決策
- 「すべての工場を閉鎖する」
- → 経済への影響が大きすぎて実現可能性がない
- 良い解決策
- 「政府が企業に対して環境基準を設定し、基準を満たす企業には税制優遇を、違反する企業には罰金を科すことで、段階的に環境対策を促進する」
解決策のチェックリスト
IELTSのライティングやスピーキングにおいて、解決策を考えたら、次のチェックリストで確認してみましょう。
- 解決策のチェックリスト
- 誰が(主体)が明確?
- 具体的に何をするのかが明確か?
- その解決策は実際に実行できそうか?
- 極端すぎる規制や禁止ではないか?
- 単なる願望ではなく、具体的な行動が示されているか?
これらのポイントを意識することで、説得力のある解決策を提案できるようになります。IELTSのライティングやスピーキングでは、解決策の質が評価に大きく影響しますので、ぜひこれらのポイントを覚えておきましょう。
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この記事を書いた人
Hibiki Takahashi
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,000名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住13年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。
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