IELTSリーディングは、他の主要な英語試験と比べても文章量が非常に多く、時間内に全て読むのが非常に大変と感じる方も多いでしょう。非常に独特な問題形式であることも特徴で、他の試験に比べ問題が難しく、実力が出しきれないと感じている方もいるかも知れません。しかし、IELTSリーディングの試験でスコアを取得するために必要なのは、長いパッセージを全て完全に理解することではありません。リーディングは、試験では唯一、解答がすでに書かれている試験ですので、問題に関係する箇所や主張をすばやく探し出し、設問で聞かれているポイントを理解することが重要なのです。本記事では、リーディングスコア9.0のIELTS講師が、試験問題の傾向から対策法まで詳しくご紹介していますので、ぜひ学習の参考にしてください。
目次
- 01|IELTSリーディング試験とは?
- 02|Computer-Delivered IELTS(CDI)
- 03|ジェネラルの特徴
- 04|アカデミックの特徴
- 05|IELTSリーディングの正答数とスコア
- 06|IELTSリーディングの難易度
- 07|8つの問題タイプとそれぞれの特徴
- 08|基本の勉強方法
- ⚫︎ 初級から上級まで レベル別学習の進め方
- ⚫︎ 勉強方法 Tips6選
- 09|IELTSリーディングの3つの解き方
- 10|試験を受ける前に是非知っておきたい3つのこと
- 11|知っているだけでスコアが上がる2つのこと
- 12|まとめ
1. IELTSリーディング試験とは?
IELTSにはジェネラルトレーニングとアカデミックの2種類の試験があり、リーディング試験はそれぞれの問題の特徴もっとも異なるパートです。ジェネラルトレーニングは、主に海外への移住や、英語圏での就職を目的としている方を対象とした試験で、日常生活や仕事に関係する問題が多く出題されます。アカデミックは留学や、ハイレベルの英語を必要とする職業を目標としている方を対象としており、やや学術的な内容が含まれます。試験の目的が異なるため、どちらも出題される問題は40問ですが、内容は大きく異なります。自分が必要なのはどちらの試験なのか確認しておきましょう。
1.1 リーディング試験全体の流れ
リーディングの試験は次のように進みます。
解答用紙の配布
問題の配布
試験開始
試験中は、備え付けの時計や大画面のスクリーンで時間を確認することができます。ほとんどの会場では、腕時計など自分の時計を持参することはできません。監督官が残り時間をアナウンスしてくれたりしますので、時間配分の目安に役立てましょう。なお、リーディング試験はリスニング試験と異なり、解答用紙に答えを書き写す時間がありません。試験時間中に、すべての解答を解答用紙に書き込まなければなりませんので、間違えることのないように注意しましょう。また、リーディング試験では、気分が悪くなった場合や、トイレに行く場合など、試験中の一時退室が認められています。退出する必要があるときには、静かに手を上げて監督官を呼び、用件を伝えてください。ただし、最後の10分間はリスニング試験同様、退室後は試験会場に戻ることができません。
試験の時間が終了すると監督官からペンを置くように指示があります。この指示は絶対ですので、速やかにペンを置くようにしましょう。終了後も書き直しをしていたりすると監督官から注意を受け、最後に記入していた箇所は採点の対象外としてクロスアウトされることがあります。
2. Computer-Delivered IELTS(CDI)
IELTSにはペーパーベースの試験とパソコンで受験ができるComputer-Delivered IELTS (CDI)の2つの試験があります。最近では、CDIを実施する地域が増加しています。結果も早く受け取ることができるため、CDIでの受験を検討しても良いでしょう。
2.1 CDIのメリットとデメリット
CDIのメリット
- 本文と問題が同時に見られる
- コピー&ペースト機能が利用できる
- ハイライト・メモ機能が使える
CDIのデメリット
- コンピュータに慣れていないと読みにくい
- 操作に手間取る
- 設問の表示範囲が限られている
まず、CDIの大きなメリットとなるのは、本文と問題が同時に見られる点です。ペーパーベースでは1つのパッセージでも本文と質問が数ページにわたって印刷されているため、何度もページをめくって、行ったり来たりしながら解き進めます。一方、CDIでは本文と質問が一つの画面の右と左にレイアウトされており、本文のみスクロールして問題を解くことができますので、非常に便利です。
2つ目のメリットは、コピー&ペースト機能が使えることです。CDIでは、本文中から単語を抜き出して答える場合など、本文中からそのまま単語をコピーして解答欄にペーストすることができます。ペーパーベースでは、急いで手書きで解答を書き込むと、見慣れない単語などはスペリングを間違えてしまうこともありますので、この機能は便利ですね。また、ペーパーベースでは解答用紙が別にあるため、設問番号を間違えて別の解答欄に記入してしまうというミスもあります。CDIならこのような不要なミスを防ぐことができるでしょう。
ではデメリットには何があるかというと、最も大きな点は、コンピュータ作業に慣れているか?というところです。画面で文字を読むことに慣れていない方は、ペーパーベースに比べてかなり読みにくく感じる可能性がありますし、画面操作や、以下で紹介するハイライト・メモ機能の操作も手間取って無駄に時間をロスするかもしれません。
また、コンピュータベースでは、設問の表示範囲が限られているという特徴もあります。もちろん、コンピュータベースでも、ページを進めたり、戻ったりして、いつでも好きなときにすべての設問の場所へ移動できます。ただ、設問によっては選択肢が折りたたまれていて、選択中の設問の選択肢しか表示されていません。例えば、選択問題や、TRUE,
FALSE, NOT GIVENの問題では、設問を選択してはじめて、その設問の選択肢が表示されます。1つの設問を解いているときには他の設問の選択肢は表示されないため、「自分がNOT
GIVENを何回選んだか」など、他の設問への解答を確認しながら、バランスを見て解答を選ぶことができません。
2.2 CDIのハイライトとメモ機能について
ペーパーベースでは、本文や設問に下線を引いたり、書き込みをしたりする方も多いかと思います。コンピュータベースでも、ハイライトやメモ機能を使って同じことができます。ハイライトは明るく目立つので見やすいですね。ただ、ペン先読みのついでにマークやメモ書きができるペーパーベースと違い、パソコン画面では、「範囲選択」▶「右クリック」▶「Highlight / Notesの選択」▶「メモの場合は書き込み」という手順を取らなければならないためやや面倒です。そもそもこの機能を知らずに受験をしている人も多いですし、場合によっては利用しても操作に手間取って効率を下げてしまうことになるかもしれません。
3. ジェネラルの特徴
ジェネラルトレーニング3つのセクションで構成されています。セクション1と2では、日常に関する短いパッセージが2つずつ出題され、セクション3では長文が1つ出題されます。制限時間はアカデミック同様1時間、全40問です。短い文章の割合が大きく、日常的な内容が多いため、使われている英語も、アカデミックの方と比べると比較的に簡単になりますが、その分、文法や単語、その言い換えを正確に理解していないと解けない問題が多く出題されます。また、セクション3は長文のためアカデミックで出題されるパッセージとほぼ変わらない複雑な表現や文法が増えます。各セクションの傾向は以下の通りです。
3.1 セクション1
- 広告
- 施設の使い方
- スポーツクラブの紹介
- 取扱説明書
3.2 セクション2
- 仕事の求人
- 企業方針
- 契約書
3.3 セクション3
- 個人の伝記
- 社会問題
- ニュースや雑誌で取り上げられる話題
ジェネラルトレーニングの難易度が上がった!?
IELTSはその歴史の中で進化してきました。問題のフォーマット、難易度、質問の形式など徐々に変化し、信頼度の高い英語の試験として世界中で受験されるようになったのです。内容がどのくらい変わったのかは、Cambridge University Pressの出版している公式問題集の初期の問題を解いてみれば一目瞭然です。現在のフォーマットは随分以前に確立されましたが、ジェネラルトレーニングの試験内容と難易度は、実は、ここ10年くらいでも大きな変化がありました。
大きく変わったのは、セクション1とセクション2です。現在と同じくらいの分量(500ワード程度)の文章も出題されていたようですが、なかには広告のカードや簡単な表、料金リストのような、文章というよりはメモ程度のものもあり、ほとんど読む必要がなく、基本的な情報(料金、時間、場所、対象者など)を読み取るだけの問題も多くありました。「Cambridge
IELTS9」より前の公式問題集をお持ちの方はジェネラルの問題を見てみてください。以前のジェネラルトレーニングのリーディング問題はとても簡単な問題だったのがわかると思います。
しかし、近年ではそのような難易度の極端に低い問題は出題されません。文章量も、セクション1、2ともに300~500程度のものが出題されるのが通常です。
ジェネラルトレーニング試験の用途を考えると、近年、海外移住者が増えるなかで、英語でのコミュニケーションが取れないことによるトラブルを防ぐため、基準を徹底したのかもしれません。
IELTS講師が実際に解いてみて気が付く難しさの理由
難易度が高くなったジェネラルトレーニングのリーディングですが、実際に解いてみると、ただ英語の難易度が上がったというだけでなく、以下のような正解しにくい問題が多いことにも気がつきます。
- 正解しにくい問題(最近の出題傾向)
- 01難易度が高すぎる言い換え
- 02解答者の予想しにくいひっかけ問題
- 03探すのが非常に困難な些末な情報
ジェネラルの英語の試験としてはあまり意味がないのでは?と思ってしまうような細かい箇所が解答の鍵になることもあり、ハイスコアが必要な受験者を悩ませているところかと思います。
とは言っても、以前の簡単な問題では、アカデミックで7.0以上が取得できる受験者がジェネラルを受験した場合、高い確率で8.0以上が取れてしまっていたと思いますので、ハイレベルの受験者がアカデミックに比べて高すぎるスコアにならないように調整した結果なのかもしれません。
4. アカデミックの特徴
アカデミックでは、900ワード程度の長文のパッセージ3つ出題されます。
出題の分野は、研究、生物学、心理学、考古学など多岐にわたり、学術的な雑誌、新聞記事、書籍の内容が出題されます。特に、セクションごとに分野は固定されておらず、その時のIELTS試験の内容次第で取り上げられる分野も変わってきます。しかし、大きく分けて理系と文系の内容は1題ずつは出題されると思っておくと良いでしょう。
なお、パッセージ1は英語の難易度がもっとも易しい傾向にあります。ただし、パッセージ2、パッセージ3は英語の難易度も問題の難易度もどちらが上と決まっているわけではないようです。先に進むほど難易度が上がると言われることもありますが、実際には、自分の得意・不得意なテーマ、問題形式によって印象が全く異なりますので、パッセージ2、パッセージ3は同じくらいの難易度と考えておくのがいいでしょう。
先に進むほど難易度が高いと思い込んで時間配分をすると、思いもよらないパターンで出題されたりして困ることになるかもしれません。
セクション1〜3
- 研究
- 生物学
- 心理学
- 考古学
問題の難易度や傾向の変化
ジェネラルのリーディング試験はここ10年ほどでかなり難易度や傾向が変化しましたが、アカデミックのリーディングはほとんど変わっていません。それだけ完璧なスタイル、フォーマットが何十年も前に確立されたのですね。難易度も傾向も大きな変化はなく、難易度のバランスや微妙なムラがなくなってきた分、かなり洗練された試験になっていると言えます。
5. IELTSリーディングの正答数とスコア
5.1 ジェネラルの正答数とスコア
スコア | 正答数 |
---|---|
9.0 | 40問 |
8.5 | 39問 |
8.0 | 37〜38問 |
7.5 | 36問 |
7.0 | 34〜35問 |
6.5 | 32〜33問 |
6.0 | 30〜31問 |
5.5 | 27〜26問 |
5.0 | 23〜26問 |
4.5 | 19〜12問 |
4.0 | 15〜18問 |
3.5 | 12〜14問 |
3.0 | 9〜11問 |
2.5 | 6〜8問 |
2.0 | 4〜5問 |
5.2 アカデミックの正答数とスコア
スコア | 正答数 |
---|---|
9.0 | 39〜40問 |
8.5 | 37〜38問 |
8.0 | 35〜36問 |
7.5 | 32〜34問 |
7.0 | 30〜31問 |
6.5 | 26〜29問 |
6.0 | 23〜25問 |
5.5 | 18〜22問 |
5.0 | 16〜17問 |
4.5 | 13〜15問 |
4.0 | 10〜12問 |
3.5 | 8〜9問 |
3.0 | 6〜7問 |
2.5 | 4〜5問 |
2.0 | 3問 |
アカデミックとジェネラルの違い
ジェネラルトレーニングのリーディング試験はアカデミックに比べると理解しやすい内容のため、ハイスコアを取得するにはアカデミックよりも正答数が多く必要です。また、ジェネラルトレーニングの、セクション1、2は、以前に比べると非常に難易度が高くなりましたので、ジェネラルでも7.0以上のハイスコアは簡単ではなくなりました。
例えば、スコア6.0を目標としている場合でも、40問中30問を正解しなければなりません。つまり間違えてもいい問題の数は全体で10問です。もっとも難易度の高い長文のセクション3で、半分(7問)以上正解しても、セクション1、2では、各パッセージごと1問以下の誤答に抑えなくてはならないということです。これが、現在6.0あたりを目標とする英語中級者にとってはなかなかの障壁となっています。それ以上のスコアを目指している受験者は、セクション1とセクション2の失点を最小限に抑え、セクション3の長文でもしっかり特典できるように対策をしておくことが重要です。
同じスコアを目標とした場合、アカデミックはジェネラルトレーニングに比べると、少ない正答数で達成できます。ただし、アカデミックの問題は読み物としての難易度が高いため、全体的に難しく感じます。
ジェネラルでは基本的な単語や言い換えの正確な知識が求められるのに対して、アカデミックではざっくりとした内容理解でも解くことのできるマッチングタイプの問題が多く出題されます。必要スコアによってそれぞれに有利となるポイントが異なりますので、目的としてどちらの試験タイプでも良いという方は、単純にアカデミックのほうが難しいと考えるのではなく、どちらのほうが目標スコアが取りやすいかで判断するのが良いと思います。
リーディングの難易度
難しい問題を見分けるコツ
リーディングの難易度は高めであると説明しましたが、全ての問題が難しいわけではありません。アカデミックでもジェネラルでも、パッセージ1(セクション1)が比較的難易度が低いことが多いです。練習の中で難しい問題、セクションをを見極め、そのような問題には時間をかけすぎず、必ず取れる問題で点数を取ることが大切です。その時のパッセージにもより一概には言えませんが、比較的解きやすい問題タイプ、難しい問題タイプは下の表の通りです。
難易度の見分け方
- 比較的解きやすい問題
- 穴埋め問題 ・パッセージ1のTRUE, FALSE, NOT GIVEN ・ショートアンサー ・人物のマッチング問題
- 比較的難しい問題
- ・ヘッドラインマッチング ・インフォメーションマッチング ・選択問題 ・選択式の穴埋め問題
難易度の高い問題と言えど、リーディングの答えは必ず本文に存在しています。しかし、その証拠を時間内に探しきれるかどうかがIELTSリーディング試験の難しい所なのです。当然ながら、受験者の英語のレベル次第では、なかなか証拠を探しきれない問題もあるでしょう。その際に1~2分考え、分からない場合は、難しい問題であると割り切り、次の問題に切り替えることが大切です。あまり一つの問題に時間をかけすぎないようにしましょう。
8つの問題タイプとそれぞれの特徴
IELTS公式のリーディング問題タイプ
リーディングの問題形式にはいくつかタイプがあります。IELTSが公式ウェブサイトでは以下のように問題タイプを紹介しています。
こうしてみると、たくさんの種類の問題があることがわかります。しかし、それぞれ全て対して違った対策をしなければならないわけではありません。なかには、似たようなアプローチで解ける問題がいくつかあります。例えば、「note completion」「table completion」などはどちらも、本文中から問題の抜けている部分のに当てはまる言葉を探すといったアプローチが取れます。
PlusOnePointでは、その問題タイプの難易度、特徴をより実践ベースで捉え、独自のタイプ分けをしています。それぞれにどのようなプロセスで問題を解くのが効率的なのか?どのような点に注意すべきか?を考えて分類していますので、より実践で活用しやすい対策方法となっています。
IELTS公式のリーディング問題タイプ分類
- ・Multiple choice
- ・identifying information
- ・identifying the writer’s views/claims
- ・matching information
- ・matching headings
- ・matching features
- ・matching sentence editings
- ・sentence completion
- ・summary completion
- ・note completion
- ・table completion
- ・flow-chart completion
- ・diagram label completion
- ・short- answer questions.
PlusOnePointのリーディングの問題タイプ分類
- ・穴埋め問題
- ・TRUE, FALSE, NOT GIVEN / YES, NO, NOT GIVEN問題
- ・人物や国のマッチング問題
- ・ヘッドライン・マッチング問題
- ・インフォメーション・マッチング問題
- ・選択問題
- ・ショートアンサー
- ・センテンス完成問題
問題タイプ1. 穴埋め問題
穴埋め問題とは、本文から適切な単語を抜き出し、設問の文章の足りない部分を埋めて完成させる形式で、他の問題と比べると難易度の低い問題タイプです。ただ、一口に穴埋め問題と言っても、以下のように設問の種類はいくつかあり、それぞれに特徴や難易度が異なりますので、どのような問題なのか把握しておくといいですね。
- メモ・センテンスの穴埋め
- 設問は、箇条書きのメモや、センテンスの形式となっています。
パッセージ内でも特徴的な部分のみ抜き出されており、キーワードもわかりやすいため解答しやすい問題です。 - 表の穴埋め
- パッセージ中に登場する実験の内容と結果などが、表にまとめられています。表中でカテゴリーが分類されているため、解答が探しやすい問題です。
- 図の穴埋め
※名称の場合はラベリングとも呼ばれます。 - パッセージ中に登場する構造物や仕組みが簡単な図解となっています。
重要ポイントの説明が簡単に付け加えられており、穴埋めの問題となっています。構造や仕組みの一部の名称が問題となっている場合もあります。 - サマリーの穴埋め
- パッセージ中の一部の説明が、短く要約された文章となっています。
設問内でも読む部分が多いため、穴埋め問題の中では比較的難易度が高い問題です。 - 選択式の穴埋め
- サマリーの穴埋めのようなパッセージの内容の一部が短く要約された文章の穴埋めですが、穴に入る言葉を選択肢から選ぶ形式の問題です。本文の内容や言葉がパラフレーズされた選択肢を選ぶため、難易度が高くなります。
ワード数の制限
この問題は、設問のはじめのインストラクションに、CHOOSE TWO WORDS ONLY のようなワード数の指定があります。この指示を守らずに指定のワード数を超えて解答すると、不正解になりますので、十分に注意が必要です。
- Choose ONE WORD ONLY from the passage for each answer.
- (パッセージから1ワードのみを選んでそれぞれの問題に解答しなさい)
- Choose NO MORE THAN TWO WORDS from the passage for each answer.
- (パッセージから2ワード以内の単語を選んでそれぞれの問題に解答しなさい)
”NO MORE THAN〜”という表現は、「〜を超えてはならない、〜まで」という意味です。NO MORE THAN TWO WORDSなら、1ワードもしくは、2ワードまで解答として選択することができます。
このワード数の指定を見落とさないためにも、インストラクションにはアンダーラインを引いたり、丸印をつけたりしておきましょう。
穴埋め問題の解答は、名詞が90%!
穴埋め問題を解く鍵として、「設問の意味がわかること」はもちろん理想的ですが、実は「品詞と文法構造の特徴」が大きなヒントになります。
例えば、穴埋め問題の解答は、ほとんどが名詞です。設問の虫食いになっている部分にどの名詞が入るのかを確認するとはっきりと分かるでしょう。本文中で膨大な量の単語の中から解答を抜き出すのは大変な作業ですが、ある程度場所が特定できていて、名詞が入るとわかっていればどうでしょうか?
大抵の場合、解答はキーワードの近くで探す、というのが正攻法です。そして、「キーワードの近くにある、当てはまりそうな名詞」は限られています。あとは、当てはめてみて、1番意味が通りそうな単語を選べばいいだけです。このように「品詞」と「意味が通るかどうか?」で判断することができます。
また、穴埋め問題で注目すべき文法構造もあります。最も代表的なものが以下の2つです。
並列する2つ以上の単語(and / orに注目)
接続詞、and や orを用いて、並列する2つの単語が登場する場合で、どれか1つが解答となるのは、この問題の頻出パターンです。難易度の高い単語であっても、andやor、In addition to、Additionally、Another —など、並列した内容を並べている文法構造が大きなヒントとなります。
比較されている2つの物事(more — than —— / 比較級 than ——)
比較級を用いた設問も頻出します。解答となりやすいのは、「比較されている2つの対象のどちらか(名詞)」そして、「比較の内容(形容詞、または形容詞の比較級)」です。設問にて「何となにが比較されているか」と「比較されている内容」を読み取ることで解答は明らかになるでしょう。
問題ごとのタイトルがある場合はラッキー
問題用紙をみると、以下のメモの穴埋め問題例のように、問題ごとにタイトルが付いていることがあります。Difference between homeschooling and school education
Advantages of school education
- ・provides better 1…………………….
- ・is more 2……………………. than homeschooling
Advantages of homeschooling
- ・flexible 3…………………….
- ・suitable for 4…………………….
このような場合には、タイトル中のキーワードに注目すると、本文中で何を探したらよいか比較的はっきりと分かります。上の例の場合なら、タイトルの”difference”、”homeschooling”、”school
education”、”advantage”といったキーワードが目立ちますので、本文中でこれらを真っ先に探すことで、比較的すぐに解答の場所を見つけることができると思います。
特に穴埋め問題では、複数の解答が、パッセージ中のある場所にまとまって見つかることも多いですので、このようにタイトルのはっきりしたキーワードを使って場所を特定できる場合は大変有利です。ぜひ、問題自体のタイトルを確認してください。
問題タイプ2. TRUE, FALSE, NOT GIVEN(YES, NO, NOT GIVEN)
TRUE, FALSE, NOT
GIVEN問題(ここではTFNGと略します)は、IELTS特有のかなり独特な問題ですが、試験では毎回2、3セクションはこの問題が出題されるほど頻出してます。YES, NO,
NOT
GIVEN(ここではYNNGと略します)というよく似た問題もありますが、ほぼ同じ解き方ですので、このセクションではTFNGのみ紹介します。TFNGとYNNGの違いについては後のセクションで触れたいと思います。
基本的には、与えられた設問の文章が、本文中の内容と照らし合わせて、TRUE, FALSE, NOT GIVENのどれに当てはまるかを答える問題です。TRUE, FALSE, NOT
GIVENとは、日本語にすると以下のようになります。
- TRUE:if the statement agrees with the information(正しい=設問の情報が、本文中の内容と一致する)
- FALSE:if the statement contradicts the information(誤っている=設問の情報が、本文中の内容と矛盾する)
- NOT GIVEN:if there is no information on this(書かれていない=設問の情報は、本文中にはない)
キーワードで解答の書かれている場所を探す
この問題ではまず、本文中の、解答の書かれている箇所を探し出すわけですが、設問には比較的わかりやすいキーワードがありますので、本文中で該当の箇所を探すのもそれほど難しくはありません。キーワードを含む文と、その前後の文を確認すると、高い確率で解答が見つかります。ただし、この問題は細かな情報についての理解を問うものですので、解答するときは細かなニュアンスまで精読しましょう。設問、本文の内容をどちらも正確に読み取ることができれば、間違いのリスクが減ります。
基本は、解答の根拠を探すこと
TFNG問題の基本は、本文中にある解答の根拠を探すことです。 つまり、TRUEならTRUE(正しい)証拠、FALSEならFALSE(誤っている)証拠が本文中に書かれていますので、それを見つける事ができれば正しい解答だとわかります。NOT GIVENの場合は書かれていないことがわかれば正しい解答だとわかります。
解答
- TRUEの場合:本文中で、設問の情報が正しいという証拠が見つかった!
- FALSEの場合:本文中で、設問の情報が誤りであるという証拠が見つかった!
- NOT GIVENの場合:本文には、設問の情報については書かれていない!
「書かれていない」を見つける
解答がNOT GIVENの場合は、そもそもその情報がないのでキーワードが見つからないこともあリます。本文における解答の場所は、設問の順番どおりに登場しますので、次の設問の解答が登場する前にキーワードなどが見つからなければNOT GIVENである可能性が高いということです。もちろん読み飛ばしているリスクもありますが、このように設問の順番も解答のヒントにすることができます。
設問を読むときの注目ポイント
TFNG問題では、設問中の、以下のポイントが解答の鍵となることが多いですのでぜひ注目してみてください。
以下に、それぞれの注目ポイントを含む例題を用意しました。
- 1、比較の表現
The cherry tree has the biggest trunk of any living trees. (桜の木は現存する木の中で一番大きな幹を持っています。) - 2、形容詞、副詞
Cherry blossoms come out in damp conditions.(桜の花は湿った環境で咲きます。) - 3、数量や頻度を表したり限定するような表現
Only professional gardeners can prune cherry trees. (プロの庭師のみが桜の木を刈ることができます。) - 4、動詞と目的語
Scientists have developed a synthetic cherry blossom. (科学者たちは人工の桜の花を作れます。)
- 1、比較の表現
- 設問の中で、「Aは一番大きい」や、「AはBより大きい」など比較を表す表現がありましたら気を付けてみてください。上の例文1では、「the biggest (一番大きい幹)」のところにあたります。このような場合、本文で、「桜は大きな幹があります」とだけ書かれていて一番かどうかがわからないということがあったり、「桜は、杉の次に大きな幹があります」と一番の部分が否定されていることがあります。どちらの場合も、大きいという言葉が入っているため引っかかりやすいところです。
- 2、形容詞、副詞
- 状態を表す形容詞、動詞を修飾する副詞にも注意が必要です。上記の例文2でいうと、「damp(湿っている)」という部分です。本文では、「桜は暖かい環境で咲きます。」と湿度に触れていない場合や、「桜は乾いた環境で咲きます」といったように対義語が使われていることがあります。前者の場合はNot Given、後者の場合はFalseとなります。このように、本文では、設問の形容詞や副詞の箇所以外の内容が合っている、といったパターンは非常に多いです。
- 3、数量や頻度を表したり、限定するような表現
- 数量や頻度を表したり限定するような表現には、only, few, all, mostなどがあります。これらも上2つ同様、注意したいところになります。上の例文3では、「The only professional gardeners(プロの庭師のみが)」のところにあたりますね。この場合、本文の内容が設問で表している頻度や数量、または限定に当てはまるかを吟味してみてください。「桜の木を刈ることは、ガーデニングの未経験者でも簡単にできます」といった記述はFalse、また桜の木を刈ることに関する記述があれど、誰が刈るかが明確にされていない場合はNot Givenが正解となります。
- 4、動詞と目的語
- 上記の1、2、3に当てはまるものがない場合は、文全体の方向性を決める動詞と目的語が確認場所となります。例文4のような場合は、本当に科学者たちが人工で桜の花を作ることができるのかを読み取ります。
問題タイプ3. 人物や国のマッチング問題
IELTSのリーディングの問題には、色々な種類のマッチング問題があります。その中でも、人物や国のマッチング問題は、該当する記述と選択肢の人物または国を合わせるタイプの問題です。選択肢となるものが固有名詞である国名や人物名なので、本文中では大文字で記載されており、キーワードが比較的見つけやすくなっています。
アプローチとして、リストに出てくる人物をキーワードとして問題を解いていきます。また、設問のキーワードも2つ以上確認していると正確さが増します。本文を読んでいて、人物の名前が出てきたらリストにいる人物とマッチするかを確認ます。基本的に人物はリストの順番で本文に出てくる傾向があります。リストの人物マッチしたらその前後を読み込み設問の内容と近いものかを判断します。この際、設問の内容は本文で大きく言い換えられており、レベルの高い読解力が求められているものも多くあります。
また、‘ ’で囲まれているセリフや、that節以降から解答が得られることが多いです。
問題タイプ4. ヘッドライン・マッチング問題
ヘッドライン・マッチング問題とは、段落のタイトルとなる記述と段落をマッチングさせる形式の問題です。選択肢は、問題数よりも多めに用意されていることが多く、受験者を悩ませる問題の一つです。
人によって解き方は様々ですが、このタイプの問題は、各段落を読んだときにタイトルとしてふさわしい記述がどれであるかを探すアプローチが解きやすいでしょう。また難しい問題は消去法を使って選択肢を絞っていくことでも正解率が上がります。
ヘッドライン・マッチングを解く場合は、段落の全体像(要旨)だけで無く、段落の細かな部分に目を配ることで問題が解きやすくなります。段落全体のなんとなくの雰囲気で選んでしまうとミスをする可能性が高くなりますが、選択肢の言葉やフレーズが、段落の内容のどこを指しているかを一つひとつ確認することで正確性が上がります。
例えば、こんな問題を見てみましょう。
List of Headings
- ⅰ The pleasant outcomes that can result from being vegetarian
- ⅱ What teachers can say to encourage children to eat vegetables
- ⅲ A new discovery about vegetarianism
- ⅳ What science does not know about vegetarianism
- ⅴ Potential health related consequences of being vegetarian
- ⅵ Categorising types of vegetarians
- ⅶ Age groups that have the most vegetarians
- ⅷ Identifying those who are most likely to be a vegetarian
ⅰの選択肢を例にとってみていきたいと思います。ⅰは、「ベジタリアンになることによって生じるかもしれない喜ばしい結果」という意味です。本文を1つパラグラフを読んで、リストに戻り、まずはある程度当てはまらそうな選択肢を消していきます。そして、残った選択肢の中にiがあったとしましょう。ここからさらに1つに絞っていく上で、「この段落全体はベジタリアンになることによって生じるかもしれない喜ばしい結果みたいなことが書いてあるかな」といった形でなんとなく全体的にパラグラフを見るだけでは、選択肢を絞るのは至難の業です。その代わりに、段落に書いてあるポジティブな内容をいくつか見つけ、「喜ばしい結果」に当てはまりそうかどうか、また当てはまる場合それがベジタリアンになることからもたらされることなのか、というのを吟味する、といった形でフレーズ、単語にマッチする内容が本文で選べると正確性が大きく増します。
また、特に最初の2段落は解答しづらい傾向があります。これは、最初の2段落が特別難しいからではなく、本文が始まったばかりでパッセージの内容自体がうまく掴めていない段階で段落の趣旨を考えなければならないからです。なので、最初の方の解答が難しい場合、3段落目ぐらいから解答を始め、全体的なパッセージの内容が掴めた後に戻って解答することもできます。
近年、この問題形式は難易度が高まっていますので、しっかりと対策をしましょう。
問題タイプ5. インフォメーション・マッチング問題
インフォメーション・マッチング問題とは、問題として与えられたセンテンスがどの段落に書かれていたかを答える問題です。ヘッドラインマッチングが段落全体の見出しを聞かれているのに対し、この問題では、段落内にある具体的な情報を探していきます。他の一部の問題と違い、設問通りの順番に解くことはできません。
この形式の問題は、問題を読んでから、本文を読み、それぞれの記述がどの段落に書かれていたかを探すアプローチよりも、各段落を読んだときに列挙されている記述があったかどうかを確かめるアプローチの方がうまくいきます。
設問のキーワードをイメージしよう!
この問題は、キーワードが複雑に言い換えられていることが多く、本文で明確に見つけづらくなっています。問題文に出てくるキーワードは抽象的なものが多いので、具体的にどのように言われているのかというイメージを事前に持っておくと上手く行きます。
例えば、こんな文があったとしましょう。
- a reference to a habitat of a particular animal affected by human behaviour.
- (人間の行動によって影響された特定の動物の生息地への言及。)
この場合、本文中でhabitat, particular animal, affected, human behaviourといった言葉を見つけられることはほとんどありません。その代わり、具体的にそれが何かということで説明がされています。
上記の例のようなものの場合は、本文でこのように書かれている場所が該当します。
The offshore of the Antarctic seas, where Adelie penguins spend winter, was polluted due to the
drainage
from
the science base. (アデレードペンギンが冬を過ごす南極海域は、化学施設からの排水で汚染されました。)
直接問題文にある言葉は出てきていません。しかし、a habitat はthe offshore in the Antarctic seas、 a particular animal
はAdelie
penguin
、affected は was polluted、 human behaviourは drainage from the science base
といった形で、問題に出てきた各単語がより具体的になって出てきていることがわかります。この具体性、というところを問題を読んでいる段階でイメージできていると解答しやすくなります。
また、他の注意点として、NB You may use any letter more than onceと書かれている場合には、その段落の内容に一致する記述が2つ以上ある可能性があります。過去には3つあったこともありますし、逆に選ぶものがない可能性もありますので、注意しましょう。
問題タイプ6. 選択問題
選択問題には、シングル問題とマルチプル問題の2種類の問題形式があります。シングル問題は、質問に対する正しい答えを一つ選択する問題で、マルチプル問題は複数の答えを見つけ出す問題です。マルチプル問題例
Choose TWO letters, A-E.
Which TWO of the following statements are made in the text about Tokyo today?
- A The majority of residents do not use public transport to go around the city.
- B There is little possibility of the city getting new train rails.
- C More trips in the city are made by subway than by any other form of transport.
- D Banning motorcycles would benefit residents who use public transport.
- E The city has a reputation as a place that has a convenient public transport system.
最近のマルチプル問題は、解答場所が特定できると、解答するのは比較的易しくなります。明らかに違う選択肢を消去して行くことでより正確な解答ができることがあります。また、設問の選択肢は本文で言い換えられているので、単語レベルで言葉を見つけるのでは無く文全体を理解して解答するのが大切になります。解答は、同じパラグラフから複数見つかることもあれば、別のパラグラフから見つかることもあります。同じパラグラフから見つかる場合は比較的解きやすくなりますが、離れている場合は、解答場所の特定が困難になります。後者の場合、設問のキーワードに当たる内容が書かれている箇所を一つひとつ確認する必要があります。
シングル問題例
27 What is the writer suggesting about home schooling in the first paragraph?
- A People’s response towards this can vary considerably.
- B A great number of parents have already been doing this to their children.
- C It is a more successful education style than school.
- D The advantages are not as significant as people believe them to be.
最近のシングル問題ですと、上記のような「1段落目からわかる筆者の主張はどれでしょう?」といった問題が増えています。このような問題は、まるで国語の現代文のように、本文に直接答えが書いておらず、書いてあることから答えを推測しなければなりません。文章中から答えそのものが抜き出せないために非常に高い読解力が必要となります。内容を把握せず単語ばかり追っていると、ひっかけの選択肢を選んでしまいかねませんので、段落全体の流れから答えを判断するようにしましょう。またこのタイプの問題は、明らかに違う選択肢なども多く用意されています。消去法で2つに選択肢を絞り、より適切な方を選ぶアプローチが解きやすいです。
問題タイプ7. ショートアンサー問題
ショートアンサー問題とは、短い質問に対して、本文から答えを特定する形式の問題です。他の問題形式と比べると、出題頻度は非常に低いと言えます。
穴埋め形式の問題同様、NO MORE THAN THREE WORDS
といった語数の指定がありますので、その指示を守って解答しましょう。解答は、本文に直接書いてありそこから抜き出します。この形式の問題では、質問にヒントとなる単語が含まれているため、その単語に関連する部分を本文から見つけ出せると、素早く問題を解くことができます。解答が、設問の疑問詞に答える形になっているか、というのを必ず確認してください。
設問のキーワードがわかりやすいことが多いので、難易度は比較的易しめと言えます。しかし、解答箇所が本文中でまとまっていない場合に、その場所を見つけるのが少し困難となります。解答箇所がすぐに見つからなくても焦らず、キーワードが見つかるまで読み進めていくことが大切になります。
問題タイプ8. センテンス完成問題
センテンス完成とは、途中で切れている質問文の続きを選択肢から選ぶことで文を完成させる形式の問題です。
過去のものに比べると、選択肢の数が減り選びやすくなっています。また、問題数もあまり多くないことがほとんどです。問題文を読む際は、質問文のキーワードを選んでおきましょう。また、事前に選択肢の内容を確認しておくと、万が一質問文のキーワードを本文で見過ごしてしまっても、選択肢の内容が見つかって解答ができるということもあります。また、事前に選択肢を確認することで質問文から内容的に明らかに続かない文を消去することもできます。
こちらも、他のものと比べると出題頻度は低いです。また、その時の問題によって難易度に大きな差があります。全体的にパッセージ2以降の出題が多く、中上級者向けの問題と言えます。
基本の勉強方法
初級から上級まで レベル別学習の進め方
IELTSのリーディングの問題は難易度が高く、初心者ではそもそも読むのすら難しい、と感じている方が多くいるようです。しかしそれは誤解で、40問の問題の中には簡単なものから難しいものまで様々な難易度の問題が散りばめられています。IELTSは英検のようにレベル別に試験があるのではなく、様々なレベルの受験者が同じ問題を解きますので、簡単な問題ばかりになったり、難しい問題ばかりになったりしないように作られているのです。解きやすい問題ばかりでは、ハイレベルの受験者が全員満点近く取れてしまいますし、逆に難しい問題ばかりでは初級者の英語レベルを測ることができません。
どうしても、難しい問題や難しい単語が特に目立ってしまうため、難しそうに見えるのは当然ですが、実際には簡単な問題まで十把一絡げに「難しい」と思いこんで手が出せずにいるのは非常にもったいないことです。多くの人がIELTSリーディングは難しいと感じるのは、実は、パッセージが長いことと、そしてIELTSリーディングの独特な問題の解き方を知らないことが原因です。
IELTSリーディングに前向きに取り組むために、「IELTSリーディングは難しい」という先入観を捨て、「IELTSリーディングには、非常に難しい問題がある(が簡単な問題もある)」という理解に置き換えてください。そのうえで、現在の自分のレベルと目標スコアまでの差を見極め、段階的に練習を進めていくことが重要です。
初心者の学習の進め方
使用する教本は、できるだけ簡単なものを選びましょう。はじめは解説や解き方のポイントが入った日本語のものでもOKですが、日本語の教本は中級レベル以上を想定して書かれていることも多いので注意が必要です。できるだけ早めにCambridge University出版の公式問題集を導入し、パッセージ1だけを練習に使って実際の問題に慣れるのがおすすめです。
可能であれば、IELTSのスクールなどを利用して解き方のプロセスを習い、プロセスに沿って解答に辿り着く経験をすると、効率的に「自分で解く」力が身につきます。また、スクールでは簡単な問題を選んでもらったり、わからない箇所を直接聞けるので、自信を失ったりすることなく練習を続けることができます。この段階では、わからない問題があって当たり前、最後まで解けなくて当たり前ですので、わかる問題を少しずつ増やしていくことを意識しましょう。練習したいけど、ほとんどの設問の意味がわからないという方は、予習をしましょう。設問の意味をあらかじめ調べておき、「何を聞かれているのか」理解してから、問題を解く練習をすると、格段に解きやすくなります。
慣れたらパッセージ2、パッセージ3も徐々に練習に取り入れたいですが、本文の難易度が上がりますので「意味がわからないところが大部分でも、解答ができればOK」と思って、問題のタイプや解き方を学びつつ、解答欄をできるだけ埋める努力をしましょう。 理解できないところが多くても、なんとなくしかわからなくても、15問〜22問正解できるようになればスコアは5.0~5.5です。さらに高いスコアが必要な場合は、中級レベルの練習を取りれていきましょう。
中級者の学習の進め方
問題の解き方にも慣れてきた。なんとか20問くらい取れるようになってきた。しかしその上のスコアになかなか届かない…。そんな方は、もう一歩理解を深めながら練習することが必要です。予習または復習をする際に、できるだけすべての設問の意味を、しっかり理解できるように調べましょう。
このレベルの学習者は、なんとなく理解している部分を、確信に変えていくことが、英語理解の向上に繋がります。その中でも、設問にて聞かれていることを正確に読み取ることは非常に大切です。なぜなら、設問を誤解してしまうと、100%正確な正解にはたどり着けないからです(なんとなく正解はできるかもしれませんが)。また、復習にて、解答の根拠を探し、そうだったのか、と「納得する」経験を積み重ねましょう。地道な作業ですがこのひとつひとつの理解が積み重なって、リーディングだけではなくその他の科目にも役立つ幅広い英語力に繋がります。
上級者の学習の進め方
7.5や8.0以上のスコアを目指す上級者の方は、もうすでに自分の学習方法を確立できているかもしれません。ある程度の基礎力が身についたら、基本的には自分にあったやり方で進めていくことがおすすめですが、それでもスコアが伸びにくいと感じている方は参考にしてみてください。
まず、試験本番で7.5以上のスコアを取得できるようになるためには、練習では39問〜40問、つまりほぼすべての設問の解答根拠を理解していることが理想です。試験環境では数問間違えるかもしれないが、落ち着いて読めば、理解できる英語力があるということです。ですので、復習ではしっかりと解答根拠を探し、曖昧な理解で終わらせる箇所をなくしておきましょう。英語理解は繰り返し問題を解き、復習をすることで必ず向上します。もしも正確な理解に自信がない場合は、スクールやコミュニティなど、質問できる環境を作ることも大切です。
その上で、ではなぜ間違えたのか?ここに焦点を当てて対策を立てることが重要です。自分の間違いやすい、ミスを起こしやすいポイントはどこだろうか?時間配分は適切だろうか?というように、時間内に十分な正答数を得るために自分に足りていないことを考えてみてください。
英語の理解、設問や本文の効率的な読み方(解答の場所の探し方)、簡単な勘違いをなくす、最後のパッセージで焦らないための、時間配分や時間の使い方の見直し、など、人によって様々な課題があります。自分がフォーカスすべきポイントを理解して練習を続けてみてください。
勉強方法 Tips6選
- 勉強方法 Tips6選
- 1. 復習にかける時間は1時間まで?
- 2. キーワードを駆使して素早く解答の場所を探す!
- 3. 段落の要旨をつかむ練習
- 4. センテンスの骨子を素早く抜き出す練習
- 5. TRUE, FALSE, NOT GIVENに強くなる!
- 6. 英語で読むスピードをあげるための練習
Tips1. 復習にかける時間は1時間まで?
リーディング、リスニングのようなインプットの科目では試験形式の問題の反復練習が非常に重要です。反復練習と言っても、ただ繰り返し問題を解くのではなく、問題を解いたら復習し、わからない箇所を調べて理解できるようにすることが必須でしょう。
ただ、1つ、注意しなければならないのは、復習に時間をかけ過ぎないことです。1回の復習ですべてを理解しようとすると数時間をかけることになってしまいますが、数時間かけてすべての解答を確認しても、その1回ですべて覚えられるわけではありません。せっかく苦労して復習しても、数日して忘れてしまったら時間がもったいないですね。「自分は記憶力が悪くて…。」とか「復習してもすぐに忘れてしまうんです…。」という悩みはよく聞きますが、これは個人的な能力によるものではありません。一部の特殊な能力の人を除き、忘れて当然なのです。人間の記憶のプロセスは、一回の復習でたくさんの内容を理解して覚える、というものではないからです。
本文の中に、分からない単語、文法構文がたくさんあっても、全て調べて覚えようとしては永遠に復習は終わりません。1日費やしてようやくすべて精読できたとしても、最初に復習した箇所を忘れるというような本末転倒な自体になりかねません。
ではどのように記憶していくのが有効かというと、少しずつポイントを絞って理解すること、そして何度も出会うことです。これを踏まえ、さらにIELTSリーディングの復習では以下のポイントを意識することがおすすめです。
復習のポイント
- 復習のポイント
- ・自分がわからなかった箇所のなかで、もう少し調べたらわかりそうな問題をピックアップして取り組みましょう。ピックアップするのが難しければ、適当に気になる問題を選んでも構いません。
- ・復習は30分程度にしましょう。長くても1時間までとしておくと良いかと思います。初心者の方は復習よりも予習が大切です。
- ・何度も同じ問題に挑戦しましょう。前回の復習が身についているか確認しながら解き、次の課題を克服するために復習の時間を使います。反復練習は解答を覚えてしまっていても非常に有効です。解答がなにか?が重要なわけではありませんので、解答に至るプロセスが理解できているかどうか?自分の課題は克服できたか?という点を確認しながら練習してみてください。
Tips2. キーワードを駆使して素早く解答の場所を探す!
リーディング試験では「早く読むこと」だけが時間を短縮する方法ではありません。むしろ、試験対策としてテストスキルを身に着け、「短時間で解答の書かれている箇所を特定する」ことが重要です。重要な箇所だけを素早く見つけて読むことで、重要でない箇所を何度もじっくり読んだりして時間を無駄にせずに済むようになります。このように、効率よく解くためには、何をおいても「キーワード」が重要です。
リーディング試験では、キーワードとなる単語が、似た意味を持つ単語に言い換えられています。このような言い換えのことをパラフレーズと言います。リーディングの問題を解く時に、問題文に書かれている単語がそのまま文章中で見つけられるとは限りませんので、パラフレーズされた箇所を特定できる力が必要です。
設問を読むときには必ず、キーワードをチェックして、本文中でパラフレーズされた箇所がないか気にかけながら読むようにしましょう。
キーワードとパラフレーズされた箇所を特定するためのヒントを以下にまとめておきます。
- キーワードとは?
- キーワードは、その場面でしか登場しないであろう、特徴的なワードや表現です。どこにでも出てくる単語ではなく、重要な意味を持ったワードに注目しましょう。
- キーワードは必ず2つ以上の組み合わせで探す
- 重要なワードと言っても、そのパッセージ全体で重要であれば、どのパラグラフにも登場するワードとなります。2つ以上のキーワードの組み合わせが同時に登場する箇所が見つかれば、ほぼ確実に解答が見つかる箇所とわかるでしょう。
- 設問のキーワードは抽象的、本文中では具体的な説明となる場合がある
- 設問の単語やフレーズは、本文中では殆どの場合より具体的に説明されています。例えば設問のキーワードが「health problems(健康問題)」の場合、本文中では 「athma, headache(喘息、頭痛)」などがパラフレーズになります。
- 上級者はキーワードだけでなく、状況をイメージできるとなおいい
- 上級者や、慣れている方は、状況や場面をイメージすると、回答の場所は特定しやすくなります。やや高度な読み方ではありますが、設問からも、いつ、どこで、誰と、誰が、何をしているのか?読み取ることができますので、どんな場面について書かれているのか想像していると、本文中でその場面に差し掛かったときに「ピン!」とくるでしょう。
Tips3. 段落の要旨をつかむ練習
IELTSのリーディングでは、文章をさっと読んで、要旨を掴むスキルが必要です。このようなスキルに自信がない方も、試験対策として、このようなテクニックを身につけるように練習していきましょう。
段落の要旨をつかむ練習として、まず始めに、自分がストレスを覚えないくらいの長さのパラグラフを用意します。これは、IELTSの過去問題でもいいですし、英語の新聞や雑誌、本、インターネットからの抜き出しなどでもかまいません。そのパラグラフを一読し、文章から目を離します。そこで、このパラグラフには何が書かれていたのか自問自答してみましょう。
実はこの方法を実践されてみると分かると思いますが、文章を受身で読んでいるだけでは、なかなか答えられません。インプットした文章を自分の言葉で再構築する力が必要だからです。そうするためには、意味を取りながら文章を読み進めるトレーニングをしなければいけません。
内容の意味を取りに行くスキル鍛えるために、日々の学習では、一度パラグラフを読んだ時に、何%程度内容を理解できているか考えてみましょう。それが10%くらいでしたら、もう一度読んだ後に、何パーセント理解が深まったのか考えてみてください。一読で40%くらい理解できるになるとかなり高スコアに繋がってきます。
Tips4. センテンスの骨子を素早く抜き出す練習
パッセージを読んでいると、文章が長くて理解に時間がかかってしまうものがあると思います。そのような文章を見つけた時には、センテンスの骨子を抜き出して内容を理解してみましょう。センテンスの骨子を抜き出すということは、文章をパーツごとに分解することを意味します。このように文章を分けて理解することで、効率的に内容を把握することが可能です。例文を参考に、実践してみてください。
例
このような複雑な文章をすぐに理解するために、関係代名詞、前置詞、接続詞に注目しながら、意味ごとのパーツに区切ってみましょう。
↓
Less than three years ago, /doom merchants were predicting/that the growth in video games and the rise of the Internet/would sound the death knell/for children’s literature.
その後、分解した文章ごとに意味を把握していきます。なお、修飾語については意味が理解できなくても、内容把握には大きな影響はありませんので、重要な点にフォーカスを当てて理解していきましょう。
↓
このように文章を分けて理解していくと「販売業者はゲームやインターネットの普及が児童文学にとって死の宣告に聞こえるだろうことを予期していた」という内容を、しっかりと読み取ることができます。ぜひ、実践してみてください。
Tips5. TRUE, FALSE, NOT GIVENに強くなる!
この文章を読んでいる方は、きっとTFNGやYNNGが苦手で、失点しやすい問題だと感じている方でしょう。実際多くの方が、この問題の難易度の高さに苦戦しているようです。ではなぜそんなに難しいのでしょうか?そしてなぜ間違えてしまうのでしょうか?
このセクションでは、TFNG(YNNG)問題の難しさを改めて究明し、理解を深めていきましょう。
TRUEとは?FALSEとは?NOT GIVENとは?(上級者の見分け方)
- TRUE:if the statement agrees with the information(正しい=設問の情報が、本文中の内容と一致する)
- FALSE:if the statement contradicts the information(誤っている=設問の情報が、本文中の内容と矛盾する)
- NOT GIVEN:if there is no information on this(書かれていない=設問の情報は、本文中にはない)
TRUE, FALSE, NOT GIVENそれぞれの意味は、IELTSリーディングの問題形式のセクションで、上のように紹介しました。ただ、この問題は、基本的には「本文」という絶対的な情報に対して、設問の情報が正しいのか誤っているのかを問う問題ですので、単純に「同じ」「違う」「ない」で見分けてしまうと失点のリスクとなります。ぜひこの機会に有効な見分け方を覚えてみてください。
また、NOT GIVENには、2つの見方があります。
1つ目は、「書かれていない」場合です。その設問の情報についての記述がなく、わかりやすい場合はやキーワードにすら触れられていません。これはわかりやすいNOT GIVENです。
2つ目は、「キーワードがあるのに、設問の情報が、正しいのか、誤っているのか、本文を読んでもわからない」場合です。どちらの証拠も見つけることができないのですね。
この場合は、「設問の情報があるように見える」ことが大きな問題です。設問と本文を対等な関係で見るのではなく、常に、設問の情報の真偽を問う姿勢で問題と向き合えば、多くの失点を防ぐことができるようになるでしょう。
それでは、判断を間違いやすい例題をいくつか見てみましょう。
逆の視点で書かれるTRUE
本文:この学校では、「源氏物語」を全巻読んだ学生は数名です。
(「源氏物語」は全員必ず読む前提があります)
TRUEはもっともわかりやすいので、これはそれほど難しくはないですね。ただ、「同じ・違う」だけで見ていると、このように逆の視点で書かれたとき「なんとなく全く違うことが書かれているように見えてしまう」ので、FALSEを選択してしまいやすい問題でもあります。
「全員が『源氏物語』を読んでいる」、前提で、「『源氏物語』を全巻読んだ学生は数名(本文は絶対的な情報)」ということは、この数名以外の「ほとんどの学生」は、「全巻読んでいない」=「特定の部分だけを読んだ」となるわけです。
FALSEか、NOT GIVENか?
本文:エドワード・ブラウン氏はその著書「山猫とともに生きる」の中で読書にこうアドバイスしている。「キッチンで餌を食べていても山猫は山猫です。彼らなりの生き方があることを忘れないように」
このように同じ固有名詞が登場し、似たようなことが書かれている場合、「ない」ように見えないので、素直にTRUEかFALSEで考えてしまいがちです。そこから、「山猫のコミュニケーション」と「読者へのアドバイスの内容」は「違う」のでFALSEと解答してしまうのですが、これが落とし穴です。
「本文」という絶対的な情報に対して、設問の情報が正しいのか誤っているのかを問う、という観点から考えてみましょう。
本文:エドワード・ブラウン氏はその著書「山猫とともに生きる」の中で読書にこうアドバイスしている。「キッチンで餌を食べていても山猫は山猫です。彼らなりの生き方があることを忘れないように」
ここまでが本文に書かれていることです。では、設問の情報が正しいのか検証してみましょう。
本文中に、
〜と説明されている証拠がある → TRUE
〜と説明されていない証拠がある → FALSE
〜と説明されているのか、説明されていないのかわからない → NOT GIVEN
これではっきりわかると思います。NOT
GIVENですね。本文では「山猫とともに生きる」の一部を紹介しているだけですから、その他に何が書いてあるのかはわかりません。つまり、山猫のコミュニケーションについての説明が、その本の中にあるのかないのかわからないのです。
これが、TFNGを「同じ」「違う」「ない」で見分けてしまうことのリスクです。
TFNG問題では「設問の肯定文の真偽を問う」という視点を忘れないようにしましょう。
<練習問題>
本文:Play develops children’s language skills.(遊びは子供の言語の能力を向上する。)
もう簡単にわかりますね。シンプルですが、先程の山猫の問題と同じです。「算数」と「言語」が「違う!」ところに注目すると、FALSE を選んでしまいます。本文中に言語能力が向上すると書いてあるとからといって、必ずしも算数が向上しないことにはなりませんので、本文の情報からでは判断できない、つまり NOT GIVENが正解です。
3段階の理解度でわかるTFNG失点の原因
さて、ここからは、それでもやっぱりTFNGが苦手だ!という方のために、TFNGで失点する原因を段階的に3つ紹介しますので、実際に、自分がなぜ間違えたのか考えるためのヒントにしてください。
- 原因1. 場所が特定できていない
- 「全く違う場所を読んでいた!」という方は、解答の書かれている場所を特定する練習が必要です。質問のキーワードと本文中のキーワードをピックアップし、関連付けることが苦手なのかもしれませんね。「キーワードを探す練習」という次の項目でキーワードを探す学習方法を提案していますので、そちらの内容を参考にキーワード特定の練習をしてみましょう。
- 原因2. 場所は特定できているが、英語の内容が十分に理解できていない
- 「場所はあっていたけれど、意味が理解できてなかった!」という方は、そこに書かれている英語の内容、もしくは設問の英語が十分に理解できなかったことが原因です。焦る気持ちはわかりますが、この問題は細かい内容を問われるので精読が必須です。1つでも読み間違えると失点につながるので最新の注意をはらいましょう。読み間違えたら、必ず復習して正確に理解することを積み重ねましょう。また、文章の理解度を高める練習として、前述したセンテンスの骨子を素早く抜き出す練習をしてみることをおすすめします。
- 原因3. 場所が特定でき、内容もある程度理解できているが、解答の判断が誤っている(問題の性質理解)
- 「「なぜこの問題の解答が〇〇なのかわからない。。」と首をひねっている方は、問題の性質を誤解しているかもしれません。場所も特定できており、設問も本文も完璧に理解できるにも関わらず、正解できないということは、解答の判断方法が間違っているわけです。FALSEとNOT GIVENの区別がつかない方もこれが原因ですね。先に示したTRUE, FALSE, NOT GIVENの見分け方を参考に練習してみてください。
TFNGとYNNGの違い
TFNGと同じ形式の問題で、選択肢がYES, NO, NOT
GIVEN(ここではYNNGと略します)の場合もあります。問題の解き方などはほとんど同じですので気にしなくても問題は解けますが、出題の意図は少し異なります。
一言で違いを述べるなら、TFNGは本文中の「事実」に注目するのに対して、YNNGでは「作者の主張や考え」に注目しています。YNNGの選択肢を日本語で示すと、以下のようになります。
YNNG
- YES:if the statement agrees with the claims of the writer(肯定=設問の情報が、作者の主張と一致する)
- NO:if the statement contradicts the claims of the writer(否定=設問の情報が、作者の主張と矛盾する)
- NOT GIVEN:if it is impossible to say what the writer thinks about this(書かれていない=本文からは、作者がこれについてどう考えているのかわからない)
注意点としては、YNNGの場合は、本文中で解答が読み取りにくい可能性があるということです。リーディングの試験なので、「読めばわかること」として文脈の中に全く異なる表現で書かれていたりします。そのような設問は珍しいですが、中には難易度の高いものもあります。
Tips6. 英語で読むスピードをあげるための練習
リーディングは時間との勝負です。1時間で3つのセクションを終わらせるためには、1つのセクションにかけられる時間は最大でも20分間です。この時間内で、問題を解き終わらせるために次の2つの練習方法を試してみましょう。
・カウントアップ方式
・カウントダウン方式
まずは、カウントアップ方式のトレーニングからスタートします。必要なものは、ストップウォッチ、もしくは、スマートフォンについている時計でも構いません。カウントアップ方式では、ストップウォッチを0:00からスタートさせ、問題を解いていきます。問題を解き終わった時点で、タイムを確認し、そのタイムを記録します。この際、20分の時点でアラームを鳴らす必要はありませんので、最初のうちは20分をオーバーしても構いません。あまり時計を見ないようにして、問題を解くことに集中しましょう。
問題を解き終わった時点で、大幅に20分を超えてしまっていた場合は、次回からもう少し速く解くために、時間のかかってしまった問題を確認しましょう。逆に、解答時間が18分未満であった場合で、正答率が低かった方は、もう少し一つの問題に時間をかけて解くようにしてみましょう。
カウントアップ方式による練習を繰り返していくと、おおよその時間の感覚というものが身についてきます。ある程度、時間の感覚が身につき、1つのパッセージの解答にかかる時間が安定してきたら、カウントダウン方式を取り入れてみましょう。このトレーニングでは、ストップウォッチを20:00からスタートし、20分経過した時点でアラームを鳴らします。アラームが鳴った時点で解答をやめます。この練習方法を何度か重ね、その中で全問解けなかったかった場合が何度も続くようであれば、リーディングのスピードをもう少し上げる必要がありますので、もう一度カウントアップ方式のトレーニングに戻り時間の感覚を身につけてみましょう。
IELTSリーディングの3つの解き方
IELTS対策としてのスキミングとスキャニング
リーディングには、スキミングとスキャニングいうテクニックがあります。どちらも一般的なリーディング練習では効果的ですが、IELTSで使うには注意が必要です。
まず、スキミングは速読みが要求される上級者向けのテクニックですので、すでにハイレベルの学習者で効果的に使えるのであればおすすめですが、ほとんどのIELTS学習者にとっては逆効果です。スキミングを試しても、結局文章の内容を把握できず、どの部分に答えがあるのかも目星がつけられず、余計に時間がかかってしまい正答率を下げてしまうリスクのほうが大きのです。スキミングは2分程度で1パッセージ(900ワード)程度を流し読みする技術ですので、その間に得られるものがなければ時間の無駄になってしまいますし。そもそもスキミングをしようと思ったら5分以上かかるという場合は問題を解く時間が短くなるだけ損ですね。
安心してください。IELTSリーディングでは、実はスキミングは必要ありません。スキミングができなくても十分に8.0も9.0も目指すことができます。読むスピードも滑舌の良いアナウンサーが丁寧にしゃべるスピードで理解するくらいでも問題ありません。さっと読む、素早く読むよりも、しっかりキーワードを探して場所を特定するスピードを上げたほうが効果的です。重要な場所で、ゆっくり丁寧に読むために、その他の対策方法を効率的に使うわけですね。
しかし、スキャニングは、IELTSでは必須テクニックです。実は、IELTSを解いていれば、もうみなさんすでに実践しているはずです。スキャニングとは、キーワードをもとに、探している内容の書かれている場所を特定するスキルです。IELTSリーディングを実践していれば、設問のキーワードを拾って、本文中に探しに行きますね。これがスキャニングです。素早く年号や人名を探して印をつける、このスキルは、IELTSの初級者から上級者までぜひ高めておきたいスキルでもあります。
パラグラフリーディングのIELTSへの応用
IELTSに慣れてきた中級者以上の方は、パラグラフリーディングのテクニックを試してみましょう。
パラグラフリーディングとは、パッセージを段落ごとに読んで理解していく方法です。IELTSに応用する場合、1つのパラグラフで解ける問題は、問題の種類に関わらずすべて一度に解答してしまいますので、非常に時間効率のよい解き方ができます。
IELTSの問題は1パッセージに2、3種類の問題形式が出題されますが、必ずしも設問の順番通りに1種類ずつ本文中に登場するわけではありません。
例えば、ヘッドライン・マッチングの問題は各パラグラフ(またはセクション)に小見出しをつけていくマッチング問題ですので、当然各パラグラフで1問ずつ配置されています。しかし、TFNGや穴埋め問題は、1〜2パラグラフにまたがって集中的に登場するのが特徴です。
このため、問題の種類ごと、順番に解いていくと、ヘッドラインマッチングを解いて最後辺りまで読んだ後に、改めて本文をまた戻ってTFNGの場所を探さなくてはなりません。この2度読みが、時間のロスにつながってしまい、さらに、順番を前後しながら読むためパッセージ全体の内容がや進行が読み取りにくくなってしまいます。パラグラフリーディングをIELTSに応用すると、この「また戻って読む」ことを極力減らすことができます。また、パッセージの進行どおりに解答するため、読みながら納得できる箇所が増えていきます。
パラグラフリーディングを使った解法プロセス
- STEP1.
- 設問を確認し、はじめに登場する可能性のある設問を注意して読んでおきます。問題は種類別に「設問の順番通りに登場する」、「固まって登場する」など特徴がありますので、順番に注目し、どのような問題があるのか確認しておいてください。
- STEP2.
- パラグラフ1を読んで、細かい問題(TFNGや穴埋め問題)を解きます。パラグラフの全体をざっと読んで、細かい問題のキーワードがないか探します。あればその場で解きます。
- STEP3.
- 同じパラグラフ内で、大まかな要素を聞かれる問題(ヘッドライン・マッチングや選択問題)を解きます。細かな内容を解いた後なので、全体の内容が読み取りやすくなっているはずです。また、重要ポイントも細かな問題の中に含まれているためすでに読み取れている場合もあります。
- STEP4.
- パラグラフ1で解けるすべての問題が終わったら、パラグラフ2に進み同じことを繰り返します。(ただし、難しくてわからない問題や、時間がかかりそうな問題はとりあえずの解答を入れるか、マークだけして進んでOKです。時間があれば、後で戻ってさらにじっくり読んで解答します)
- 注意点
- IELTSの問題に慣れてきた人向けのテクニックです。IELTSリーディングの問題の特徴を知れば知るほどこの手法の利点が活きてきますが、デメリットとして、慣れていないとそれぞれの問題を同時に見ていくことが難しく感じるかもしれません。初級者の場合は無理にこの手法を取り入れないほうが解きやすいでしょう。上級者の場合は、慣れてくれば時間効率が格段に良くなるはずです。
リーディングの読み方に「正解」はない
パラグラフ・リーディング、スキミング、スキャニングのテクニックが効果的に使えるかどうかは自分の英語力によるところでもあります。使えそうな部分を組み合わせて、自分なりの方法を編み出すことで、より効率のいい問題の解き方が実践できるのではないでしょうか
リーディングには、絶対的な読み方の方法という正解はなく、読み方には個人差があるものです。特に、IELTSリーディングは、文章全体の内容は理解する必要はありません。最も重要なポイントは制限時間内で、正答率を高めることですので、先に説明した2つの手法の使いやすいテクニックを合わせたり、色々なリーディングのテクニックを試したりしながら、自分のパフォーマンスが最も発揮できる方法を探すことが大切です。
試験を受ける前に是非知っておきたい3つのこと
全体像をつかむ意識を持とう
英語のパッセージを読む際、一語一句の単語にフォーカスを当てて文章を読んでしまってはいませんか?
そのように読み進めてみた結果、結局何が言いたかったのか分からなかったという経験はありませんでしょうか?
そういった経験がある方は、パッセージの全体像を意識した読み方ができていないと言えます。パッセージ2のマッチング問題やパッセージ3のリーディングでは全体の内容を掴み取ることが重要ですので、その意識は常に持っておいてください。
しかし、文章を読んでいると、どうしても単語を追ってしまうだけの読み方になってしまうこともあるでしょう。。そのため、全体像を掴む意識を高めるトレーニングとして、150語前後の段落を1分前後で読み、本文を見ずにどのような話しの流れであったか再現する練習を日々の学習に取り入れてみましょう。そうすることで、単語を追う読み方から全体を理解する読み方へと変わってきます。
リーディングの時間配分を徹底しよう
リーディングの問題は、パッセージ3が最も難しく、長めの文章が出されますので、パッセージ3に時間を多めに割くことで正答率を高めることができます。単純に計算すると、1つのパッセージにかけられる時間は20分間ですので、20分を目安に1パッセージを解くようにしましょう。特に初心者〜中級者は、簡単なパッセージで確実に自分のわかる問題を得点することが重要です。簡単だからといって急いで解くと、しなくても良いミスで失点する可能性があります。このレベルの方は、逆に難しいパッセージではあまり時間をかけてもそれほど正答率は上がらないため、しっかりと問題を見極めながら安全に時間内で効率的に得点することを心がけましょう。
上級者の方は、パッセージ1は20分もかけずに正確に解答することが可能です。凡ミスに注意しながらも早めにパッセージ1を解くことができれば、パッセージ2以降の難しい問題により時間をかけることができますので、難易度の高い問題を正解できる可能性が高まります。それでも、焦りや読み飛ばしによるミスは大敵ですので、すでに7.0が取れているハイレベルの方でも次のような時間配分を目安にしておくのが良いでしょう。
時間配分を目安
パッセージ1:15-18分
パッセージ2 :20+分
パッセージ3:20+分
日々の練習の中で、時間を測った練習を何度も繰り返しながら、自分自身に合うベストな時間配分を見つけ出し、その時間配分で本番のIELTS試験に臨みましょう。
時間を気にしすぎないようにしよう
IELTSのリーディング試験は時間との勝負ですが、時間を気にしすぎて集中できない状況に陥ってはいけません。中には、時間が気になってしまい5分おきに時計を見ている受験生もいますが、時計を見ることで文章に対する集中力が一旦切れてしまいます。つまり、あまり頻繁に時計を見ることは逆効果になっていると言えます。
もし1つのパッセージあたり、4回以上時計を見ているようであれば、時間をやや気にしすぎているかもしれません。
IELTSのリーディング試験の問題が時間内に終わらなくて困っている方は、勇気を持ってパッセージごとに時間を気にするタイミングを減らしてみましょう。最初のうちは、時間がオーバーしてしまっても構いません。時計を頻繁に見ずに問題を解くことに集中してみましょう。
知っているだけでスコアが上がる2つのこと
リーディングでスペルミスは絶対ない!
IELTSのリーディング試験には単語を答える問題がいくつか含まれています。このような問題では、例え正しく問題を理解し、解答できたとしても、スペルミスをしてしまったら点数にはつながりません。リーディングで語句を書き込むタイプの問題は、本文中の単語をそのまま抜き出します。フォーメーションなどを変化させて解答しなければならない問題は出題されません。つまり、リーディングではスペルミスというのはありえないわけです。それでも焦ってスペルミスをしたり、タイプミスをしたりすることもしばしばありますので、そのような凡ミスで失点しないように細心の注意を心がけましょう。
スペルミスを減らすためにも、重要である単語にはアンダーラインや印をつける工夫をしましょう。また、CDI試験であれば、コピー&ペーストの機能が使えるので、そのような機能を使いこなし、スペルミスを防止しましょう。
解答欄はすべて埋めよう!
リーディングの問題40問の中には、どうしても答えが見つけられない問題に面することもあるでしょう。
試験時間を考えたとき、一問にかけられる時間は短く、あとから戻って再度問題を考え直すことは事実上できません。そのため、問題を取り組んでいる時点で最善の答えを選んでおくことが大切です。決して空欄だけは作らないようにしましょう。
空欄を作らないようにすることは、正答率をあげるためのコツとも言えます。数学の確率的側面から考えると、A~Dのような選択肢の問題であれば25%の正解率が期待できます。また、4つの選択肢の中から1つでも選択肢を消すことができれば、正解率は33%に上がります。そのような問題が3問あれば、確率的には1問は正解することができるのです。
このように、難しい問題だと思っても諦めることなく消去法で確率を最大限に高め、難しい問題4~5問中1問でも正解をしようとする姿勢がスコアアップのコツと言えるでしょう。
まとめ
いかかでしたでしょうか?
IELTSのリーディングは短時間で読む文章の量が非常に多く、圧倒されてしまう方が多いようです。しかし、問題の傾向を把握し、問題を解く上で読まなければいけない文を定めながら読むことで、短時間で効率的に問題を解くことができます。また、目標スコアによっては、無理に難易度の高い箇所を時間を掛けて読み込まなくても良いようなこともあります。PlusOnePointでは、IELTS学習のプロが皆様の目標スコア、現状を伺った上で効率の良い勉強法などを一緒に考えていきます。ぜひお気軽に、無料IELTS学習相談 をご利用ください。