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論理的なライティングへの第一歩

プランニングの基本【初級】:エッセイを書き始める前にアイデアを整理する手順

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

IELTSのライティングは、採点基準表に示されている通り、表現力(語彙・文法)に加えて、論理性・明瞭性などのコミュニケーション能力も評価されます。特にライティング・タスク2では、アイデアを整理して分かりやすく説明する力が求められるため、事前のプランニングが非常に重要になります。

皆さんはエッセイを書く前にプランニングをしていますか。

プラスワンポイントの講座を受講し始める方の大半が、プランニングをしていないどころか、プランニングの存在すら知らなかったと言います。この記事では、プランニングとは何をする作業なのか、そして最低限これだけはやってほしい3つのステップを解説します。

プランニングの解説は、レベルごとに3本に分けています。この記事は初級にあたります。まずはここで扱う3つのステップを確実にできるようにしてから、中級・上級に進んでください。

中級 プランニングの実践:メインアイデアとサポート 上級 プランニングの応用:フロー設計と二段階の進め方

01プランニングとは?

プランニングとは、これから書くエッセイのアイデアを整理し、事前に構成を考える作業のことです。エッセイを書く前に少し時間を取ってプランニングを行うことで、不必要なアイデアを排除したり、問題への対応を明確にすることができます。結果的に、スコアアップにもつながる重要なプロセスです。

プランニングなしで書くとどうなるのか?

プランニングを行わないでエッセイを書くと、以下のような問題が発生します。

プランニングなしの問題点
  • 途中で書くことがなくなる
  • 議論が繰り返しになる
  • 具体例が思いつかない
  • 時間が足りなくなる
  • 議論に矛盾が生じる
  • うまく話がまとまらない
  • 具体例中心の議論になる
  • 対立意見よりも自分の意見が弱い

このような経験をお持ちもの方が多いと思います。しかし、これらの問題は、プランニングの正しいやり方を知り、実践することで解決することができるのです。

02プランニングとアイデア出しの違い

「プランニング=アイデアを考えること」と誤解している人も少なくありません。アイデアを考えること、いわゆる「ブレーンストーミング(アイデア出し)」という作業は、すべての方が行っているはずです。エッセイを書くにあたってアイデアを考えるプロセスがなければ、そもそもエッセイが書けないですからね。

しかしこれは厳密な意味でのプランニングではありません。

アイデア出しで考えたアイデアをもとに、アイデアを取捨選択したり、メインアイデアを決定したり、あるいは最終的なポジションを決める作業こそがプランニングの本質なのです。

プランニングですること
  • アイデアを取捨選択する
  • メインアイデアを決める
  • ポジションを決める

もちろん、それだけではありません。もし対立意見の考察(Some people argue ...のような段落を作ること)もするのであれば、その意見よりも自分の意見が強いことを確認しておく必要があります。また、エッセイ全体を通してアイデアの重複や繰り返しがないか、アイデアの矛盾はないかなど、レベルによってはさらに細かなチェックを行うことになります。

03レベル別・プランニングでやること

プランニングでするべきことは、究極のところ「あとは英語にするだけ」の状態にまで考えを詰めておくことです。ただ、一方で時間的な制限もあります。また、プランニングに慣れていない段階では、時間をかけても十分なプランニングができない可能性もあります。

そこで、目指すスコアや現在のレベルに応じて、プランニングでなにをするのかを決めるといいでしょう。この記事のシリーズも、このレベル分けに沿って3本に分かれています。

1 語数をまだクリアできない方

必要な語数をまだまだクリアできていないという方は、アイデアが不足していることが原因でしょう。この段階では、プランニングでなるべく多くのアイデア出しを足しておくことを最優先に考えると良いでしょう。目標スコアが5.0-5.5くらいまでであれば、それだけでもかなりの確率でスコアアップが期待できます。

5.0-5.5達成に必要なプランニング
  • なるべく多くのアイデアを考える
2 5.0-5.5を達成できている方

すでにライティングで5.0-5.5を達成できている方は、時間内に指定された語数(250語以上)を書くことにはそれほど抵抗を感じていないでしょう。一方で、語数はクリアできるのになかなか結果に結びつかないという悩みを抱えておられることと思います。6.0-6.5のスコアを目指すためには、ある程度の論理性や明瞭性を追求しなければならないため、単なるアイデア出しだけでは不十分なのです。エッセイを書き始める前に、自分のアイデアがタスクへの回答になっているかを確認する、メインアイデアを吟味する、エッセイ全体で繰り返しを減らすなどの作業が推奨されます。

6.0-6.5達成に必要なプランニング
  • アイデアがタスクへの回答になっているかを確認する
  • メインアイデアを吟味する
  • エッセイ全体で繰り返しを減らす
3 6.0-6.5を達成できている方

6.0-6.5を達成できている方は、メインアイデアを決定したり、エッセイ全体の大まかな構成は作れているはずです。Task ResponseやCoherence/Cohesionの採点項目でBand 7以上を狙っていくために、さらに綿密なアイデアの組み立てをしていきましょう。具体的には、各段落のトピックセンテンスからコンクルーティングセンテンスまでの流れをほぼ決めておくくらいの綿密なプランニングができるといいでしょう。また、エッセイ全体を通して無駄がなく、かつ隙のない議論ができるようにしたいところです。

7.0-7.5達成に必要なプランニング
  • メインアイデアを十分に吟味する
  • メインアイデアとサポートのつながりを考える
  • ボディ全体のフローをしっかりイメージする
  • 段落間のつながりを確認する
  • エッセイ全体の議論の進行を確認する
  • 最適なポジションを吟味する

ただ、このレベルになると独学では難しいと感じる場合もあります。プラスワンポイントの最高峰のライティング集中対策講座「ライティングサミット」などを活用しながら、スコアアップに直結するプランニング力を高めることも検討してもいいでしょう。

この記事の残りでは、どのレベルの方にも必要な「必須の3ステップ」を扱います。メインアイデアとサポートの組み立て(6.0以上)は中級の記事、ボディと全体のフロー設計(7.0以上)は上級の記事で解説しています。

04最低限やってほしい3つのステップ

プランニングに含まれる作業は、大きく7つあります。このうち最初の3つは、目標スコアにかかわらず全員に必要です。

  1. 1 問題文(タスク)を正しく理解する 必須
  2. 2 アイデアを書き出す(ブレーンストーミング) 必須
  3. 3 ポジションを決定する 必須
  4. 4 メインアイデアを決定する 6.0以上必須
  5. 5 サポートアイデアを考える 6.0以上必須
  6. 6 各ボディの流れをイメージする 7.0以上必須
  7. 7 エッセイ全体の流れをイメージする 7.0以上必須

4以降は中級・上級の記事で扱います。まずはこの3つを、時間内に確実にこなせるようにしましょう。

1 問題文(タスク)を正しく理解する 必須

プランニングの最初のステップは、問題文を正確に理解することです。これは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実は多くの受験者がこのステップで失敗しています。問題文を読み違えると、どんなに素晴らしいエッセイを書いても、Task Responseの評価が大きく下がってしまいます。

問題文を正しく理解するために、以下の点に注目しましょう。

問題文で確認すべきポイント
  • トピック: 大きなテーマは何か(教育、環境、テクノロジーなど)
  • 問題タイプ: どのような形式で問われているか(Discuss both views、Agree/Disagree、など)
  • 具体的な指示: 今回議論するべきことはなにか
  • キーワード: 特定するような表現があるか(all、always、など)

一読しただけでは十分に把握ができていない場合もしばしばあります。細かい指示を見逃さないよう、問題文は少なくとも2回は読むようにしましょう。

2 アイデアを書き出す(ブレーンストーミング) 必須

問題文を理解したら、アイデア出しをしましょう。アイデアがないことにはエッセイを書くことはできません。

アイデア出しが苦手だという方は、質よりも量を重視しましょう。思いついたアイデアをどんどん書き出していきましょう。良いアイデアかどうかの判断は後でします。具体例や自分の経験から考えてみるのも一つの方法です。

ブレーンストーミングのコツ
  • (慣れるまでは)質よりも量を重視する
  • 具体例や自分の経験を思い浮かべる
  • 良いアイデアかどうかの判断はしない

例えば、「大学教育は無料であるべきか」という問題で考えてみましょう。

問題例

Some people say that university education should be free. Do you agree or disagree with this view?

思いつくアイデアを単語であっても文であっても構いませんので、どんどん書き出していきます。この段階では、賛成・反対の両方の視点からアイデアを出してみると良いでしょう。

アイデア出しの例
  • 学費が高い
  • 奨学金を組む人もいる
  • 貧しい家庭の人が大学に行けないのは不公平
  • ドイツの大学が無料
  • 税金の使い道
  • 大学の質の低下
  • 社会全体の教育レベルが上がる

中〜上級者は、この段階で十分なアイデアが出ていると思われますので、どのアイデアを実際に使うかの取捨選択を行っておいてもいいでしょう。

3 ポジションを決定する 必須

ブレーンストーミングで出したアイデアを見ながら、自分のポジション(立場)を決めます。

Agree/Disagreeタイプであれば賛成か反対か、Discuss both viewsタイプであればどちらの意見により重きを置くか、といった判断をします。

ポジションを決める際に最も重要なのは、「自分が本当にそう思うか」ではなく、「どちらの立場の方が書きやすいか」という視点です。IELTSは意見の正しさを評価するテストではありません。論理的に説明できるかどうかが評価されます。

ポジション決定のポイント
  • より強いアイデアを思いついた方を選ぶ
  • 具体例が思い浮かぶ方を選ぶ
  • 説明しやすい方を選ぶ
  • 自分の本心にこだわらない

慣れないうちはアイデアの数で選んでもいいでしょう。「賛成側に5つ、反対側に2つしかアイデアが出なかった」という場合は、迷わず賛成の立場を選びましょう。書きやすさが何よりも優先されます。

05まずは5分から始める

プランニングに時間を使うと、その分だけ書く時間が減ってしまうように思えます。「実際に書いているときはもっと時間がかかっている気がする」という感覚もあるでしょう。

1文だけを取り出せば1分前後で書けるはずなのに、そのペースで最後まで書き切れることはまずありません。それはなぜなのでしょう。理由は、プランニングが十分にできていないからです。ちょっと逆説的に聞こえるかもしれませんが、最初にプランニングをしっかりできていないと、書いている途中でアイデア不足に陥ったり、アイデアの繰り返しや矛盾に気づいて修正したりすることに余計に時間がかかってしまうのです。

確かに最初に10分近くプランニングに時間を使うことは勇気がいります。早く書き始めなければ書き終わらないのではないか、という不安は誰でも経験するところです。しかし、プランニングが不十分な状態で書き始めても、結局途中で考えるプロセスが必要になり、途中でプランニングをしているのと変わらなくなるのです。それであれば、最初にしっかりとプランニングをしてから書き始めたほうが、結果的には早く書き終わることになるのです。

まずは5分プランニングをするところから始めてみましょう。それだけでも途中でアイデア不足に陥ったり、アイデアの繰り返しや矛盾に気づいて修正したりすることに余計に時間がかかってしまうのを防ぐことができます。

プランニングにかけられる時間を計算で求める方法は、中級の記事で解説しています。

5分で足りるのか、10分必要なのかは、配分を変えて測ってみないと決まりません。4段階で見つける手順をまとめました。

関連記事 プランニングが上達するまでの練習ロードマップ:時間配分を4段階で見つける

06よくある質問

プランニングとブレーンストーミングは違うものですか。

違います。ブレーンストーミング(アイデア出し)はプランニングの一部です。出したアイデアを取捨選択し、メインアイデアを決め、ポジションを決めるところまでを含めてプランニングと呼びます。アイデアを書き出しただけで書き始めてしまうと、途中で筆が止まりやすくなります。

プランニングをしないとどうなりますか。

途中で書くことがなくなる、議論が繰り返しになる、具体例が思いつかない、時間が足りなくなる、議論に矛盾が生じる、といった問題が起きやすくなります。心当たりがある場合は、プランニングで解決できる可能性が高いです。

プランニングは何分くらいかけるべきですか。

目標スコアが5.5までなら5〜6分、6.0以上なら5〜10分が目安です。超上級者には15〜20分かける人もいます。まずは5分から始めるのがおすすめです。

プランニングは日本語で書いてもよいですか。

構いません。プランニングの目的は「あとは英語にするだけ」の状態まで考えを詰めることなので、考える言語は問いません。ただし、自分の語彙力で英語にできるアイデアかどうかは確認しておきましょう。

ポジションは自分が本当に思っている方を選ぶべきですか。

いいえ。IELTSは意見の正しさを評価する試験ではありません。より強いアイデアが思いつく方、具体例が浮かぶ方、説明しやすい方を選んでください。慣れないうちは、アイデアの数が多い方を選ぶだけでも構いません。

問題文は何回読めばよいですか。

少なくとも2回です。一読しただけでは、all や always のような限定的な表現や、細かい指示を見落とすことがあります。トピック・問題タイプ・具体的な指示・キーワードの4点を確認します。

プランニングのメモは採点されますか。

採点対象は解答欄に書かれたエッセイだけです。メモの内容や書き方は評価に影響しないので、自分が分かる形で書いて構いません。

07まとめ

プランニングは、単なるアイデア出しではありません。出したアイデアを取捨選択し、メインアイデアを決め、ポジションを確定するところまでを含みます。

  • プランニングをしないと、途中で書くことがなくなり、かえって時間がかかる
  • アイデア出しはプランニングの一部でしかない
  • 全員に必要なのは「問題文の理解」「アイデア出し」「ポジション決定」の3つ
  • ポジションは本心ではなく、書きやすい方を選ぶ
  • まずは5分のプランニングから始める

この3つが安定してできるようになったら、中級の記事でメインアイデアとサポートの組み立て方に進みましょう。

中級 プランニングの実践:メインアイデアとサポート 上級 プランニングの応用:フロー設計と二段階の進め方

プランニングが自分の答案にきちんと反映できているかどうかは、自分では気づきにくいところです。書いた答案を一緒に見ていくと、どの段階でつまずいているかを分けられます。

ライティング添削 IELTSライティング添削:実際の添削例と3つの受け方
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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