IELTS Knowledge Bank
ライティング・タスク2
問題タイプ別回答の注意点
ライティング・タスク2
問題タイプ別回答の注意点
IELTSのライティングは4科目のなかで最も平均点が低く、多くの受験者を悩ませています。特にライティング・タスク2はライティング・タスク1に比べて配点が大きく、ライティング全体のスコアを決定する上で非常に重要です。ライティングのスコアを向上させるには、ライティング・タスク2を攻略することが鍵になります。その第一歩として、出題される問題タイプ別の回答の方法や注意点について知っておきましょう。
問題タイプは全部で6種類
ライティング・タスク2の問題は、大きく分けて以下の6つのタイプに分類することができます。
それぞれの問題タイプについて回答の注意点や基本的なエッセイの構成方法を見ていくことにしましょう。
To what extent do you agree or disagree? の答え方
与えられた意見(opinion)や記述(statement)に対して「どの程度、賛成または反対であるか」を答える問題です。最もよく出題される問題タイプの1つです。「to what extent」は「どの程度」という意味で、「100%賛成」あるいは「100%反対」以外にも、例えば「80%賛成」のような答え方もできます。「to what extent」の部分がなく、「Do you agree or disagree?」と聞かれる場合もあります。
このタイプの質問では、テーマに対して賛成か反対かをエッセイ全体で述べます。最初から最後までagreeまたはdisagreeのどちらか一方のスタンスで書く書き方(ワンサイドの議論)と、agreeとdisagreeの両方の考え方を紹介する書き方(両サイドの議論)があります。
Q. 両サイドの議論をしたほうがスコアに有利だと聞きましたが本当ですか?

「両サイドの議論をしたほうが高いスコアを狙いやすい」「ワンサイドの議論でも十分」など、いろいろな情報が出回っていますので受験生は混乱してしまいますよね。結論から言うと、一概にどちらか一方が有利とは言えない、ということになります。というのも、ワンサイドの議論をする方法と両サイドの議論をする方法にはそれぞれ長所と短所があり、「有利な方法」はその人の目指すスコアや現在のスキルによって変わってくるからです。まずはそれぞれのメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ワンサイド |
|
|
両サイド |
|
|
首尾一貫性の観点から見ると両サイドの議論をするほうが有利なようにも見えますが、うまく行かなかった場合にはリスクを伴うことがわかります。プラスワンポイントの授業では目標スコアに応じてアプローチ方法を変えることをおすすめしています。というのも、仮にワンサイドで議論をしたとしても8.0あたりのスコアまでは達成可能だからです。
一部の方を除いてほとんどの方のライティングの目標スコアは高くても8.0まででしょう。となると、ワンサイドの議論でも十分ということがわかります。ただし、決め打ちは回答の柔軟性を低下させますので、両サイドの議論をした場合の首尾一貫性について十分な理解ができないうちはなるべくワンサイドで、ある程度理解ができるようになってきたら両サイドまたはワンサイドで議論をするようにするといいですね。
結論:ワンサイドでも8.0は達成可能。それぞれの長所・短所を理解して柔軟に対応しよう!
段落の構成例とテンプレート
ワンサイドで議論する方法
すべてのボディを通して自分のポジションを展開する方法です。対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)については論じません。トピックとメインアイデアの詳細については『6.0以上では必須知識!トピックセンテンスはなぜ重要なのか?』を参照してください。
構成例1
- ボディ1:トピック because メインアイデア(1)
- ボディ2:In addition, メインアイデア(2)
構成例2
- ボディ1:The main reason why トピック is that メインアイデア(1)
- ボディ2:Another reason is that メインアイデア(2)
構成例3
- ボディ1:Firstly, メインアイデア(1)
- ボディ2:Secondly, メインアイデア(2)
両サイドを議論する方法(1) - 他者の意見
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「このような意見の人がいるかもしれない」と推測しながら、自分のポジションとは反対側の意見を考察します。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:Some people may argue that トピック because メインアイデア
- ボディ2:However, I believe that トピック because メインアイデア
両サイドを議論する方法(2) - 譲歩
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「譲歩」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「確かに、〜かもしれない」と自分のポジションとは反対側の意見を一部認めます。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:It is true that トピック because メインアイデア
- ボディ2:However, I believe that トピック because メインアイデア
両サイドを議論する方法(3) - 例外・場合分け
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「例外」として紹介しつつ、ボディ2で自分のメインの立場を展開する方法です。
ボディ1では、「例外として、〜のような状況があるかもしれない」と自分のポジションとは反対側の立場を一部認めます。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、多くの場合はこうである」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:In some cases, トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ2:However, in many cases, トピック(2) because メインアイデア(2)
Q. 「他人の意見」と「譲歩」はどのように違いますか?

「他人の意見」として対立意見を紹介するということは、自分はその意見について賛成をしていないことを意味します。「自分はその意見に賛成ではないが、このような意見の人がいるかもしれない」と推測をしているに過ぎません。一方、「譲歩」として対立意見を紹介する場合には、自分はその意見についても一部認めていることになります。「確かに、〜かもしれない」と一部認めつつ、「しかし、自分はこのように考えます」とメインの主張をします。
結論:「譲歩」は自分の意見として一部認めるという意味!
Discuss both views and give your own opinion. の答え方
与えられた2つの意見(opinion)に対して「それぞれの意見の対する考察をした上で、自分の立場を示す」必要がある問題です。「To what extent do you agree or disagree?」と並んで最もよく出題される問題タイプの1つです。
この問題タイプでは、与えられている2つの意見についてそれぞれ考察をした上で、最終的な自分の意見を述べることが求められています。1つでも回答が不十分だとスコア(Task Response)に影響します。
Q. イントロダクションでは自分のポジションを示さないほうがいいと聞きましたが本当ですか?

「Discuss both views and give your own opinion.」のエッセイの構成方法についてもいろいろなアプローチ方法があり、イントロダクションで自分のポジションを示さないほうがいいという情報を耳にしたことがある人もいるかもしれません。結論から言うと、これについてもそれぞれの書き方のメリット・デメリットがあり、「スコアに有利な方法」はその人の目指すスコアや現在のスキルによって変わってきます。まずはそれぞれのメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
イントロダクションで立場を示さない方法 |
|
|
イントロダクションで立場を示す方法 |
|
|
首尾一貫性やつながり(Coherence and Cohesion)の観点から見ると、イントロダクションでポジションを示すほうが有利です。しかしエッセイ全体の流れを決めておく必要があるのでプランニングが必要になります。目標スコアが6.0までであればどちらでも問題ありませんが、目標スコアが6.5以上であればイントロダクションでポジションを示してしまうほうが有利になります。
結論:6.5以上を狙うならイントロダクションでポジションを示そう!
段落の構成例とテンプレート
イントロダクションで立場を示さない方法
問題で与えられた2つの意見について、それぞれのボディで議論を深めつつ、コンクルージョンで自分のポジションを示す方法です。アイデアの展開を考えることが比較的容易な方法なので、ライティングでスコア6.0までを目指す人にはオススメの書き方です。
各ボディでの議論が平行線に終わりがちなエッセイ構成ですので、ライティングでスコア6.5以上を目指す方は次に述べる「イントロダクションで立場を示す方法」がオススメです。トピックとメインアイデアの詳細については『6.0以上では必須知識!トピックセンテンスはなぜ重要なのか?』を参照してください。
構成例1
- ボディ1:Some people argue that トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ2:Others may argue that トピック(2) because メインアイデア(2)
構成例2
- ボディ1:On (the) one hand, トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ1:On the other hand, トピック(2) because メインアイデア(2)
イントロダクションで立場を示す方法
To what extent do you agree or disagree? の「両サイドを議論する方法」に準じた構成が考えられます。
両サイドを議論する方法(1) - 他者の意見
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「このような意見の人がいるかもしれない」と推測しながら、自分のポジションとは反対側の意見を考察します。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:Some people may argue that トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ2:However, I believe that トピック(2) because メインアイデア(2)
両サイドを議論する方法(2) - 譲歩
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「譲歩」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
ボディ1では、「確かに、〜かもしれない」と自分のポジションとは反対側の意見を一部認めます。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、自分はこのように考えます」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:It is true that トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ2:However, I believe that トピック(2) because メインアイデア(2)
両サイドを議論する方法(3) - 例外・場合分け
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「例外」として紹介しつつ、ボディ2で自分のメインの立場を展開する方法です。
ボディ1では、「例外として、〜のような状況があるかもしれない」と自分のポジションとは反対側の立場を一部認めます。ボディ2では、ボディ1の議論を踏まえて、「しかし、多くの場合はこうである」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:In some cases, トピック(1) because メインアイデア(1)
- ボディ2:However, in many cases, トピック(2) because メインアイデア(2)
Q. どのようなタスクであっても「譲歩」はできますか?

「To what extent do you agree or disagree?」では、意見または記述が1つしか与えられていませんので、多くの場合に「譲歩」という手法が成立します。一方、「Discuss both views and give your own opinion.」では問題に2つの意見(または記述)が与えられています。そのため、一方の意見を「譲歩」とできない場合がありますので注意しましょう。例えば、「〜するべきである」という意見と「〜するべきではない」という意見が与えられている場合、「確かに〜するべきだが、〜するべきではない」というような議論は成り立ちません。エッセイ構成例のパターンに当てはめて「譲歩」をするのではなく、与えられた問題をしっかり理解してどのようなエッセイ構成が適切であるのかを都度考えることが大切です。
結論:タスクによっては譲歩が議論として成り立たない場合があるので注意!
利点(Advantage)・欠点(Disadvantage)の答え方
与えられた事実に対して、その利点と欠点を議論するタイプの問題です。利点と欠点を紹介するだけの問題(What are the advantages and disadvantages of this?)と、利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題(Do the advantages of this outweigh the disadvantages?)があります。
- 問題タイプ3A:What are the advantages and disadvantages of this?
- 問題タイプ3B:Do the advantages of this outweigh the disadvantages?
利点と欠点を紹介するだけの問題
利点と欠点を紹介するだけの問題(What are the advantages and disadvantages of this?)には以下のような問題があります。
このような問題タイプでは、利点と欠点の比較は必ずしも必要なく、単純に考えうる利点と欠点を紹介することが求められています。
利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題
利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題(Do the advantages of this outweigh the disadvantages?)には以下のような問題があります。
このような問題タイプでは、利点と欠点の比較は必須で、単純に考えうる利点と欠点を紹介することだけでは不十分な回答となります。
Q. 比較の必要がない問題で比較をすると減点になりますか?

IELTSライティングの採点は加点・減点方式ではないため、何かをしたら減点になるということはありません。あくまで最終的な回答を4つの採点項目で評価することになります。利点と欠点の比較を求められていないにも関わらず比較をした場合にももちろんそれ自体がスコアダウンの原因になるということはありません。ただし気をつけなければいけないことがあります。それはエッセイ全体の首尾一貫性やつながりに悪い影響を与えないようにする必要があるという点です。うまく比較ができている場合にはむしろ首尾一貫性やつながりが向上しますが、逆に比較が不十分であったり議論に矛盾をはらんでいるような場合にはCoherence and Cohesionのバンドスコアに影響を与える可能性があります。
結論:利点と欠点の比較をしてもいいが、慎重に!
段落の構成例とテンプレート
利点と欠点を紹介するだけの問題(問題タイプ3A)
与えられた事実に対して、それぞれのボディで利点と欠点を紹介する方法です。問題タイプ3a:What are the advantages and disadvantages of this? でよく使う構成方法です。
- ボディ1:The main advantage of トピック is メインアイデア
- ボディ2:On the other hand, there are also disadvantages to トピック. A major disadvantage is メインアイデア
構成例
利点と欠点を比較してどちらが上回るかを答える問題(問題タイプ3B)
与えられた事実に対して、それぞれのボディで利点と欠点を紹介しつつ、どちらがどちらを上回るかを答える方法です。問題タイプ3b:Do the advantages of this outweigh the disadvantages? でよく使う構成方法です。
例えば、「欠点が利点を上回る」というポジションで書く場合、ボディ1で「可能性として以下のような利点が考えられる」というように、まずは利点のついての考察をします。そのうえで、ボディ2で「しかし、(全体として考えると)その利点よりも欠点が上回ると思う」というように反論をします。
構成例
- ボディ1:A possible advantage of トピック is メインアイデア
- ボディ2:However, there are more disadvantages to トピック. A major disadvantage is メインアイデア
Q. advantages / disadvantages と書かれている場合、それぞれ複数のアイデアを紹介する必要がありますか?

厳密には利点と欠点それぞれについて複数のアイデアを展開するのが理想的です。一方で、提示するメインアイデアをしっかりサポートすることも大切です。バランスを考えるとそれぞれ2つずつ、多くても3つのアイデアを示すことができれば十分です。もちろん、1つのアイデアをしっかり掘り下げることができていれば、仮に1つしかアイデアを示せていなかったとしても大きなマイナス要素にはなりません。
結論:複数のアイデアを示すことが理想的だが、1つでもOK!
原因(Cause)・問題点(Problem)・影響(Effect)・解決策(Solution) の答え方
与えられた事実に対して、原因(cause)、問題(problem)、影響(effect)、解決策(solution)を答える問題です。通常は、これらの4つの要素から2つを選んで出題されます。
- 原因と解決策(cause & solution)
- 原因と影響(cause & effect)
- 影響と解決策(effect & solution)
- 問題点と解決策(problem & solution)
問題に記載されている質問の数を把握し、回答に漏れがないように注意が必要です。
上記のタスクは、原因(cause)と影響(effect)を組み合わせた問題ですね。
こちらは問題点(problem)と解決策(solution)を組み合わせた問題です。最初の質問にcauseという単語が入っているので惑わされるかもしれませんが、これは「引き起こす」という意味の動詞のcauseです。「このことが引き起こす問題はなんでしょう?」と聞かれています。
段落の構成例とテンプレート
問題で聞かれている質問それぞれについて各ボディで答える方法
問題で問われている要素について、それぞれのボディで回答をする方法です。ここでは、原因と解決策(cause & solution)を例に説明します。
構成例
- ボディ1:The main cause of ... is ...
- ボディ2:In order to solve this, ...
問題で聞かれている要素を組み合わせてそれぞれの段落で答える方法
それぞれのボディで、問題で問われている要素について組み合わせて回答をする方法です。原因と解決策(cause & solution)の問題であれば、ボディ1に「1つ目の原因とその解決策」、ボディ2に「2つ目の原因とその解決策」を述べます。
それぞれの原因に対する解決策を考える必要があるため、構成例1よりもやや難易度が上がります。ただし、構成例1よりも構成例2のほうがハイスコアを狙いやすいというわけではありませんので、より話の流れがスムーズになると思う方法を選択するといいでしょう。
構成例
- ボディ1:The main cause of ... is ... In order to solve this, ....
- ボディ2:Another cause is ... To tackle this, ...
Q. causes / solutions と書かれている場合、それぞれ複数のアイデアを紹介する必要がありますか?

厳密には尋ねられている要素について、それぞれ複数のアイデアを紹介するのが理想的です。利点・欠点の場合と同様、アイデアのサポートのことを考えて、それぞれ2つずつ、多くても3つにとどめておくのが無難です。
結論:複数のアイデアを示すことが理想的だが、1つでもOK!
【上級者向け】ワンポイントコラム
その解決策は本当に解決策なのか?
解決策を答える場合には、提示する解決策が本当に解決策になっているのかを考えてみましょう。
例えば、「都会の人口が増えすぎている」ことに対する解決策として、「より多くの人に田舎に住んでもらう」という解決策はどう聞こえるでしょうか?「誰が」「具体的に何をするのか」が見えてきませんね。これは解決策に「具体性」がないからです。
また、「公共の場での携帯電話の使用が問題になっている」ことに対する解決策として、「携帯電話の販売を禁止する」という解決策はどうでしょうか?もちろん、問題はそれで解決するかもしれませんが、実際にそのようなことができそうかどうかを考えると、やや「非現実的な解決策」に聞こえます。
- ❶誰が具体的に何をするのか?(具体性)
- ❷実際にそれができそうか?(実現可能性)
解決策を考える際には、これらの両方が満たされていることを確かめてみましょう。
Is this a positive or negative development?の答え方
与えられた事実に対して、それがポジティブな発展なのか、ネガティブな発展なのかを答える問題です。
【上級者向け】ワンポイントコラム
developmentって何?
このタイプの問題では、まずdevelopmentという単語の意味でつまずくことがあります。
developmentは「発展」という意味ですが、「ポジティブな発展」「ネガティブな発展」と訳したところでピンときませんよね。そこで少し言葉を補ってあげる必要があります。
「社会として」「国として」というような表現を補ってみると、「発展」の意味が見えてきます。多くの場合、この質問の前提にある「背景」には何らかの最近の傾向が示されています。つまり、このdevelopmentは「(社会としての)傾向」と捉えることができます。
「〇〇する人が増えてきているが、それは(社会や国にとって)ポジティブな発展(傾向)か?」と聞かれているのです。言い換えるなら、このタイプの問題は「個人レベル」でのポジティブ・ネガティブを考えるのではなく、もう少し大きな視点(社会・国、場合によっては世界全体)でその傾向を考える必要があります。
段落の構成例とテンプレート
ワンサイドで議論する方法
すべてのボディを通して自分のポジションを展開する方法です。例えば、「ポジティブな傾向である」というポジションであれば、「ネガティブな傾向である」と考える人の意見については論じません。
構成例1
- ボディ1:... is a positive development because ...
- ボディ2:In addition, ...
構成例2
- ボディ1:Firstly, ...
- ボディ2:Secondly, ...
両サイドを議論する方法
ボディ1に対立意見(自分のポジションとは反対側の意見)を「他人の意見」として紹介しつつ、ボディ2で自分のポジションを展開する方法です。
例えば、「ポジティブな傾向である」というポジションであれば、「ネガティブな傾向である」と考える人の意見をボディ1で展開した上で、ボディ2では「しかし、自分はポジティブな傾向だと思う」と、自分の主張の根拠を添えて議論を展開します。
構成例
- ボディ1:Some people may argue that ... is a negative development because ...
- ボディ2:However, I believe that ... is a positive development because ...
ただし、この構成方法はボディ1とボディ2の議論が平行線に終わる可能性が高いので、ハイスコアを目指す方にはあまりオススメできません。まずは構成例1の方法で書くことを考えてみましょう。
上記の組み合わせ、イレギュラー問題 の答え方
問題タイプ1〜5を組み合わせた問題、もしくはいずれのタイプにも当てはまらない問題です。
上記の問題は複数の問題タイプを組み合わせたタスクの例です。「原因」と「欠点」が組み合わせられています。
こちらはいずれのタイプにも当てはまらないタスクの例です。1つめの質問では、「国の成功を測る時に考慮されるべき他の要素」について問われています。2つ目の質問は「1つの要素が他の要素よりも重要であるか?」を聞かれています。
段落の構成例とテンプレート
ボディ1で1つ目の質問に、ボディ2で2つ目の質問に答える
質問が複数ある場合には、問題タイプ4:Cause / Problem / Effect / Solution の構成例1に準じて答えます。すなわち、ボディ1で1つ目の質問に対して答え、ボディ2で2つ目の質問に対して答えます。上記のCombined questionsの例であれば、次のような構成が考えられます。
構成例
- ボディ1:The main cause of ... is ...
- ボディ2:A possible disadvantage of ... is ...
エッセイ全体としてすべての質問に答える
ライティング上級者向けですが、エッセイ全体としてすべての質問に答えることも可能です。上記のIrregular questionsの例であれば、「What other factors should also be considered when measuring a country's success?」と「Do you think one factor is more important than others?」について答える必要がありますが、これらをそれぞれのボディで議論するのではなく、すべてのボディを通してそれを議論していくことも可能です。最終的にすべての質問に答えられているかどうか、主張に首尾一貫性が保たれているか、議論の展開がスムーズであるか、などを確認しながら書き進める必要があります。
まとめ
どの問題形式に答えるのにも、タスクに沿った回答をする、メインアイディアから議論を広げていくなど基本的な注意点は変わりません。タスクをしっかりと理解し、一貫性のある回答を心がけましょう。それを達成するために、タスク2でのプランニングは必須となります。プランニングについてはこちらのライティング対策の記事でより詳しく話していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いたIELTS講師
Hibiki TAKAHASHI
日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は2,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住10年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。
2013-2023 Plus One Point PTY LTD. All Rights Reserved.