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スピーキングで音がこもる原因、それは過剰なR

スピーキングで音がこもる原因、それは過剰なR
英語を話しているとき、「なんとなくこもって聞こえる」「ネイティブや試験官に聞き返されることがある」という経験はないでしょうか。発音の問題はさまざまですが、意外と気づかれていない原因のひとつが、「本来Rの音が必要ない場所で、舌がRの位置に動いてしまう」という癖です。

例えば「because/bɪkɔ́ːz/(ビコーズ)」を発音するとき、「/bɪkɔ́ːrz/(ビコーrズ)」のように語末に向かって舌が丸まってしまう。あるいは「park/pɑːrk/(パーrク)」を発音しようとしたときに、母音がこもって「perk /pəːrk/」に近い音になってしまう。こうした発音は聞き取りにくさにつながり、IELTSのスピーキングでは発音の評価にも影響します。

この記事では、なぜそのような癖がつくのかをまず論理的に整理し、そのうえで実践的な改善策を紹介します。

「英語=R」という刷り込み

日本語にはRとLの音の区別がなく、英語学習を始めるにあたってRの発音は意識的に練習する対象になりやすいです。「英語らしく聞こえるためにはRを意識する」という感覚が身についていくこと自体は間違いではありません。

しかし問題は、このR音への意識が強くなりすぎて、Rが不要な音節にまで反応してしまうことです。英語のR音(/r/)が実際に必要なのは、綴りにRが含まれる音節のみですが、becausepauselaws のような語にまでRの音が入り込んでしまうのです。

これは、英語を話そうとした瞬間に顔や舌の筋肉が「潜在的な英語モード」に切り替わり、舌がRの構え(口の中で舌を丸める・後ろに引く動き)に向かってしまうのです。正しい発音を身につけようとするあまり、本来不要な場所にまで規則を当てはめてしまうこの現象は、過剰修正(hypercorrection)と呼ばれることもあります。

不要なRがこもった音を生む

不要なR音が入ると、具体的にどのような音の変化が起きるのかを整理しておきましょう。

舌を丸めてRの構えにすると、舌の根元が後ろに引き込まれ、口腔内の空間が狭まります。その結果、本来前方で明るく作られるはずの母音が奥にこもった音になります。これが「こもって聞こえる」「輪郭がぼやける」という印象の原因です。

IELTSスピーキングの採点基準のひとつである「Pronunciation」は、「聞き手(試験官)が内容を理解できるか」という観点が含まれています。発音のひとつひとつが採点されるというよりも、こうした癖が継続することで全体的な聞き取りやすさが下がり、結果としてスコアに影響するケースがあります。

あえて日本語発音をして舌のニュートラルを確認する

「舌をニュートラルな位置に戻しましょう」と言われても、その位置がどこなのか分からない、という方が多いでしょう。そこで試してほしいのが、一度日本語発音で英語を発音してみる方法です。

例えば because を「ビコーズ」と日本語発音で声に出してみてください。日本語を話すとき、私たちは舌をわざわざ丸めたり後ろに引いたりしません。舌はほぼフラットで、前後に強く動かすことなく音を作っています。この「日本語を話しているときの舌の状態」こそが、多くの英語の母音を発音する際の自然な出発点です。

英語を話そうとした瞬間に舌がRの位置に向かうのは、「英語スイッチが入ったときの(不必要な)反射」のようなものです。これを意識的に切るために、練習段階ではいったん日本語読みして舌の位置を確認し、その位置から英語の発音に移行する、という手順を試してみるとよいでしょう。この感覚を体に覚えさせることが目的です。

表情筋と口周りの緊張を解く

ピアノを習ったことがある方は、「たまごを包み込むような手のポジション」という指導を受けたことがあるかもしれません。手に卵を軽く包むように、指を自然な丸みで保ちながら構える、というものです。あれは特定の「形を作るテクニック」ではなく、手の緊張が抜けたときに自然になる状態を示しているのです。力が入りすぎていてはスムーズに指が動きませんし、強弱もコントロールできません。リラックスした状態そのものがスタート位置であり、毎回自然にそのポジションに戻せるようになることが、自然な演奏につながるというわけです。

英語の発音も同じです。不要なR音が入りやすい背景には、英語を話す前から口周りや舌、顎の筋肉が緊張している、という要因があります。緊張した状態では舌が奥に引き込まれやすくなり、R音の癖が出やすくなります。「ニュートラルな舌の位置」とは、力を入れて作る形ではなく、余分な緊張が抜けたときに自然に残る状態のことです。

以下のような準備を取り入れてみるとよいでしょう。
  • 試験の前に口を大きく開けて閉じる動作を数回行い、顎と口周りをほぐす
  • 日本語を声に出して舌と口の位置を一度リセットし、その状態から英語に入る
  • 緊張を感じたら意識的に肩と顎の力を抜く
これらはその場で即座に直せるものではありませんが、リラックスするだけで発音が整うことがあります。日常の練習に組み込むことで、徐々に筋肉の反応が変わっていきます。

余談:過剰なRが正解の例 - Intrusive R

余談ながら、綴りにRがない場所にR音が入る現象が、英語のネイティブスピーカーに起きることがあります。これを Intrusive R と呼んだりします。

イギリス英語やオーストラリア英語のような「非母音型(non-rhotic)」のアクセント(Rが母音の後ろに来るときにそのRを発音しない英語)では、母音で終わる語の後ろに母音で始まる語が続くときに、つなぎとしてR音が自然に挿入されることがあります。
  • saw it → /sɔːr ɪt/
  • law and order → /lɔːr ənd ˈɔːdə/
  • the idea of → /ði aɪˈdɪər əv/
これは誤りではなく、ネイティブスピーカーが意識せず自然に行うものです。

まとめ

不要なR音が入る癖は、「英語=R」という刷り込みと、英語モードへの切り替え時の緊張が重なって生じやすいものです。日本語発音をしてみるなどして、舌のニュートラルな位置を確認するとともに、話し始める前に口周りの緊張を意識的に解くようにしてみましょう。
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Mika

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Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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