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リーディング

howeverの後ろは要注意?IELTSリーディングで設問化されやすい論理マーカー

IELTSリーディングのパッセージ1本はおよそ700〜950語。そこから作られる設問は、わずか13問前後です。設問作成者が狙いやすいのは、単なる事実情報が並んでいる場所ではなく、howeverやbecauseのように、筆者の論理展開が動く場所です。

この記事では、設問化されやすい論理マーカー(ディスコースマーカー)を、逆接・因果・例示・強調・比較・筆者の態度というグループに分けて整理します。さらに、マッチング系設問の材料になりやすい発言の引用(クオーテーション)についても取り上げ、それぞれのグループについて、公式問題集(Cambridge IELTS)で実際に設問化された箇所を、本文と設問を見比べる形で確認していきます。

01設問は「論理が動く場所」から作られやすい

IELTSリーディングの設問作成者は、本文に書かれた事実を片っ端から問題にしているわけではありません。読解力を測る試験である以上、「筆者の論理展開を追えているか」を確認できる場所、つまり情報の方向が転換する場所や、筆者の主張が現れる場所が設問の材料になりやすいのです。

その転換点を示すのが、however、but、althoughのような論理マーカー(ディスコースマーカー)です。これらの単語は、文と文、段落と段落の関係を示す道路標識のような役割を果たしています。標識が立っている場所では話の流れが変わるため、読み手の理解が試されやすく、結果として設問化されやすくなります。

ここで一つ注意しておきたいのは、「この単語があれば必ず答えになる」という意味ではない、ということです。論理マーカーは正解の場所を保証する魔法の目印ではなく、情報の方向転換や筆者の主張が現れやすい場所として注目する、という考え方で使うのが正しい距離感です。マーカーを手がかりに本文の構造をつかみ、そのうえで設問と照らし合わせる。この順序を守ることで、単語探しに頼らない安定した解き方ができるようになります。

この記事では各グループについて、公式問題集(Cambridge IELTS)で実際にマーカーの周辺が正解根拠になった箇所を取り出して確認していきます。「本当に設問になるのか」を実物で確かめながら読み進めてみてください。

02逆接マーカー:筆者の本音が出やすい最重要クラス

数ある論理マーカーの中でも、最重要クラスといえるのが逆接のグループです。逆接マーカーの後ろには、それまでの流れを覆す新情報や、筆者が本当に言いたいことが置かれる傾向があるためです。

種類マーカー
接続副詞however / yet / nevertheless / nonetheless
接続詞but / although / though / while / whereas
前置詞despite / in spite of

典型的な流れを例文で確認してみましょう。

例文

Many experts initially expected the irrigation project to increase crop yields across the region. However, surveys carried out ten years later revealed that salt had accumulated in the soil, making large areas unsuitable for farming.

設問例

What problem did the later surveys reveal?

前半の「専門家は収穫量の増加を期待していた」は、いわば前振りです。howeverの後ろにある「土壌に塩分が蓄積し、広い範囲が農業に適さなくなった」という部分が本文の核心であり、設問の正解根拠になります。「当初の予想」と「実際に判明したこと」のギャップは、True/False/Not GivenやMultiple Choiceのひっかけの選択肢としても使われやすいポイントです。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 13(Test 2)

実際の公式問題集でも、howeverの後ろがそのまま正解根拠になっています。パッセージ「Making the most of trends」には、不況期の高級バッグブランドCoachの対応について、次の一節があります。

本文(抜粋)

... the most obvious reaction to the downturn would have been to lower prices. However, that would have risked cheapening the brand's image. Instead, they initiated a consumer-research project ...

設問

Choose the correct letter, A, B, C or D.

28

According to the third paragraph, Coach's decision to introduce the Poppy range was to

  • Afollow what some of its competitors were doing.
  • Bmaintain its prices through a difficult time.
  • Csafeguard its reputation as a manufacturer of luxury goods.
  • Dtake advantage of consumers' desire for lower-priced goods.

正解C

「値下げが最も分かりやすい対応だった」という前半ではなく、howeverの後ろにある「値下げはブランドイメージを安売りする危険があった」が正解Cの根拠です。値下げに触れた選択肢Dはひっかけとして用意されており、howeverの前だけを読んで解くと誤答に誘導される作りになっています。

03因果関係マーカー:理由と結果を問う設問の目印

逆接に次いで設問化されやすいのが、原因と結果を示すマーカーです。因果関係を含む文は、「なぜそうなったのか」「その結果どうなったのか」という形でそのまま設問に変換できるため、設問作成者にとって扱いやすい材料になります。

働きマーカー
原因を示すbecause / because of / due to / owing to / as a result of / since / given that
結果を示すtherefore / thus / consequently / as a result / lead to / result in / contribute to

まず、原因側が問われるパターンです。

例文

The number of seabirds nesting on the island fell sharply, largely owing to the introduction of rats by visiting ships.

設問例

Why did the seabird population decline?

owing to以下の「船によって持ち込まれたネズミ」が正解根拠です。原因を示すマーカーの後ろは、Why型の設問やSentence Completion(文完成)の空所として狙われやすい場所だと覚えておきましょう。また、本文のdue toが設問文ではcaused byに、lead toがresulted inに言い換えられるなど、因果表現同士のパラフレーズも定番です。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 16(Test 2)

パッセージ「The White Horse of Uffington」(イングランドの丘に刻まれた白馬の地上絵)では、due toとthusを含む一文がTrue/False/Not Givenの根拠になっています。

本文(抜粋)

... over hundreds of years the outlines would sometimes change due to people not always cutting in exactly the same place, thus creating a different shape to the original geoglyph.

設問

Do the following statements agree with the information given in Reading Passage 1?

7

The shape of some geoglyphs has been altered over time.

  • TRUE
  • FALSE
  • NOT GIVEN

正解TRUE

「人々が毎回まったく同じ場所を削るとは限らなかった」という原因(due to以下)が、「元の地上絵とは違う形が生まれた」という結果(thus以下)につながっています。設問文のhas been altered over timeは、この因果関係全体を短くパラフレーズしたものです。因果マーカーを見つけたら、「原因は何か、結果は何か」を頭の中で一往復させておくと、設問に出会ったときに素早く該当箇所へ戻れます。

04例示・強調マーカー:例そのものより「何の説明か」

for exampleやsuch asのような例示のマーカーも、設問と深い関わりがあります。ただし、逆接や因果とは少し性質が異なります。

  • 例示:for example / for instance / such as / including / in particular
  • 強調:particularly / especially / importantly / notably / significantly / primarily / mainly

例示マーカーで注意したいのは、IELTSでは例そのものよりも、その例が何を説明しているかが問われることが多い、という点です。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 13(Test 1)

パッセージ「Case Study: Tourism New Zealand website」では、such asの前にある一般論が設問化されています。

本文(抜粋)

... visitors enjoy cultural activities most when they are interactive, such as visiting a marae (meeting ground) to learn about traditional Maori life ...

設問

Do the following statements agree with the information given in Reading Passage 1?

11

Visitors to New Zealand like to become involved in the local culture.

  • TRUE
  • FALSE
  • NOT GIVEN

正解TRUE

設問が問うているのは「マラエ(集会所)を訪れる」という例の詳細ではなく、その例が支えている「観光客は参加型の文化活動を最も楽しむ」という一般論の側です。本文のinteractiveが設問文ではbecome involved inに言い換えられており、例示マーカーの手前とパラフレーズをセットで見る読み方が、そのまま正解につながります。Matching Information(情報一致)タイプで「〇〇の例に言及している段落はどれか」と問われるのも、この構造を利用した出題です。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 15(Test 4)

一方、強調のマーカーは、筆者が特に重要だと考えている情報に付けられる印です。パッセージ「Silbo Gomero」(カナリア諸島に伝わる口笛言語)では、particularlyで強調された一文がノート補完の正解根拠になっています。

本文(抜粋)

Silbo has proved particularly useful when fires have occurred on the island and rapid communication across large areas has been vital.

設問

Complete the notes below. Choose ONE WORD ONLY from the passage for each answer.

How Silbo is used

  • can relay essential information quickly, e.g. to inform people about 24

正解fires

「島で火災が起きたときに特に役立ってきた」という、particularlyつきで強調された状況が、そのまま空所として問われています。強調マーカーは文全体の意味を変えるわけではないため軽く読み流してしまいがちですが、「わざわざ強調している」こと自体が出題価値のサインだと考えるとよいでしょう。

05比較・対比と筆者の態度を示す表現

次に、やや難度の高い設問で狙われやすい二つのグループを紹介します。

比較・対比の表現
  • compared with / unlike / similar to / different from / more than / less than / rather than

比較対象のある文章は、二つの要素の関係を正しく読み取れているかを確認できるため、設問にしやすい構造です。「AはBと違って〜」という文では、どちらの性質なのかを取り違えさせる誤答選択肢が作られやすいため、比較の向きを丁寧に確認することが重要です。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 16(Test 2)

対比のマーカーが正解根拠になった実例です。先ほどの「The White Horse of Uffington」のパッセージには、別の地上絵Long Man of Wilmingtonの起源をめぐって、whileで二つの立場を対比させた一文があります。

本文(抜粋)

While many historians are convinced the figure is prehistoric, others believe that it was the work of an artistic monk from a nearby priory ...

設問

Do the following statements agree with the information given in Reading Passage 1?

4

Historians have come to an agreement about the origins of the Long Man of Wilmington.

  • TRUE
  • FALSE
  • NOT GIVEN

正解FALSE

whileが示す「多くの歴史家は先史時代のものと確信 対 修道士の作とする説」という対立構造を読み取れていれば、「歴史家の意見は一致している」という設問文が本文と矛盾すると判断できます。whileの前後どちらか一方しか読んでいないと、TRUEやNOT GIVENと誤答しやすい問題です。

筆者の態度・評価を示す表現
  • surprisingly / unfortunately / fortunately / arguably
  • it is believed that / critics argue that / supporters claim that / researchers suggest that

これらは、事実と意見、そして「誰の意見なのか」を区別できているかを試す表現です。critics argue thatの内容は批判者の主張であって、筆者自身の立場でも確定した事実でもありません。YES/NO/NOT GIVENタイプで正誤の判断を誤らせる仕掛けとして、よく利用されます。そして、「誰かの主張の紹介」の後に逆接マーカーが続き、筆者が支持する側の情報が示されるという流れは、IELTSが特に好む構造です。誰の主張なのかという視点は、次のセクションで見るクオーテーションの読み方に直結します。

06クオーテーション(発言の引用)はマッチング系設問の宝庫

論理マーカーと並んで注目したいのが、引用符で囲まれた発言(クオーテーション)です。パッセージに研究者や専門家の発言が直接引用されている場合、その中身は高い確率で設問の材料になります。

理由はシンプルで、引用は「誰が何を主張したか」という情報のまとまりだからです。IELTSには、複数の人物と主張の一覧を照合させるMatching People(人物照合)というタイプの設問があり、その主張文の多くは、本文中の発言の引用をパラフレーズして作られています。研究者が次々に登場して見解を述べるタイプのパッセージでは、引用の一つひとつが設問の候補だと考えてよいでしょう。

公式問題集で確認:Cambridge IELTS 16(Test 1)

パッセージ「The future of work」では、AIと雇用について複数の研究者の発言が引用されており、その引用がそのままMatching Peopleの設問群になっています。経済学者Hamish Lowが登場する箇所を、引用符の前後も含めて見てみましょう。

本文(抜粋)

Economist Professor Hamish Low believes that the future of work will involve major transitions across the whole life course for everyone: 'The traditional trajectory of full-time education followed by full-time work followed by a pensioned retirement is a thing of the past,' says Low.

(中略)

On the subject of job losses, Low believes the predictions are founded on a fallacy: 'It assumes that the number of jobs is fixed. If in 30 years, half of 100 jobs are being carried out by robots, that doesn't mean we are left with just 50 jobs for humans. The number of jobs will increase: we would expect there to be 150 jobs.'

設問

Look at the following statements and the list of people below. Match each statement with the correct person, A, B or C.

35

Greater levels of automation will not result in lower employment.

  • AStella Pachidi
  • BHamish Low
  • CEwan McGaughey

正解B

注目したいのは、引用符の直前に必ず「誰の発言か」が示されている点です。Economist Professor Hamish Lowという肩書きつきの人物紹介や、believesのような発言を導く動詞が引用の目印になります。そして引用中のThe number of jobs will increaseが、設問文ではwill not result in lower employmentへとパラフレーズされています。このパッセージでは、Matching Peopleの6問すべてが、こうした発言の引用や研究者の見解の紹介を根拠にしています。発言の引用が多いパッセージでは、「誰が・どの立場で・何を言ったか」を発言者名の近くに簡単にメモしながら読むと、照合のスピードが一気に上がります。

また、引用は前のセクションで見た筆者の態度表現とも連動します。引用の内容はあくまで発言者の主張であって、筆者の結論とは限りません。YES/NO/NOT GIVENで「筆者の主張」と「引用された人物の主張」を混同させる出題もあるため、引用符を見つけたら発言の主を必ず確認する習慣をつけるとよいでしょう。

07まとめ

設問化されやすい論理マーカーとクオーテーションのポイントを整理します。

  • 設問は、筆者の論理展開が動く場所から作られやすい。マーカーは「必ず答えになる目印」ではなく「注目すべき場所のシグナル」として使う
  • howeverなどの逆接マーカーの後ろには、新情報や筆者の主張が置かれやすい
  • 因果関係のマーカーは、Why型の設問や文完成問題に直結する
  • 例示は、例そのものより「例が何を説明しているか」が問われやすい
  • 比較・対比や筆者の態度を示す表現は、Matching InformationやYES/NO/NOT GIVENで狙われやすい
  • 発言の引用(クオーテーション)はMatching People(人物照合)の主要な材料。誰の発言かをマークしながら読む

これらの視点は、知識として知っているだけでは本番で使えるようになりません。実際のパッセージを読みながら、「今、論理が切り替わった」「発言の引用が始まった」と気づく練習を重ねることが大切です。公式問題集を解いたあとの復習で、正解の根拠となった文に論理マーカーや引用が含まれていたかを確認するだけでも、マーカーへの感度は着実に上がっていきます。

また、論理マーカーの知識は、設問タイプごとの解き方と組み合わせることで効果を発揮します。設問タイプ別の攻略法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

リーディング IELTSリーディング設問タイプ完全攻略【全種類の解き方を解説】
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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