importantの言い換え表現として、significantを覚えている方は多いのではないでしょうか。確かに置き換えられる場面はあります。しかし、significantの中心にある意味は「重要」そのものではないため、置き換えると不自然になったり、意味が変わってしまったりする場面も少なくありません。
この記事では、英英辞書の定義に立ち返って、significantとimportantを言い換えられる場合と言い換えられない場合を、例文とともに整理します。
目次
significantのコアは「重要」ではなく「意味を示す」
importantと言い換えられる場合
言い換えられない場合①:It is important to doの構文
言い換えられない場合②:必要・大切・地位を表すimportant
significantにしかできない仕事
まとめ
01 significantのコアは「重要」ではなく「意味を示す」
significantは、sign(しるし、記号)と同じ語源を持つ単語で、ラテン語のsignificare(意味する、示す)に由来します。つまりコアにあるのは「重要だ」という価値判断ではなく、「何かを意味している、何かを示している」というイメージです。
実際、オックスフォードやロングマンなどの英英辞書を引くと、significantの語義は大きく3つに整理されています。
影響や変化が、目に見えるほど大きい(large or important enough to have an effect or to be noticed)
数や量が、無視できないほど大きい(large enough to be noticeable)
特別な意味を持つ、意味ありげな(having a particular meaning)
それぞれの語義を例文で確認してみましょう。
語義1:影響や変化が目に見えるほど大きい
Your work has shown a significant improvement.あなたの答案には目に見える改善が表れています。
語義2:数や量がかなり大きい
A significant number of drivers fail to keep to speed limits.かなりの数のドライバーが制限速度を守っていません。
語義3:特別な意味を持つ、意味ありげな
She gave me a significant look.彼女は私に意味ありげな視線を向けました。
このように、「重要」と訳せるのは語義1の一部にすぎません。語義2は「かなりの」、語義3は「意味ありげな」であって、どちらも「重要」ではないのです。significantを「important=重要の言い換え」とだけ覚えていると、この単語の守備範囲を大きく見誤ることになります。
02 importantと言い換えられる場合
まず、言い換えが成立するケースから確認しましょう。「物事が及ぼす影響・役割・貢献」を述べる文脈では、significantとimportantはどちらも自然に使えます。
○ どちらも自然
Technology has played a significant role in improving access to education.テクノロジーは教育へのアクセス改善に大きな役割を果たしてきました。
played an important role としても自然です。ライティング・タスク2で頻出のパターンです。
○ どちらも自然
The discovery made a significant contribution to modern medicine.その発見は現代医学に大きな貢献をしました。
○ どちらも自然
The treaty was a significant event in the history of the region.その条約は、この地域の歴史における重要な出来事でした。
言い換えが成立しやすい名詞には、次のようなものがあります。
role(役割)
contribution(貢献)
event(出来事)
difference(違い)
factor(要因)
ただし、両者のニュアンスは同じではありません。importantは「価値が高い、軽視できない」という話し手の価値判断を表すのに対し、significantは「影響や変化が目に見える形で表れている、注目に値する」という観察に近い響きを持ちます。エッセイで両方使える場面では、この温度差を意識して選ぶと、語彙の使い分けとして一段上の印象になります。
03 言い換えられない場合①:It is important to doの構文
言い換えが効かない代表例が、「〜することが大切だ」を表す It is important to do の構文です。
○ 自然
It is important to review your essay before submitting it.提出する前にエッセイを見直すことが大切です。
✕ 不自然
It is significant to review your essay before submitting it.
significantは「行動の必要性・推奨」を表せないため、この構文では使えません。
importantには「〜することには価値がある、〜すべきだ」という必要性・推奨の意味がありますが、significantが述べられるのは「すでに起きた事実や現象が、意味や影響を持っている」ことだけです。これから取るべき行動をすすめる文脈には入れません。
紛らわしいのは、It is significant that ... という形なら文法的に成立する点です。ただし意味は「〜という事実には意味がある、示唆的だ」となり、「大切だ」とはまったく別の内容になります。
△ 自然だが意味が変わる
It is significant that sales fell immediately after the advertising campaign ended.広告キャンペーン終了の直後に売上が落ちたという事実は、示唆的です。
「売上が落ちることが大切だ」ではなく、「その事実が何かを物語っている」という意味になります。
エッセイの結論などで「教育に投資することが重要だ」と書きたいときに It is significant to invest in education. としてしまうと、採点基準(Band Descriptors)の語彙力(Lexical Resource)の観点で、語の選択の不正確さとして評価に影響します。この構文ではimportant(またはessential、vital、crucial)を使うのが安全です。
04 言い換えられない場合②:必要・大切・地位を表すimportant
It is important to do の構文以外にも、importantをsignificantに置き換えられない文脈が3つあります。
健康や成功のために「必要だ」という文脈
○ 自然
Regular exercise is important for your health.定期的な運動は健康のために大切です。
✕ 不自然
Regular exercise is significant for your health.
「〜のために必要だ、欠かせない」という意味はsignificantにはありません。
人にとって「大切だ」という文脈
○ 自然
My friends are very important to me.友人は私にとってとても大切な存在です。
✕ 不自然
My friends are very significant to me.
significant to me は「私にとって特別な意味を持つ」という分析的な響きになり、愛情や親しみを述べる文脈では不自然です。
「地位が高い、有力な」という意味のimportant
○ 自然
The guests included several important officials.招待客には数名の政府要人が含まれていました。
✕ 不自然
The guests included several significant officials.
importantには「地位が高い、権限がある」という意味がありますが、significantは人の地位や権力を表せません。
なお、人にsignificantがつく表現として例外的に定着しているのが significant other(パートナー、大切な人)です。これは「自分の人生に特別な意味を持つ相手」という発想から生まれた決まり文句で、ここでもsignificantのコアである「意味を持つ」が生きています。
05 significantにしかできない仕事
ここまで「significantが使えない場面」を見てきましたが、逆に、importantでは代用できないsignificantの得意分野もあります。それが語義2の「数や量がかなり大きい」です。
○ 自然
The number of internet users saw a significant increase between 2000 and 2010.インターネット利用者数は2000年から2010年にかけて大幅に増加しました。
✕ 不自然
The number of internet users saw an important increase between 2000 and 2010.
量や程度の大きさを表す文脈では、importantは使えません。
a significant increase(大幅な増加)、a significant amount(かなりの量)、a significant proportion(かなりの割合)などは、グラフや表の数値を描写するライティング・タスク1でそのまま活躍する表現です。considerableやsubstantialと並ぶ、程度の大きさを表す定番の形容詞として覚えておくとよいでしょう。
○ タスク1での使用例
There was a significant difference between the two age groups.2つの年齢層の間には大きな差がありました。
もうひとつ押さえておきたいのが、学術的な文章に登場する statistically significant(統計的に有意)です。これは「その差や結果が偶然によって生じたとは考えにくい」という統計学の専門用語で、「重要」という意味ではありません。統計的に有意な差であっても、実用上はごく小さな差であることもあります。リーディングで研究結果を扱ったパッセージを読むときに、この区別を知っていると内容を正確に取れます。
○ 統計の文脈での使用例
The study found a statistically significant difference between the two groups.その研究では、2つのグループの間に統計的に有意な差が見られました。
However, the improvement did not reach statistical significance.しかし、その改善は統計的有意性には達しませんでした。
名詞形のsignificanceも「有意性」という意味で使われます。「有意差がある」ことをシンプルに The results showed significance. と表すこともあります。
ちなみに、数学で使われる significant figures は「有効数字」という意味です。ここでも「重要な数字」ではなく、「意味を持つ桁」という発想が根底にあります。
importantとsignificantのような「似ているが同じではない」語の使い分けは、実際に自分で文を作ってみるのが一番の近道です。パラフレーズの練習には、次のツールが役立ちます。
IELTS学習アプリ
Paraphrase(パラフレーズ練習)
書き始めの2語が与えられ、その語で始まるパラフレーズ文を作る語彙・文法強化トレーニングです。
06 まとめ
significantとimportantの関係を、最後に整理します。
significantのコアは「意味・影響を示す」こと。「重要」と訳せるのは語義の一部にすぎない
役割・影響・貢献・出来事を述べる文脈では、importantと言い換えできる
It is important to do(〜することが大切だ)の構文は、significantでは言い換えられない
「〜のために必要」「人にとって大切」「地位が高い」のimportantも言い換え不可
量・程度の「大幅な、かなりの」はsignificantの得意分野。ライティング・タスク1で活躍する
statistically significantは「統計的に有意」という専門用語で、「重要」ではない
単語を「訳語」ではなく「コアの意味」で捉え直すと、言い換えの可否は自然に判断できるようになります。significantを見かけたら、「重要」と反射的に訳す前に、「この文は何が大きい、あるいは何を意味していると言っているのか」を考えてみるとよいでしょう。
ライティング・タスク2
poor people はどこまで言い換えられる?貧困を表す表現のバリエーション