英語力を証明する試験としてIELTSと並んでよく名前が挙がるのがPTE Academicです。「スピーキングがすべてコンピューター相手と聞いたけど、本当に大丈夫なの?」「そもそも自分の出願先はPTEを受け入れているの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、提出先の要件、試験形式、結果が届くまでの日数という観点から、IELTSとPTE Academicの違いを整理します。
目次
まず確認すべきは提出先の指定
試験形式の違い
スコアの仕組みと結果が届くまでの日数
受験会場と受験料
対策のしやすさとスコアの対応
比較のポイント
よくある質問
まとめ
01 まず確認すべきは提出先の指定
PTE AcademicはPearson社が運営する試験で、主に大学・大学院への出願、そしてオーストラリア・ニュージーランド・イギリスのビザ申請で広く使われています。世界70カ国以上、3,300以上の大学・教育機関で認められており、近年は受け入れる大学がさらに増えている傾向にあります。
IELTSも同様に大学出願やビザ申請で使われますが、加えて看護師などの専門職登録、技能移民の申請といった場面でも指定されることが多く、受け入れ先の幅広さという点では引き続きIELTSに分があります。出願先や申請先がどちらの試験を要求しているか、あるいは両方を受け入れているかを最初に確認することが何より重要です。
注意
カナダの移民申請(Express Entryなど)でPearsonの試験を利用したい場合に必要なのは、この記事で扱うPTE AcademicではなくPTE Coreという別の試験です。PTE Academicはアカデミックな英語力を測る試験であるのに対し、PTE Coreは日常生活や職場で使う実用的な英語力を測る試験で、IRCC(カナダ移民局)が公式に認めているのはPTE Coreのみです。両者にスコアの互換性はなく、間違って受験しても移民申請には使えないため、申請先の要項で試験名を正確に確認してください。
02 試験形式の違い
もっとも大きな違いはスピーキングの受け方です。IELTSは試験官との対面(またはオンラインでの対面)で会話をしながら進みますが、PTE Academicはリーディング・リスニング・ライティングと同様、スピーキングもすべてコンピューターに向かって一人でマイクに録音する形式です。試験全体を通して人と直接話す場面が一切ない点が、IELTSとの大きな違いです。
PTE Academicは2026年時点で試験時間が約2時間に短縮されており、52〜64問、約20〜22種類の設問形式で構成されています。スピーキング・ライティング・リーディング・リスニングが1つの継続したセッションの中で統合的に出題される点も特徴です。IELTSはリーディング・リスニング・ライティングを続けて受験し、スピーキングは同日、あるいは試験会場のスケジュールによっては別日程になることもあります。
採点方法も異なります。PTE Academicはコンテンツ・発音・流暢さといった要素をAIが中心となって採点し、公平性を担保するために人間の専門家が一部チェックする仕組みですが、人が手動で一から採点することは基本的にありません。IELTSは試験官が採点基準(Band Descriptors)に沿って採点するため、人による評価という側面が強く残っています。
項目 IELTS PTE Academic
スピーキング 試験官との対面(またはオンラインでの対面) コンピューターに一人で録音(対人でのやり取りなし)
試験の構成 4技能を個別に受験。スピーキングが別日程になることもある 4技能が1つの継続したセッション(約2時間)で統合的に出題
採点 試験官による人的採点(Band Descriptorsに基づく) AIによる採点が中心、人間は公平性チェックとして関与
対人でのプレッシャーが苦手な人や、自分のペースで話したい人にとってはPTE Academicの一人完結形式が向いていることがあります。反対に、対話のキャッチボールの中で実力を発揮したい人や、機械相手だと緊張して話しにくいと感じる人には、IELTSの対面形式のほうが合っている場合もあります。
03 スコアの仕組みと結果が届くまでの日数
スコアの算出方法も大きく異なります。PTE Academicは10点から90点までのスケールで、技能ごとのスコアと総合スコアが算出されます。IELTSは4技能それぞれが0〜9のバンドスコア(0.5刻み)で評価され、その平均が総合スコアになります。
結果が届くまでの日数は、PTE Academicのほうが速い傾向にあります。AI採点が中心のため、多くの場合は受験から48時間以内に結果が届き、追加の確認が必要なケースでも最大5営業日程度が目安とされています。IELTSはコンピューター版でおおむね1〜5日程度で結果が確認できますが、紙の成績証明書を郵送で受け取る場合はさらに日数がかかります。出願の締切が迫っている場合は、この結果発表の速さもテスト選びの判断材料になるでしょう。
PTE Academicは10〜90点のスケール、IELTSは0〜9のバンドスコア(平均)
PTE Academicは結果が48時間以内に届くことが多く、最大でも5営業日程度
IELTSはコンピューター版で1〜5日程度、紙の証明書郵送はさらに日数がかかる
締切が迫っている場合は結果発表の速さも判断材料になる
04 受験会場と受験料
日本国内での受験のしやすさにも差があります。IELTSは日本英語検定協会(ブリティッシュ・カウンシルと提携)とJSAF(IDPと提携。2026年2月に運営を引き継ぎ)の2系統が全国各地に会場を設けており、地方在住でも比較的アクセスしやすい環境が整っています。一方、PTE Academicの日本国内の会場は、2026年時点で東京(新宿)と大阪(梅田)の2拠点に限られています。地方在住の方は、会場までの移動も含めてスケジュールを検討する必要があるでしょう。
受験料は、IELTSが2025年9月1日の改定後27,500円(税込)であるのに対し、PTE AcademicはUSD225での案内となっており、為替レートにもよりますが概算で33,000円前後になります。受験料は改定されることがあるため、申込前に必ず公式サイトで最新の金額を確認してください。
項目 IELTS PTE Academic
日本国内の会場 英検協会・JSAFが全国各地に展開 東京(新宿)・大阪(梅田)の2拠点のみ
受験料の目安 27,500円(税込、2025年9月1日改定後) USD225(概算33,000円前後、為替レートにより変動)
05 対策のしやすさとスコアの対応
公式なスコア換算表は存在しない
IELTSの6.5はPTEの何点にあたるのか、という質問はよく出ますが、両者の運営元が公式に認めた換算表はありません。インターネット上には対応表が多く出回っているものの、あくまで参考値です。
実務上意味があるのは、提出先が試験ごとに定めているスコアです。大学や移民局の要項には「IELTS 6.5 または PTE Academic 58」のように、それぞれの基準が併記されているのが普通です。換算して考えるのではなく、要項に書かれた数字をそのまま確認してください。
乗り換えても英語力の土台は共通
IELTSからPTE Academicに切り替える場合、これまでの学習が無駄になるわけではありません。語彙、文法、読解、リスニングといった土台の部分は共通で、そこに積み上げてきたものはそのまま活きます。
一方で、設問形式への慣れは別に必要です。PTE Academicには Read Aloud(画面の文を音読する)、Repeat Sentence(聞いた文をそのまま繰り返す)、Summarize Written Text(読んだ文章を1文で要約する)など、IELTSには無い形式が含まれます。1つの解答が複数の技能のスコアに反映される仕組みもあるため、形式の理解が得点に直結します。
機械採点との相性という論点
PTE AcademicはAIが採点するため、発音の明瞭さや発話の流暢さが機械的に評価されます。ゆっくり丁寧に話すより、一定のテンポで淀みなく話すほうが評価されやすいという特徴があります。逆に、言い直しや長い沈黙は流暢さの評価を下げます。
IELTSの対面形式では、試験官が意図をくみ取ってくれる場面があり、多少の言い直しがあっても内容が伝わっていれば評価につながります。この違いは、どちらが得意かという相性の問題として考えるとよいでしょう。
07 よくある質問
IELTSとPTE Academicはどちらを受けるべきですか。
まず提出先がどちらを受け入れているかを確認してください。両方が使える場合は、スピーキングの受け方で選ぶのが現実的です。試験官と対話しながら話すほうが力を出せるならIELTS、人を相手にせず自分のペースで話したいならPTE Academicが向いています。受け入れ先の幅広さでは、看護師などの専門職登録や技能移民の申請も含めてIELTSに分があります。
PTE Academicのスピーキングは本当に人と話さないのですか。
はい。4技能すべてをコンピューターに向かって受験し、スピーキングはマイクに録音する形式です。試験全体を通して人と直接話す場面はありません。IELTSのスピーキングは、2026年にコンピューター版へ一本化されたあとも試験官との1対1の対面で行われます。
カナダの移民申請にPTE Academicは使えますか。
使えません。カナダの移民申請(Express Entryなど)でPearsonの試験を使う場合に必要なのは、PTE Academicではなく PTE Core という別の試験です。PTE Academicはアカデミックな英語力、PTE Coreは日常生活や職場で使う英語力を測る試験で、両者にスコアの互換性はありません。申請先の要項で試験名を正確に確認してください。
結果はどちらが早く届きますか。
PTE Academicのほうが早い傾向があります。AI採点が中心のため多くは受験から48時間以内に届き、追加の確認が必要な場合でも5営業日程度が目安です。IELTSはコンピューター版でおおむね1日から5日程度です。出願の締切が迫っている場合は、この差が判断材料になります。
IELTSのスコアはPTE Academicの何点に相当しますか。
両者の運営元が公式に認めた換算表はありません。インターネット上の対応表は参考値にすぎません。大学や移民局の要項には「IELTS 6.5 または PTE Academic 58」のように試験ごとの基準が併記されているのが普通ですので、換算して考えるのではなく、要項の数字をそのまま確認してください。
日本でPTE Academicはどこで受験できますか。
2026年時点で東京(新宿)と大阪(梅田)の2拠点のみです。IELTSは英検協会とJSAFの2系統が全国各地に会場を設けているため、地方在住の方にとっては受験しやすさに差があります。
受験料はどちらが高いですか。
PTE Academicのほうが高くなるのが一般的です。IELTSは27,500円(税込、2025年9月1日改定後)、PTE AcademicはUSD225で、為替レートによりますが概算で33,000円前後になります。受験料は改定されることがあるため、申込前に必ず公式サイトで最新の金額を確認してください。
IELTSからPTE Academicに乗り換えると、対策はやり直しになりますか。
なりません。語彙・文法・読解・リスニングという土台は共通なので、積み上げてきたものは活きます。ただし Read Aloud や Repeat Sentence、Summarize Written Text などIELTSには無い設問形式があり、そこには別途慣れる必要があります。1つの解答が複数の技能のスコアに反映される仕組みもあるため、形式の理解が得点に直結します。
08 まとめ
IELTSとPTE Academicのどちらが優れているというものではなく、提出先の要件と自分の得意な受け方に合わせて選ぶことが何より大切です。特にカナダの移民申請を考えている方は、PTE AcademicとPTE Coreを混同しないよう注意してください。
提出先が両方を受け入れている場合は、まずスピーキングの受け方(対面か、コンピューターへの録音のみか)を基準に、自分がどちらでより実力を発揮できそうかを考えてみるとよいでしょう。