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リーディング

IELTSリーディングの文章はどこから出題されているのか:苦手ジャンルはYouTubeで克服する

IELTSリーディングの3つのパッセージには、単語数や難易度が均等に並んでいるわけではありません。書籍・雑誌・新聞から選ばれた文章という条件のなかに、繰り返し現れるジャンルの傾向と、パッセージが進むにつれて変化していく文章の性格があります。

この記事では、出題される文章そのものの成り立ちとパターンを分析します。読解のテクニックを増やす前に、自分がこれから読む文章がどんな地図の上にあるのかを知っておきましょう。

01IELTSリーディングの文章はどこから出題されているのか

IELTSアカデミックモジュールのリーディングは、3つのパッセージ・合計40問・制限時間60分という形式で構成されています。1パッセージあたりの語数はおおむね700〜950語で、3パッセージ合計するとおよそ2,150〜2,750語程度になります。

出題される文章は、書籍・雑誌・専門誌・新聞などから選ばれます。ここで重要なのは、その分野の専門家ではなく、非専門家の読者に向けて書かれた文章であるという条件です。大学の学術論文のような専門用語だらけの文章ではなく、一般の教養ある読者が読める水準でありながら、大学進学後の学術的な読解に耐えられる内容と構成を持つ文章が選ばれています。文章の性質も一様ではなく、事実を淡々と述べる説明的な文章から、筆者の主張や議論を含む論説的な文章まで幅があります。

過去に出題された出典

受験者やIELTS対策コミュニティの中には、過去に出題されたパッセージが実際にどの記事から採られたものかを特定し、共有する動きもあります。ただし、これらはあくまで有志による特定であり、公式に出典が発表されているわけではありません。

例えば、Cambridge IELTS 15, Academic Test 3のReading Passage 3「Why fairy tales are really scary tales」(おとぎ話がなぜ怖い話であるかを扱った文章)は、New Scientist誌の記事が原典だという噂があります。また、Cambridge IELTS 15, Academic Test 4のReading Passage 2「Silbo Gomero: a whistling language revived」(口笛言語シルボ・ゴメロを扱った文章)は、BBC Newsの記事(Laura Plitt、2013年)が原典とされています。

ただ、それらを読むことにあまり意味はありません。一度出題された文章がそのまま再び使われることはなく、出典元の記事を読んでも次に出会う文章の内容を先取りできるわけではないからです。時間をかけるなら、個々の出典を追うことよりも、頻出するジャンルの型に慣れておくほうが対策として効果的です。

02Passage 1〜3で変わる文章の性格

3つのパッセージは、単純に難易度が均等に上がっていくわけではなく、文章の性格そのものが変化していく傾向があります。最近の試験ではこの傾向が必ずしも一定ではありませんが、Passage 1は身近な話題や具体的な事象を扱う説明的な文章になりやすく、Passage 3に近づくにつれて、抽象的な概念や筆者の主張、対立する見解を扱う議論的な文章になりやすい、という構成になることは依然として多く見られます。

観点Passage 1に多い傾向Passage 3に多い傾向
文章のタイプ説明的・事実提示型議論的・分析型
論理展開時系列や分類による整理が中心因果関係、対比、反論への応答が中心
文構造比較的直接的な一文一義に近い構造挿入節や譲歩構文が増え、一文が長くなりやすい
読者に求められる作業本文中の情報を特定し照合する筆者の立場や含意、論拠の妥当性を推測する

この傾向はあくまで多くの過去問から観察される一般的なパターンであり、すべてのテストに当てはまる絶対的な規則ではありません。Passage 2はPassage 1と3の中間的な性格を持つことが多く、説明的な内容の中に部分的な議論や比較が混ざる構成になりやすい傾向があります。

03頻出するジャンルの傾向

出典が公表されていない一方で、テーマのジャンルには明確な偏りがあります。過去問を重ねて見ていくと、次のようなジャンルに繰り返し出会います。

自然科学・環境

気候変動、生態系の保全、地質学、海洋生物、動植物の生態など。データや観察結果を積み上げて説明する文章が多くなります。

歴史・考古学

文明の興亡、遺跡の発見、探検の記録など。時系列に沿った展開と、発見の経緯を追う構成が多くなります。

心理学・社会学・教育

学習理論、行動科学、都市と共同体のあり方など。研究結果の紹介と、それに対する複数の解釈が並ぶ構成になりやすい分野です。

ビジネス・経済

経済史、消費行動、産業構造の変遷など。要因の分析と影響の広がりを追う展開が中心になります。

テクノロジー・工学

技術革新の経緯、交通・建築技術、人工知能など。仕組みの説明と、その技術がもたらす影響の両方を扱う文章が多くなります。

芸術・デザイン・建築

美術史、建築様式の変遷、デザイン思想など。時代背景と作品・様式の特徴を結びつけて説明する構成が多くなります。

医療・健康

栄養学、公衆衛生、医学史など。因果関係や研究の変遷を扱うことが多く、慎重な言い回しが増える傾向があります。

地理・探検

地形学、気象現象、探検の歴史など。自然科学と歴史の両方の性格を併せ持つ文章になりやすい分野です。

どのジャンルも、専門知識がなければ読めないということはありません。ただし、それぞれのジャンルには特有の展開の型と、繰り返し使われる語彙のまとまりがあります。

04なぜこの構成になっているのか

IELTSアカデミックモジュールは、様々な学部・専攻に進学する受験者を対象にした試験です。理系の学部を目指す受験者もいれば、人文系や社会科学系を目指す受験者もいます。もし出題される文章が特定の分野に偏っていれば、その分野を専攻している受験者だけが有利になってしまいます。

ジャンルを自然科学、歴史、社会科学、ビジネス、テクノロジー、芸術、医療、地理と幅広く分散させているのは、特定の専門知識ではなく、初めて読む学術的な文章から情報を読み取り、構造を把握し、論理をたどるという、分野を横断して必要になる読解力そのものを測るためだと考えられます。裏を返せば、IELTSリーディング対策として特定の分野の知識を深掘りするより、どのジャンルの文章が来ても崩れない読み方を身につけるほうが、投資対効果が高いということでもあります。

05背景知識を武器にする読み方

ここまで見てきたジャンルの傾向は、丸暗記するための知識リストではありません。狙いは、それぞれのジャンルがどんな展開の型を持ち、どんな語彙のまとまりで書かれることが多いかに、あらかじめ慣れておくことです。初見の文章であっても、ジャンルの型に見覚えがあれば、構造の把握と内容の理解を同時に処理する負荷が下がります。

具体的には、次のような習慣が効果的です。

  • 気候変動、考古学、経済史など、上記のジャンルに関する短い解説記事やニュースを、週に1本ほど英語で読む習慣を持つ
  • 苦手意識のあるジャンルほど、YouTubeなどの映像コンテンツで気軽に触れておく。関心を持つきっかけになるうえ、その分野特有の単語やフレーズに自然と触れられ、基礎知識も身についていく
  • 読んだ文章がどの論理展開の型に近いか(時系列型、因果型、対比型、分類型など)を意識して振り返る
  • 模擬試験を、スコアの確認だけでなく、出てきたジャンルと文章の型を記録する場としても使う

06まとめ

IELTSリーディングの文章は、無作為に選ばれているわけではありません。非専門家向けという条件のもとで、分野を横断した読解力を測るために、意図的に幅広いジャンルから選ばれています。

  • 文章は書籍・雑誌・新聞などから、非専門家向けだが大学進学レベルの内容として選ばれている
  • Passage 1は説明的・具体的、Passage 3は議論的・分析的になりやすい傾向がある(絶対的な規則ではない)
  • 自然科学、歴史、心理・社会、ビジネス、テクノロジー、芸術、医療、地理など、繰り返し出るジャンルの傾向がある
  • ジャンルの偏りは、特定分野の受験者を有利にしないための設計でもある
  • ジャンルごとの展開の型に慣れておくことで、初見の文章でも読解の負荷を減らせる
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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