IELTSライティング・タスク2において、プランニングの質はエッセイ全体の完成度を大きく左右します。特にハイスコアを目指す人にとっては、プランニングの成功がエッセイの成功に直結します。この記事では、プラスワンポイントのハイレベル集中講座『ライティングサミット 』でも実践されている上級者向けのプランニング手法を紹介し、通常のプランニングとの違いや、その根拠について解説します。
01一般的なプランニング
多くの学習者が実践している標準的なプランニングの流れは以下のようなものでしょう。
一般的なプランニングの流れ
- 5〜10分:アイデアを考えて構成を練る
- 30〜35分:エッセイを書く
- 1〜2分:見直し
この方法の考え方はシンプルです。エッセイを書く前にしっかりアイデアや構成を考えておくことで、書き始めてから迷わずに済むようにするというものです。プランニングには、ポジションの決定、各ボディのメインアイデア、それぞれのサポートアイデアや具体例を考えることが多いでしょう。
ライティング初級者から中級者にあがるに従って、このようなプランニングを取り入れていく方も多いでしょう。一方で、ある程度試験を受けている人の中には、「最初の10分間のプランニングが本当に機能しているのか」という疑問を持ち始める人も少なくありません。
02一般的なプランニングの問題点
一般的なプランニングには、実践していると気づきやすい落とし穴がいくつかあります。
1
アイデアを考えるだけで終わってしまう
プランニングの大半の時間をメインアイデアを考える時間に使ってしまい、結果としてメインアイデアのリストを作っただけで終わることがあります。メインアイデアをサポートする説明や具体例まで十分に詰め切れていない状態でエッセイを書き始めると、ボディを書く途中で筆が止まり、再び考え直す(追加でプランニングをする)羽目になります。
2
書きながら結局考え直している
せっかく前もってプランニングをしたのに、エッセイを書いている途中で「このアイデアではサポートが続かない」「別の方向性のほうが良かった」と考えを変えてしまい、再び考え直す(追加でプランニングをする)こともあります。最初にプランニングに時間を使ったにもかかわらず、書きながらさらに考え直すという二重の時間コストが発生してしまうのです。
3
書き進めてから方向性の間違いに気づく
ほとんどの人は、エッセイをイントロダクションから書き始めます。しかし、エッセイの中で矛盾や方向性の間違いに気づくのは、エッセイの後半にさしかかってからです。特に自分の主張を展開することの多い第2ボディ(ボディが2つの場合)に、このような問題が生じることが多いのですが、この時点ではすでにかなりの時間が経過しており、「やはり違う角度から論じたい」と感じても修正が間に合わないケースがほとんどなのです。
03裏技プランニング(上級者向け)
これらの問題を解決しようと編み出されたのが、以下のような「上級者向けプランニング裏技」です。これはライティングサミットでも紹介されている方法で、多くの受講生の方がパフォーマンスの向上を実感しています。実際にこの方法を取り入れてから試験でハイスコアを達成した受講生も多くおられます。
この手法は、プランニングとライティングを交互に進めることで、より精度の高いエッセイを書くことを目的としています。
上級者向けプランニングの裏技の流れ
- 3〜5分:仮プランニング
- 6〜8分:ボディ1・ボディ2のトピックセンテンスを書く(2文)
- 6〜8分:各段落に2つ目のメインアイデアがある場合は、そのセンテンスも書く(+2文)
- 2〜3分:検証(タスクを再確認、エッセイ全体の流れの確認)
- 5〜6分:追加プランニング+ボディ1の完成
- 5〜6分:追加プランニング+ボディ2の完成
- 5〜6分:イントロダクションとコンクルージョンを書く
- 1〜2分:見直し
イントロとコンクルージョンは最後に
裏技の最大の特徴は、ボディを先に書き、イントロとコンクルージョンを最後に書くという順序にあります。イントロは「これから何を書くか」を読者に伝えるものですが、実際には「すでに何を書いたか」がわかってから書くほうが正確に書けます。ボディの内容が確定した状態でイントロを書けるため、整合性のとれたエッセイになりやすいのです。
トピックセンテンスを書いた後に立ち止まる
メインアイデアを書いた後に、「検証(タスクを再確認、エッセイ全体の流れの確認)」というプロセスを入れているのには理由があります。トピックセンテンスはその段落で何を主張するかを一文で示したものです。この段階で全体を俯瞰すると、「ボディ1とボディ2の内容が矛盾している」「タスクで問われていることから逸脱している」といった問題に気づきやすくなります。
これは本来、最初のプランニングで気づくべきことですが、ロジカルな思考に慣れていない方は、プランニングの段階では意外と矛盾に気づきません。そこである程度骨組みを作った段階で一度立ち止まり、全体を見渡すことで、問題を早期に発見できるのです。まだ本文を書き込んでいない段階なので、この時点での修正は比較的容易です。
04二段階プランニングの根拠
あとで考え直す想定でプランニングをする
この「裏技プランニング」の考え方の根底にあるのは、「どんなライティング上級者でも、書きながら考えが深まることがある」という現実です。プランニングで完璧な設計図を作ろうとするのではなく、途中で見直す余地を意図的に残すことで、より柔軟にエッセイを完成させることができます。
通常のプランニングでは、10分程度の限られた時間の中でアイデアを出し切ろうとします。しかし、私たちがよく経験するように、アイデアは「英語を書き進めるうちに」深まることもしばしば起こります。裏技プランニングではこの事実を逆手に取り、書きながら生まれるアイデアをプランに還元できるタイミングを明示的に設けているのです。
裏技はトータルの時間配分が通常のプランニングと大きく変わるわけではありません。結局のところ、トータルで使っているプランニングの時間はほぼ同じです。違いは、思考とライティングを分断せず、交互に進めるという発想にあります。これにより、「プランニングで考えたこと」と「実際に書いたこと」のギャップが生まれにくくなります。
なぜイントロは最後でいいのか
「イントロを最初に書かないのは気持ちが悪い」と感じる人もいるかもしれません。しかし、プロのライターや学術論文を書く研究者の中には、本文を書き終えてから序文や要旨を完成させるという手順を取る人も多くいます。これは、何を書いたかが明確になってから「何を書くか」を説明するほうが論理的に整合しやすいからです。
IELTSの試験においても、同じ発想が使えます。ボディで展開した論点が固まった状態でイントロを書けば、論点がボディの内容と一致しやすくなります。
05注意点とまとめ
すべての人に最適ではない
裏技プランニングはすべての人に最適な方法ではありません。一般的なプランニングで問題なくエッセイを書けている人が、あえてこの方法に切り替える必要はないでしょう。一方で、「10分プランニングしても書いているうちに詰まってしまう」「プランと書いた内容がズレてしまう」という悩みを抱えている人には、試してみる価値があります。
自分に合ったプランニングスタイルを見つけるためには、いくつかのパターンを実際に試してみることが必要です。
どのパターンが自分にとって最もスムーズに感じるか、そして書き上がったエッセイの質が高いかを、複数回練習して比較してみてください。数回同じパターンで練習すれば、自分との相性がわかってきます。さまざまなバリエーションを練習の中で試してみて、自分が一番しっくりくると感じたものこそがその人にあった最善の手法なのです。
試験でいきなり試すのは絶対にNG
裏技プランニングは一般的なプランニングとは手順が複雑なため、慣れていない状態で試験本番に臨むと、混乱して時間を無駄にするリスクがあります。「ボディを先に書く」「イントロを最後に書く」という順序を体に染み込ませるには、少なくとも5〜10回は本番と同じ時間制限の中で練習を重ねることが必要です。新しい方法を試すのは必ず練習の場でのみにしましょう。
まとめ
裏技プランニングは、プランニングとライティングを柔軟に行き来することで、エッセイ全体の論理的な一貫性を高めることを目的とした手法です。通常のプランニングが「先に設計してから建てる」方式だとすれば、変速技は「基礎を組みながら設計を確認し、内装が決まってから外観を整える」方式と言えます。
この方法が自分に合うかどうかは、実際に試してみるまでわかりません。まずは時間を計りながら練習の中でチャレンジしてみましょう。そして一般的なプランニングとどちらの方が良いエッセイを書けるかを自分で比較してみることが、自分だけのベストな方法を見つける一番の近道です。