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ライティング・タスク2

その「クレーム」、英語では通じません。日本語と意味がずれたカタカナ動詞4選

「ホテルにクレームした」「新しい仕事にチャレンジしたい」「面接で自分をアピールした」「スペルをミスした」。どれも日本語としては自然な文です。しかし、この4つの動詞をそのまま英語にすると、意味が通じないどころか、まったく別の内容が伝わってしまいます。

claim、challenge、appeal、miss はいずれも英語として実在する単語です。だからこそ、意味のずれに気づきにくい要注意語だと言えます。この記事では、日本語として定着してしまった意味と英語本来の意味のギャップを整理し、ライティング・タスク2やスピーキングでそのまま使える正しい言い換えを例文とともに解説します。

01カタカナ語こそ「一番危ない語彙」である理由

まったく知らない英単語に出会ったとき、私たちは辞書を引きます。ところが、カタカナ語として日本語に定着している単語は「知っている」と思い込んでいるため、意味を確認する機会がないまま使い続けてしまいます。実は、ここに大きな落とし穴があります。

カタカナ語の多くは英語に由来しますが、日本語に取り込まれる過程で意味が狭まったり、まったく別の意味に変わったりしたものが少なくありません。今回取り上げる「クレーム」「チャレンジ」「アピール」「ミス」は、いずれも動詞として日本語に定着しているものの、英語の claim、challenge、appeal、miss とは意味がずれてしまった代表例です。

この種の誤用がやっかいなのは、文法的には成立してしまうケースがあることです。ライティングでは、意図とは違う意味の英文がそのまま「別の主張」として読まれてしまいます。採点基準(Band Descriptors)の Lexical Resource(語彙力)では、選んだ語が意味を正確に伝えているかどうかが評価されるため、こうしたずれはスコアに直接影響します。逆に言えば、ずれを一つずつ直していくことは、そのまま語彙力の底上げになります。

02クレーム(claim)は「苦情」ではなく「主張」

日本語の「クレームをつける」「クレームが入る」は、苦情の意味で完全に定着しています。しかし、英語の claim に「苦情を言う」という意味はありません。

日本語の「クレーム」

苦情、文句を言うこと

英語の claim

(事実だと)主張する、(権利として)請求する

I claimed to the hotel about the noise.「ホテルに騒音のクレームを入れた」のつもり。英語としては不自然な文で、意図が伝わりません。

I complained to the hotel about the noise.ホテルに騒音の苦情を言いました。

「苦情を言う」は complain about、または make a complaint を使います。一方、英語本来の claim は次のように使われます。

Some people claim that technology has made our lives more stressful.

テクノロジーは私たちの生活をよりストレスの多いものにした、と主張する人もいます。

Passengers can claim compensation for delayed flights.

乗客は遅延した便について補償を請求できます。

実は、身の回りには本来の意味を保ったままのカタカナ語も残っています。空港の「バゲージクレーム(baggage claim)」は、自分の荷物だと主張して引き取る場所のことで、荷物の苦情窓口ではありません。海外旅行保険などで目にする「メディカルクレーム(medical claim)」も、医療への苦情ではなく保険金の請求のことです。こうした本来の意味とつながったカタカナ語から連想すると、「claim = 主張する・請求する」が記憶に定着しやすくなります。

そして、この本来の claim はタスク2で非常に役に立ちます。claim には「その主張が正しいとは限らない」という含みがあるため、譲歩のパラグラフで反対意見を紹介し、直後に反論を続ける流れと相性が良いのです。「Some people claim that ...(〜と主張する人もいますが)」と切り出せば、続く However 以下の反論が自然に決まります。

03チャレンジ(challenge)は「挑戦する」ではなく「異議を唱える」

日本語の「チャレンジする」は「気軽に挑戦してみる」という前向きな意味で使われます。しかし、英語の動詞 challenge にその意味はありません。

日本語の「チャレンジ」

(新しいことに)挑戦する、試してみる

英語の challenge(動詞)

異議を唱える、妥当性を疑う、(人に)挑む・戦いを仕掛ける

I want to challenge the IELTS exam next month.「来月IELTSに挑戦したい」のつもり。英語では「IELTSという試験に異議を唱えたい」と読まれかねません。

I am going to take the IELTS exam next month.来月IELTSを受験する予定です。

本来の意味を思い出すヒントは、実はスポーツの中にあります。テニスや野球の「チャレンジ制度」は、審判の判定に異議を唱えて再確認を求める仕組みで、これがまさに英語本来の challenge です。メジャーリーグで2026年シーズンから導入された ABS(自動ボール・ストライク判定システム)のチャレンジ制度も、選手がストライク・ボールの判定に異議を申し立てるもので、大きな話題になりました。「チャレンジ = 判定への異議」というスポーツでの使われ方こそ、英語のニュアンスそのものです。

「新しいことに挑戦する」と言いたいときは try something new、または名詞を使って take on a new challenge とするのが自然です。名詞の challenge(課題、難題)は本来の意味のまま使えるので、混同しないようにしましょう。

そして、動詞 challenge も本来の意味で使えば、タスク2の強力な武器になります。

Recent research challenges the assumption that older employees are less productive.

高齢の従業員は生産性が低いという思い込みに、最近の研究は疑問を投げかけています。

However, this view can be challenged on several grounds.

しかし、この見方にはいくつかの点で反論の余地があります。

反対意見に切り込むパラグラフで「this argument can be challenged」と書ければ、議論を評価する視点を持っていることが伝わり、エッセイに深みが出ます。「挑戦する」ではなく「異議を唱える」。この一点を覚え直すだけで、誤用が得点源に変わります。

04アピール(appeal)は「売り込む」ではなく「訴える」

「面接で自分をアピールする」「強みをアピールする」のように、日本語の「アピール」は長所を積極的に見せる、売り込むという意味で使われます。英語の appeal の中心的な意味はこれとは異なります。

日本語の「アピール」

長所を売り込む、強調する

英語の appeal

(appeal to で)魅力がある・心に訴える、(appeal for で)〜を求めて訴える

I appealed my strengths in the job interview.「面接で自分の強みをアピールした」のつもり。appeal はこの形では使えず、意味が伝わりません。

I highlighted my strengths in the job interview.面接で自分の強みを強調しました。

日本語の「アピールする」に相当する英語は、highlight(強調する)、emphasize(力説する)、showcase(見せ場をつくる)、promote(売り込む)などです。文脈に応じて使い分けるとよいでしょう。

英語本来の appeal は、自動詞として次のように使います。

Advertisements that appeal to emotions are often more persuasive than those based on facts.

感情に訴える広告は、事実に基づく広告よりも説得力を持つことが多いです。

City life appeals to many young people because of its convenience and variety.

都会の生活は、その利便性と多様性ゆえに多くの若者を惹きつけます。

特に「appeal to 人(〜にとって魅力がある)」は、タスク2で政策や生活様式が特定の層に支持される理由を説明するときに重宝します。「なぜ都市に人が集まるのか」「なぜこの政策が若者に支持されるのか」といった定番の論点で、そのまま使える表現です。

05ミス(miss)は「間違える」ではなく「逃す」

「計算をミスした」「スペルミス」のように、日本語の「ミス」は「間違い」の意味で定着しています。しかし、英語の miss の中心的な意味は「間違える」ではなく「取り逃がす」です。

日本語の「ミス」

間違える、失敗する

英語の miss

逃す、外す、乗り遅れる、見逃す・聞き逃す、いなくて寂しく思う

I missed the spelling of this word.「この単語のスペルをミスした」のつもり。英語では「スペルを見逃した」のような不自然な文になります。

I made a spelling mistake. / I misspelled the word.スペルを間違えました。

「間違える」は make a mistake、または make an error です。名詞として使う場合も a miss ではなく a mistake で、「ケアレスミス」は a careless mistake と表現します。英語本来の miss は次のような場面で使われます。

I missed the last train and had to take a taxi home.

終電を逃して、タクシーで帰るはめになりました。

Many candidates miss the point of the question and drift off topic.

多くの受験者は設問の要点を取り違え、話題がずれてしまいます。

二つ目の例文にある miss the point(要点を外す)は、まさに「逃す」の意味の miss です。タスク2の採点基準である Task Response は、設問の要点を正しく捉えているかを見る観点なので、この表現は覚えておいて損はありません。

06他にもある、意味がずれたカタカナ動詞

この4つのほかにも、日本語として定着する過程で意味が変わってしまったカタカナ動詞はあります。代表的なものを挙げておきます。

リベンジする revenge は「復讐」

日本語では「もう一度挑戦する」という軽い意味ですが、英語の revenge は深刻な「復讐」を指します。試験にもう一度挑むなら retake the exam や try again が自然です。

フォローする follow は「ついていく、追う」

「同僚をフォローする(助ける)」という意味は follow にはありません。support や back up、一時的に代わりを務める場合は cover for を使います。

カンニングする cunning は「ずる賢い」という形容詞

英語の cunning はそもそも動詞ではなく、「ずる賢い」という意味の形容詞です。試験での不正行為は cheat(on the exam)と言います。

サボる sabotage は「破壊工作をする」

語源の sabotage は、設備などを意図的に破壊する行為を指す強い言葉です。授業を休むなら skip class、仕事の手を抜くなら slack off が適切です。

リストラする restructure は「再編する」

restructure 自体は「組織を再編する」という意味で、解雇の意味はありません。人員削減は lay off employees や make workers redundant と表現します。雇用はタスク2の頻出テーマなので、この言い換えは特に重要です。

共通しているのは、どれも「日本語として自然に使えてしまう」ことです。自分の英作文にカタカナ語由来の単語が出てきたら、一度立ち止まって本来の意味を確認する習慣をつけるとよいでしょう。

IELTS学習アプリ 誤用ファインダー 自分の英作文から表現の覚え間違いや使い間違いを見つけ出すツールです。カタカナ語由来の誤用チェックにも活用できます。

07まとめ

今回は、日本語として定着しているものの、英語では別の意味になってしまうカタカナ動詞を取り上げました。最後にポイントを確認しましょう。

  • 「苦情を言う」は complain / make a complaint。claim は「主張する、請求する」
  • 「挑戦する」は try や take on a challenge。動詞の challenge は「異議を唱える」
  • 「強みを売り込む」は highlight / emphasize。appeal to は「魅力がある、心に訴える」
  • 「間違える」は make a mistake。miss は「逃す、外す」
  • カタカナで知っているつもりの単語ほど、英英辞典で本来の意味を確認する

皮肉なことに、まったく知らない単語よりも「知っているつもりの単語」のほうが誤用は起こりやすいものです。一方で、claim や challenge を本来の意味で使いこなせれば、タスク2の譲歩や反論のパラグラフを支える強力な語彙になります。ずれを直す作業は、そのまま語彙力の上積みになるのです。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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