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結果に納得できないときの選択肢

IELTS再採点(リマーク)の仕組みと申請方法:EORとOne Skill Retakeの違い

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

IELTSの試験結果を受け取ったあと、「再採点(リマーク)」を申請できることをご存じですか?正式にはEnquiry on Results(EOR)と呼ばれるこの制度は、採点結果に不服がある場合に活用できる受験生の権利の一つです。

この記事では、再採点制度の仕組みから申請方法、スコアが上がる可能性、そして2023年12月から日本でも導入された「One Skill Retake」との違いまで、2026年最新情報を詳しく解説します。

01再採点(リマーク)とは

IELTSの再採点(リマーク)とは、試験結果に納得がいかない場合に、採点の見直しを申請できる制度です。正式名称はEnquiry on Results(EOR)と呼ばれています。

意外と知られていない制度

以前、X(旧Twitter)で再採点に関するアンケートを実施したところ、興味深い結果が得られました。リマークの利用経験者は約20%にとどまり、制度自体を知らなかったという人も20%いることが分かりました。

2019年12月17日に実施したアンケート結果はこちらです。

X / Twitter 2019年12月17日 アンケート結果

再採点は誰でも利用できる受験生の権利の一つです。定められた手数料を支払うことで、もう一度採点をし直してもらうことができます。

再採点(EOR)の基本ルール
  • スコアが変わらなかった場合:手数料は返金されない
  • スコアが上がった場合:手数料は全額返金される
  • スコアが下がることはない(後述)

02再採点は誰が担当するのか

IELTSの再採点は、最初の採点をした試験官とは別の試験官が担当します。通常は、最初の採点をした試験官よりも上級の試験官(経験の長い試験官)が採点を行います。

バイアスのない採点

リマークの採点をする試験官は、オリジナルの試験結果を見ずに、バイアスのない状態で採点を行います。これは、公平性を担保するための重要な仕組みです。

試験官もミスをする

試験官は「採点基準(Band Descriptors)」を元に採点をしていますので、基本的には誰が採点をしても同じスコアになるのが原則です。しかし、試験官も人間ですので、時には主観が入ることもありますし、ミスをすることもあります。

試験官は常日頃から厳しいトレーニングを受けており、定期的にその能力を確認するための試験も受けていますが、100%パーフェクトな採点をすることは不可能に近いことです。だからこそ、公平性を維持するために再採点(リマーク)の制度が設けられているのです。

試験結果がブレる理由
  • 試験官の主観が入る可能性がある
  • 特にスピーキングでは最大1.5程度ブレることもある

03費用と申請期限【2026年最新】

日本国内のIELTSは、英検協会(ブリティッシュ・カウンシルと提携)とJSAF(IDPと提携)の2系統で運営されています。リマークの費用はどちらも同額です(2026年8月確認)。

日本国内のリマーク費用
運営団体 費用
英検協会(IELTS/IELTS for UKVI) 15,000円(技能数に関わらず一律)
JSAF 15,000円(技能数に関わらず一律)
2026年の運営再編に注意

IDPが直営していた日本のテストセンターは、2026年2月にJSAFへ移管されました。旧IDP会場(東新宿・東梅田など)で受験した方のリマークは、JSAFの案内に従って申請してください。

複数の技能を指定しても同料金

申請の際に、どの技能について再採点を希望するかを選ぶことができます。しかし、1技能を選んだ場合でも4技能すべてを選んだ場合でも同じ料金がかかります。

だとすれば、4技能すべてを選んだほうがお得ですよね。ただし、チェックする技能数が多くなるほどリマークの返却に時間がかかります。また、正解が存在するリスニングやリーディングでスコアが修正される可能性は、ライティングやスピーキングに比べて格段に低いです。そのため、出願などで結果を1日でも早く受け取りたい方は、必要な技能だけ選ぶことも検討しましょう。

申請期限に注意
  • 英検協会:筆記テスト日から39日以内(期限までに申請書類の到着と入金確認が必要)
  • JSAF:試験日から6週間(42日)以内
  • 結果を受け取った日ではなく、試験を受けた日から起算
  • 期限を1日でも過ぎると申請は受理されない
結果が届くまでの期間

リマークにかかる期間は、2〜4週間程度が目安です。英検協会では3週間程度(混雑時はそれ以上かかる場合もあります)、JSAFでは2〜4週間が目安とされています。

リマーク申請中は元の成績が一時的に無効となりますので、大学などに提出する必要がある方は事前に担当者に相談しておくことをお勧めします。

04申請方法と必要なもの

リマークの申請方法は、受験した運営団体によって異なります。

英検協会の場合(郵送)

受験したテストセンターへメールで問い合わせると、申請用紙の案内が届きます。申請用紙と、再採点申請料の振込を証明するもの(控えのコピー可)を郵送すれば手続きは完了で、スコアレポート(Test Report Form)の提出は不要です。39日の期限までに書類の到着と入金確認が済んでいる必要がある点に注意してください。混雑状況にもよりますが、数営業日で再採点の結果が返ってくることもあります。

なお、スコアが変更された場合の手数料の返金は、日本国内の銀行口座を送金先に指定した場合に限られます。

JSAFの場合

JSAF公式サイトの「各種申請」ページから、再採点(EOR)の申請手続きができます。対象はJSAFのテストセンターで受験した方です。2026年2月にIDPから移管された会場で受験した方も、こちらから申請します。

ペーパー版で受験した場合

日本国内のペーパー版IELTSは2026年で提供が終了します(東京・大阪は8月実施分まで、それ以外は6月実施分まで)。それまでにペーパー版で受験した方も、期限内であれば同じようにリマークを申請できます。

05スコアが上がりやすい科目

再採点でスコアが上がることが最も期待できるのは、スピーキングとライティングです。

なぜスピーキングとライティングなのか

どちらの科目も採点に試験官の主観的な要素が入ってくるからです。特にスピーキングは試験官によるスコアの幅が大きいため、再採点申請によって1.0以上上がることも珍しくありません。

ライティングも、スピーキングほどではないものの、再採点によって0.5〜1.0程度上がることがあります。

スコアが上がる可能性はどのくらい?

正確な数字は公表されていませんが、経験的にスコアが上がる可能性は10〜20%程度と言われています。ただし、元のスコアによって傾向が異なります。

スコアが上がりやすいレンジ
  • 元のスコアが6.0以下:スコアが上がる可能性が比較的高い
  • 元のスコアが6.5以上:スコアが上がる可能性が比較的低い

これは、試験官が6.5〜7.0あたりの回答を非常にたくさん見ているために、そのレンジで採点ミスをする可能性が非常に低いためと考えられます。

リスニング・リーディングは上がりにくい

リスニング・リーディングははっきりとした正答があるため、採点に不備がない限りスコアは上がりません。正答数のカウントミスなどが稀にある可能性はありますが、過去にリスニング・リーディングのリマークでスコアが上がったケースはほとんど聞いたことがありません。

06スコアが下がる可能性は?

「再採点を申請して結果のスコアが下がることはありますか?」という質問をよくいただきます。

結論から言うと、再採点(リマーク)でスコアが下がることはありません。公式サイトには明記されていませんが、British Councilに問い合わせたところ、以下の回答を得ました。

British Councilからの回答
British Council 公式回答

"If you undertake an Enquiry on Results, your mark will either increase or remain the same."

(再採点を申請した場合、あなたのスコアは上がるか、そのまま変わらないかのどちらかです。)

つまり、リマークを申請してスコアが下がるリスクはゼロです。費用がかかるというデメリットはありますが、スコアが上がれば全額返金されますので、目標スコアまであと少しという方は検討する価値があります。

07One Skill Retakeとの違い

2023年12月から日本でも「One Skill Retake」という新しい制度が導入されました。リマーク(EOR)とは異なる制度ですので、違いを理解しておきましょう。

関連記事 IELTS One Skill Retake(1技能のみの再受験)とは?対象者と申込方法 One Skill Retakeとは

One Skill Retakeは、4技能のうち1つだけを再受験できる制度です。元の試験結果に満足できない場合に、全技能を受け直すのではなく、1つの技能だけを再試験することができます。

One Skill Retakeの特徴
  • コンピューター版IELTSのみ対応(ペーパー版・IELTS Onlineは対象外)
  • 元の試験から60日以内に申請が必要
  • 4技能のうち1つだけ再受験可能
  • 再受験したスコアで新しいTRFが発行される
  • 費用は18,000円(税込)。通常受験料の約65%
  • 日本での実施会場はJSAFの高田馬場・東梅田・京都の各会場(2026年8月現在)
EORとOne Skill Retakeの比較
項目 EOR(再採点) One Skill Retake(再受験)
内容 同じ回答を別の試験官が再採点 1技能だけ新たに試験を受け直す
費用 15,000円(技能数に関わらず一律。スコアが上がれば返金) 18,000円(税込)通常受験料の約65%
期限 英検協会は39日以内、JSAFは6週間以内 試験日から60日以内
結果 スコアが上がるか、変わらないか 新しいスコアに置き換わる(下がる可能性もある)

EORは「採点ミスがあったかもしれない」と思う場合に有効で、One Skill Retakeは「実力は出せたがもっと上を目指したい」という場合に有効です。状況に応じて使い分けましょう。

注意

One Skill Retakeは受け入れ機関によって認められない場合がありますので、申請前に必ず志望先に確認してください。

09よくある質問

IELTSの再採点(リマーク)とは何ですか。

試験結果に納得がいかない場合に、採点の見直しを申請できる制度です。正式名称はEnquiry on Results(EOR)と呼ばれています。定められた手数料を支払うことで、もう一度採点をし直してもらうことができます。

再採点でスコアが下がることはありますか。

ありません。British Councilに問い合わせたところ、再採点を申請した場合はスコアが上がるか、そのまま変わらないかのどちらかであるという回答を得ています。スコアが上がれば手数料は全額返金され、変わらなかった場合は返金されません。

費用はいくらですか。

英検協会・JSAFとも、技能数に関わらず一律15,000円です(2026年8月確認)。申請時にどの技能を再採点するか選べますが、1技能を選んでも4技能すべてを選んでも同じ料金がかかります。スコアが上がれば全額返金されます。

申請期限はいつまでですか。

英検協会は筆記テスト日から39日以内(期限までに申請書類の到着と入金確認が必要)、JSAFは試験日から6週間(42日)以内です。結果を受け取った日ではなく試験を受けた日から起算され、期限を1日でも過ぎると申請は受理されません。

どの技能を選べばスコアが上がりやすいですか。

スピーキングとライティングです。どちらも採点に試験官の主観的な要素が入るためで、特にスピーキングは試験官によるスコアの幅が大きく、1.0以上上がることも珍しくありません。リスニング・リーディングははっきりとした正答があるため、採点に不備がない限りスコアは上がりません。

スコアが上がる可能性はどのくらいですか。

正確な数字は公表されていませんが、経験的に10〜20%程度と言われています。元のスコアが6.0以下の場合は比較的高く、6.5以上の場合は比較的低い傾向があります。試験官が6.5〜7.0あたりの回答を非常にたくさん見ているため、そのレンジでの採点ミスが起きにくいと考えられます。

再採点とOne Skill Retakeはどちらを選ぶべきですか。

採点ミスがあったかもしれないと思う場合は再採点(EOR)、実力は出せたけれどもっと上を目指したい場合はOne Skill Retake(1技能だけの再受験)が向いています。再採点はスコアが下がらないのに対し、One Skill Retakeは新しいスコアに置き換わるため下がる可能性もあります。

再採点の申請中も元のスコアは使えますか。

リマーク申請中は元の成績が一時的に無効となります。出願などでスコアを提出する予定がある方は、申請の前に提出先の担当者へ相談しておくことをお勧めします。

ペーパー版で受験した場合も再採点を申請できますか。

できます。日本国内のペーパー版は2026年で提供終了となりますが(東京・大阪は8月実施分まで、それ以外は6月実施分まで)、終了前にペーパー版で受験した方も、期限内(英検協会は39日以内・JSAFは6週間以内)であれば申請できます。

結果が出るまでどのくらいかかりますか。

2〜4週間程度が目安です。英検協会では3週間程度、JSAFでは2〜4週間が目安とされています。リマーク申請中は元の成績が一時的に無効となるため、大学などに提出する必要がある方は事前に担当者に相談しておくことをお勧めします。

10まとめ

IELTSの再採点(リマーク)制度について解説しました。

再採点は受験生の権利の一つであり、特にスピーキングやライティングでスコアが予想より低かった場合には検討する価値があります。スコアが下がるリスクはゼロで、上がれば費用も全額返金されます。

目標スコアまであと0.5〜1.0足りないという方は、ぜひこの制度の活用を検討してみてください。

  • 再採点(EOR)は採点結果に不服がある場合に利用できる制度
  • 費用は技能数に関わらず一律15,000円、スコアが上がれば全額返金
  • 申請期限は英検協会が39日以内、JSAFが6週間以内
  • スピーキングとライティングでスコアが上がりやすい
  • スコアが下がることはない(上がるか、変わらないか)
  • One Skill Retakeとは異なる制度なので使い分けが重要
  • 結果が届くまで2〜4週間程度(英検協会は3週間程度)
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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