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Writing Task 2

日本人が苦手な not until recently:イメージしづらい時間表現の正体

It was not until recently that people began to take this problem seriously. この文には not という否定語が入っていますが、伝えている内容は「人々はこの問題を真剣に受け止めるようになった」という肯定です。形は否定なのに、意味は肯定。このねじれこそが、not until の構文が多くの日本人学習者を混乱させる理由です。

この記事では、It was not until ... that ... の構造を元の文から組み立て直し、あわせて混同しやすい倒置のルール、同じようにイメージしづらい ... before ... の感覚、そして仲間の構文までまとめて整理します。ライティング・タスク2で自信を持って使えるようになることをゴールに解説していきます。

01It was not until recently that ...:形は否定、意味は肯定

まず、この構文を頭から直訳してみます。「それは最近までではなかった、人々がこの問題を真剣に受け止め始めたのは」。日本語として成立しておらず、意味のイメージがまったく浮かびません。この構文がつかみにくいのは、単語の難しさではなく、日本語に対応する語順が存在しないことが原因です。

そこで、完成形を丸暗記するのではなく、元のシンプルな文から組み立て直してみます。出発点は次の文です。

People did not begin to take this problem seriously until recently.

人々は最近まで、この問題を真剣に受け止め始めませんでした。

この文の until recently(最近まで)の部分を、It was ... that ... の強調構文で前に出します。このとき、not は until とセットで動くという点がポイントです。「最近まで〜しなかった」の「〜まで…ない」という意味のまとまりごと、強調の位置に移動します。

It was not until recently that people began to take this problem seriously.

最近になって初めて、人々はこの問題を真剣に受け止め始めました。

not until recently 全体が「最近になって初めて」という一つの副詞のかたまりになっている、と考えると整理しやすくなります。そして、not がすでに前に移動しているため、that 節の中は肯定形になります。ここも直感に反しやすいポイントです。

読み方の公式

It was not until X that S V という形を見たら、「X になって初めて S は V した」と機械的に変換してかまいません。いくつか例を見てみましょう。

It was not until the twentieth century that women gained the right to vote in many countries.

20世紀になって初めて、多くの国で女性が選挙権を得ました。

It is not until they lose their health that many people realise how valuable it is.

健康を失って初めて、多くの人はその大切さに気づきます。

2つ目の例のように、現在形の一般論では It is not until ... that ... の形になります。「〜して初めて…する」という一般的な真理を述べる形は、ライティング・タスク2のボディパラグラフと相性のよい表現です。

02倒置には要注意:Not until recently was it that とは言えない

「否定の語句を文頭に出すと倒置が起こる」という文法知識を持っている人ほど、ここで混乱しがちです。It was not until recently that ... を見て、「not until recently が文頭にあるのだから、倒置形にも書き換えられるはず」と考え、次のような文を作ってしまうケースがあります。

よくある誤り
  • Not until recently was it that people began to take this problem seriously.
  • Not until recently people began to take this problem seriously.(倒置を忘れた形)
正しい形
  • It was not until recently that people began to take this problem seriously.(強調構文)
  • Not until recently did people begin to take this problem seriously.(倒置)

なぜ Not until recently was it that ... が成立しないのか。それは、強調構文と倒置が、元の文から作られる別々のルートだからです。

  • 元の文:People did not begin to take this problem seriously until recently.
  • ルート1(強調構文):not until recently を It was ... that ... で挟む → It was not until recently that people began ...
  • ルート2(倒置):not until recently を文頭に出し、主節を疑問文と同じ語順にする → Not until recently did people begin ...

Not until recently was it that ... は、ルート1の It was ... that を残したままルート2の倒置を適用しようとした、いわば2つのルートの混合形です。どちらのルートからも生まれない形なので、文法的に成立しません。

覚え方としては、「It was not until X that ... はすでに完成した強調構文なので、それ以上いじらない。倒置したいなら、It was と that を捨てて、Not until X + 疑問文の語順、とゼロから作り直す」と整理するとよいでしょう。倒置形では did people begin のように、do・does・did や助動詞が主語の前に出ます。

03... before ... の感覚:「〜する前に」と訳すと迷子になる

not until と並んで日本人がイメージしづらいのが、時間の経過を主語にした ... before ... の構文です。before と聞くと「〜する前に」という訳語が反射的に浮かびますが、その読み方で次の文に向かうと迷子になります。

It was several years before the effects of the policy became visible.

数年が経って、ようやくその政策の効果が見え始めました。

「効果が見える前は数年だった」と後ろから訳し上げようとすると、時間関係がねじれて意味がつかめなくなります。この構文は、前から時系列の順に読むのがコツです。「(時間の経過)+ before +(そのあとに起こったこと)」という並びになっており、日本語にするなら「〜が経って、そのあと…した」「〜して、ようやく…した」という順で訳すと自然になります。

Ten years passed before the government finally took action.

10年が経って、ようやく政府は行動を起こしました。

It will not be long before artificial intelligence becomes a standard part of classroom learning.

まもなく、AIは教室での学びの標準的な一部になるでしょう。

It may be decades before the benefits of such investment become clear.

そうした投資の恩恵が明らかになるまでには、数十年かかるかもしれません。

It will not be long before ... は「長くはかからないうちに〜する」、つまり「まもなく〜するだろう」という未来予測の定番表現で、ライティング・タスク2のコンクルージョンなどでも使いやすい形です。

not until と before の構文には共通点があります。どちらも「時間の経過が先、出来事があと」という順序で情報が並ぶのです。日本語では「〜するまで…しなかった」「〜する前に」と後ろから訳し上げる習慣が強いため、英語の語順のまま時系列をイメージする練習が、この種の構文を攻略する近道になります。

04他にもある:否定の意味が形に表れない構文

not until や before のように、「肯定と否定のねじれ」や「時系列のずれ」を含む構文は他にもあります。ライティング・タスク2で出会う頻度が高いものを3つ紹介します。

① It is only when ... that ... / Only when ... + 倒置

not until の兄弟のような構文です。「〜して初めて…する」という意味で、強調構文と倒置の2つの形を持つ点まで同じです。

It is only when people lose something important that they realise its true value.

大切なものを失って初めて、人はその本当の価値に気づきます。

Only when strict regulations are introduced will companies take environmental issues seriously.

厳しい規制が導入されて初めて、企業は環境問題を真剣に受け止めるでしょう。

ルールも not until と共通です。強調構文なら It is only when ... that ...、倒置なら Only when ... + 疑問文の語順。両者を混ぜた Only when ... was it that ... は作れません。

② have yet to:形は肯定文、意味は「まだ〜していない」

The government has yet to find an effective solution to this problem.

政府はこの問題に対する有効な解決策を、まだ見つけられていません。

見た目は完全な肯定文なのに、意味は「まだ〜していない」という否定です。has not found yet と同じ内容を、より引き締まったフォーマルな形で表現できるため、エッセイで現状の課題を指摘するときに便利な表現です。

③ It remains to be seen whether ...:まだわからない

It remains to be seen whether this policy will bring lasting benefits.

この政策が持続的な恩恵をもたらすかどうかは、まだわかりません。

直訳は「〜かどうかは、これから見られることとして残っている」。つまり「現時点ではまだわからない」という意味です。ここにも not は登場しませんが、内容は「まだ判明していない」という否定です。

3つに共通するのは、英語が否定や未完了の情報を not 以外の場所(until、yet、remain など)に埋め込むことがある、という性質です。訳語の一対一対応で処理しようとせず、「いつの時点で、何が起きて、何がまだ起きていないのか」という時系列のイメージで捉えると、どの構文もぐっと扱いやすくなります。

05ライティング・タスク2でどう活かすか

採点基準(Band Descriptors)の Grammatical Range and Accuracy では、多様な構文を正確に使えているかが評価されます。強調構文や倒置を的確な場面で使えれば、構文の幅を示す有力な材料になります。使いどころの例を挙げます。

  • イントロダクションの背景描写:It was not until the spread of smartphones that this debate attracted wide attention.
  • ボディでの歴史的な変化の説明:Not until the twentieth century did education become accessible to ordinary people.
  • 一般論の提示:It is not until people experience a problem themselves that they start to care about it.
  • コンクルージョンでの未来予測:It will not be long before this issue affects every part of society.

ただし、優先すべきは常に正確性です。倒置の形に自信が持てないまま本番で使うと、Grammatical Range and Accuracy の正確性の面でかえって不利になります。迷ったときは、Until recently, most people paid little attention to this issue. のように until recently を文頭に置くだけのシンプルな形でも十分に自然で、意味も明確に伝わります。

練習方法としては、まず元の文(S did not V until X)を書き、それを強調構文と倒置の2パターンに機械的に変形する練習がおすすめです。変形のルートを体で覚えてしまえば、2つを混ぜた誤りは起こらなくなります。自分の書いた文が自然かどうか確かめたいときは、AI添削ツールを使うと効率的です。

IELTS学習アプリ ライティングAI添削(SentenceRefiner) 自分の英文を入力すると、より自然な表現へのリファインを提案してくれるAI添削ツール

また、「形のルールを知らないまま使うと不自然になる表現」への向き合い方は、the + 形容詞の使い分けとも共通しています。あわせて読むと、判断基準の考え方がつながって整理しやすくなります。

Writing Task 2 the + 形容詞はいつでも使える?the rich・the young が自然な場合と不自然な場合

06まとめ

形は否定なのに意味は肯定、という not until のねじれは、完成形を丸暗記するのではなく、元の文からの組み立てルートを知ることで解消できます。この記事のポイントを整理します。

  • It was not until X that S V は「X になって初めて S は V した」という肯定の内容を表し、that 節の中は肯定形になる
  • 倒置形は Not until X + 疑問文の語順(Not until recently did people begin ...)。強調構文と混ぜた Not until X was it that ... は作れない
  • (時間の経過)+ before + ... は前から時系列順に「〜が経って、そのあと…した」と読む
  • only when、have yet to、It remains to be seen など、否定や未完了の意味が not 以外の形に埋め込まれた構文は他にもある
  • 本番では正確性を優先し、自信のない倒置より until recently を文頭に置くシンプルな形を選ぶのも立派な戦略

次にエッセイを書くとき、「最近になってようやく〜した」「〜が経って、ようやく…した」と言いたい場面が出てきたら、この記事の変形ルートを一度思い出してみてください。時系列を英語の語順のままイメージできるようになると、読解でもライティングでも、この種の構文はもう怖くなくなります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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