tall、intelligent、happy、beautiful のような形容詞は、人の性質を表すことはできても、社会的なカテゴリーとしては扱われていません。こうした形容詞を the + 形容詞にすると、文法的に完全な誤りとまでは言えないものの、通常のエッセイでは不自然で、詩的あるいは大げさな響きになってしまいます。
不自然な例
The tall have an advantage in most sports.
The intelligent tend to earn higher salaries.
自然な言い換え
Tall people have an advantage in most sports.
Intelligent people tend to earn higher salaries.
パターン②:特定の個人や身近な少人数を指す場合
the + 形容詞は、あくまで「その性質を持つ人々全般」に対する一般論のための形です。特定の一人や、自分の家族・近所といった身近な少人数のグループを指すことはできません。
不自然な例
My uncle is the rich.
The young in my neighbourhood are friendly.
自然な言い換え
My uncle is a wealthy man.
The young people in my neighbourhood are friendly.
逆に言えば、The young tend to adapt to new technology quickly.(若者は新しいテクノロジーへの適応が早い傾向がある)のように、世の中の若者全体について述べる一般論であれば自然に使えます。タスク2のエッセイは基本的に一般論を論じる場なので、この条件は満たしやすいと言えます。
パターン③:一時的な状態を表す形容詞
tired、busy、angry のような、その場限りの状態を表す形容詞も the + 形容詞にはなじみません。一時的な状態は、社会的なグループを形成しないためです。
不自然な例
Companies should allow the tired to take more breaks.
自然な言い換え
Companies should allow tired employees to take more breaks.
例外に注意
the sick(病気の人々)、the injured(負傷者)、the hungry(飢えに苦しむ人々)は、状態としては一時的でも、医療や人道支援の文脈で社会的グループとして完全に定着しているため自然に使えます。「一時的かどうか」そのものではなく、「社会的グループとして定着しているかどうか」が本質的な判断基準です。
04文法上の注意点:複数扱いと修飾のルール
安全に使える形容詞を選んだとしても、文法面でいくつか押さえておきたいルールがあります。
①動詞は必ず複数で受ける
the + 形容詞は「人々」を表すため、常に複数扱いです。単数の動詞で受けると誤りになります。
誤り
The elderly is more vulnerable to online scams.
正しい形
The elderly are more vulnerable to online scams.
②一人の人間を指すことはできない
the rich はグループ全体を指すため、「裕福な人々のうちの一人」という意味では使えません。個人を指したいときは、a wealthy person、one of the wealthiest people in the country のように別の形を使います。
③修飾したいときは副詞を使う
the very rich(大富豪層)、the extremely poor(極度の貧困層)のように、副詞での修飾は自然です。一方、形容詞を重ねて the rich young のようにすることはできません。
④所有格は of で言い換える
「高齢者のニーズ」と言いたいとき、the elderly のような形に所有格の s をつけるのは不自然です。the needs of the elderly のように of を使った形にすると自然になります。
二つのうちどちらか一つでも自信が持てない場合は、無理に the + 形容詞を使う必要はありません。「形容詞 + people」の形は、どんな形容詞でも、どんな文脈でも自然に使える万能の形です。rich people、young people、unemployed people のように書けば、減点のリスクはゼロになります。