ジェネラル・トレーニングのライティング・タスク1は、タスク2のエッセイに比べて語数も試験時間も少ないため、「エッセイよりずっと楽、適当に書いても何とかなる」と思っていませんか。気を抜いたまま書き進めると、本文が普段の話し言葉に近い、くだけた文調になってしまう受験者も少なくありません。
しかし、採点基準のTask Achievementで見られているのは、手紙の本文全体を通して同じトーンで書けているかどうかです。この記事では、Formal・Semi-formal・Informalという3種類の手紙で、語彙・文法・言い回しがどのように変わるのかを、具体的な例文とともに整理します。
目次
「気楽なパート」という油断が命取りになる理由
Formalレターの書き方
Semi-formalレターの書き方
Informalレターの書き方
目的別に見るトーンの違い
トーンが混ざってしまうよくある失敗
まとめ
01 「気楽なパート」という油断が命取りになる理由
ジェネラル・タスク1の採点基準の一つであるTask Achievement(課題の達成度)には、「目的に合わせた文調で書かれているか」という項目が含まれています。語数も試験時間もタスク2の半分程度で済むため、気楽に書けるパートだと油断してしまいがちですが、実際に見られているのは、宛名から結びの言葉まで、手紙全体を通して一貫したトーンで書けているかどうかです。
たとえば、宛名は「Dear Sir/Madam,」というフォーマルな指定なのに、本文で「I really wanna let you know that...」のようなインフォーマルな表現が混ざっていると、トーンが一貫していないと判断され、Task Achievementの評価が下がってしまいます。
つまり、フォーマルさを示す責任は、宛名ではなく本文にあります。手紙の基本構成や採点基準の全体像については、以下の記事も参考にしてください。
Writing Task 1
【2026年完全保存版】ジェネラルタスク1対策
ここから先は、Formal・Semi-formal・Informalそれぞれのトーンで、本文の語彙・文法・言い回しがどのように変わるのかを具体的に見ていきます。
02 Formalレターの書き方
Formalレターは、名前を知らない相手(Dear Sir/Madam,)に宛てて書く手紙です。会社や役所への苦情、公的機関への依頼など、相手との距離が最も遠いケースで使われます。
避けるべき表現
Formalレターでは、以下のような表現は避けます。
短縮形(I am not, do not, cannot などを略した形)は使わず、正式な形で書く
phrasal verb(句動詞)はできるだけ避け、1語の動詞に置き換える(例:find out → discover、put off → postpone)
感嘆符(!)や感情的な表現は使わない
友人同士で使うようなカジュアルな接続詞(So, Anyway, Plus)は避ける
書き出しの定型表現
I am writing to inform you that ...
I am writing to complain about ...
I am writing with regard to ...
「I am writing to + 動詞」は、手紙の目的をフォーマルに切り出す際の最も基本的な型です。何について書いているのかを、最初の1文で明確に示すことができます。
依頼・要求のフレーズ
I would be grateful if you could ...
I would appreciate it if you could ...
I look forward to hearing from you at your earliest convenience.
「I would be grateful if you could ...」は、Wouldを使った丁寧な仮定法の依頼表現です。「Can you ...?」のような直接的な依頼はFormalレターでは不自然に響きますので、避けたほうがよいでしょう。
語彙のレベルを上げる
Formalレターでは、日常会話でよく使う単語を、よりフォーマルな語彙に置き換えることも評価につながります。
カジュアルな語彙 フォーマルな語彙
buy purchase
get receive / obtain
tell inform
ask request
show demonstrate
find out discover
03 Semi-formalレターの書き方
Semi-formalレターは、名前を知っている目上の相手(Dear Mr. Smith, のように敬称とラストネームで始まる)に宛てて書く手紙です。職場の上司や取引先の担当者など、ある程度の面識はあるものの、まだ距離のある相手に対して使います。
Formalレターほど堅苦しくする必要はありませんが、Informalレターのようにくだけすぎるのも不自然です。ちょうど中間のバランスを取ることが求められます。
書き出しの定型表現
I hope this letter finds you well.
I am writing to ask about ...
I was wondering if you could help me with ...
「I was wondering if ...」は、Formalレターの「I would be grateful if ...」よりも柔らかく、それでいて丁寧さを保った依頼表現です。Semi-formalレターで特に使いやすい型です。
くだけすぎた表現には注意する
Semi-formalレターでは、堅苦しくなりすぎないようにしつつも、話し言葉的な砕けた表現(Well, / You know / Anyway)は避けたほうが安全です。フォーマルな文とやわらかい文をバランスよく組み合わせることを意識しましょう。
結びの表現
Thank you for your time and consideration.
I look forward to your reply.
Please let me know if you need any further information.
04 Informalレターの書き方
Informalレターは、友人に宛てた手紙です。宛名も「Dear Mary,」のようにファーストネームだけで、敬称はつけません。3つのトーンの中で最もくだけた文調が求められます。
課題としての難易度は易しく感じられますが、ハイスコアを狙うにはカジュアルでありながらも自然で豊かな表現を使うことが求められます。日常会話でよく使われる熟語(phrasal verb)に慣れておくと、語彙力の評価(Lexical Resource)でも有利になります。
書き出しの定型表現
How are you doing?
I hope you're doing well!
I just wanted to let you know that ...
カジュアルな接続詞・つなぎ言葉
So(だから) / Anyway(とにかく) / By the way(ところで)
Plus(それに) / Also(あと)
Guess what? のような呼びかけ表現
短縮形が許されるのはInformalレターだけ
3つのトーンの中で、短縮形(I'm, don't, it's など)の使用が許されるのはInformalレターだけです。FormalとSemi-formalでは基本的に短縮形を使いませんが、Informalレターでは逆に短縮形を使わないほうがよそよそしく、かえって不自然に響きます。あわせて、phrasal verb(find out, put off, look forward to, catch up)も積極的に使うことで、より自然な文調になります。
I can't wait to catch up with you when I visit!
Sorry, but I need to put off our trip.
I'll fill you in on the details when we talk.
手紙でよく使われるphrasal verbをまとめて確認したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
Writing Task 1
IELTS手紙でよく使うphrasal verb集
フォーマルな語彙とカジュアルな語彙のニュアンスの違いに迷ったときは、表現同士を比較しながら確認できるツールを使うのもおすすめです。
IELTS学習アプリ
表現ニュアンス比較
似た意味を持つ複数の表現を入力すると、それぞれのニュアンスの違い・自然な用法・不自然な用法例をAIが解説します
05 目的別に見るトーンの違い
同じ「苦情を伝える」「お願いをする」といった目的でも、相手との関係によって使う表現は大きく変わります。代表的な目的ごとに、3つのトーンでの言い方を比較してみましょう。
目的 Formal Semi-formal Informal
苦情を伝える I am writing to express my dissatisfaction with ... I wanted to raise a concern about ... I'm not happy about ...
お願いをする I would be grateful if you could ... I was wondering if you could ... Could you do me a favor and ...?
謝罪する I sincerely apologize for any inconvenience caused. I'm sorry for the trouble this may have caused. I'm so sorry about that!
提案する I would like to suggest that ... I think it might be a good idea to ... Why don't we ...?
感謝する I would like to express my sincere gratitude for ... Thank you so much for ... Thanks a lot for ...!
この表からもわかるように、フォーマルになるほど「I would like to / I would be grateful if」のような婉曲的で丁寧な構文が増え、インフォーマルになるほど直接的で短い文になります。目的が同じでも、相手が変われば構文ごと変える意識を持つことが大切です。
06 トーンが混ざってしまうよくある失敗
宛名だけフォーマルで本文がカジュアルになる
「Dear Sir/Madam,」で始めたのに、本文で「I really wanna say...」のような表現を使ってしまうケースです。宛名を書いた時点で頭がリセットされてしまい、本文では普段のくだけた言い回しに戻ってしまう受験者が多く見られます。書き始める前に、この手紙は誰に向けて書くものかを常に意識しておくとよいでしょう。
Informalレターなのに硬すぎる
友人に宛てたInformalレターにもかかわらず、「I am writing to inform you that ...」のようなFormalな定型表現をそのまま使ってしまうケースです。文法的には正しくても、友人への手紙としては不自然に響き、Task Achievementで減点される可能性があります。
1つの手紙の中でトーンが行ったり来たりする
手紙の前半はフォーマルな表現で始めたのに、後半になるとカジュアルな表現が混ざってしまうというケースもよくあります。特に、時間内に書き終えようと焦っているときに起こりやすいミスです。書き終えたら、最初から最後まで同じトーンで書けているかを見直す時間を確保しておきましょう。
日本語の丁寧表現をそのまま直訳してしまう
日本語の回りくどい丁寧表現の感覚を英語にそのまま持ち込もうとして、不自然に長い文になってしまうこともあります。英語のフォーマルさは、婉曲的な構文(I would be grateful if you could ...)を使うことで表現でき、必要以上に言葉を重ねる必要はありません。
07 まとめ
ジェネラル・タスク1の手紙は、宛名から結びの言葉まで、本文全体を通して同じトーンで書き通せているかどうかがTask Achievementの評価を左右します。3つのトーンの特徴を、最後にもう一度整理しておきましょう。
Formal:短縮形・phrasal verbを避け、I would be grateful if ... のような婉曲的な依頼表現を使う
Semi-formal:I was wondering if ... のように、丁寧さとやわらかさのバランスを取る
Informal:3つのトーンの中で唯一短縮形が許され、phrasal verbやSo / Anyway などのカジュアルなつなぎ言葉で自然さを出す
手紙を書き終えたら、最初から最後まで同じトーンで統一されているかを必ず見直す
次にジェネラル・タスク1の練習問題に取り組むときは、まず宛名を確認してどのトーンで書くべきかを判断し、そのトーンにふさわしい語彙・構文を意識しながら書き進めてみましょう。