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ライティング・タスク2

「insistは使わないほうがいい」と言われるのはなぜか:本来の意味とライティング・タスク2での使い分け

執筆:高橋 響 公開日:

「主張する」を英語にしようとして insist が浮かぶ人は多いのですが、答案に書くと添削で別の動詞に直されて戻ってきます。IELTSの指導では「タスク2の答案では insist を使わないほうがいい」と言われることもあります。

insist が誤った英語だからではありません。この語には「強く主張する」「言い張る」という響きがあり、単に「〜と考える」「〜と論じる」とは重ならないためです。この記事では、insist の本来の意味と語法、答案で使いやすい言い換え、そして insist が自然に働く場面を整理します。あわせて、この種の言い換えが語彙の評価にどこまで関わるのかも確認します。

01なぜ「insistは使わないほうがいい」と言われるのか

insist という語そのものに問題があるからではなく、「主張する」の訳語としてそのまま置くと、書き手が意図していない響きが出てしまうからです。まず、実際に出てくる形を見てみましょう。

I insist that governments should ban private cars in city centres.文法的には正しい。文脈によっては「強く言い張っている」という響きが出る

I would argue that governments should ban private cars in city centres.「〜と論じる」という、議論の文脈に合いやすい表現

この差は、日本語の「主張する」が広い語であることから生まれます。日本語では、根拠を挙げて論じることも、相手が何と言おうと譲らずに言い張ることも、どちらも「主張する」で表せます。英語では、この幅を argue、believe、claim、maintain、insist などの動詞で書き分けます。insist はその中でも「強く主張する」という側に寄った語です。

答案の中では何が起きるか

タスク2の答案でしていることは、設問が示した立場について、理由と具体例を挙げながら自分の考えを組み立てることです。ところが insist を使うと、「反対されているのを承知のうえで押し切っている」という響きが前に出ます。根拠を積み上げる前の一文でそれをやると、書き手の姿勢と文の響きがずれます。

指導者が「使わないほうがいい」という言い方をするのは、添削で直す回数が多いからでもあります。insist は語法も崩れやすく、意味と形の両方でつまずきやすい語です。使う場面をきちんと選べるようになるまでは、別の動詞に置いておくほうが手間が少ない、というのが「避けたほうがいい」という指導の中身です。

設問の側もinsistを使っていない

2026年8月11日時点で本サイトに収録しているアクティブなライティング・タスク2のタスク509件を調べると、設問文に insist を使っているものは1件もありません。同じ「述べる」「考える」を表す動詞と並べると、偏りがはっきりします。

動詞件数(アクティブなタスク509件中)
think206件
believe130件
say30件
argue16件
feel13件
claim4件
insist0件

設問は、ある立場を中立に提示して受験者に検討させる文章です。少なくとも本サイトに収録している設問を見るかぎり、その役割に insist は選ばれていません。設問で0件だから答案でも避けるべきだ、という話ではありませんが、設問の立場を中立に紹介したいときは、believe や argue のほうが意味を合わせやすくなります。

02insistの本来の意味は何か

insist の中心にあるのは、強く主張する、言い張る、という強さです。辞書的には二つの意味に分かれますが、どちらも押しの強さという点で共通しています。そこから、反対や疑いがあってもその立場を変えない、という含みが文脈に応じて生じます。

意味1:疑いや反対に対して言い張る

She insisted that she had done nothing wrong.
彼女は自分は何も悪いことをしていないと言い張った。

この文からは、周囲が彼女を疑っているという状況が読み取れます。疑いも反対もない場面でこの動詞を使うと、そこに疑いがあったかのように読まれる可能性があります。

意味2:強く要求する

He insisted on paying for the meal.
彼は食事代を払うと言ってきかなかった。

The manager insisted that all staff attend the training session.
部長は全職員が研修に出るよう強く求めた。

こちらは、相手がためらっていたり応じたがらなかったりする状況で、要求を強く押し通すという含みです。押しの強さが語の中心にあり、頼む、求める、といった語との差はそこに出ます。

他人の主張に使うと、書き手の距離が出る

insist を使って他人の考えを紹介すると、その考えを書き手が受け入れていないという含みが出ます。Critics insist that the policy has failed. と書けば、批判する側が譲らずに言い続けている様子が伝わり、書き手はそこから一歩離れた位置にいることになります。これは狙って使えば有効です。一方、自分の立場を述べる一文で使うと、「私はこの立場を強く言い張っている」という、必要以上に強い響きが出ることがあります。

argue との違いはここです。argue は根拠を示して論じるという意味なので、押しの強さを伴わずに立場を述べられます。だからこそ、答案で自分の考えを述べる動詞として働きます。

03insistはどんな形で使う動詞か

insist は名詞を直接うしろに続けられない動詞です。使える形は on(upon)を挟む形と、that節を取る形の二つに絞られます。

意味
insist on / upon + 名詞・動名詞insist on strict rules / insist on paying〜を強く求める、〜すると言ってきかない
insist that + 節(直説法)She insisted that she was innocent.〜だと言い張る
insist that + 節(動詞の原形/should)They insisted that he leave. / They insisted that he should leave.〜するよう強く求める

三つ目の形は、要求の意味になったときに that節の動詞が原形になるものです。イギリス英語では should を入れる書き方もよく使われます。三人称単数なのに動詞に s が付いていない、時制が一致していない、と見えても誤りではありません。見直しのときに書き換えてしまわないよう、要求の意味ならこの形になると覚えておきましょう。

崩れやすい二つの形

I insist my opinion.名詞をそのまま続ける形では使えません

I maintain my position. / I insist on my position.maintain は名詞を直接取れる。insist は on を挟む

The school insisted the students to wear uniforms.人+to不定詞は続きません

The school insisted that the students wear uniforms.要求の意味なので that節の動詞は原形になる

二つ目の誤りは、suggest や recommend で起きるものと同じ形です。日本語の「〜に…するよう主張した」「〜に…するよう提案した」をそのまま英語の語順に移すと、人を目的語にして to不定詞を続ける形になってしまいます。この型を取る動詞と取らない動詞は、まとめて覚えておくと崩れません。

ライティング・タスク2 「動詞 + 人 + to不定詞」が使えない動詞

04「主張する」を答案で書くときに使える動詞

自分の立場を述べる一文なら、argue が第一候補になります。根拠を示して論じるという意味なので、そのあとに理由が続くという流れが自然に作れます。

I would argue that public transport should be prioritised over road expansion.

This essay will argue that the benefits of remote working outweigh its drawbacks.

argue 以外にも、場面に応じて使い分けられる動詞があります。それぞれ焦点の当たる部分が違うので、表で整理しておきましょう。

動詞使いどころ自分の主張相手の主張
argueargue that ... / argue for ...根拠を示して論じる
believe / take the view thatI believe that ... / I take the view that ...自分の考えとして穏やかに示す
maintainmaintain that ... / maintain + 名詞ある立場を維持して主張する
contendcontend that ...論争や議論の中で立場を主張する
claimclaim that ...あることを「〜だ」と主張する
insistinsist on + 名詞・動名詞 / insist that ...強く主張する、譲らずに求める
emphasise / stressemphasise that ... / stress the importance of ...特定の点を強調する
advocateadvocate + 名詞・動名詞政策や方針を支持する

◎はその場面でそのまま使える語、○は文脈が合えば使える語、△は使えないわけではないものの、別の響きが出やすい語です。claim と insist が自分の主張で△になっているのは、どちらも書き手が自分の立場から少し離れた位置に立つ響きを持つためです。相手の主張を紹介するときには、その距離感がそのまま働くので◎になります。

advocate は、うしろに名詞か動名詞が来ます。to不定詞は続きません。advocate stricter regulations、advocate banning private cars のような形で使いましょう。

claim を自分の立場に使うときの注意

claim そのものに「根拠がない」という意味があるわけではありません。Scientists claim that the new treatment is effective. のように、専門家の主張を受けて使うこともできます。ただし文脈によっては、その主張の真偽をまだ確定させずに紹介している、という距離感が出ます。

そのため、I claim that ... と自分の立場に使うと、自分の主張を少し離れたところから眺めているような響きが出ます。単に自分の考えを述べたいのであれば argue や believe のほうが使いやすく、claim は Some people claim that ... の形で、譲歩の段落に回すと収まりがよくなります。

maintain と contend の位置づけ

maintain は、ある立場を維持して主張し続けるという意味です。insist のような押しの強さは出ず、書き言葉として落ち着いた響きが残ります。contend はさらに硬く、論争や議論の中で当事者の立場を示すときに使われます。

どちらも insist と完全に入れ替えられる語ではありません。insist が「強く主張する、譲らない」という強さを表すのに対し、maintain は立場を保っていること、contend は議論の中での主張であることに焦点があります。insist を使いたくなった場面では、自分が書きたいのがどれなのかを決めてから選ぶと、意味がぼやけずに済みます。

ライティング・タスク2 上級者でも間違えやすい動詞10組の使い分け:rise と raise、claim と argue

05insistが自然に働くのはどんな場面か

insist を答案から締め出す必要はありません。自分の立場を述べる一文に置かないだけで、ボディの中では使いどころがあります。とくに insist on + 名詞の形は、ある集団が何かを譲らずに求めている状況を描くのに向いています。

While recruiting a new employee, the employer should pay more attention to their personal qualities, rather than qualifications and experience. To what extent do you agree or disagree?

本サイトに収録しているこのタスクで、採用側の姿勢を描く一文を書くなら、insist on がそのまま使えます。

Employers who insist on formal qualifications may overlook applicants with strong interpersonal skills.応募者の側に別の資質があるのに、それでも資格を求め続けるという構図がある

もう一つ、子どものしつけを扱うタスクでも同じ形が働きます。

Some parents and teachers think that children's behaviour should be strictly controlled. Some think that children should be free to behave. Discuss both views and give your opinion.

Parents who insist on strict obedience often find that their children conceal their problems.子どもの側に抵抗があるという前提が読み取れる

譲歩の段落で他者の主張を紹介する

反対意見を紹介する段落でも insist は使えます。Supporters of the policy insist that the costs will fall over time. のように書くと、賛成派が反論を受けながらも同じ主張を続けているという構図が伝わります。書き手はそこから距離を取った位置に立つので、そのあとに反論を続ける流れが作れます。

共通しているのは、押し通す相手や状況がその場にあることです。この条件がそろっている文で使う、と決めておくと、答案の中で浮きにくくなります。

06語の言い換えは語彙の評価にどこまで関わるのか

insist を argue に替えたからといって、Lexical Resource の評価が大きく動くわけではありません。ここは正確に押さえておいたほうが、時間の使い方を間違えずに済みます。

採点基準(Band Descriptors)の現行版(Updated May 2023)は、Band 6 の Lexical Resource を The resource is generally adequate and appropriate for the task.(語彙資源は概ねタスクに対して十分かつ適切である)と書いています。見られているのは、そのタスクの内容を書ききるだけの語彙が使えているかどうかです。

Band 7 の Lexical Resource は、The resource is sufficient to allow some flexibility and precision.(語彙資源は、ある程度の柔軟性と精密さを可能にする程度に十分である)から始まり、There is some ability to use less common and/or idiomatic items.(あまり一般的でない語やイディオムを使う力もある程度見られる)、An awareness of style and collocation is evident, though inappropriacies occur.(文体やコロケーションへの意識が見られるが、不適切な表現が起こることもある)と続きます。

つまり Band 7 の基準は、語彙の不適切な使用が一切ないことを求めているわけではありません。もちろん、意味に合わない語を何度も使えば、appropriacy や precision の面で評価に影響します。ここで言いたいのは、1語を入れ替えたこと自体がスコアを動かす仕組みにはなっていない、ということです。

差がつくのはテーマに関連した語彙

評価に効いてくるのは、そのテーマを扱うために必要な語彙のほうです。さきほどの採用のタスクなら、recruitment、applicant、work ethic、interpersonal skills、track record、formal qualifications のような語を、内容に合わせて正確に使えるかどうかが見られます。書けなければ people who want a job のような言い方で回り道することになり、そこで語彙の幅が出なくなります。

環境問題を扱うタスクでも同じことが起きます。insist と argue と maintain の使い分けを増やすより、habitat destruction、biodiversity loss、carbon emissions、renewable energy のように、その内容を具体的に説明するための語を持っているかどうかが効いてきます。どのテーマが出ても、答案の中身を作るのはこちら側の語彙です。

一方、I argue that、In my opinion、To what extent といった定型の表現は、どの受験者もほとんど同じものを使います。こうした表現を言い換えただけで Lexical Resource の評価が大きく変わるとは考えにくいところです。定型のフレーズをいくつも覚え直すより、扱うテーマごとに語彙を増やしていくほうが確実です。

それでもargueに替える価値はある

とはいえ、insist のままで書き続ける理由もありません。argue に替えるのは一瞬で済みますし、読み手に伝わる書き手の姿勢が変わります。語彙を難しくするためではなく、意味を正確にするために言い換える。この順番さえ崩さなければ、言い換えの練習は答案の質に返ってきます。

IELTS学習アプリ コロケーション検索 語がどんな語と組み合わさって使われるかを調べられます。insist on のように前置詞とセットで覚えたい語を確認するのに使えます。

07よくある質問

IELTSのエッセイでinsistを使うと評価が下がりますか

insistという語を使ったこと自体を取り出して評価する、という仕組みにはなっていません。採点基準の現行版は、Band 7でも語彙の不適切な使用が起こりうると書いています。ただし、文脈に合わない語を選び続ければ、Lexical Resourceのappropriacyやprecisionの面で評価に影響します。自分の立場を述べる一文であれば、argueなどのほうが意図は伝わりやすくなります。

insistは文法的に誤りなのですか

誤りではありません。I insist that ... は文法的にも意味的にも正しい英語です。問題になるのは形ではなく響きで、強く主張する、言い張るというニュアンスが、根拠を積み上げて論じる答案の一文とずれることがあります。

I insist my opinion. という書き方はできますか

この形では使えません。insistは名詞を直接うしろに続けられない動詞なので、insist on my position のようにonを挟むか、that節を続ける形にします。名詞をそのまま取れるのはmaintainのほうで、maintain my position と書けます。

insist that のうしろの動詞は原形にするのですか

要求の意味になるときは原形になります。They insisted that he leave. のように、三人称単数でもsが付きません。イギリス英語ではthat he should leave のようにshouldを入れる書き方もよく使われます。一方、She insisted that she was innocent. のように事実を言い張る意味であれば、通常の時制で書きます。

「主張する」はargueとclaimのどちらを使えばよいですか

自分の立場を述べるならargueが使いやすい語です。claim自体に「根拠がない」という意味はありませんが、文脈によっては、その主張の真偽を確定させずに紹介する響きが出ます。Some people claim that ... のように、譲歩の段落で他者の意見を紹介する場面に回すと収まりがよくなります。

insistは答案でまったく使わないほうが安全ですか

締め出す必要はありません。insist on + 名詞の形は、ある集団が何かを譲らずに求めている状況を描くのに向いています。Employers who insist on formal qualifications ... のように、抵抗や反対がその場にある文でなら自然に働きます。

語彙で評価されるのはどんな語ですか

そのタスクの内容を書くために必要な語彙です。採点基準の現行版はBand 6の語彙について、タスクに対して十分かつ適切であるかどうかという書き方をしています。採用について書くタスクならrecruitmentやinterpersonal skills、環境問題ならbiodiversity lossやcarbon emissionsのような語を、内容に合わせて正確に使えるかどうかが見られます。

定型のフレーズを増やせば語彙のスコアは上がりますか

In my opinion のような定型の表現は、どの受験者もほとんど同じものを使います。こうした表現を言い換えただけで、Lexical Resourceの評価が大きく変わるとは考えにくいところです。フレーズを覚え直すことに時間をかけるより、扱うテーマごとに語彙を増やしていくほうが確実です。

08まとめ

insistが避けられるのは、この語が悪い英語だからではなく、日本語の「主張する」から入ると使いどころを外しやすいからです。「強く主張する、言い張る」という強さを持つ語だと分かっていれば、自分の立場を述べる一文では別の動詞を選び、譲らない姿勢を描きたい場面ではそのまま使う、という判断ができます。

  • insistの中心の意味:強く主張する、言い張る。文脈によっては、反対や疑いがあっても立場を変えないという含みが出る
  • 使える形:insist on / upon + 名詞・動名詞、または insist that + 節。名詞を直接続ける形や、人+to不定詞は使えない
  • 自分の立場を述べる一文:argue が第一候補。立場を保つなら maintain、議論の中の主張なら contend
  • claim:真偽を確定させずに紹介する響きが出ることがあるので、譲歩の段落で他者の意見を紹介するときに使う
  • insistが働く場面:insist on + 名詞で、譲らずに何かを求めている集団を描くとき。譲歩の段落で他者の主張を紹介するとき
  • 語彙の評価:定型の表現を替えただけでは大きく動かない。差がつくのはテーマに関連した語彙のほう
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

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