日本語の「最近」をそのまま英語にしようとして recently を選ぶと、時制のところでつまずきます。Recently, I study English every day. という文は、日本語に直すと自然に読めますが、英語としては成立しません。recently は現在形とは組み合わせず、現在完了形か過去形と一緒に使うのが基本の副詞だからです。
理由は、recently が指している時間の幅にあります。この記事では、なぜ現在形と噛み合わないのかを整理したうえで、現在完了形と過去形のどちらを選ぶか、「最近〜している」と言いたいときに使う these days・nowadays・lately との違い、そして文中のどこに置くかまでをまとめます。
目次
recently が現在形・現在進行形と使えないのはなぜか
recently が指しているのは「過去のある時点から今まで」
現在完了形と使うとき:今に効いている変化を表す
過去形と使うとき:出来事が起きた時点に目を向ける
「最近〜している」は these days・nowadays・lately で書く
recently を文のどこに置くか、カンマは要るか
ライティング・タスク2で recently をどう使うか
よくある質問
まとめ
01 recently が現在形・現在進行形と使えないのはなぜか
recently は、現在完了形または過去形と組み合わせて使う副詞です。現在形や現在進行形とは基本的に一緒に使いません。理由は意味の難しさではなく、指している時間帯が噛み合わないことにあります。
まず、日本人学習者の答案でよく見かける形を挙げます。
✗
Recently, I study English every day.現在形と recently がぶつかっている
△
Recently, many people are working from home.ニュース英語では見かけるが、アカデミックな文章では避けたい形
どちらも「最近、毎日英語を勉強している」「最近、多くの人が在宅勤務をしている」という日本語からは、まっすぐに出てくる英語です。1つ目は英語として成立しません。2つ目はニュース英語などで見かけることもありますが、アカデミックな文章では落ち着きの悪い形です。3つの時間表現が、それぞれ別の時間帯を担当しているために起きるずれです。
それぞれが担当している時間帯
現在形:習慣や一般的な事実。特定の時期に縛られない
現在進行形:今まさに進行していること
recently:過去のある時点から今までの幅
現在形の study は「いつもそうしている」という、時期を限定しない状態を表します。そこに「少し前から今まで」という幅を持った recently が加わると、限定しない話と限定する話が同じ文に同居してしまいます。現在形との組み合わせが成立しないのは、このためです。
現在進行形のほうは事情が少し違います。are working は今この瞬間に目を向けている形なので、過去を含む recently とは焦点がずれます。ただし「近頃そうなりつつある」という変化の途中を述べる文脈では、実際に使われている例も見かけます。誤りと決めつけられるわけではありませんが、ライティング・タスク2では避けておくほうが安全です。変化を述べたいなら現在完了形、今の状態を述べたいなら these days に持ち替えれば、迷わずに済みます。
直し方は2つあります。過去を含む幅の話として書くなら時制を動かし、今の状態の話として書くなら副詞を替えます。
○
I have recently started studying English every day.近頃、毎日英語を勉強し始めた(時制を現在完了形に動かす)
○
These days, I study English every day.最近は毎日英語を勉強している(副詞を替える)
時制を動かすか、副詞を替えるか。この2つの選択肢を持っておけば、recently まわりの誤りはほとんど直せます。どちらを選ぶかの基準は、2節以降で見ていきます。
02 recently が指しているのは「過去のある時点から今まで」
recently が表しているのは、過去のある時点から現在までの期間です。現在そのものを指す語ではありません。ここが「最近」という訳語との最大のずれで、誤用のほとんどはここから生まれます。品詞としては副詞で、動詞や文全体を修飾します。
誤用が起きる原因は、日本語の「最近」が2つの意味を1語で引き受けていることにあります。
日本語の「最近」 指しているもの 英語での言い方
最近、新しいカフェができた 少し前に起きた出来事 recently + 現在完了形/過去形
最近、毎日ジョギングしている 今も続いている状態 these days/nowadays + 現在形・現在進行形
日本語ではこの2つを区別せずに「最近」で済ませられますが、英語は語を分けます。分けているという意識がないまま訳語だけを頼りにすると、後者の文にも recently を選んでしまいます。
訳語を「近頃」に替えると判断しやすくなる
使い分けを体で覚えるには、recently の訳語を「最近」ではなく「近頃」に置き替えておくと便利です。日本語の「近頃」は完了した出来事と相性がよく、「近頃引っ越した」「近頃発表された」のようには言えても、「近頃、毎日ジョギングしている」とは少し言いにくくなります。この言いにくさが、そのまま英語の recently の守備範囲と重なります。
訳語の対応
「近頃〜した」= recently + 現在完了形/過去形
「最近〜している」= these days/nowadays + 現在形・現在進行形、または lately + 現在完了進行形
「最近」と書きたくなったら、いったん「近頃」で言い直してみて、日本語として通るかどうかを確かめる。通れば recently、通らなければ these days 側という判断ができます。
03 現在完了形と使うとき:今に効いている変化を表す
recently といちばん相性がよいのが現在完了形です。過去に起きたことが今の状態につながっていて、その余韻が残っているときに選びます。語順は have recently done のように、have と過去分詞のあいだに recently を挟む形が基本です。
I have recently moved to Tokyo.
近頃、東京に引っ越しました(引っ越した結果、今も東京にいる)
The government has recently announced new policies.
政府は近頃、新しい政策を発表しました(発表された政策が今も効いている)
Online learning has become far more common recently.
近頃、オンライン学習がずっと一般的になりました(変化が今の状態を作っている)
3つ目の文のように、become や increase など変化を表す動詞と現在完了形を組み合わせると、「以前と比べて今はこうなっている」という内容がひとまとまりで表せます。ライティング・タスク2の導入で社会の変化に触れるとき、いちばん使いやすい形です。
「現在完了形では使えない」という誤解の出どころ
recently は現在完了形で使えない、と覚えてしまっている人がいますが、これは逆です。混同の原因は、現在完了形が yesterday や in 2019 のような特定の時点を指す語とは一緒に使えないというルールにあります。recently は時点ではなく幅を指す語なので、このルールには引っかかりません。
✗
The company has launched a new product yesterday.yesterday は特定の時点なので現在完了形と使えない
○
The company has recently launched a new product.recently は時点を特定しないので問題なく使える
現在完了進行形と組み合わせることもできる
状態が続いていることを強調したい場合は、現在完了進行形と組み合わせられます。ただしこの形は lately のほうが自然に響くため、recently で書くのは「続いている」よりも「変わった」に重心があるときに限るとよいでしょう。
Companies have recently been shifting to hybrid work models.
近頃、企業はハイブリッド勤務へと移りつつあります
04 過去形と使うとき:出来事が起きた時点に目を向ける
recently は過去形とも組み合わせられます。現在完了形との違いは焦点の置き方で、出来事が起きたこと自体を述べるなら過去形、その結果が今も残っていることを述べるなら現在完了形です。とくにアメリカ英語では、現在完了形よりも過去形が選ばれる場面が少なくありません。過去形で使うときは、recently を主語のあと、または文末に添えます。
I recently visited Kyoto.
近頃、京都を訪れました(訪れたという出来事を述べている)
A new café opened near the station recently.
近頃、駅の近くに新しいカフェができました
同じ内容を現在完了形でも過去形でも書ける場面は多く、どちらかが誤りになるわけではありません。並べて見ると差がつかみやすくなります。
観点 recently + 現在完了形 recently + 過去形
焦点 今に残っている結果 起きた出来事そのもの
語順 have recently done 主語 recently 動詞、または文末
続けやすい話 だから今はこうなっている そのときこういうことがあった
例 I have recently moved to Tokyo. I recently moved to Tokyo.
一般に、イギリス英語では現在完了形が、アメリカ英語では過去形が選ばれやすいという傾向があります。IELTSはどちらの変種でも評価されるので、答案でどちらを使っても問題はありません。迷ったときは、そのあとに続けたい話で決めるとよいでしょう。今の状況の説明へ進むなら現在完了形、出来事の詳細を語るなら過去形が続けやすくなります。
recently + 過去分詞で名詞を修飾する形
recently には、過去分詞と組んで名詞を前から修飾する使い方もあります。recently published、recently discovered、recently elected、recently introduced のような形で、アカデミックな文章によく現れます。文の時制に縛られないので、現在形の文の中でも使えます。
A recently published report shows that remote work improves productivity.
近頃発表された報告書は、リモートワークが生産性を高めることを示しています
Recently introduced regulations are already changing the industry.
近頃導入された規制は、すでに業界を変えつつあります
文全体の動詞は shows、are changing と現在形・現在進行形ですが、recently が修飾しているのは published、introduced という過去分詞のほうなので、1節で見たぶつかりは起きません。「最近の調査によると」と書きたいときに使える形です。
05 「最近〜している」は these days・nowadays・lately で書く
今も続いている状態を述べたいときは、recently ではなく these days、nowadays、lately を使います。この3つも時制の相性が別々なので、まとめて整理しておきます。
表現 一緒に使う時制 表す内容
recently 現在完了形/過去形 近頃起きた出来事、近頃起きた変化
these days 現在形/現在進行形 今の時期の状態。以前との対比を含みやすい
nowadays 現在形/現在進行形 今の時代の状態。these days よりやや硬い
lately 現在完了形/現在完了進行形 ここのところ続いている状態。過去形とは使わない
these days と nowadays は現在形の側の語なので、1節で挙げた誤用の受け皿になります。「最近、多くの人が在宅勤務をしている」は、これらを使えばそのまま書けます。
△
Recently, many people are working from home.通じるが、答案では these days か nowadays に替えたい
○
These days, many people work from home.今の時期の状態として述べる
○
Nowadays, many people are working from home.今の時代の状態として述べる
lately は現在完了形の側の語
lately は「最近ずっと〜している」という継続を表す語で、現在完了形か現在完了進行形と組みます。recently と違い、過去形とは使いません。ここは取り違えやすいところです。
✗
Lately, I went to the gym every day.lately は過去形と組み合わせない
○
Lately, I have been going to the gym every day.続いている状態として述べる
つまり、単発の出来事なら recently、続いている状態なら lately という住み分けになります。I recently met him. は一度会ったこと、I have seen him quite often lately. はこのところ何度も会っていることを表します。
ライティング・タスク2
時を表す表現と時制
in recent years、over the past decade、at present、in today's society など、時を表す表現全体の時制の対応は上の記事にまとめてあります。この記事で扱っていない語を使いたいときは、そちらで確認するとよいでしょう。
06 recently を文のどこに置くか、カンマは要るか
recently は副詞なので、文中の3か所に入ります。文頭、助動詞や be 動詞のあと、文末です。どこに入れても意味は変わりませんが、読み手が受け取る強調の度合いは変わります。
文頭: Recently, the number of remote workers has increased.(時間の枠を先に示す。カンマを打つのが一般的)
助動詞・be動詞のあと: The number of remote workers has recently increased.(もっとも中立的で、書き言葉で使いやすい)
文末: The number of remote workers has increased recently.(時期の情報を最後に添える)
文頭に出したときは、そのあとにカンマを打つのが一般的です。カンマがなくても誤りにはなりませんが、アカデミックな文章では打つほうが読みやすくなります。過去形の文で主語のあとに入れる場合、I recently visited Kyoto. のようにカンマは要りません。
文頭の Recently, を続けて使わない
ライティング・タスク2では、文頭の Recently, が使いやすいぶん、段落の先頭に何度も出てくることがあります。同じ副詞が繰り返されると、Lexical Resource の観点で不利になります。2度目以降は位置を変えるか、in recent years や over the past few decades のような別の表現に替えると、同じ内容のまま見え方が変わります。
Recently, online education has expanded rapidly. Over the past decade, universities have also moved many courses online.
近頃、オンライン教育が急速に広がりました。この10年で、大学も多くの講義をオンラインに移しています
07 ライティング・タスク2で recently をどう使うか
ライティング・タスク2で recently が登場するのは、ほとんどが導入で社会の変化に触れる場面です。「近頃こういう変化が起きている、だからこの問題が議論されている」という流れを作るとき、recently と現在完了形の組み合わせがそのまま使えます。
The way people work has changed considerably in recent years.
働き方は近年、大きく変わりました
Recently, more and more governments have introduced restrictions on private car use.
近頃、自家用車の利用を制限する政府が増えています
2つ目の文は、日本語では「増えています」と現在進行形のように訳せますが、英語では have introduced と現在完了形になっています。Recently, more and more governments are introducing ... と書いても意味は通りますが、IELTSの答案では現在完了形のほうが自然です。「増えている」という日本語に引きずられず、変化の結果として今があると考えると、現在完了形が選びやすくなります。
本論では使いどころが限られる
一方で、本論の主張や理由づけは、時期に縛られない一般論として書くことが多くなります。一般論は現在形の領域なので、そこに recently を足す必要はありません。recently を入れたくなったら、その文が本当に「近頃起きた変化」の話なのかを確かめると、時制のぶつかりを避けられます。
✗
Recently, public transport reduces traffic congestion.一般論に recently は要らない
○
Public transport reduces traffic congestion.一般論として現在形だけで述べる
具体例として近年の出来事を持ち出すときは、そこだけ recently と現在完了形に切り替えます。一般論は現在形、具体的な変化は現在完了形。この2層で書き分けられていると、時制の使い分けそのものが評価の対象になります。
IELTS学習アプリ
表現ニュアンス比較
recently と these days のように意味の近い表現を並べて、使い方の差を確かめられます
08 よくある質問
recently を現在形と一緒に使うのはなぜ間違いなのですか。
指している時間帯が噛み合わないからです。現在形は時期に縛られない習慣や一般的な事実を表しますが、recently は過去のある時点から今までという幅を表します。限定しない話と限定する話が同じ文に入るため、成立しません。現在進行形との組み合わせは変化の途中を述べる文脈で見かけることもありますが、IELTSの答案では避けるほうが安全です。
recently は現在完了形と過去形のどちらで使うのが正しいですか。
どちらも正しく、焦点の違いで選びます。今も残っている結果を述べるなら現在完了形、起きた出来事そのものを述べるなら過去形です。一般にイギリス英語では現在完了形、アメリカ英語では過去形が選ばれやすい傾向がありますが、IELTSではどちらでも問題ありません。
recently は現在完了形と一緒に使えないと聞きましたが本当ですか。
逆です。現在完了形は recently ともっとも相性のよい時制です。この誤解は、現在完了形が yesterday のような特定の時点を指す語と使えないというルールとの混同から来ています。recently は時点ではなく幅を指すので、そのルールには当てはまりません。
「最近、毎日ジョギングしている」は英語でどう書きますか。
These days, I jog every day. のように these days か nowadays を使って現在形で書くか、I have been jogging every day lately. のように lately と現在完了進行形で書きます。今も続いている状態なので、recently は使いません。
recently と lately はどう違いますか。
組み合わせる時制と表す内容が違います。recently は現在完了形と過去形の両方で使え、近頃起きた単発の出来事にも使えます。lately は現在完了形と現在完了進行形でのみ使い、このところ続いている状態を表します。lately を過去形と組み合わせることはできません。
文頭に Recently を置いたら、そのあとにカンマは必要ですか。
打つのが一般的です。カンマがなくても誤りにはなりませんが、アカデミックな文章では打つほうが読みやすくなります。過去形の文で主語のあとに入れる場合は、I recently visited Kyoto. のようにカンマは要りません。
現在形の文の中で recently を使える場合はありますか。
過去分詞と組んで名詞を修飾する形なら使えます。recently published、recently discovered、recently elected、recently introduced のように、recently が修飾しているのは過去分詞のほうなので、文全体の動詞が現在形でもぶつかりません。A recently published report shows that ... の形で「最近の調査によると」と書けます。
ライティング・タスク2で Recently, を何度も使ってもよいですか。
同じ副詞が繰り返されると Lexical Resource の観点で不利になります。2度目以降は文中や文末に位置を変えるか、in recent years や over the past few decades のような別の表現に替えるとよいでしょう。また、時期に縛られない一般論には recently 自体が不要です。
09 まとめ
recently は過去のある時点から今までの幅を指す副詞。現在形とは組み合わせず、現在進行形も答案では避ける
相性がよいのは現在完了形と過去形。今に残る結果なら現在完了形、起きた出来事なら過去形
「recently は現在完了形と使えない」は誤解。使えないのは yesterday のような時点を指す語のほう
「最近〜している」は these days・nowadays(現在形・現在進行形)か lately(現在完了進行形)で書く
位置は文頭・助動詞のあと・文末の3か所。文頭に出したらカンマを打つ
a recently published report のように過去分詞を修飾する形なら、現在形の文でも使える
訳語を「最近」から「近頃」に置き替えて、日本語として通るかどうかを確かめる。この一手間だけで、recently にまつわる時制の誤りはほとんど避けられます。今も続いている状態を書きたいのだと分かったら、these days か lately に持ち替えましょう。
ライティング・タスク2
現在形は現在の話ではない?