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ライティング・タスク2

タスク深掘りシリーズ:食品ロスの原因と対策の組み立て方・各国の制度・語彙【第3回】

執筆:高橋 響 公開日:

原因を問われて「人々の意識が低いから」、対策を問われて「意識を高めるべきだ」。IELTSライティング・タスク2で食品ロスのタスクに当たると、この一往復で2つの段落が埋まってしまうことがあります。原因と対策が同じことの裏返しになっているので、段落は2つでも、書けている中身は1つ分にとどまります。

タスク深掘りシリーズの第3回では、本サイトに収録している食品ロスのタスクを取り上げます。Cause & Solution型の読み方、人が食べ物を捨てる原因の掘り下げ方、原因と対策をどう対応させるか、イギリス・フランス・韓国の制度、食品ロスをめぐる語彙までを解説します。モデルアンサーそのものは載せませんが、自分で作るときの流れも最後に紹介します。

01このタスクでは何が問われているのか

取り上げるのは、本サイトに収録しているライティング・タスク2のタスクです。原因と解決策を問うCause & Solution型で、レベルは中級に分類しています。読み方から語彙までを1問ずつ通しで準備する手順は、シリーズのハブ記事にまとめています。

タスク深掘りシリーズ タスク深掘りシリーズ:アイデア・実例・語彙・モデルアンサーまで1問ずつ徹底解説【総論】

In many countries, a lot of food is wasted. Why do people waste food? How can we reduce the amount of food waste?

(多くの国で、大量の食べ物が捨てられています。人はなぜ食べ物を捨てるのでしょうか。食品廃棄の量を減らすには、どうすればよいのでしょうか。)

第1回と第2回で扱ったのは、賛成と反対を書くタスクでした。今回は形が違い、原因に答える部分と対策に答える部分の2つが必要になります。設問が分かれているぶん、どちらか一方が薄いまま提出される答案が出てきます。まず、実際に起きる読み違いから見ていきましょう。

1-1 人が捨てる理由ではなく、店が捨てる理由を書く

1つ目の設問の主語は people です。ところが答案になると、原因の段落がスーパーや外食産業の話で埋まっていきます。

原因=小売店が売れ残りを廃棄し、見た目の規格に合わない野菜を仕入れないこと原因の段落から家庭が消えるので、対策の段落で家庭に向けた提案を出したときに、原因とつながらなくなる

原因=人が買った食べ物を食べきらずに捨てること買い方・保存・日付表示の読み方まで下りていけるので、対策の段落と1対1で対応させられる

供給側に触れること自体は問題になりません。小売店や外食産業が捨てる量も、家庭が捨てる量とあわせて food waste として数えられています。ただ、原因の段落の中心が people から離れると、1つ目の設問に答えた部分が短くなります。供給側の事情を入れるなら、家庭の話を先に書いたうえで、買う側の行動とつながるところまで示すと、設問から離れません。

1-2 出たごみの処理のしかたを対策として書く

2つ目の設問でよく出てくるのが、堆肥化や飼料化を対策の中心にした答案です。

Food waste can be turned into compost or animal feed, which reduces the burden on landfill sites.捨てられたあとの行き先を変える話で、捨てられる量そのものは変わっていない

If retailers remove date labels from uncut fruit and vegetables, shoppers judge freshness for themselves instead of throwing away food that is still edible.捨てられる量そのものが減る仕組みを説明している

この設問で問われているのは reduce the amount of food waste なので、答えたいのは発生する量のほうです。堆肥化や飼料化を書くこと自体が誤りになるわけではありません。ただ、対策の段落がこれだけで終わると、問われていることから少しずれます。両方を出すなら、発生を減らす対策を先に書き、処理のしかたはそのあとに1文添えるくらいにしておくとよいでしょう。

この区別は、国際的な統計の取り方にも表れています。SDGの目標12.3は、小売と消費の段階で1人あたりの食料廃棄を2030年までに半減させることを掲げていて、測っているのは発生した量です。処理の方法を変えても、ここで数える量は変わりません。

タスクの構造を分解する

読み違いを避けるために、このタスクを要素に分けてみます。

要素このタスクの場合
前提として与えられている事実多くの国で、大量の食べ物が捨てられている
論じる対象人が捨てている食べ物と、その量
問われていること1つ目は、人が食べ物を捨てる原因。2つ目は、廃棄される量を減らす方法

前提の欄が埋まると、書かなくてよいことが決まります。大量に捨てられているという事実はタスク文が与えているので、本当にそれほど捨てられているのかを検討する必要はありません。導入で廃棄がいかに深刻かを説明したくなりますが、それは前提の言い換えです。2文以上使うと、原因と対策に回せる語数が減ります。

2つの設問で、主語が入れ替わっている

見落としやすいのが主語です。1つ目は Why do people waste food?、2つ目は How can we reduce the amount of food waste? となっていて、people から we に変わっています。

we は書き手を含む広い主語なので、対策の側は個人の行動に限られません。政府の規制、小売店の取り組み、学校での教育まで入れられます。原因は人の行動から書き、対策は人の行動に加えて、それを動かす制度からも書く。この幅の違いを使うと、対策の段落で出せる材料が増えます。

02なぜ食品ロスのテーマが繰り返し出るのか

このテーマが出続けているのは、規模が大きく、しかもどこで起きているのかがはっきりしているからです。国連環境計画(UNEP)の Food Waste Index Report 2024 は、2022年に世界で10億5000万トンの食料が廃棄されたと報告しています。消費者のもとに届いた食料の19%にあたる量です。FAOの推計では、これとは別に、収穫後から小売の手前までの供給網で13%が失われています。

内訳を見ると、廃棄の中心は家庭にあります。同じ報告書では、家庭が6億3100万トンで全体の60%、外食が28%、小売が12%となっています。家庭からの廃棄は1人あたり年間79kgで、1日10億食以上にあたるとされています。1つ目の設問で people が主語になっているのは、この分布と食い違っていません。

もうひとつ、このテーマが扱われ続ける理由があります。同じ報告書は、2030年の目標に向けた進捗を追える推計を持つG20の国が、オーストラリア・日本・イギリス・アメリカの4か国とEUだけだとしています。対策を論じる前の、測るという段階でつまずいている国が多い。原因と対策をたずねる出題になりやすいのは、ここに理由があります。

日本の感覚のまま書くとずれる

日本の読者にとって、食べ物が捨てられることは説明の要らない話題です。季節ものの大量廃棄が毎年報じられ、食品ロスの削減の推進に関する法律も2019年10月に施行されています。農林水産省と環境省が2025年6月に公表した推計では、2023年度の食品ロス量は464万トンで、内訳は事業系231万トン、家庭系233万トンでした。

身近なぶん、答案が道徳の話に寄りやすくなります。原因が「もったいないという意識が薄れたから」で終わると、そこから掘り下げる先がありません。意識という語で説明を止めず、値段・表示・暮らしの条件のほうから原因を書くと、対策の段落と噛み合います。

数字の面でも、日本は削減が進んでいるほうに数えられています。先の Food Waste Index Report 2024 は、大きな規模で削減が起きた例として、イギリスの18%減と日本の31%減を挙げています。日本の状況を「意識が低い」とだけ書くと、報告されている数字とは合いません。

このタスクの準備は、他のタスクにも使える

食品ロスのタスクは、人が物を捨てるのはなぜか、どうすれば減るのか、という問いの一例です。この問いに答えるときの組み立て方は、対象を入れ替えてもそのまま働きます。買う時点で量が決まってしまうこと、捨てる費用を捨てる人が負担していないこと、表示や制度が行動を左右すること。この観点は、使い捨ての製品でも、過剰な包装でも、家庭ごみ全体でも同じように使えます。

本サイトに現在掲載しているアクティブなタスク509件のうち、ものを捨てることや包装を扱ったタスクは10件あります(2026年8月26日時点)。原因と対策を問うCause & Solution型のタスクは37件です。

収録タスクの例食品ロスの準備がそのまま使えるところ
In many countries, people are living in a “throwaway society” where things are used for a short time and thrown away. What are the causes of this and what problems does it lead to?安く手に入るものほど捨てるときの痛みが小さいという説明、直して使うより買い替えが選ばれる理由
In many countries, the amount of waste produced is increasing day by day. Why is this happening? What can be done?捨てる費用を誰が負担しているかという観点、捨てた量に応じて課金する仕組み
Some people believe that manufacturers should be responsible for reducing the large amounts of packaging they use. Others say consumers should avoid buying heavily packaged items.包装の単位が買う量を決めてしまうという論点、企業と消費者のどちらに責任を求めるか

Cause & Solution型そのものの答え方は、問題タイプ別の記事にまとめています。原因と影響と解決策の区別が付きにくいときは、先にそちらを読んでおくと、この記事の03と04が読みやすくなります。

ライティング・タスク2 問題タイプ別の答え方:原因・問題点・影響・解決策【各論④】

03原因としてよく挙がるアイデアと、その掘り下げ方

原因を書き出すと、最初に出てくるのは「買いすぎる」「作りすぎる」「忘れる」あたりです。どれも正しいのですが、この粒度のままボディに入れると、1段落が3文で終わります。ここでは、そこから一段下りたところで並べます。掘り下げの手順そのものはハブ記事にまとめています。

3-1 買う時点で、必要な量を決めきれない

家庭が食べきれない量を買ってしまうのは、計画を立てていないからだけではありません。買う量が、売られ方によって先に決まっていることがあります。

2つ買うと安くなる値引き、大容量ほど1単位あたりが安くなる価格、あらかじめ袋詰めされた野菜。どれも1回に買う量を増やす方向に働きます。買う側は、安く済ませようとしているだけで、無計画に振る舞っているわけではありません。ここまで書けると、対策が「計画を立てましょう」より先へ進みます。買う単位を選べるようにする、量り売りを増やす、という話につながるからです。

この論点は、答案の中で反論にも耐えます。値引きをやめれば食費が上がる、という反論が来ても、単位を小さくすることと値引きをやめることは別だと示せば持ちこたえます。

止まっている書き方掘り下げた書き方
主張人は買いすぎるので食べ物が余るまとめ買いを有利にする値付けと包装の単位が、必要な量より多く買わせている
次に書けること計画を立てるべきだ、で終わる売り方を変えるという対策へ進める
反論への強さ「計画的な人もいる」で崩れる個人の性格ではなく売り方の話にしているので崩れにくい

3-2 日付表示を、安全の線だと思い込んでいる

原因としてもっとも見落とされているのが、この論点です。食品に印字されている日付には性質の違う2種類があり、その違いが買う側に伝わっていません。

イギリス政府の案内では、use by は安全にかかわる表示で、この日を過ぎた食品はもう安全に食べられないとしています(期限内に加熱調理するか冷凍したものは別に扱われます)。一方の best before は品質にかかわる表示で、この日を過ぎても通常は食べられるが、以前と同じ品質ではないかもしれない、という意味になります。best before のほうは、見た目・においで判断してよいとも書かれています。

2つの表示が同じ「日付」として並んでいると、買う側はどちらも安全の線として扱います。その結果、まだ食べられる食品が日付を理由に捨てられます。この論点が強いのは、捨てている本人に無駄にしている意識がないからです。意識を高めようという対策が届かない領域だと示せるので、表示の側を変えるという対策と自然につながります。

3-3 捨てるときの費用を、捨てる人が負担していない

3つ目は、費用の話です。多くの国で、家庭ごみの収集にかかる費用は税や定額の料金でまかなわれています。1kg余分に捨てても、その家庭の支出は変わりません。

ここを「食べ物が安いから捨てる」で止めると、豊かさ一般の話になって、対策が出てきません。捨てる側が費用を負担していない、というところまで下ろすと、誰の行動がなぜ変わらないのかが説明できます。買う段階では値段を気にする人でも、捨てる段階では値段を気にする理由がない。この非対称が、原因として書けるものになります。

この論点は、答案の中で対策と直結します。捨てた量に応じて費用がかかる仕組みを入れれば、捨てる段階にも値段が生まれるからです。実際にそうしている国があるので、05で扱います。

04対策としてよく挙がるアイデアと、その掘り下げ方

対策の段落で語数が伸びないのは、思いつく数が足りないからではありません。「政府が啓発キャンペーンを行うべきだ」「学校で教えるべきだ」と並べたところで、なぜそれで減るのかの説明が続かないからです。ここでは、03で挙げた原因のそれぞれに対応させて並べます。

4-1 日付表示を変えて、捨てる引き金を減らす

3-2で見たとおり、日付表示は捨てる判断の引き金になっています。そこで、表示そのものを見直すという対策が出てきます。

イギリスのWRAP(Waste and Resources Action Programme)は、切っていない生鮮の果物と野菜には日付表示の法的な義務がないとして、表示を外し、消費する側が自分で判断できるようにすることを推奨しています。2022年には、複数の大手小売がこれを受けて、一部の生鮮品から best before の表示を外しました。

この対策が答案で書きやすいのは、家庭に新しい努力を求めていないからです。買う人の行動を変えようとせずに、判断の材料のほうを変えます。そのぶん、反論も想定しやすくなります。表示がなくなると、食べられるかどうかの判断を各家庭に任せることになり、食中毒のリスクをどう扱うかという問題が出てきます。この反論には、安全にかかわる use by は残したまま、品質にかかわる best before だけを見直す、という答え方ができます。

4-2 余った食品の行き先を、制度として決めておく

売れ残りを捨てさせないという対策は、フランスが2016年に法律にしています。一定以上の売り場面積を持つ小売店に、まだ食べられる食品を廃棄することを禁じ、慈善団体との寄付契約を結ぶことを義務づけました。

ここで一度、1-2の線引きに戻ります。この制度が動かしているのは、余った食品の行き先です。余ること自体をなくす仕組みではありません。対策として挙げるなら、発生を減らす対策を先に置き、それを補うものとして添えると、2つ目の設問との対応が崩れません。

そのうえで、この対策の要点は、寄付をすすめるのではなく、捨てるという選択肢を先に塞いだところにあります。寄付を呼びかけるだけだと、手間をかけない店には届きません。義務にすると、余った食品の行き先を店側が用意しておくことになります。

掘り下げるなら、限界のほうまで書けると議論が締まります。この法律について整理したZero Waste Europeの2020年の資料は、寄付すべき量が定められていないため1%でも足りてしまうこと、対象が供給網の一部にとどまり、小売より前の段階に届かないことを挙げています。答案では、対策を挙げたあとに「ただし、この方法だけでは家庭からの廃棄には届かない」と1文添えると、対策を並べただけの段落から一段上がります。

4-3 捨てた量を、家庭の負担に結びつける

3-3の原因に対応するのが、捨てた量に応じて費用を求める仕組みです。韓国では、食品廃棄物を専用の袋に入れて出すか、計量器つきの回収機に捨てます。量が多いほど、その家庭の負担が増えます。

この対策は、03で挙げた3つの原因のうち2つに同時に働きます。捨てる段階に値段が付くので、費用を負担していないという状態が解消されます。それだけでなく、毎回の負担が見えることで、買う量そのものを見直す動機にもなります。

反論としては、負担の重さが家庭によって違うという点が出てきます。子どもの多い世帯や、調理を多くする世帯ほど廃棄も出やすく、負担が偏ります。ここに触れると、対策の限界を自分で示したことになり、結論での書きぶりが楽になります。

どの対策を選ぶか

3つとも書ける必要はありません。タスク2の語数では、対策にあてられるのはおおむね2つまでです。選ぶ基準を持っておくと迷いません。

  • 自分が原因として挙げたものに、直接働くか。原因で買い方を挙げたのに、対策が寄付の制度だと、2つの段落がつながりません
  • 誰が動くのかを1語で言えるか。政府なのか、小売なのか、家庭なのか。主語が決まらない対策は、説明が長くなります
  • 反論を1つ思いつけるか。思いつけない対策は、掘り下げの余地も残っていないことが多くなります

原因を2つ書いたなら、対策も同じ2つに対応させると、答案の構造がそのまま読み手に伝わります。原因と対策の数を合わせること自体に決まりはありませんが、合わせておくほうが、限られた語数の中では説明が短く済みます。

05答案に入れられる実例はどれか

食品ロスは、答案に入れられる実例が手に入りやすいテーマです。次の3件は、対策の段落でそのまま使えます。いずれも公表されている資料で確認できる内容です。

ひとつ断っておくと、下の3件はいずれも制度の話です。原因としてたずねられているのは人の行動ですが、家庭の行動そのものを測った実例は多くありません。原因の段落では実例を無理に入れず、対策の段落で使うほうが収まります。

国と時期制度の仕組み報告されていること
イギリス
2022年
切っていない生鮮の果物と野菜には日付表示の法的義務がないというWRAPの指針を受けて、複数の大手小売が一部の生鮮品から best before の表示を外した。安全にかかわる use by の表示は残されているUNEPの Food Waste Index Report 2024 は、イギリスの食品廃棄が18%減ったとしている。この減少を表示の見直しだけに結びつけることはできないが、同じ時期に進んだ取り組みのひとつ
フランス
2016年2月
売り場面積400平方メートル超の小売店に、まだ食べられる食品の廃棄を禁じ、慈善団体との寄付契約を義務づけた。廃棄の前に、値引き・寄付・飼料化・堆肥化という優先順位も定めている。2020年の法改正で罰則が年間売上高の0.1%まで引き上げられたZero Waste Europeの2020年の資料は、寄付すべき量が定められていないこと、対象が小売以降に限られ、それより前の段階に届かないことを限界として挙げている
韓国
2013年
食品廃棄物の従量制を全国に拡大。専用の袋を買うか、計量器つきの回収機を使うかで、捨てた量に応じて家庭が費用を負担する。2005年には食品廃棄物を埋立てに直接送ることを禁じている発生した食品廃棄物のうち再生利用に回る割合は95%に達したと報告されている(世界経済フォーラム、2019年)。これは処理の内訳を示す数値で、発生量そのものの指標ではない

規模を示す数字としては、UNEPの10億5000万トンと、家庭が60%という内訳を添えると、どこに手を打つべきかを1文で示せます。

答案での使い方

主張のあとに1文か2文で添える、数字は原則として1つに絞る、といった実例の扱い方はどの回でも共通なので、ハブ記事にまとめています。食品ロスのタスクでは、その差が次のように出ます。

In 2016, France banned supermarkets larger than 400 square metres from destroying unsold food and required them to sign donation agreements with charities, and in 2020 the penalty was raised to 0.1 per cent of annual turnover.情報は正しいが、制度の説明だけで段落が終わり、何を主張したいのかが見えない

Asking retailers to donate surplus food is not enough, because the easier option is still to throw it away. France therefore banned large supermarkets from destroying unsold food in 2016, leaving donation as the route they have to prepare for.主張を述べたうえで、それを裏づける例として1文で示している

フランスの例なら、400平方メートルという基準か、罰則の水準か、どちらか一方に絞ります。両方を入れると、制度の紹介のほうが主張より長くなります。

06中級と上級で押さえたい語彙とコロケーション

このテーマで書けなくなる原因は、単語を知らないことより、food と waste という2つの不可算名詞をどう動かすかにあります。どちらも中学レベルの語ですが、数の扱いと前置詞で崩れます。コロケーションの単位で覚えておきましょう。

中級(バンド6を目指す段階)

コロケーション意味と使いどころ
throw food away / throw away food食べ物を捨てる。代名詞のときは throw it away の語順だけになる
go to waste無駄になる。A lot of food goes to waste. のように、主語を食べ物にできる
reduce the amount of ~〜の量を減らす。タスク文で使われている形
go off / go bad傷む、悪くなる。go は変化を表す。become bad とは言わない
leftovers食べ残し、残り物。この意味では複数形で使う
a use-by date / a best-before date消費期限、賞味期限。名詞の前ではハイフンでつなぐ
buy in bulkまとめ買いをする。in は省略できない
run out of ~〜を切らす。買いすぎの反対側を説明するときに使う
store food properly食べ物を適切に保存する。動詞は keep でも通じるが、store のほうが書き言葉として落ち着く
plan meals in advance献立を前もって決める。前置詞は in advance でひとまとまり
donate surplus food to ~余った食品を〜に寄付する。donate は to を伴う
raise awareness of ~〜への意識を高める。前置詞は of か about

上級(バンド7以上を目指す段階)

コロケーション意味と使いどころ
edible / inedible食べられる、食べられない。still edible は「まだ食べられる」で、この議論の中心にある語
perishable goods傷みやすい食品。生鮮品をまとめて指せる
shelf life日持ちする期間。extend the shelf life of ~ で使う
surplus food余剰の食品。不可算で扱う。leftovers が家庭、surplus が事業者側の余りに向く
redistribute unsold food売れ残った食品を再分配する。フランスの制度を説明するときに使う
send food to landfill食品を埋立てに回す。この意味の landfill は冠詞なしで使われることが多い
a pay-as-you-throw scheme捨てた量に応じて課金する仕組み。韓国の制度を1語で示せる
create a financial incentive to do〜する金銭的な動機を生む。制度が行動を変える筋道を書ける
over-purchasing / impulse buying買いすぎ、衝動買い。原因の段落で名詞のまま主語にできる
cosmetic standards見た目の規格。形の悪い野菜が流通しない話で使う
curb food waste食品廃棄を抑える。reduce より引き締まった語感で、政策の文脈に合う
account for ~ per cent of ~〜の何%を占める。Households account for sixty per cent of food waste. と内訳を示せる
greenhouse gas emissions温室効果ガスの排出。廃棄と気候の話をつなぐときに使う
mistake a quality date for a safety warning品質の表示を安全の警告と取り違える。3-2の論点をそのまま英語にできる

food waste と food loss はどう使い分けるか

どちらも答案で使えますが、国際的な統計では指している段階が違います。FAOとUNEPの整理では、food loss は収穫後から小売に届く手前までに失われる分を指し、food waste は小売・外食・家庭の段階で捨てられる分を指します。このタスクが扱っているのは後者です。1本のエッセイの中で言い換えとして交ぜると、範囲がずれて読めるので、food waste で通しておくほうが確実です。ごみを表す語そのものの使い分けは、次の記事にまとめています。

ライティング・タスク2 waste・litter・garbage・rubbish・trash・refuse の違い:ごみの「場所」と英米差で選ぶ

このテーマで出やすい誤り

Many foods are wasted every day. / There are many wastes of food in developed countries.foods は食品の種類を指すときの形。waste もこの意味では不可算で、wastes とは言わない

A lot of food is wasted every day. / A great deal of food goes to waste in developed countries.量を言うなら a lot of / a great deal of。動詞も is で受ける

Supermarkets should donate their unsold food for charities.donate は for と組まない

Supermarkets should donate their unsold food to charities. / Supermarkets should give their unsold food to food banks.渡す先には to。目的を言うときだけ for a good cause のように使う

The government should take a measure to reduce the food waste.take measures は複数形が定型。一般論としての food waste に the は付けない

The government should take measures to reduce food waste.特定の廃棄物を指し直すときだけ the food waste generated by households のように限定する

これらのコロケーションは、覚えた直後は使えるつもりでいても、本番では冠詞と数のところで崩れます。書いた英文の不可算名詞に s が付いていないか、確かめる習慣を作っておくとよいでしょう。テーマ別にコロケーションを調べるなら、次のツールが使えます。

IELTS学習アプリ コロケーション検索 単語やフレーズを入力すると、その語と自然に組み合わさる表現を確認できます。waste や surplus のようなテーマ語を入れて、動詞と前置詞の組み合わせを確かめておきましょう。

07モデルアンサーはどう作るか

ここまでで、タスクの読み方、原因と対策のアイデア、実例、語彙がそろいました。残るのは、これを1本のエッセイにまとめる作業です。この記事にモデルアンサーを載せていないのは、人が書いた完成品を先に読むと、そこに書いてあった議論しか浮かばなくなるからです。自分の材料で1本書いたあとに、比較対象としてモデルアンサーを用意するほうが学習になります。

作る手順はどの回でも同じなので、5つのステップとモデルアンサーの使い方はハブ記事にまとめています。このタスクで進めるときは、タスク検索で food waste と入力し、問題タイプをCause & Solutionに絞ると見つかります。そこから自分でメインアイデアを書き、論理チェックを通してからモデルアンサーを作る流れです。

このタスクで確認したいのは、書き出した原因と対策が1対1で対応しているかどうかです。対策の側だけが増えていたら、原因の段落で挙げたものが浅いまま止まっている合図になります。もうひとつ、対策に堆肥化や飼料化だけを書いていないかも見ておきましょう。01で見た読み違いが、そのまま答案に出ています。

IELTS学習アプリ タスク検索 収録しているライティング・タスク2のタスクをキーワードと問題タイプで検索し、メインアイデアの検討からモデルアンサーの作成まで進められます。この記事で扱ったタスクも food waste で検索すると見つかります。

08よくある質問

原因と対策は、それぞれいくつ書けばよいですか。

決まった数はありません。250語以上という条件の中では、原因を2つ、対策を2つにすると、それぞれを説明しきれます。原因を3つ挙げると1つあたりの語数が減り、なぜそれが原因なのかという説明が薄くなりやすくなります。原因と対策の数をそろえておくと、どの原因にどの対策が対応しているのかを読み手が追えます。

設問は Why do people waste food? ですが、スーパーや外食産業の話を書いてもよいですか。

書けます。小売や外食が捨てる量も food waste に含まれます。ただし原因の段落の中心が供給側になると、1つ目の設問に答えた部分が短くなります。家庭の話を先に書き、そのうえで買う側の行動とつながるところまで示すと、設問から離れません。

対策として、堆肥化やリサイクルを書くのは間違いですか。

間違いではありませんが、それだけで段落を作ると設問から少しずれます。この設問で問われているのは reduce the amount of food waste で、堆肥化や飼料化は発生したあとの行き先を変える取り組みです。両方を出すなら、発生を減らす対策を先に書き、処理のしかたは1文添えるくらいにすると収まります。

原因と対策は、必ず対応させないといけませんか。

決まりではありません。対応させておくと、対策の段落で「なぜそれで減るのか」を短く書けるので、限られた語数の中では有利になります。対応させない場合は、その対策がどの原因に働くのかを1文で説明することになり、そのぶん語数を使います。

実例で国名を出すとき、年や数字はどこまで書けばよいですか。

国名と、いつごろ何をしたかが分かれば足ります。数字は原則として1つに絞り、出典を詳しく示す必要はありません。フランスの例なら、2016年に大型店の廃棄を禁じたという事実だけで主張を支えられます。罰則の水準や売り場面積の基準まで並べると、制度の紹介が主張より長くなります。

food waste は複数形にできますか。

この意味では不可算で扱うので、wastes とはしません。量を言うときは a lot of food waste、a large amount of food waste のようにします。food も同じで、foods とすると食品の種類を指す意味になります。A lot of food is wasted. のように、動詞も単数で受けます。

Cause & Solution型のタスクで、問題点(problems)も書いたほうがよいですか。

このタスクでは求められていません。設問は原因と対策の2つなので、問題点の段落を足すと、求められていない部分に語数を使うことになります。同じCause & Solution型でも、原因と問題点をたずねるタスクや、問題点と対策をたずねるタスクがあるので、設問の動詞を確かめてから書き始めるとよいでしょう。

このタスクに、自分の意見や結論は必要ですか。

意見を求める設問はありませんが、結論の段落は書きます。原因と対策を1文ずつまとめ直せば足りるので、新しい主張を持ち込む必要はありません。どの対策がもっとも見込みがあると考えるかを1文添えると、結論が前の段落の繰り返しになりません。

09まとめ

このタスクの難しさは、テーマの知識ではなく、2つの設問をどうつなぐかにあります。原因を人の行動から書き、対策をそれに対応させる。この対応ができていれば、テーマの知識が多くなくても、段落は必要な長さになります。

  • 1つ目の設問の主語は people。原因の段落はまず家庭の話から書き、そのあとで供給側に触れる
  • 2つ目の設問は reduce the amount of food waste。堆肥化や飼料化は発生したあとの話なので、発生を減らす対策を先に書く
  • 原因は、買う量が売られ方で決まること、日付表示を安全の線と思い込むこと、捨てる費用を負担していないこと、の3つから2つを選ぶ
  • 対策は、選んだ原因に1対1で対応させる。誰が動くのかを1語で言えるかどうかで選ぶ
  • 実例はイギリス、フランス、韓国の3件から1件を選び、数字は原則として1つに絞る
  • 語彙は food と waste の不可算から固める。donate は to、take measures は複数形

ここまでの準備ができたら、あとは自分で1本書いてみる段階です。手順と、他の回で扱っているタスクの一覧はハブ記事にまとめています。

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Hibiki Takahashi

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Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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