Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading 96パッセージを当校で10テーマに分類したところ、ビジネスと経済を扱った文章は6パッセージありました。観光の売り込み、流行の扱い方、幸福の産業化、人材の定着、組織の秩序、働き方の先行きが含まれます。
この記事では、その6パッセージの本文に出た118語を、6つの場面に分けて並べました。語は当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データから拾ったもので、日本語訳は当校で付けています。あわせて、これらのパッセージには出ていないものの、同じテーマの文章で関連して使われやすい語も各セクションに添えてあります。
語彙項目の数え方について補足します。diminishing returns のように2語以上のまとまりも1件として数えていて、retain と retention のように同じ語源でも語形が違うものは別に数えています。また、そのテーマの文章に出てきた語をすべて入れてあるので、場面の名前そのものを表す語だけが並んでいるわけではありません。
各セクションの語彙リストの下にはマッチングクイズがあります。表を眺めたあとに、そのセクションから5語だけ確認する使い方を想定しています。
リーディング
テーマ別語彙シリーズ:IELTSリーディングに繰り返し出るテーマと語彙の積み上げ方【総論】
01売り込み方と、その効果を測る語
観光の売り込みを扱った文章では、何を見せるかと、それがどう受け取られるかが並びます。authentic は本物であること、exhilarating は気分が高揚するような体験、backdrop は舞台としての背景です。gateway は、そこから中へ入っていく入り口という意味で使われます。
効果を測る側の語も出てきます。expenditure は使われたお金、evaluation は評価、underwent は検査や評価などを受けたことを指します。数字の照合が要る設問では、この語の周辺に答えが置かれていることが多くなります。
perceived は、この分野で判断を分ける語です。実際にそうであることではなく、そう見なされていることを指します。ある国が遠いと perceived されている、という書き方であれば、実際の距離とは別の話です。underlying は、表面には現れていないものの、その背景や基礎にあるものを指します。
出題済みの語(17語)
| 英語 | 意味 |
| inhabitants | 住民、居住者 |
| long-haul | 長距離の(フライトなど) |
| exhilarating | 爽快な、気分が高揚するような |
| authentic | 本物の、真正の |
| gateway | 玄関口、窓口 |
| scheme | 仕組み、制度 |
| underwent | (検査・評価などを)受けた |
| evaluation | 評価、審査 |
| backdrop | 背景、舞台背景 |
| devise | 工夫する、考案する |
| itineraries | 旅程、旅行計画 |
| catalogued | 一覧にまとめた、目録化した |
| expenditure | 消費額、支出 |
| solely | ただ〜だけ、専ら |
| perceived | 〜と見なされている |
| infrastructure | 社会基盤、インフラ |
| underlying | 表面には現れないが、その基礎や背景にある |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| target market | 狙いを定めた顧客層 |
| brand image | ブランドから受ける印象 |
| campaign | 売り込みのための一連の活動 |
| word of mouth | 口コミ |
| market share | 市場に占める割合 |
| revenue | 収入、売上 |
| demand | 需要 |
| niche market | 限られた層に向けた市場 |
02流行をどう扱うかを表す語
流行を扱った文章では、その大きさを表す語から始まります。profound は根が深いこと、across-the-board は全面的であること、unleashed は抑えられていたものが解き放たれることです。opulence は豊かさそのものを指します。
企業が流行にどう向き合うかを表す語も並びます。counteract は打ち消すこと、avert は避けること、transcend は超えることです。同じ流行に対して、それを利用するのか、打ち消すのか、それともその影響を超えていくのかという、異なる向き合い方が示されます。どれを述べている段落かを見分けてください。
aspirations は人が望んでいること、peripheral は本質から外れた周辺的なことを指します。この2語は語として対義というわけではありませんが、本文では対照的な位置に置かれています。ある変化が消費者の望みの中心にあるのか、周辺にとどまるのかで、企業の打ち手が変わるという流れです。tangible は手で触れられる具体的なもの、entails は必ず伴うものを指します。
出題済みの語(20語)
| 英語 | 意味 |
| profound | 重大な、深遠な |
| aspirations | 志望、願望 |
| peripheral | 周辺的な、本質的でない |
| jeopardize | 危険にさらす |
| engender | 生み出す、引き起こす |
| opulence | 豊かさ、富裕 |
| unleashed | 解き放された |
| avert | 回避する |
| across-the-board | 全面的な、一律の |
| mindset | 考え方、ものの捉え方 |
| tangible | 具体的な、実体のある |
| redeemed | (ポイントが)換金・交換される |
| transcend | 超える、乗り越える |
| entails | 伴う、必要とする |
| counteract | 相殺する、打ち消す |
| reaffirm | 再確認する、再強調する |
| pedometer | 歩数計 |
| obesity | 肥満 |
| reinvigorate | 再活性化する、活力を取り戻す |
| disparity | 格差、不均等 |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| consumer behaviour | 消費者の行動 |
| market segment | 市場を分けた顧客層 |
| fad | 短命な流行 |
| premium | 割高な価格帯 |
| brand loyalty | 同じ銘柄を選び続けること |
| differentiation | 他社との違いを打ち出すこと |
| emerging market | これから伸びる市場 |
| purchasing power | 買う力 |
03幸福を測ろうとする動きを扱う語
幸福の産業化を論じた書評では、批判の対象が用語で示されます。positive psychology は幸福を科学的に研究する分野、collective well-being は社会全体の幸福です。advocate はそれを推し進める側の人を指します。
測ることそのものを表す語が中心になります。quantified は数値化されたこと、quantification はその数値化そのもの、pulse rate は脈拍数、unforgeable は偽れないことです。心の状態を体の数字で捉えようとする流れが、この語群で説明されます。reductive model は、複雑なものを単純化しすぎた枠組みという批判の語です。
批判の向きを示す語も並びます。oblivious to は気づいていないこと、outmoded は時代遅れとされること、maladies は社会の病弊です。筆者は ethical reflection と moral inquiry が十分に扱われていないことを問題としています。lucid と arresting は本そのものへの評価の語なので、書評のどの部分が本の中身で、どこが評者の評価かを分けて読んでください。
出題済みの語(22語)
| 英語 | 意味 |
| advocate | 提唱者、支持者 |
| collective well-being | 集団的な幸福、社会全体の福祉 |
| positive psychology | ポジティブ心理学(幸福の科学的研究) |
| oblivious to | 〜に気づいていない、〜を無視している |
| self-realisation | 自己実現 |
| metaphysics | 形而上学(哲学的抽象論) |
| outmoded | 時代遅れの、旧式の |
| ethical reflection | 倫理的考察 |
| moral inquiry | 道徳的探究 |
| lucid | 明快で分かりやすい |
| arresting | 人の目を引く、印象に残る |
| solitary confinement | 独房監禁 |
| unforgeable | 偽造不可能な |
| quantified | 数値化された |
| quantification | 数量化、定量化 |
| pulse rate | 脈拍数 |
| entangling | 絡み合わせること |
| integral to | 〜に不可欠な |
| maladies | 病弊、社会的弊害 |
| reductive model | 還元論的モデル(複雑な行動を単純化して説明する枠組み) |
| public purse | 公費、国庫 |
| intellectual pedigree | 知的系譜、思想の由来 |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| subjective well-being | 本人が感じている幸福の度合い |
| metrics | 測るための指標 |
| workplace wellness | 職場での心身の健康に関する取り組み |
| surveillance | 監視 |
| commodification | 本来は商品でないものを商品として扱うこと |
| mental health | 心の健康 |
| critique | 批判的な検討 |
| paternalism | 本人のためだとして選択に介入すること |
04人を集めて留めることを表す語
人材を扱った文章では、入る側と出る側の語が対になります。acquire は採用すること、retain と retention は留めること、turnover は従業員が入れ替わる割合です。turnover は業界によっては売上高を指しますが、ここでは離職率の意味で使われています。
何が人を留めるのかが論点になります。compensation は報酬、work-life balance は仕事と生活の釣り合い、morale は士気です。obligated は義務を感じて留まっている状態で、進んで留まっているのとは違うという含みがあります。
extrinsic と intrinsic は、この文章の軸になる2語です。extrinsic は報酬や評価のような外から来る動機、intrinsic は仕事そのものから来る動機を指します。dichotomy はその2つの隔たり、framing はどちらの枠組みで示すかを指します。predisposition と inherently は、もともとそういう傾向があるという側の語です。
出題済みの語(21語)
| 英語 | 意味 |
| retain | (優秀な人材を)引き留める、確保する |
| acquire | 獲得する、採用する |
| work-life balance | 仕事と生活の調和 |
| competitive advantage | 競争上の優位性 |
| underdeveloped | 十分に発達していない、未成熟な |
| foster | 育む、促進する |
| turnover | 離職率(従業員の入れ替わり) |
| compensation | 報酬、給与 |
| morale | 士気、意欲 |
| obligated | 義務を感じた、縛られた |
| retention | (従業員の)定着、引き留め |
| inherently | 本質的に、生来的に |
| predisposition | 傾向、素因(ある方向に傾きやすい性質) |
| hypothesis | 仮説 |
| dichotomy | 二項対立、大きな隔たり |
| sophisticated | 高度に発展した、洗練された |
| extrinsic | 外発的な(外部からくる動機) |
| intrinsic | 内発的な(内部からくる動機) |
| framing | 枠組み、提示の仕方 |
| simultaneously | 同時に |
| well-being | 幸福感、心身の健康 |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| recruitment | 採用活動 |
| staff shortage | 人手不足 |
| career progression | 職位や役割が上がっていくこと |
| job satisfaction | 仕事への満足度 |
| incentive | 動機づけとなる報酬 |
| workload | 仕事の量 |
| appraisal | 人事評価 |
| shift work | 交代制の勤務 |
05組織の秩序と、その行きすぎを表す語
秩序を求めすぎた組織を批判する文章では、行きすぎを表す語が並びます。obsession は執着、venerate は過度に重んじること、bandwagon は流行に乗ることです。self-proclaimed perfectionists は、自ら完璧主義だと名乗る人たちを指します。
diminishing returns は、この文章の中心にある語です。投じるほど得られるものが減っていくことを指します。秩序を求めることにも同じことが当てはまる、という主張につながります。outweighs は、一方の影響や価値がもう一方を上回ることを表します。
組織の構造を表す語も出てきます。bottlenecks は流れが詰まるところ、rigid hierarchies は硬直した階層構造、scrapping はそれをやめることです。devoid は何かをまったく欠いていることを指します。この文章で rhetoric が出てくるのは、そう語られてはいるが実態は別だ、という批判の文脈です。
出題済みの語(17語)
| 英語 | 意味 |
| rhetoric | 言説、(説得のための)修辞 |
| entrepreneurs | 起業家 |
| self-proclaimed perfectionists | 自称完璧主義者 |
| demographics | 人口統計上の属性(年齢・性別・収入など) |
| forefathers | 先駆者、草分け |
| obsession | 執着、とりつかれること |
| misguided | 的外れな、見当違いの |
| detrimental | 有害な、悪影響をもたらす |
| diminishing returns | 収穫逓減(投じるほど効果が下がること) |
| outweighs | 上回る、勝る |
| devoid | 〜を欠いた、全くない |
| bottlenecks | ボトルネック(情報・業務の詰まり) |
| rigid hierarchies | 硬直した階層構造 |
| scrapping | 廃止すること、取りやめること |
| facets | 側面、局面 |
| bandwagon | 流行の波(に乗ること) |
| venerate | 崇拝する、過度に重んじる |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| flat structure | 階層の少ない組織のかたち |
| bureaucracy | 手続きや形式を重んじる仕組み |
| micromanagement | 細かいところまで管理しすぎること |
| autonomy | 自分で決められること |
| innovation | 新しいやり方を生み出すこと |
| efficiency | 効率 |
| corporate culture | その会社に根づいた考え方や慣習 |
| decision-making | 意思決定 |
06働き方の先行きを扱う語
仕事の未来を扱った文章では、変化を表す語が中心になります。automation は自動化、disruptive は既存の仕組みを覆すこと、algorithmification は筆者の造語です。造語だと本文に断りがあるので、辞書に載っている語として覚える必要はありません。
人がどう学ぶかを表す語も並びます。novice は初心者、legitimate peripheral participation は専門家のそばで見ながら学ぶことを指す用語です。自動化が進むと、この学び方の機会そのものが減ってしまうという議論につながります。
この文章は、悲観的な予測にも留保を付けます。apocalyptic は破滅的であること、fallacy は思い違い、short-sighted は近視眼的であることです。仕事がなくなるという見方に対して、それは fallacy だという書き方が出てきます。redundancies は人員削減、redeployment は配置転換で、失われる側と移す側の対になります。
出題済みの語(21語)
| 英語 | 意味 |
| consultancy | コンサルタント会社 |
| automation | 自動化 |
| disruptive | 破壊的な(既存の仕組みを覆す) |
| algorithmification | アルゴリズム化(著者の造語) |
| knowledge economy | 知識経済(生産でなく情報・知識に基づく経済) |
| outperform | 〜より優れた成果を出す |
| productivity | 生産性 |
| novice | 初心者、新参者 |
| legitimate peripheral participation | 専門家の傍で観察を通じて学ぶこと |
| short-sighted | 近視眼的な |
| transparent | 透明性のある、理解しやすい |
| dilemmas | ジレンマ、難しい選択 |
| trajectory | (人生の)歩み、軌跡 |
| envisages | 思い描く |
| fallacy | 誤謬、思い違い |
| apocalyptic | 終末論的な、破滅的な |
| redundancies | 人員削減、解雇 |
| redeployment | 配置転換 |
| pre-empt | 先手を打つ、予め対処する |
| subsistence agriculture | 自給農業 |
| astounding | 驚異的な |
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
| 英語 | 意味 |
| upskilling | 新しい技能を身につけ直すこと |
| gig economy | 単発の仕事を請け負う働き方が広がる経済 |
| remote work | 離れた場所から働くこと |
| job displacement | 仕事が別のものに置き換わること |
| labour market | 労働市場 |
| skills gap | 求められる技能と実際の技能のずれ |
| workforce | 働き手の全体 |
| retraining | 学び直しのための訓練 |
08よくある質問
ビジネスと経済のテーマは、リーディングでどのくらいの頻度で出ますか
Cambridge IELTS 13巻から20巻の Academic Reading 96パッセージのうち、ビジネスと経済を扱ったものは6パッセージでした(2026年8月26日時点、当校の集計)。10テーマの中では少ないほうですが、ライティングやスピーキングでは出番の多い分野です。
118語を全部覚える必要がありますか
全部を同じ深さで覚える必要はありません。algorithmification や legitimate peripheral participation のような特殊な語は意味が分かれば十分です。ただしこのテーマは他の技能とも重なるので、productivity、incentive、efficiency、autonomy のように書く側でも使う語は、自分でも使える状態にしておく価値があります。
turnover が第4回と違う意味で載っています
同じ語が文章によって別の意味で使われているためです。第4回(技術)では冷凍食品業界の売上高を指していましたが、ここでは従業員が入れ替わる割合、つまり離職率の意味です。どちらの意味かは周りの語で決まるので、両方を知っておくほうが安全です。
extrinsic と intrinsic はどちらも覚える必要がありますか
両方です。対になった用語なので、片方だけを覚えると、どちらの動機を説明している段落なのかが分からなくなります。extrinsic は報酬や評価のような外から来る動機、intrinsic は仕事そのものから来る動機です。
algorithmification が辞書に載っていません
本文の筆者が作った語だからです。造語であることは本文に断りがあります。こうした語は、辞書に載っている語として覚える必要はありません。本文にある説明のほうを追えば設問に答えられます。
「一緒に出てきやすい語」は次の試験に出るということですか
そういう意味ではありません。13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。次に出る語を当てたものではありません。
巻別の語彙リストとの使い分けを教えてください
解いた直後に開くなら巻別、苦手なテーマを埋めたいならテーマ別です。巻別は1冊ぶんの語をまとめてあるので、答え合わせの流れでそのまま開けます。テーマ別は8冊ぶんをテーマごとに横断して整理してあるので、特定のテーマだけを集中して見られます。
09まとめ
ビジネスと経済は、リーディングでの出題数は多くないものの、ライティングやスピーキングと重なるテーマです。読める状態で止めず、書ける状態まで持っていく価値のある語が多く含まれます。
- perceived は「実際にそうである」ではなく「そう見なされている」
- 流行への向き合い方は、乗る・打ち消す・超えるの3通りが示される
- 書評は、本の中身と評者の評価を分けて読む
- turnover は文章によって離職率にも売上高にもなる
- extrinsic と intrinsic は対。片方だけでは段落の向きが分からない
- この文章では rhetoric が、語られ方と実態の食い違いを批判する文脈で使われている
- 造語だと本文に断りがある語は、辞書の語として覚える必要はない
- 後半の表はまとめて覚える対象にせず、公式問題集の外で読むときの下準備として眺める