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リーディング

テーマ別語彙シリーズ:ビジネスと経済の文章に出た118語と、一緒に出てきやすい語【第8回】

執筆:高橋 響 公開日:

Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading 96パッセージを当校で10テーマに分類したところ、ビジネスと経済を扱った文章は6パッセージありました。観光の売り込み、流行の扱い方、幸福の産業化、人材の定着、組織の秩序、働き方の先行きが含まれます。

この記事では、その6パッセージの本文に出た118語を、6つの場面に分けて並べました。語は当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データから拾ったもので、日本語訳は当校で付けています。あわせて、これらのパッセージには出ていないものの、同じテーマの文章で関連して使われやすい語も各セクションに添えてあります。

語彙項目の数え方について補足します。diminishing returns のように2語以上のまとまりも1件として数えていて、retain と retention のように同じ語源でも語形が違うものは別に数えています。また、そのテーマの文章に出てきた語をすべて入れてあるので、場面の名前そのものを表す語だけが並んでいるわけではありません。

各セクションの語彙リストの下にはマッチングクイズがあります。表を眺めたあとに、そのセクションから5語だけ確認する使い方を想定しています。

リーディング テーマ別語彙シリーズ:IELTSリーディングに繰り返し出るテーマと語彙の積み上げ方【総論】

01売り込み方と、その効果を測る語

観光の売り込みを扱った文章では、何を見せるかと、それがどう受け取られるかが並びます。authentic は本物であること、exhilarating は気分が高揚するような体験、backdrop は舞台としての背景です。gateway は、そこから中へ入っていく入り口という意味で使われます。

効果を測る側の語も出てきます。expenditure は使われたお金、evaluation は評価、underwent は検査や評価などを受けたことを指します。数字の照合が要る設問では、この語の周辺に答えが置かれていることが多くなります。

perceived は、この分野で判断を分ける語です。実際にそうであることではなく、そう見なされていることを指します。ある国が遠いと perceived されている、という書き方であれば、実際の距離とは別の話です。underlying は、表面には現れていないものの、その背景や基礎にあるものを指します。

出題済みの語(17語)
英語意味
inhabitants住民、居住者
long-haul長距離の(フライトなど)
exhilarating爽快な、気分が高揚するような
authentic本物の、真正の
gateway玄関口、窓口
scheme仕組み、制度
underwent(検査・評価などを)受けた
evaluation評価、審査
backdrop背景、舞台背景
devise工夫する、考案する
itineraries旅程、旅行計画
catalogued一覧にまとめた、目録化した
expenditure消費額、支出
solelyただ〜だけ、専ら
perceived〜と見なされている
infrastructure社会基盤、インフラ
underlying表面には現れないが、その基礎や背景にある
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
target market狙いを定めた顧客層
brand imageブランドから受ける印象
campaign売り込みのための一連の活動
word of mouth口コミ
market share市場に占める割合
revenue収入、売上
demand需要
niche market限られた層に向けた市場

02流行をどう扱うかを表す語

流行を扱った文章では、その大きさを表す語から始まります。profound は根が深いこと、across-the-board は全面的であること、unleashed は抑えられていたものが解き放たれることです。opulence は豊かさそのものを指します。

企業が流行にどう向き合うかを表す語も並びます。counteract は打ち消すこと、avert は避けること、transcend は超えることです。同じ流行に対して、それを利用するのか、打ち消すのか、それともその影響を超えていくのかという、異なる向き合い方が示されます。どれを述べている段落かを見分けてください。

aspirations は人が望んでいること、peripheral は本質から外れた周辺的なことを指します。この2語は語として対義というわけではありませんが、本文では対照的な位置に置かれています。ある変化が消費者の望みの中心にあるのか、周辺にとどまるのかで、企業の打ち手が変わるという流れです。tangible は手で触れられる具体的なもの、entails は必ず伴うものを指します。

出題済みの語(20語)
英語意味
profound重大な、深遠な
aspirations志望、願望
peripheral周辺的な、本質的でない
jeopardize危険にさらす
engender生み出す、引き起こす
opulence豊かさ、富裕
unleashed解き放された
avert回避する
across-the-board全面的な、一律の
mindset考え方、ものの捉え方
tangible具体的な、実体のある
redeemed(ポイントが)換金・交換される
transcend超える、乗り越える
entails伴う、必要とする
counteract相殺する、打ち消す
reaffirm再確認する、再強調する
pedometer歩数計
obesity肥満
reinvigorate再活性化する、活力を取り戻す
disparity格差、不均等
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
consumer behaviour消費者の行動
market segment市場を分けた顧客層
fad短命な流行
premium割高な価格帯
brand loyalty同じ銘柄を選び続けること
differentiation他社との違いを打ち出すこと
emerging marketこれから伸びる市場
purchasing power買う力

03幸福を測ろうとする動きを扱う語

幸福の産業化を論じた書評では、批判の対象が用語で示されます。positive psychology は幸福を科学的に研究する分野、collective well-being は社会全体の幸福です。advocate はそれを推し進める側の人を指します。

測ることそのものを表す語が中心になります。quantified は数値化されたこと、quantification はその数値化そのもの、pulse rate は脈拍数、unforgeable は偽れないことです。心の状態を体の数字で捉えようとする流れが、この語群で説明されます。reductive model は、複雑なものを単純化しすぎた枠組みという批判の語です。

批判の向きを示す語も並びます。oblivious to は気づいていないこと、outmoded は時代遅れとされること、maladies は社会の病弊です。筆者は ethical reflection と moral inquiry が十分に扱われていないことを問題としています。lucid と arresting は本そのものへの評価の語なので、書評のどの部分が本の中身で、どこが評者の評価かを分けて読んでください。

出題済みの語(22語)
英語意味
advocate提唱者、支持者
collective well-being集団的な幸福、社会全体の福祉
positive psychologyポジティブ心理学(幸福の科学的研究)
oblivious to〜に気づいていない、〜を無視している
self-realisation自己実現
metaphysics形而上学(哲学的抽象論)
outmoded時代遅れの、旧式の
ethical reflection倫理的考察
moral inquiry道徳的探究
lucid明快で分かりやすい
arresting人の目を引く、印象に残る
solitary confinement独房監禁
unforgeable偽造不可能な
quantified数値化された
quantification数量化、定量化
pulse rate脈拍数
entangling絡み合わせること
integral to〜に不可欠な
maladies病弊、社会的弊害
reductive model還元論的モデル(複雑な行動を単純化して説明する枠組み)
public purse公費、国庫
intellectual pedigree知的系譜、思想の由来
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
subjective well-being本人が感じている幸福の度合い
metrics測るための指標
workplace wellness職場での心身の健康に関する取り組み
surveillance監視
commodification本来は商品でないものを商品として扱うこと
mental health心の健康
critique批判的な検討
paternalism本人のためだとして選択に介入すること

04人を集めて留めることを表す語

人材を扱った文章では、入る側と出る側の語が対になります。acquire は採用すること、retain と retention は留めること、turnover は従業員が入れ替わる割合です。turnover は業界によっては売上高を指しますが、ここでは離職率の意味で使われています。

何が人を留めるのかが論点になります。compensation は報酬、work-life balance は仕事と生活の釣り合い、morale は士気です。obligated は義務を感じて留まっている状態で、進んで留まっているのとは違うという含みがあります。

extrinsic と intrinsic は、この文章の軸になる2語です。extrinsic は報酬や評価のような外から来る動機、intrinsic は仕事そのものから来る動機を指します。dichotomy はその2つの隔たり、framing はどちらの枠組みで示すかを指します。predisposition と inherently は、もともとそういう傾向があるという側の語です。

出題済みの語(21語)
英語意味
retain(優秀な人材を)引き留める、確保する
acquire獲得する、採用する
work-life balance仕事と生活の調和
competitive advantage競争上の優位性
underdeveloped十分に発達していない、未成熟な
foster育む、促進する
turnover離職率(従業員の入れ替わり)
compensation報酬、給与
morale士気、意欲
obligated義務を感じた、縛られた
retention(従業員の)定着、引き留め
inherently本質的に、生来的に
predisposition傾向、素因(ある方向に傾きやすい性質)
hypothesis仮説
dichotomy二項対立、大きな隔たり
sophisticated高度に発展した、洗練された
extrinsic外発的な(外部からくる動機)
intrinsic内発的な(内部からくる動機)
framing枠組み、提示の仕方
simultaneously同時に
well-being幸福感、心身の健康
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
recruitment採用活動
staff shortage人手不足
career progression職位や役割が上がっていくこと
job satisfaction仕事への満足度
incentive動機づけとなる報酬
workload仕事の量
appraisal人事評価
shift work交代制の勤務

05組織の秩序と、その行きすぎを表す語

秩序を求めすぎた組織を批判する文章では、行きすぎを表す語が並びます。obsession は執着、venerate は過度に重んじること、bandwagon は流行に乗ることです。self-proclaimed perfectionists は、自ら完璧主義だと名乗る人たちを指します。

diminishing returns は、この文章の中心にある語です。投じるほど得られるものが減っていくことを指します。秩序を求めることにも同じことが当てはまる、という主張につながります。outweighs は、一方の影響や価値がもう一方を上回ることを表します。

組織の構造を表す語も出てきます。bottlenecks は流れが詰まるところ、rigid hierarchies は硬直した階層構造、scrapping はそれをやめることです。devoid は何かをまったく欠いていることを指します。この文章で rhetoric が出てくるのは、そう語られてはいるが実態は別だ、という批判の文脈です。

出題済みの語(17語)
英語意味
rhetoric言説、(説得のための)修辞
entrepreneurs起業家
self-proclaimed perfectionists自称完璧主義者
demographics人口統計上の属性(年齢・性別・収入など)
forefathers先駆者、草分け
obsession執着、とりつかれること
misguided的外れな、見当違いの
detrimental有害な、悪影響をもたらす
diminishing returns収穫逓減(投じるほど効果が下がること)
outweighs上回る、勝る
devoid〜を欠いた、全くない
bottlenecksボトルネック(情報・業務の詰まり)
rigid hierarchies硬直した階層構造
scrapping廃止すること、取りやめること
facets側面、局面
bandwagon流行の波(に乗ること)
venerate崇拝する、過度に重んじる
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
flat structure階層の少ない組織のかたち
bureaucracy手続きや形式を重んじる仕組み
micromanagement細かいところまで管理しすぎること
autonomy自分で決められること
innovation新しいやり方を生み出すこと
efficiency効率
corporate cultureその会社に根づいた考え方や慣習
decision-making意思決定

06働き方の先行きを扱う語

仕事の未来を扱った文章では、変化を表す語が中心になります。automation は自動化、disruptive は既存の仕組みを覆すこと、algorithmification は筆者の造語です。造語だと本文に断りがあるので、辞書に載っている語として覚える必要はありません。

人がどう学ぶかを表す語も並びます。novice は初心者、legitimate peripheral participation は専門家のそばで見ながら学ぶことを指す用語です。自動化が進むと、この学び方の機会そのものが減ってしまうという議論につながります。

この文章は、悲観的な予測にも留保を付けます。apocalyptic は破滅的であること、fallacy は思い違い、short-sighted は近視眼的であることです。仕事がなくなるという見方に対して、それは fallacy だという書き方が出てきます。redundancies は人員削減、redeployment は配置転換で、失われる側と移す側の対になります。

出題済みの語(21語)
英語意味
consultancyコンサルタント会社
automation自動化
disruptive破壊的な(既存の仕組みを覆す)
algorithmificationアルゴリズム化(著者の造語)
knowledge economy知識経済(生産でなく情報・知識に基づく経済)
outperform〜より優れた成果を出す
productivity生産性
novice初心者、新参者
legitimate peripheral participation専門家の傍で観察を通じて学ぶこと
short-sighted近視眼的な
transparent透明性のある、理解しやすい
dilemmasジレンマ、難しい選択
trajectory(人生の)歩み、軌跡
envisages思い描く
fallacy誤謬、思い違い
apocalyptic終末論的な、破滅的な
redundancies人員削減、解雇
redeployment配置転換
pre-empt先手を打つ、予め対処する
subsistence agriculture自給農業
astounding驚異的な
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語意味
upskilling新しい技能を身につけ直すこと
gig economy単発の仕事を請け負う働き方が広がる経済
remote work離れた場所から働くこと
job displacement仕事が別のものに置き換わること
labour market労働市場
skills gap求められる技能と実際の技能のずれ
workforce働き手の全体
retraining学び直しのための訓練

07「同じ場面で一緒に出てきやすい語」をどう扱うか

各セクションの後半に付けた表は、Cambridge IELTS 13巻から20巻までの本文には出ていない語です。次の試験に出ると予測したものではありません。同じテーマの文章を読んだときに、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。

この2つを分けてあるのは、覚える優先順位が違うからです。出題済みの語は、公式問題集を解いた時点で一度は目にしています。もう一度確認して、意味が出てこなかったものだけを拾えば足ります。後半の表は初めて見る語が多いはずなので、まとめて覚えようとせず、上から眺めて知らないものに印を付けるところまでで構いません。

このテーマは、リーディングでの出題数は多くありませんが、他の技能では出番が多い分野です。働き方、組織、消費はライティング・タスク2の頻出テーマですし、スピーキングのパート3でも問われます。読んで分かるだけの状態で止めず、自分でも書ける語を増やす対象として見ておく価値があります。とくに productivity、incentive、efficiency、autonomy は、書く側でもそのまま使えます。

公式問題集の外で読む素材の選び方は、別の記事にまとめてあります。

リーディング IELTSリーディングの文章はどこから出題されているのか:苦手ジャンルはYouTubeで克服する

08よくある質問

ビジネスと経済のテーマは、リーディングでどのくらいの頻度で出ますか

Cambridge IELTS 13巻から20巻の Academic Reading 96パッセージのうち、ビジネスと経済を扱ったものは6パッセージでした(2026年8月26日時点、当校の集計)。10テーマの中では少ないほうですが、ライティングやスピーキングでは出番の多い分野です。

118語を全部覚える必要がありますか

全部を同じ深さで覚える必要はありません。algorithmification や legitimate peripheral participation のような特殊な語は意味が分かれば十分です。ただしこのテーマは他の技能とも重なるので、productivity、incentive、efficiency、autonomy のように書く側でも使う語は、自分でも使える状態にしておく価値があります。

turnover が第4回と違う意味で載っています

同じ語が文章によって別の意味で使われているためです。第4回(技術)では冷凍食品業界の売上高を指していましたが、ここでは従業員が入れ替わる割合、つまり離職率の意味です。どちらの意味かは周りの語で決まるので、両方を知っておくほうが安全です。

extrinsic と intrinsic はどちらも覚える必要がありますか

両方です。対になった用語なので、片方だけを覚えると、どちらの動機を説明している段落なのかが分からなくなります。extrinsic は報酬や評価のような外から来る動機、intrinsic は仕事そのものから来る動機です。

algorithmification が辞書に載っていません

本文の筆者が作った語だからです。造語であることは本文に断りがあります。こうした語は、辞書に載っている語として覚える必要はありません。本文にある説明のほうを追えば設問に答えられます。

「一緒に出てきやすい語」は次の試験に出るということですか

そういう意味ではありません。13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。次に出る語を当てたものではありません。

巻別の語彙リストとの使い分けを教えてください

解いた直後に開くなら巻別、苦手なテーマを埋めたいならテーマ別です。巻別は1冊ぶんの語をまとめてあるので、答え合わせの流れでそのまま開けます。テーマ別は8冊ぶんをテーマごとに横断して整理してあるので、特定のテーマだけを集中して見られます。

09まとめ

ビジネスと経済は、リーディングでの出題数は多くないものの、ライティングやスピーキングと重なるテーマです。読める状態で止めず、書ける状態まで持っていく価値のある語が多く含まれます。

  • perceived は「実際にそうである」ではなく「そう見なされている」
  • 流行への向き合い方は、乗る・打ち消す・超えるの3通りが示される
  • 書評は、本の中身と評者の評価を分けて読む
  • turnover は文章によって離職率にも売上高にもなる
  • extrinsic と intrinsic は対。片方だけでは段落の向きが分からない
  • この文章では rhetoric が、語られ方と実態の食い違いを批判する文脈で使われている
  • 造語だと本文に断りがある語は、辞書の語として覚える必要はない
  • 後半の表はまとめて覚える対象にせず、公式問題集の外で読むときの下準備として眺める
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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