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リスニング

IELTSリスニングのマッチングだけ点が取れないのはなぜか:苦手の原因を3つに切り分ける

執筆:高橋 響 公開日:

マッチングは、IELTSリスニングの中でも苦手とする人が多い設問タイプです。ただ、その難しさは音が聞き取れないことだけが原因ではありません。聞きながら複数の選択肢を同時に処理しなければならないところに、この形式の負荷があります。

この記事では、マッチングの攻略法を一通り紹介するのではなく、なぜ間違えているのかを原因ごとに整理し、自分に必要な練習を見つける方法を解説します。

01マッチングは何を要求している設問タイプか

マッチングは、聞こえた単語を選ぶ設問ではなく、聞こえた情報が選択肢のどの意味にあたるかを照合する設問です。ここを取り違えたまま練習を重ねても、正答率は思ったほど動きません。

形式としては、複数の項目(施設・場所・人物など)を、それより数の多い選択肢のリストと結びつけます。Part 2では施設やサービスとその特徴の対応、Part 3では人物とその意見の対応が出てくることが多い形式です。

たとえば、施設と説明を対応させるタイプなら、音声が始まる前に次のような画面を渡されます。

設問文

Match each facility with the correct description. Write the correct letter, A-G, next to questions 11-15.

A free to use

B booking required

C for students only

D recently renovated

E closed at weekends

F has a car park

G close to the railway station

この7つを、音声が始まるまでの短い時間で扱えるようにしておくことになります。つまりマッチングは、リスニングの設問でありながら、実際には次の作業を続けて行っています。

段階していること負荷がかかるところ
音声の前読む7つ前後の英文を、短時間で読み切る
音声の前整理する選択肢どうしが何で違うのかをつかむ
音声中聞く話題の切り替わりを追いながら内容を取る
音声中照合するいま聞こえた内容が、どの選択肢の意味にあたるかを判断する

ここで先に断っておきたいのが、マッチングは記憶力を測る設問ではないということです。7つの選択肢を暗記して音声に臨む必要はありません。必要なのは、聞きながら目を落とせば一目で照合できる状態に選択肢を整理しておくことです。「全部覚えないと解けない」と考えると、それだけで音声に入る前に消耗します。

穴埋め問題であれば、聞こえた語をそのまま書けば答えになります。マッチングにはその近道がありません。選択肢の側は書き言葉で整理された表現、音声の側は話し言葉で、同じ内容が別の言い方で出てきます。この照合の作業が入るぶん、同じ聞き取り力でもマッチングだけ正答率が落ちるということが起こります。

マッチング特有の解き方のルール、たとえば設問は音声の順番通りに来ること、選択肢は順不同であることについては、別の記事で扱っています。この記事は「解き方は分かっているのに取れない」段階の話です。

リスニング IELTSリスニングのマッチング問題の解き方:設問は順番通り、選択肢は順不同

02マッチングでつまずく原因を3つに切り分ける

原因を数える前に、分けておきたい線が1本あります。マッチングという形式の問題なのか、リスニングそのものの問題なのかです。ここを混ぜたまま「マッチングが苦手」と考えると、いくらマッチングを解いても変わりません。

間違えた設問の状態どちらの問題か
スクリプトを見る前から、何と言っていたかは分かっていたマッチングの問題(この記事の3つ)
スクリプトを見て初めて、何と言っていたか分かったリスニングそのものの問題(別の練習に振り分ける)

下の行にあたる場合は、音と文字が結びついていないことが原因です。マッチングの練習量を増やしても直りにくいので、そちらは別の記事で扱っています。

リスニング スクリプトなら分かるのに聞き取れない:IELTSリスニングで音と文字をつなげる練習法

そのうえで、マッチング特有の原因は3つに分かれます。選択肢の処理、音声と選択肢の照合、そして判断の遅れです。

何が起きているか中身
① 選択肢の処理音声が始まる時点で、準備が終わっていない選択肢を読む/違いの軸をつかむ/照合できる状態にしておく
② 音声との照合聞こえた内容を、選択肢の意味に結びつけられない言い換え/引っかけ/but などによる情報の修正
③ 判断の遅れ1問の迷いが、次の設問を巻き込む1問で迷う/次の情報を聞き逃す/連鎖して複数落とす

2-1 選択肢の処理が音声に間に合っていない

A free to use

B booking required

C for students only

D recently renovated

Aから順に、英文を1つずつ読み込んでいくDを読んでいる間にAとBの内容があいまいになる

4つの選択肢が何で分かれているのかを先に見る料金・予約・利用できる人・新しさ、の4点で分かれている

ここでつまずく人は、選択肢を「読み込むべき7つの英文」として扱っています。英文を7つ、意味のまとまりごと頭に入れてから音声に入ろうとすると、たいてい読み切る前に音声が始まります。実際に必要なのは全文ではなく、選択肢どうしを分けている違いのほうです。

準備が終わらないまま音声に入ると、聞こえた内容と選択肢を照らし合わせるたびに、選択肢のリストを最初から読み直すことになります。目が紙の上を往復している間に音声は進み、聞き取り自体はできていた内容まで落とします。とくに、AとCのように近い方向の選択肢が並んでいると、内容は正しく取れているのに記号を取り違えるという形の失点になります。読み方の具体的な手順は4節で扱います。

2-2 音声と選択肢を意味で照合できていない

本文

The café is on the ground floor, just past the main entrance. It used to be free to sit there, but from this term there is a small charge at lunchtime. The seating outside is still open to everyone, though.

free が聞こえたので A(free to use)but のあとで有料に変わっている

ここまでで分かるのは、A でもC でもないということだけ有料になっている、そして everyone が使える

選択肢に書かれた語と同じ語が聞こえた瞬間に、照合が終わったと感じてしまう。これが2つ目の型です。マッチングの音声には、選択肢と関係のある情報が正解以外にもたくさん出てきます。この例でも free、charge、everyone のどれもがどこかの選択肢に触れていますが、そのどれも単独では答えを決めません。

大事なのは、この時点で記号が確定しなくてもかまわないということです。分かったのは A が消えたこと、C も消えたことの2つで、残りから絞り込むのは話が進んでからになります。1つの発言で答えを決めようとするから、最初に聞こえた語に飛びついてしまいます。

情報が修正されるサイン

この形式でとくに多いのが、話の向きが途中で変わるパターンです。ただし、次の表のように性質が分かれます。ひとまとめに「反転する表現」として覚えると、かえって読み違えます。

表現そのあとで何が起きるか
but/however/actually/instead前の情報が、後ろの情報に置き換わる
used to/originally/no longer以前と今が違う。前半は過去の話になる
although/unfortunately情報が足される。前の情報が消えるとは限らない

3行目が紛らわしいところです。although が聞こえても、その前の情報が打ち消されるとは限りません。

Although the building is old, it is very popular.

この文で old という情報は生きたままで、そこに「人気がある」が足されています。ここで old を消してしまうと、今度は逆方向の間違いになります。これらの表現が聞こえたときにやりたいのは、答えを反転させることではなく、そのあとに情報が足されるか置き換わるかを見届けることです。

2-3 判断が遅れて、次の設問まで落とす

本文

The swimming pool itself is over forty years old, although the changing rooms were completely rebuilt two years ago. The gym next door only opened last spring, so everything in there is still in good condition. Both of them get very busy after five, I am afraid.

プールは old なのか rebuilt なのかを考え続ける考えている間に gym の情報が終わっている

The gym next door が聞こえたら、プールの判断を打ち切るプールは仮のまま、gym の情報を取りにいく

マッチングでは、1つの項目について複数の情報が出てきます。プールの例なら、建物は古い、更衣室は改装済み、夕方は混む、という3つです。この中から選択肢に対応する1つを選ぶ判断をしている間も、音声は止まりません。判断と聞き取りが同じ時間に重なっているのが、マッチングの構造です。

その結果、1問の迷いが2問の失点になります。プールで迷ったぶん gym の情報を聞き逃し、gym を埋めようとしているうちに、その次の項目も始まっています。マッチングでまとめて失点が起きるのは、聞き取り力が急に落ちたからではなく、この連鎖が起きているからです。

ここでの原則は1つだけです。前の設問には戻らないこと。次の項目名が聞こえたら、前の項目の判断はそこで打ち切ります。仮の記号を書いておくと見直しのときに何を迷ったかが残りますが、書くこと自体が負担になるようなら、頭の中で仮置きして次に進むだけでもかまいません。守りたいのは記号を書くことではなく、戻らないことのほうです。

03間違えた設問は、どう分類すればいいか

マッチングの復習で効くのは、正解を確認することではなく、間違いを原因で分類することです。もう一度聞いて正解の箇所を確かめるだけだと、次に同じ形で落とします。

間違えた設問ごとに、次のどれにあたるかを決めていきます。判断の材料になるのは、スクリプトを開いたときの自分の反応です。

原因スクリプトを見たときの反応対応する型
選択肢の意味が分かっていなかった選択肢の英文をいま読み直して、初めて意味が分かる① 選択肢の処理
選択肢を取り違えた内容は合っていたが、書いた記号が違う① 選択肢の処理
言い換えに気づけなかった該当箇所を見ても、なぜそれが正解なのかすぐ分からない② 音声との照合
情報の修正を聞き逃した答えは前半ではなく、but のあとに書いてある② 音声との照合
迷っている間に次を落とした1つ前の設問でも迷っていた、または空欄だった③ 判断の遅れ
そもそも聞き取れていなかったスクリプトを見て初めて、何と言っていたか分かるマッチング以外(2節の線)

10問ぶんも分類すると、自分の落とし方が1つか2つに集まっていることが多くあります。「リスニングが苦手」ではなく、何が苦手なのかが分かるところまで来ると、次に何をやればいいかが決まります。①なら4節、②なら5節、③なら2-3の原則に戻ります。

04選択肢は、音声が始まる前にどこまで読むか

読むのは選択肢の全文ではなく、選択肢どうしを分けている軸です。7つの英文を頭に入れようとすると読み切る前に音声が始まりますが、軸だけなら4つでも7つでも扱えます。

たとえば次の4つなら、分かれているのは場所・駐車場・新しさ・予約の4点です。

選択肢違いの軸
A near the station場所
B free parking駐車場
C recently renovated新しさ
D requires booking予約

この形にしておくと、音声を聞いているときの判断が「いまの発言は場所の話か、予約の話か」に変わります。英文と英文を突き合わせる作業がなくなるぶん、聞くほうに使える注意が増えます。目を落としたときに一目で照合できる状態というのは、この状態のことです。

軸が重なっている選択肢があれば、そこは要注意の組として先に見ておきます。free to use と for students only なら、どちらも「誰がいくらで使えるか」の話なので、音声では同じ場面で一緒に出てきます。2-1で見た記号の取り違えは、この組み合わせで起きます。

  • 選択肢の全文ではなく、選択肢どうしが何で分かれているかを見る
  • 軸は1語で言えるところまで縮める(料金・予約・場所・時期)
  • 軸が近い選択肢の組を、先に見つけておく
  • 読み切れなかった選択肢があっても、そのまま音声に入る(読み直しは音声を聞きながらになる)

音声が始まる前に設問を読む時間は長くありません。全部を読もうとして途中で音声が始まるより、軸だけ取って音声に入るほうが結果は安定します。

05パラフレーズは単語ではなく意味で覚える

選択肢に書かれた語が、そのままの形で音声に出てくることは少なく、多くは言い換えられた形で読み上げられます。recently renovated という選択肢を見て「renovated が聞こえたら正解」と身構えると、その語が出てこないまま音声が終わります。

選択肢の表現音声で出てくる言い方の例
recently renovatedThey have just done a lot of work on the building.
close to the railway stationIt is just a five-minute walk from the station.
booking requiredYou will need to let them know in advance.
closed at weekendsIt only opens Monday to Friday.

覚えるべきは語ではなく、意味のまとまりです。recently renovated なら「最近、新しくなった」という意味の枠を持っておいて、その枠に入る言い方が聞こえたときに反応できるようにします。refurbished も、done a lot of work も、a new facility now も、どれも同じ枠に入ります。

この枠は、解いた問題から自分で集めていくことになります。集めていくと同じものが何度も出てくるので、そのぶん反応が速くなります。集め方は6節の手順に入れてあります。

言い換えを自分で作る練習をしておくと、聞いたときに気づく速度も変わります。書く側で一度通した表現は、聞く側でも認識しやすくなります。

IELTS学習アプリ パラフレーズ練習 例文の言い換えを書いて、AIの添削を受けられます

06練習はどう組み立てるか

マッチングを大量に解くより、1セットを次の5つの手順で扱うほうが変化が早く出ます。バンド6.0から7.0を目指す段階では、量よりこの回し方のほうが効きます。

手順すること確かめること
1音声を止めずに1回で解く迷った設問に印を付けたか、空欄を残していないか
2答え合わせをしてスクリプトを開く間違えた設問が、3節のどの原因にあたるか
3正解の根拠になった箇所を探すその1文で答えが決まるか、前後を含めて決まるか
4選択肢と音声の言い換えを対応させる選択肢のどの語が、音声のどの表現に置き換わっていたか
5スクリプトを閉じてもう一度聞く4で対応させた箇所が、音だけで聞き取れるか

手順4で見つけた対応は、そのまま書き出して残していきます。

recently renovated = has just undergone major refurbishment = they have done a lot of work on it

この形で溜めていくと、IELTSでよく使われる言い換えのリストが自分の手元にできます。市販の言い換えリストより効くのは、自分が実際に取り落とした表現だけが並ぶからです。

手順5を飛ばさないことも大切です。文字で確認して納得した表現も、音で聞くと聞き逃すことがあります。スクリプトを閉じてもう一度聞いて、聞き取れる状態にしてから次のセットに進むと、同じ言い換えで2度落とすことがなくなります。

07よくある質問

マッチングはリスニング量を増やせば解けるようになりますか。

量だけで改善するには時間がかかります。マッチングの負荷は、選択肢の処理、音声と選択肢の照合、判断の速さが同時に必要になるところにあるためです。聞く量を増やすことに加えて、選択肢の読み方と言い換えの認識を分けて練習すると、変化が早く出ます。

選択肢を7つも覚えられません。暗記が必要ですか。

暗記は必要ありません。マッチングは記憶力を測る設問ではなく、聞きながら目を落とせば一目で照合できる状態にしておけば足ります。全文ではなく、選択肢どうしが何で分かれているかという軸だけを取っておく形です。

選択肢と同じ単語が聞こえたら、それが答えですか。

そうとは限りません。マッチングの音声には、選択肢に関係のある情報が正解以外にもたくさん出てきます。free が聞こえても、but のあとで有料に変わっていれば free to use は答えになりません。語の一致ではなく、その発言が選択肢のどの意味にあたるかで判断します。

but や although が聞こえたら、直前の情報は反転すると考えていいですか。

表現によって性質が違います。but、however、actually、instead は前の情報が後ろに置き換わり、used to、originally、no longer は前半が過去の話になります。一方で although や unfortunately は情報が足されるだけで、前の情報が消えるとは限りません。Although the building is old, it is very popular. では old は生きたままです。

1問迷っているうちに、次の設問まで落としてしまいます。

原則は「前の設問に戻らない」ことです。次の項目名が聞こえた時点で、前の項目の判断は打ち切ります。仮の記号を書いておくと見直しのときに何を迷ったかが残りますが、書くこと自体が負担になるなら頭の中で仮置きするだけでもかまいません。

間違えた原因が自分では分からないときはどうすればいいですか。

スクリプトを開いたときの自分の反応で分けられます。選択肢の英文をいま読み直して初めて意味が分かるなら選択肢の処理、該当箇所を見てもなぜ正解か分からないなら言い換え、1つ前の設問でも迷っていたなら判断の遅れです。スクリプトを見て初めて何と言っていたか分かる場合だけは、マッチングではなくリスニングそのものの問題になります。

マッチングはどのパートで出ますか。

Part 2とPart 3で出てくることが多い形式です。Part 2では施設やサービスとその特徴の対応、Part 3では人物とその意見の対応がよく登場します。どちらも、複数の項目を、それより数の多い選択肢のリストと結びつける形になります。

言い換えのリストは市販のものを覚えれば足りますか。

自分が実際に取り落とした表現を集めたリストのほうが効きます。解いたあとに、選択肢のどの語が音声のどの表現に置き換わっていたかを書き出して溜めていく形です。そのうえで、文字で納得した表現をもう一度音で聞き直すところまでやると、同じ言い換えで2度落とすことがなくなります。

08まとめ

マッチングが苦手な人に「もっと集中して聞きましょう」と言っても、あまり解決しません。この形式で問われているのは集中力ではなく、選択肢を整理する作業と、聞こえた情報を選択肢の意味に照合する作業だからです。

この記事から持ち帰っていただきたいのは、次の3つです。

  • マッチングは聞き取りだけの設問ではない。読む、整理する、聞く、照合する、が重なった複合的な作業になっている
  • 同じ単語が聞こえても正解とは限らない。語ではなく、最後まで聞いたうえでの意味を見る。とくに修正・対比・否定に注意する
  • 間違い方を分類すれば、次にやることが変わる。選択肢の処理か、音声との照合か、判断の遅れか。そして、音そのものが聞き取れていない場合は、マッチング特有の問題ではない

分類してみると、落とし方が1つか2つに集まっていることが多くあります。そこまで来れば、「リスニングが苦手」という漠然とした状態からは抜けています。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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