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リーディング

IELTSリーディングの選択問題(Multiple Choice):選択肢と本文をどの順に読むか

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

選択肢を4つとも読んでから本文に戻り、また選択肢に戻る。この往復を繰り返しているうちに時間を使いきってしまうのが、リーディングの選択問題です。形式そのものは見慣れているのに、IELTSでは思ったほど正答できない設問タイプでもあります。

この記事では、Multiple Choice(選択問題)で選択肢と本文をどの順に読むかを整理したうえで、本文の語がそのまま入った選択肢に引っ張られる誤読と、本文に書かれてはいるが設問に答えていない選択肢を選ぶ誤読を、具体例とともに扱います。

01IELTSの選択問題はどういう形式か

IELTSリーディングの選択問題は、4つの選択肢から1つを選ぶ形が基本です。設問文は疑問文の形のこともあれば、途中で切れた文を選択肢で完成させる形のこともあります。設問は本文の情報順に並ぶので、前の設問の答えが見つかった位置から後ろを探せます。

1つ選ぶ形の指示文

Choose the correct letter, A, B, C or D.
Write the correct letter in boxes 1-4 on your answer sheet.

複数を選ぶ形の指示文

Choose TWO letters, A-E.
Write the correct letters in boxes 5 and 6 on your answer sheet.

複数を選ぶ形では選択肢が5つ以上並び、そこから2つ、または3つを選びます。この形では2つの解答欄がそれぞれ1問として採点されるので、1つだけ合っていれば1点になります。なお、本文の情報順に並ぶのは設問のほうで、選択肢A〜Eが本文に登場する順番に並んでいるとは限りません。そのため、選択肢を上から順に本文と照合していくと、本文の中を何度も行き来することになります。

IELTSの選択肢の作られ方

選択肢は、本文とまったく無関係な内容だけで作られているわけではありません。本文の一部と一致するものや、本文に出てくる情報を別の形で組み合わせたものが複数含まれることがあり、そのずれ方は範囲・程度・主体・因果のどこかにあります。だからこそ、選択肢を読んだ段階では見覚えのある内容に見えます。

ずれ方の型はいくつかに分かれます。本文の語をそのまま並べたが述べ方が違うもの、本文には書かれているが設問が聞いていることに答えていないもの、本文が述べている内容の一部だけを取り出したもの、そして本文の記述と矛盾するものです。この記事では、このうち最初の2つの型を具体例で扱います。

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02選択肢と本文をどの順に読むか

読む順番は3通りあり、どれを選ぶかで往復の回数が変わります。IELTSの選択肢が上のような作られ方をしている以上、この記事では、選択肢を4つとも先に読むより、設問文だけを先に読み、本文の該当箇所を確認してから選択肢を見る方法をすすめます。

読む順番 起きること 向いている場面
選択肢を4つとも先に読む 本文の内容に近い選択肢が複数あるため、どれも正しく思えたまま本文に入る。本文を読みながら選択肢を思い出そうとして速度が落ちる 選択肢が短い語句だけの場合
本文を全部読んでから設問へ 細部を覚えていられず、結局もう一度本文に戻ることになる 設問数が少なく、本文が短い場合
設問文だけ先に読み、本文の該当箇所を読んでから選択肢へ 本文の該当箇所について自分の答えを持った状態で選択肢を見られる 4択1つを選ぶ通常の形

3つ目の順番が扱いやすくなります。設問文は「何が問われているか」だけを示していて、答えを含んでいません。設問文を読んで探す対象を決め、本文の該当箇所を読み、そこで自分なりの答えを1つ作ってから選択肢に目を移します。この形なら、選択肢は自分の答えと突き合わせる相手になり、判断の基準が本文の側に残ります。

自分の答えを作るとはどういうことか

本文の該当箇所を読んだあと、選択肢を見る前に、設問への答えを短い日本語で言葉にしておきます。「1927年にスポーツの中継を始めたから」のように、一言で構いません。この一言があると、選択肢を見たときに本文との対応を判断しやすくなります。逆に、どの選択肢とも噛み合わないなら、該当箇所を取り違えている合図になります。

選択肢を先に読んでしまうと、この一言を作る余地がなくなります。4つの候補が頭にある状態で本文を読むと、どの選択肢を裏付ける記述なのかを探す読み方になり、最初に目に入った裏付けで決めてしまいがちです。

複数を選ぶ形は扱いを変える

TWO letters を選ぶ形では、選択肢が本文に登場する順番に並んでいるとは限らないので、設問文だけ先に読む方法が使いにくくなります。とはいえ、選択肢を1つずつ細かく読み込んでから本文に入る必要はありません。設問文と選択肢から話題の範囲をつかんだうえで本文の該当する段落を通して読み、本文の側から当てはまる選択肢を判断していくほうが、往復を減らせます。

03本文と同じ語が入った選択肢を選ぶ誤読

3-1 語が一致しているだけで、誰の見方かを確かめずに選ぶ

本文

The museum's collection of Roman glass is often described as the finest in the country, and it draws the majority of visitors. Its curators, however, place a higher value on a much smaller holding of medieval ironwork. Almost nothing comparable has survived elsewhere in Europe, and several of the pieces are the only known examples of their type.

設問文

What do the museum's curators believe about its collections?
A The Roman glass is the finest collection in the country.
B The medieval ironwork should be shown to more visitors.
C The medieval ironwork matters more because so little of it survives.
D The two collections are of equal importance.

A the finest in the country が本文の1文目にそのまま出てくるこれは often described as という一般の評価。設問が聞いているのは学芸員の見方

C place a higher value on ... Almost nothing comparable has survived2文目と3文目を合わせた内容。本文の語はひとつも使われていない

なぜ読み違えるのか

本文の語がそのまま入っている選択肢は、該当箇所を見つけたという手応えと結びつくためです。探していた語が選択肢にも本文にもあると、照合が済んだように感じられます。ところが選択肢の作られ方からすると、本文の語をそのまま使っていること自体は正解の根拠になりません。同じ語が入っていても、主体・因果関係・程度のどこかがずれていることがあります。

読むときのポイント

選択肢の語が本文にそのまま出てくるときは、その記述が誰の見方として書かれているかを確かめましょう。is often described as、it has been suggested that、according to のような表現が付いていれば、それは本文の筆者や設問が問うている人物の見方ではないことがあります。上の例では、however のうしろに学芸員の見方が置かれています。

逆に、本文の語をひとつも使っていない選択肢を、根拠が薄いという理由で早々に外さないようにしておきます。正解はパラフレーズされた形になっていることが多く、しかも本文の複数の文をまとめた内容になっていることがあります。

リーディング False と Not Given の違い:本文と矛盾するか、何も書かれていないか

04本文に書かれてはいるが、設問に答えていない選択肢

選択肢の内容が本文と一致しているのに、正解にならないことがあります。本文の記述としては正しいけれども、設問が聞いていることには答えていないという作りです。内容の正誤だけを見ていると弾けません。

本文

The region's first commercial radio station began broadcasting in 1923 from a converted warehouse. Its output consisted almost entirely of live music, since recordings of adequate quality were not yet available. Listener numbers remained modest until 1927, when the station started to carry reports of local sporting events.

設問文

What caused the station's audience to grow?
A It moved out of a converted warehouse.
B It broadcast live music.
C It began reporting on local sport.
D The quality of recordings improved.

B 本文の2文目に live music とある記述としては正しいが、live music は開局当初からの放送内容。聴取者が増えた時期との因果関係は本文に示されていない

C Listener numbers remained modest until 1927, when the station started to carry reports of local sporting eventsuntil と when が、増えた時点と始まった出来事を結び付けている

この形を弾く手がかりは、設問文のほうにあります。上の例で問われているのは cause であって、放送局が何をしていたかではありません。設問文が原因を聞いているのか、結果を聞いているのか、時期を聞いているのか、誰の見方かを聞いているのかを、選択肢を見る前に確認しておきます。

選択肢を1つずつ処理するときは、内容が本文と合っているかを見たあとに、それが設問への答えになっているかをもう一度見ます。この2段階にすると、本文と一致しているだけの選択肢で止まらずに済みます。

残りの2つのずれ方

選択肢のずれ方には、本文の内容の一部だけを取り出した形と、本文の記述と矛盾する形もあります。上の例のDは、本文が recordings of adequate quality were not yet available と述べているだけで、そのあと品質が改善したとは述べていません。本文から支持されないので選べません。Aは本文にまったく出てこない内容です。この2つは、該当箇所を落ち着いて読めば外せます。

05解く手順を整理する

ステップ すること 確かめること
1 設問文だけ読む 選択肢を隠したまま、設問文を読む 原因・時期・誰の見方など、何が問われているか
2 本文の該当箇所を探す 設問文の中の言い換えにくい語を手がかりに、本文を絞る 前の設問の答えより後ろを見ているか
3 自分の答えを作る 選択肢を見る前に、設問への答えを短い日本語で言葉にする 本文のどの記述を根拠にしているか
4 選択肢と突き合わせる 4つの選択肢を、3で作った答えと比べる 語の一致ではなく、内容で合っているか
5 残った候補を2段階で見る 本文と一致しているかを見たあと、設問に答えているかを見る 本文には書かれているだけの選択肢が残っていないか

ステップ3を飛ばすと、選択肢を1つずつ本文に当てはめる作業になり、4つとも本文と照合することになります。自分の答えがあれば、突き合わせは一度で済むことが多くなります。

どの選択肢とも噛み合わないときは、粘って選ばずに該当箇所を探し直しましょう。設問が本文の情報順に並ぶことを使えば、前後の設問の答えの位置から探す範囲を絞れます。時間の使い方については、こちらの記事で扱っています。

リーディング IELTSリーディング60分の時間配分と読み方の切り替え:3種類の読み方の使い分けと撤退の目安

06よくある質問

選択肢は先に読んだほうがいいですか。

4択から1つを選ぶ通常の形では、設問文だけを先に読み、本文の該当箇所を読んでから選択肢に移るほうが扱いやすくなります。IELTSの選択肢には本文の一部と一致するものが複数含まれるため、先に4つとも読むと、どれも正しく思えたまま本文に入ることになります。

本文と同じ単語が入っている選択肢は正解ですか。

語が一致していること自体は根拠になりません。同じ語を含んだまま、誰の見方かや述べ方をずらしてある選択肢があります。かといって、本文の語が入っている選択肢が必ず誤答というわけでもありません。その記述が誰の見方として書かれているかを、本文で確かめます。

選択肢の内容が本文と一致しているのに不正解になるのはなぜですか。

本文の記述としては正しくても、設問が聞いていることに答えていない選択肢があるためです。原因を聞かれているのに、その放送局が何をしていたかを述べた選択肢を選んでしまうことがあります。本文と一致しているかを見たあとに、設問への答えになっているかをもう一度見ます。

選択問題は本文の順に並んでいますか。

4択から1つを選ぶ形では、設問は本文の情報順に並びます。前の設問の答えが見つかった位置から後ろを探せます。ただし、本文順に並ぶのは設問のほうで、TWO letters を選ぶ形の選択肢A〜Eは本文に登場する順番に並んでいるとは限りません。

TWO letters を選ぶ形はどう解けばいいですか。

選択肢が本文に登場する順番に並んでいるとは限らないため、設問文だけ先に読む方法が使いにくくなります。ただし、選択肢を1つずつ読み込んでから本文に入る必要はありません。設問文と選択肢で話題の範囲をつかみ、本文の該当する段落を通して読んで、本文の側から当てはまる選択肢を判断していきましょう。

2つの選択肢で迷ったときはどうすればいいですか。

それぞれについて、本文のどの記述を根拠にしているかを指してみます。根拠を本文から示せないほうは、誤答の可能性が高くなります。両方とも根拠を示せる場合は、設問が聞いていることに答えているのはどちらかで決めます。

どの選択肢も当てはまらないように思えます。

該当箇所を取り違えている可能性があります。粘って選ばず、前後の設問の答えの位置から探す範囲を絞って探し直しましょう。設問が本文の情報順に並ぶことが手がかりになります。

複数を選ぶ形で1つしか合っていない場合、得点はどうなりますか。

2つの解答欄がそれぞれ1問として採点されるので、1つ合っていれば1点になります。2つそろって初めて得点になるわけではありません。

07まとめ

IELTSの選択問題では、本文の一部と一致する選択肢が複数含まれることがあります。本文に見覚えのある内容だからといって、それだけで正解とは限りません。誤答は、範囲・程度・主体・因果のどこかがずれています。

読む順番は、設問文だけを先に読み、本文の該当箇所を読んで自分の答えを作り、それから選択肢に移ります。この順番なら、判断の基準が本文の側に残ります。選択肢を先に読むと、どの選択肢を裏付ける記述かを探す読み方になり、最初に見つけた裏付けで決めてしまいがちです。

  • 設問文だけを先に読み、原因・時期・誰の見方のどれが問われているかを確かめる
  • 本文の該当箇所を読んだら、選択肢を見る前に答えを短い日本語で言葉にする
  • 本文の語がそのまま入っていること自体は正解の根拠にならない。誰の見方かを本文で確かめる
  • 本文と一致しているかを見たあと、設問に答えているかをもう一度見る
  • どの選択肢とも噛み合わないときは、該当箇所を探し直す

本文の表現を言い換えた選択肢を、言い換えのまま受け取れるかどうかで、正解を選べるかが決まります。同じ内容を別の語で述べる形に慣れておくと、正解が浮かび上がってくるようになります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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