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テーマ別語彙シリーズ:IELTSリーディングに繰り返し出るテーマと語彙の積み上げ方【総論】

執筆:高橋 響 公開日:

リーディングで読みにくいテーマは人によって違います。技術の文章は最後まで読めるのに、心理の文章になると急に速度が落ちる、ということが起こります。原因の多くは、そのテーマで使われる語と表現に慣れていないことにあります。

このシリーズでは、Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading 96パッセージをテーマごとに分け、テーマ別の語彙リストとマッチングクイズにまとめていきます。この記事は総論で、テーマの分かれ方と、自分の苦手なテーマの見つけ方を扱います。

各回に共通する使い方はここにまとめてあります。個別の語彙リストは各回の記事にあります。

01苦手なテーマは、人によって違います

リーディングで点が伸びないとき、原因は読み方だけにあるとは限りません。同じ受験者でも、技術を扱った文章は最後まで読めるのに、心理を扱った文章になると急に速度が落ちる、ということが起こります。3つのパッセージのうち1つだけ正答数が落ちるなら、そのテーマの語と表現に慣れていない可能性があります。

設問の解き方はテーマが変わっても同じです。見出し照合は段落の要旨をつかむ作業ですし、True・False・Not Given は本文と設問を突き合わせる作業です。それでもテーマによって速度が変わるのは、照合する前の段階、つまり本文を読んで内容を把握するところで止まっているからです。

止まる回数を減らす方法は2つあります。知らない語に出会ったときの対処を決めておくことと、その分野で使われる語をあらかじめ知っておくことです。このシリーズは後者を扱います。

リーディング IELTSリーディング設問タイプ完全攻略:10種類の特徴とつまずきやすいポイント、対策の方向性

02Academic Reading に出るテーマを数えてみると

Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading には、96のパッセージが収録されています。1パッセージにつき1つのテーマを割り当てて数えたところ、2026年8月26日時点で、当校で設定した次の10テーマに分類できました。語数は、当校の語彙データからそのテーマのパッセージに出た語を集め、重複を除いた実数です。

テーマパッセージ数語数扱われている題材記事
心と認知のはたらき15248退屈・遊び・知能・成長マインドセット、緊張と先延ばし、誤情報の受け取られ方第2回として公開済み
歴史と考古学14234古代の建造物や船、発掘と年代測定、産業革命、交易と海賊第3回として公開済み
技術・工学・人工知能12197自動運転、人工知能への受け止め方、宇宙ごみ、新素材、用具や機械の改良第4回として公開済み
動物の生態と保全12191哺乳類や昆虫の体と行動、絶滅の過程、保護区や飼育下繁殖、体内の微生物第1回として公開済み
地球環境と資源10160海洋のプラスチック、湿地、深海採掘、土壌、森林管理、気候変動への適応第5回として公開済み
都市と建築9141高層建築、地下鉄、競技場、自転車共有、屋上緑化、都市での農業第6回として公開済み
言語と教育7115口笛言語、音声翻訳、読書習慣の変化、習熟度混合クラス、才能と教育第7回として公開済み
ビジネスと経済6118働き方の変化、組織の動機づけ、流行の扱い方、企業と環境対応第8回として公開済み
植物と農業6105香辛料、樹木の病害、作物の品種改良、開花時期を決める仕組み準備中
芸術と文化584彫刻家や画家、初期の写真、おとぎ話の読まれ方、探検という営み準備中

96のパッセージすべてがこの10テーマのどれかに入ります。上位4テーマ(心と認知、歴史と考古学、技術、動物)だけで53パッセージを占めます。

表の語数は、テーマごとに重複を除いた数です。physiological responses のように2語以上のまとまりも1件として数えていて、stimulus と stimuli のように同じ語源でも語形が違うものは別に数えています。合計すると1,593語になりますが、10テーマを横断して重複を除くと1,482語でした。差の111は、2つ以上のテーマに出てくる語(96語)を重ねて数えたぶんです。indigenous、attributed to、biodiversity のように、テーマをまたいで出てくる語がこれにあたります。

この分類は当校が読み分けたもので、公式に定められた区分ではありません。1つのパッセージが2つのテーマにまたがることもあります。屋上緑化を扱った文章は都市の話でもあり環境の話でもありますが、ここでは建物の側に寄せてあります。数え方が変われば数字も変わるので、テーマごとの多い少ないを見る目安として扱ってください。

03出題済みの語と、一緒に出てきやすい語を分けて並べています

各回の語彙リストは、2種類の表に分かれています。前半が、そのテーマのパッセージの本文に実際に出た語です。当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データから拾ったもので、語そのものは Cambridge IELTS の本文にあるもの、日本語訳は当校で付けたものです。後半が、13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語です。

後半の表は、次の試験に出る語を当てたものではありません。テーマとしてのまとまりで選んであります。動物の保全を扱う文章なら、減っていく過程を表す語と守る側の活動を表す語が対になって出てきます。この対のうち片方だけが公式問題集に出ていることは珍しくないので、抜けているほうを補ってあります。

2つを分けてあるのは、覚える優先順位が違うからです。出題済みの語は、公式問題集を解いた時点で一度は目にしています。もう一度確認して、意味が出てこなかったものだけを拾えば足ります。後半の表は初めて見る語が多いはずなので、まとめて覚えようとせず、上から眺めて知らないものに印を付けるところまでで構いません。

後半の表が役に立つのは、公式問題集以外の英文を読むときです。IELTSのリーディングでは、科学・歴史・社会などを扱った一般向けの英文が使われます。同じテーマの英文を読むと、両方の表の語が混ざって出てきます。そこで両方に見覚えがあると、立ち止まる回数が減ります。

リーディング IELTSリーディングの文章はどこから出題されているのか:苦手ジャンルはYouTubeで克服する

04自分がどのテーマで止まっているかを見つける

どのテーマから読めばよいかは、解き終えた模擬試験の記録から絞れます。1回ぶんの正答数ではテーマの差が見えないので、複数回ぶんをパッセージ単位で並べます。

手順は3つです。まず、解いた模擬試験のパッセージを、上の表のどのテーマにあたるかで仕分けます。次に、パッセージごとの正答数と、そのパッセージに使った時間を並べます。最後に、正答数が低いか時間が長いテーマを2つまで選びます。

正答数と時間は別のことを示します。正答数が低いのに時間は平均どおりなら、読めてはいるが照合でずれている可能性があります。時間が長いほうに偏っているなら、本文を読む段階で止まっている可能性があります。ただし、迷って本文に戻る回数が多い場合や、設問の形式に慣れていない場合でも時間は伸びます。語彙を増やすことが結果につながりやすいのは、本文を読む段階で止まっている場合です。

3つのパッセージのどれも同じように時間がかかっているなら、テーマの問題ではなく時間配分の問題かもしれません。その場合は先に読み方の切り替えを見直すほうが早く進みます。

リーディング IELTSリーディング60分の時間配分と読み方の切り替え:3種類の読み方の使い分けと撤退の目安

05巻別の語彙リストとの使い分け

当サイトには、同じ語彙データを巻ごとにまとめた記事もあります。13巻から20巻までの8冊ぶんが揃っていて、1冊を解き終えたあとに開く使い方を想定しています。

2つの違いは切り口だけです。巻別は1冊ぶんをまとめ、テーマ別は8冊ぶんをテーマごとに横断して整理してあります。答え合わせの流れでそのまま開くなら巻別、苦手なテーマを埋めたいならテーマ別です。同じ語が両方に出てきますが、並んでいる相手が変わるので、覚え直しのきっかけとしては別のものになります。

公式問題集をこれから解く段階なら、巻別を先に使うほうが結びつきます。テーマ別が生きるのは、何冊か解いたあとに、特定のテーマだけ正答数が伸びないと分かってからです。

リーディング Cambridge IELTS の語彙リストの使い方:解いたあとに開き、覚える語を絞る

06マッチングクイズの使い方

各回の語彙リストには、場面ごとにマッチングクイズを付けてあります。表を読んだ直後に、そのセクションの5語だけを確認する使い方を想定しています。

選択肢には、同じセクションに載っている別の語の意味がダミーとして混ざります。表を眺めただけで分かったつもりになっていた語は、似た意味の選択肢が並んだところで手が止まります。シャッフルを押すと並び順が変わるので、位置で覚えてしまったときはもう一度やり直せます。

全問そろっても、その場で正解できたというだけです。日を空けてもう一度開いて、同じところで止まるかどうかを見ると、覚え直しが要る語が絞れます。

07シリーズの記事一覧

各回は1テーマで完結します。上の表の多い順に公開していきます。解いた模擬試験で正答数が落ちたテーマがあれば、その回から開いてください。

テーマ出題済みの語この回で扱っていること
第1回動物の生態と保全191語体のつくり、食べ方、一生と繁殖、減っていく過程、守る側の活動、生息地、微生物と共生、分類と研究
第2回心と認知のはたらき248語気分と感情、緊張が体に出る反応、脳と神経、研究と証拠、動機づけ、子どもの遊び、ことばの獲得、判断の偏り、集団でのふるまい、誤情報
第3回歴史と考古学234語発掘と年代測定、巨大建造物、地下の工事、船と航海、交易、海賊と逃亡、産業革命、文字資料、信仰と儀式、人の移動
第4回技術・工学・人工知能197語人工知能の捉え方、技術への受け止め方、自動運転、水処理、宇宙ごみ、素材と製造、冷凍保存、機械に任せるか
第5回地球環境と資源160語土と農地、海のプラスチック、企業の責任、森の手入れ、地球のしくみ、資源採掘、サンゴ礁、気候変動への適応
第6回都市と建築141語都市設計、高層建築、地下鉄、屋上緑化、都市農業、共有のしくみ、使われ方の変化
第7回言語と教育115語脳とことば、読み方の変化、言語の存続、教室の編成、才能か努力か、教育と経済
第8回ビジネスと経済118語売り込み方、流行の扱い方、幸福を測る動き、人材の定着、組織の秩序、働き方の先行き
リーディング テーマ別語彙シリーズ:動物の生態と保全に出た191語と、一緒に出てきやすい語【第1回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:心と認知のはたらきに出た248語と、一緒に出てきやすい語【第2回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:歴史と考古学に出た234語と、一緒に出てきやすい語【第3回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:技術・工学・人工知能に出た197語と、一緒に出てきやすい語【第4回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:地球環境と資源に出た160語と、一緒に出てきやすい語【第5回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:都市と建築に出た141語と、一緒に出てきやすい語【第6回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:言語と教育に出た115語と、一緒に出てきやすい語【第7回】 リーディング テーマ別語彙シリーズ:ビジネスと経済に出た118語と、一緒に出てきやすい語【第8回】

08よくある質問

テーマ別と巻別のどちらから使えばよいですか

公式問題集をこれから解く段階なら巻別です。解いた直後に開くと、間違えた設問と知らなかった語が結びつきます。テーマ別が生きるのは、何冊か解いたあとに、特定のテーマだけ正答数が伸びないと分かってからです。

テーマの分け方は公式に決まっているものですか

公式の区分ではありません。Cambridge IELTS 13巻から20巻までの96パッセージを当校が読み分けたものです。1つのパッセージが2つのテーマにまたがることもあるので、テーマごとの多い少ないを見る目安として扱ってください。

「一緒に出てきやすい語」は次の試験に出るということですか

そういう意味ではありません。13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。次に出る語を当てたものではありません。

自分の苦手なテーマはどうすれば分かりますか

解いた模擬試験を、パッセージ単位で仕分けます。パッセージごとの正答数と使った時間を並べて、正答数が低いか時間が長いテーマを2つまで選びます。3つとも同じように時間がかかっているなら、テーマではなく時間配分の問題かもしれません。

語彙を増やせば、そのテーマの正答数は上がりますか

上がるとは限りません。語は知っているのに設問と本文を結びつけられていない状態であれば、覚える語を増やしても変わりません。語彙リストを眺めて意味が出てこなかった語がほとんどなければ、言い換えを見抜く練習に切り替えるほうが早く進みます。

全10テーマを全部読む必要がありますか

必要ありません。苦手なテーマから2つ選んで開けば足ります。多いテーマから順に公開していくので、上位のものだけを見ておくという使い方もできます。

記事に載っている語は、どこから集めたものですか

当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データです。語そのものは Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading の本文にあるもので、日本語訳は当校で付けました。本文・設問・段落番号は記事に載せていません。語と意味だけを扱っています。

09まとめ

リーディングでどのテーマが読みにくいかは人によって違います。まず自分がどこで止まっているかを絞り、そのテーマの語をまとめて眺めるところから始めます。

  • 3つのパッセージのうち1つだけ正答数が落ちるなら、テーマの語に慣れていない可能性がある
  • 模擬試験をパッセージ単位で仕分け、正答数が低いか時間が長いテーマを2つまで選ぶ
  • 正答数だけが低いなら照合の問題、時間だけが長いなら読む段階の問題
  • 出題済みの語は、意味が出てこなかったものだけを拾えば足りる
  • 一緒に出てきやすい語は、公式問題集の外で読むときの下準備として眺める
  • 解いた直後に開くなら巻別、苦手なテーマを埋めたいならテーマ別
  • クイズは日を空けて開き直し、同じところで止まる語を絞る
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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