好きな映画について話してください、と言われたとき、多くの受験者はあらすじを語り始めます。ところが出題されてきたキューカードの最後の1行が聞いているのは、なぜ勧めたいのか、どこが気に入っているのか、何の役に立っているのかであって、話の筋ではありません。
この記事では、映画、番組、本、音楽、アプリやサイトを扱うトピックと、そこから続くPart 3の質問を、4つのグループに分けて並べます。あらすじの紹介で終わらせないための組み立て方と、試験官が知らない作品をどう説明するかも取り上げます。
目次
メディアのトピックでは何が問われているのか
あらすじの紹介で終わらせない
出題されたトピック
Part 3ではメディアからどこへ話が広がるのか
題材を決めておけば多くのトピックに応用がきく
よくある質問
まとめ
01 メディアのトピックでは何が問われているのか
本や映像を扱うキューカードは、答えの材料が最初からそろっているように見えます。作品の中身を知っているのだから話すことはある、と感じるからです。ところがこの安心感が、そのまま落とし穴になります。知っている内容を順に話すと、持ち時間のほとんどがあらすじの説明で終わります。
出題されてきた文面を見ると、箇条書きでは作品の中身を聞いていますが、最後の1行はそこから離れます。人に勧めたい理由、考え込んだ理由、笑った理由、役に立っている理由。作品を扱うカードはどれも、その作品と自分のあいだに起きたことを答えさせています。中身の説明はその手前にある材料です。
出題されてきたトピックは、扱うメディアの種類で4つに分かれます。映像作品、読みもの、音楽、ネットとアプリです。
グループ 選ぶもの 答えの重心
映像作品 映画、テレビ番組 勧めたい理由、考えたこと、笑った理由
読みもの 本、子どもの頃の物語、雑誌、記事 読んで何を思ったか、どこが良かったか
音楽 思い入れのある曲、好きな歌い手 いつ聴くか、どんな気持ちになるか
ネットとアプリ アプリ、サイト、検索した経験、ネットで知ったこと 何に使っているか、どう役立ったか
4つ目のグループだけは性質が違います。アプリやサイトのカードは作品を語るものではなく、使い方の説明が中心になります。何に使っているか、どの場面で役立ったかを説明することになるので、道具を扱うカードと同じ組み立て方が使えます。
02 あらすじの紹介で終わらせない
作品を扱うカードでは、内容の説明を30秒から40秒に収めておくと、残りを自分の話にあてられます。全部を説明しようとすると、登場人物の紹介だけで1分が過ぎます。
内容の説明は、次の3つで十分です。どんな種類の作品か、誰が中心にいるか、何をめぐる話か。結末は言わなくてかまいません。むしろ結末を伏せておくと、なぜ勧めたいのかという話へ移りやすくなります。
話す部分 時間の目安 入れる中身
作品の紹介 20秒 題名、種類、いつ見たか、どこで知ったか
内容の説明 40秒 誰が中心で、何をめぐる話か。結末は伏せる
印象に残った場面 30秒 1つだけ選んで、そこで何を感じたか
いまの受け止め 30秒 なぜ勧めたいか、なぜ考えさせられたか
試験官が知らない作品として説明する
自国の作品を選んだときは、日本語の題名をそのまま言っても内容は伝わりません。題名のあとに、どんな種類の作品かを一言添えておくと、そのあとの説明が通ります。It's a Japanese drama about a family that runs a small restaurant. のように、種類と主題を1文にまとめておくと、どの作品にも当てはめられます。
英語の題名がないときは、直訳を添えるか、日本語の題名をそのまま言って意味を説明する形で問題ありません。題名で詰まって止まるより、内容の説明へ早く進むほうが得です。
印象に残った場面を1つ決めておく
3つ目の30秒が、話を自分のものにする部分です。作品全体の感想は抽象的になりがちですが、特定の場面を1つ挙げると、そこで何を感じたかを具体的に話せます。子どもの頃に聞いた物語のカードなら、話の内容よりも、聞かせてくれた人や聞いていた場所の記憶のほうが材料になります。
評価の語をいくつか持っておく
interesting だけで作品を語ると、同じ語が何度も出てきます。考えさせられたなら thought-provoking 、先が気になったなら gripping 、心が温まったなら heart-warming のように、印象の方向ごとに1語ずつ用意しておくと、同じ語の繰り返しを避けられます。
03 出題されたトピック
ここから、報告されているキューカードを4つのグループに分けて並べます。同じトピックでも、実際の試験では言い回しや箇条書きの項目が違うことがあります。
映像作品(Films and TV Programmes)
勧めたい作品、考えさせられた作品、笑った作品と、同じ映画やドラマを違う条件で聞き分けています。条件の語が答えの方向を決めます。
キューカード
Describe a film you would like to recommend to your friends.
You should say:
what the film is how you first heard about it where you watched it
and explain why you would recommend it to them.
キューカード
Describe a film that made you think a lot.
You should say:
what it was when you saw it what it was about
and explain why it gave you so much to think about.
キューカード
Describe a television programme you like to watch.
You should say:
what it is about when you usually watch it who you watch it with
and explain why you enjoy watching it.
キューカード
Describe a film or a television programme that made you laugh.
You should say:
what it was what it was about who you watched it with
and explain why it made you laugh.
読みもの(Books, Stories and Articles)
本、子どもの頃に聞いた話、雑誌、ネットの記事が並びます。読んだ内容そのものより、読んで何を思ったかに答えの重心があります。
キューカード
Describe a book you have read recently.
You should say:
what the book was why you decided to read it what it was about
and explain what you liked or disliked about it.
キューカード
Describe a story you were told when you were a child.
You should say:
who told you the story what the story was about who the characters were
and explain how you felt about this story.
キューカード
Describe a magazine you enjoy reading.
You should say:
which magazine it is how often you read it what kinds of articles it contains
and explain why you enjoy reading it.
キューカード
Describe an article you read that could help people stay healthy.
You should say:
where you read it when you read it what it was about
and explain why you think it could help people.
音楽(Songs and Musicians)
曲そのものと、歌い手や楽団のどちらを語らせるかで分かれます。音楽用語よりも、いつ聴くか、どんな気持ちになるかを話すことになります。
キューカード
Describe a song that has a special meaning for you.
You should say:
what the song is about when and where you first heard it how often you listen to it
and explain why it has a special meaning for you.
キューカード
Describe a singer or a band that you like.
You should say:
who they are what kind of music they make when you usually listen to them
and explain why you like their music.
ネットとアプリ(The Internet and Apps)
アプリ、サイト、検索、ネットで知ったことが並びます。どれも画面の向こうの話なので、使った場面を具体的に思い出しておく必要があります。
キューカード
Describe a useful app that you have used on your phone or computer.
You should say:
what the app is how long you have been using it what you use it for
and explain why you find it useful.
キューカード
Describe a website that you find useful.
You should say:
what the website is about when you started using it how easy it is to use
and explain why it is useful to you.
キューカード
Describe a time when you looked for information on the internet.
You should say:
when it was what you were looking for how long it took you
and explain why you needed that information.
キューカード
Describe something interesting that you learned from the internet.
You should say:
what it was where on the internet you found it how you came across it
and explain why you found it interesting.
04 Part 3ではメディアからどこへ話が広がるのか
Part 3では、作品の話はほとんど続きません。映画のカードなら映画館の行方や俳優の報酬へ、本のカードなら子どもの読書習慣や紙と画面の比較へ、ネットのカードなら情報の信頼性へと移ります。個人の好みから、そのメディアが社会でどう扱われているかという話に変わります。
下に並べたのは、上のトピックに続けて聞かれてきた質問です。カードごとではなく、話が向かう先ごとにまとめてあります。
映画とテレビ(Films and Television)
What kinds of films are popular in your country?
Do young people and older people enjoy the same kinds of films?
Has the way people watch films changed over the last twenty years?
Do you think cinemas will still exist in the future?
What makes a television programme popular?
Should television programmes have some educational value?
What kinds of programmes do children watch in your country?
Do you think reality shows really show what life is like?
How do foreign films and programmes affect local culture?
Why are documentaries popular with some viewers and not with others?
Do you think film actors are paid too much?
Should governments provide funding for film and the arts?
読書と本(Reading and Books)
Do people in your country read much?
What kinds of books do adults usually read?
What benefits do young people get from reading?
Why are fewer young people interested in reading books?
How can busy people find the time to read more?
What are the advantages and disadvantages of reading on a screen?
Do you think printed books will disappear in the future?
Why do parents read stories to their children?
What do children learn from listening to stories?
Should parents choose the books their children read?
Is it better to read a novel before watching the film based on it?
Who has more influence on children's reading, parents or teachers?
音楽(Music)
What kinds of music are popular in your country now?
Do people of different ages like different kinds of music?
Has your taste in music changed as you have grown older?
Is there any traditional music that is well known in your country?
On what occasions do people listen to traditional music?
Why do some songs stay popular for decades?
Do you think children should learn a musical instrument at school?
How important are music lessons compared with other school subjects?
Why do people listen to music while they are working or studying?
How has the way people listen to music changed in recent years?
Do you think live concerts will remain popular?
How do you think music will change in the future?
インターネットと情報(The Internet and Information)
How do people usually look for information these days?
What are the advantages of searching for information online?
How can people tell whether information online is reliable?
What problems can incorrect information cause?
How should people deal with rumours they see online?
Do libraries still have a role now that so much is available online?
What kinds of information are easier to find in a library than online?
What do people use the internet for in their free time?
Should parents limit how long their children spend online?
What are the most popular kinds of apps in your country?
Do young people and older people use different apps?
Do you think mobile phones have changed the way people communicate?
この分野のPart 3でいちばん多いのは、新旧を比べさせる型です。紙の本と電子書籍、映画館と自宅、図書館とインターネット。どちらが良いかを聞かれたときに、片方を選んで理由を1つ挙げ、それでも残るもう片方の役割に触れると、話が一方に寄りません。紙の本が無くなるかという質問なら、減っていく理由を述べたうえで、贈りものや子ども向けの本としては残るだろう、という形で受けられます。
もう1つ目立つのが、子どもと保護者を主語にする型です。読書をどう勧めるか、ネットの時間をどこまで制限するか、といった質問が繰り返し出ています。ここでは自分の経験を持ち出して問題ありません。親がしてくれたことを1つ挙げてから一般論へ広げると、根拠のある答えになります。
情報の信頼性を問う質問では、正しいか正しくないかの二択にせず、確かめる手立てまで話すと答えが伸びます。発信元を見る、複数の情報を照らし合わせる、日付を確認する、といった具体的な手順を1つ2つ言えれば十分です。
スピーキング
トピック別表現シリーズ:メディアと広告について話す表現を3段階で学ぼう【第4回】
05 題材を決めておけば多くのトピックに応用がきく
映像と読みもののカードは、同じ題材を別の条件で聞いていることが多く、準備は14通りにはなりません。考えさせられた映画を1本用意しておけば、勧めたい映画のカードにもそのまま使えます。まずはグループごとに代表となる題材を2つずつ決め、それだけでは届かないカードを別に埋めていきます。
グループ 決めておく題材 その題材で答えられるトピック
映像作品 印象に残っている映画を1本、よく見ている番組を1つ 勧めたい映画、考えさせられた映画、好きな番組
読みもの 最近読んだ本を1冊、ふだん読む雑誌を1誌 最近読んだ本、雑誌
音楽 思い入れのある曲を1曲、好きな歌い手を1組 特別な意味を持つ曲、好きな歌い手
ネットとアプリ 毎日開いているアプリを1つ、よく使うサイトを1つ 役に立つアプリ、便利なサイト
この表から外れるのは、笑った作品、子どもの頃に聞いた物語、健康について読んだ記事、調べものをした経験、ネットで知ったことの5つです。どれも上の題材とは向きが違うので、別に1つずつ思い出しておきます。
1つにつき、どこまで用意しておくか
題材1つにつき、次の材料をそろえておけば、多くのトピックを組み立てられます。カードに固有の箇条書き(いつ見たか、誰と見たか、どのくらいの頻度で使うか)は、カードを見てから足します。
種類と主題を1文で:題名のあとにすぐ言えるようにしておく
知ったきっかけ:誰に勧められたか、どこで見かけたか
作品なら、中心にいる人物とその人が抱えている問題。曲やアプリなら、使う時間帯と用途
印象に残った場面を1つ:そこで何を感じたか
いまの受け止め:誰に勧めたいか、何を考えたか、どう役立っているか
同じ作品を別のトピックに出すときの直し方
変えるのは、印象に残った場面として何を選ぶかです。勧めたい作品のカードでは人に話したくなった場面を選び、考えさせられた作品のカードでは答えの出なかった場面を選びます。作品は同じでも、取り出す場面を変えればカードの条件に沿います。
笑った作品のカードだけは、別に1本用意しておくほうが安全です。重い主題の作品を無理に当てはめると、最後の1行と食い違います。
暗記した回答をそのまま話すと、カードが求めている条件に触れないまま2分が過ぎます。最初の1文でカードの条件の語を自分の口から言ってしまうと、そのあとが条件に沿った話になります。
IELTS学習アプリ
トピック検索
気になるトピックを入れると、AIがサンプル例文とフレーズを出します。上のトピックから1つ選んで、材料を集めるときに使えます。
06 よくある質問
有名な作品を選んだほうが話しやすいでしょうか。
試験官が知っているかどうかは関係ありません。知らない作品でも、種類と主題を一言添えれば説明は通ります。むしろ自分が細かく覚えている作品のほうが、印象に残った場面を具体的に話せます。
あらすじだけで2分が終わってしまいます。
内容の説明を40秒までと決めておくと収まります。結末まで話す必要はなく、誰が中心で何をめぐる話かが伝われば十分です。残りの時間は、印象に残った場面といまの受け止めにあてるといいでしょう。
日本語の題名しかない作品はどう言えばよいですか。
日本語の題名をそのまま言って、意味を英語で短く説明すれば伝わります。直訳を添えてもかまいません。題名で詰まって止まるより、内容の説明へ早く進むほうが話が続きます。
本をあまり読まないので、読書のカードで話すことがありません。
学校で読んだ本や、子どもの頃に読んでもらった絵本でもカードの条件には沿います。本を指定しているカードには本を挙げる必要がありますが、雑誌やネットの記事を指定するカードは別にあるので、そちらでふだん読んでいるものを使えます。
アプリのカードは、どこまで技術的な説明が要りますか。
仕組みの説明は求められていません。何に使っているか、それによって何が楽になったかを話せば答えになります。使った場面を1つ具体的に思い出しておくと、そこだけで30秒ほど話せます。
Part 3で紙の本と電子書籍を比べる質問が来ると、どちらとも言えず困ります。
片方を選んで理由を1つ挙げたうえで、もう片方に残る役割にも触れる形にすると収まります。どちらとも言えないまま両論を並べるより、立場を決めてから補足するほうが話の筋が通ります。
好きな音楽の種類が英語で説明できません。
分類の名前が出てこないときは、聞いたときの感じで言い換えられます。It's quite slow and calm のように、速さや雰囲気で説明すれば伝わります。歌詞の内容に触れるのも1つの手です。
この記事のトピックを全部準備する必要がありますか。
必要ありません。映像と読みものは同じ題材を条件違いで聞いていることが多いので、4つのグループに2つずつ決めておけば多くのトピックに応用がききます。これとは別に、笑った作品、子どもの頃に聞いた物語、健康について読んだ記事、調べものをした経験、ネットで知ったことを1つずつ思い出しておくと、残りのカードにも届きます。
07 まとめ
本や映像のトピックは、話す材料があるぶん安心できますが、その安心のせいで持ち時間の大半をあらすじに使ってしまいます。カードが最後に聞いているのは作品の中身ではなく、その作品が自分に何を残したかです。内容の説明を短く切り上げられるかどうかで、答えの中身が変わります。
メディアのカードは、映像作品、読みもの、音楽、ネットとアプリの4つに分かれる
内容の説明は40秒まで。結末は伏せてよい
題名のあとに、種類と主題を1文で添えると説明が通る
印象に残った場面を1つ選び、そこで何を感じたかを話す
評価の語を印象の方向ごとに用意しておくと、同じ語の繰り返しを避けられる
Part 3は映画とテレビ、読書、音楽、ネットと情報の4方向へ広がる
新旧を比べる質問では片方を選び、もう片方に残る役割にも触れる
次回は目標や習慣を語るキューカードを同じ形で整理します。この記事のキューカードとPart 3の質問は、報告が増えるたびに追加していきます。