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ライティング・タスク2

misinformation と disinformation の違い:だます意図があるかどうか

執筆:高橋 響 公開日:

同じ「誤った情報」でも、英語では misinformation と disinformation を選び分けます。分かれ目は情報の中身ではなく、それを広めた側にだます意図があったかどうかです。SNSや報道を扱う答案でこの2語を混ぜて使うと、誰の責任を問うている文なのかがぼやけます。

この記事では、意図という軸で2語を分けたうえで、どちらとも決めきれないときの書き方、数えられない名詞としての形、misinform や misleading といった派生語、fake news や propaganda との距離まで整理します。

01結論:だます意図があったかどうかで分かれる

2語を分けているのは、情報が誤っている度合いではなく、それを広めた側の意図です。誤りだと気づかないまま広まったものが misinformation、誤りだと知りながら人をあざむく目的で流されたものが disinformation です。内容がまったく同じ文章でも、どちらの語を選ぶかで文の意味は変わります。

2語の基本

misinformation:誤った情報。広めた側は正しいと信じていることが多く、悪意を前提にしない

disinformation:虚偽情報。誤りだと知りながら、政治的・経済的な目的のために意図して流す

観点misinformationdisinformation
広めた側の意図問わない。誤解や確認不足が多いあざむく意図がある
よくある主語users、people、social mediagovernments、foreign actors、companies
共起しやすい語unknowingly、mistakenly、in good faithdeliberately、intentionally、campaign
日本語にすると誤情報、誤った情報偽情報、虚偽情報
責任の所在広めた個人を責める文になりにくい流した主体の責任を問う文になる

同じ内容でも、見る位置によって語が変わる

この2語は情報そのものに貼られたラベルではありません。ある選挙のうわさを、ある組織が票を集めるために作って流したのなら、その組織の行為は disinformation です。ところが、それを本当だと信じた人が家族に転送したとき、その人が広めているのは misinformation になります。中身は1文字も変わっていませんが、書き手が誰の行為を描写しているかで語が入れ替わります。

The campaign was designed to spread disinformation about the election.

その活動は選挙について偽情報を広めるために仕組まれたものでした(流した側の意図を述べている)

Many users shared the same story as misinformation, believing it to be true.

多くの利用者が本当だと思い込み、同じ話を誤情報として共有しました(信じて広めた側を述べている)

misinformation のほうが守備範囲が広い

辞書や研究の記述では、misinformation を「誤った情報」全般を指す広い語として扱い、そのうち意図的なものを disinformation と呼び分けることがあります。つまり2語はきれいに半分ずつに割れているのではなく、広いほうと狭いほうという関係です。意図があるとはっきり書ける場面でだけ disinformation を選ぶ、と決めておくと語の選択で外しにくくなります。

02判断の手がかり:文中のどの語を見るか

どちらを使うか決めるときは、同じ文の中に意図を示す語があるかどうかを見ます。英語の文章では、意図の有無はたいてい副詞か目的を表す表現で示されています。そこを拾えば、語の選択はほぼ機械的に決まります。

文中に出てくる表現示していること選ぶ語
deliberately、intentionally、knowingly、on purpose誤りと知りながら流したdisinformation
in order to mislead、to deceive、to manipulateあざむく目的があるdisinformation
unknowingly、unintentionally、mistakenly、by mistake誤りに気づいていないmisinformation
in good faith、without checking、misunderstood善意または確認不足misinformation
意図に触れる表現が無い判断材料が無いmisinformation または false information

最後の行が実際の答案ではいちばん多くなります。意図があったかどうかを本文で示していないのに disinformation と書くと、書いていない前提を読み手に押しつける形になります。触れていないなら misinformation にしておくか、中立的な false information、inaccurate information に逃がすほうが安全です。

迷ったときの決め方

自分の文の中に、意図を示す副詞や目的の表現を書いたか。書いたなら disinformation、書いていないなら misinformation か false information にする。

1本の答案で両方を使い分けると主張が締まる

情報の質を扱うタスク2では、2語を対比させると論の筋が見えやすくなります。誰の責任を問うているのかが語のレベルで示されるためです。

Governments should target disinformation created by organised groups rather than punishing individuals who share misinformation without realising it.

政府は、気づかずに誤情報を共有した個人を罰するのではなく、組織的に作られた偽情報を対象にすべきです

この文は、規制の対象を絞るという主張を語の選択だけで支えています。両方を information の1語で書いていたら、同じ内容を説明するのに1文余分に必要になります。

03判断に迷いやすい例文

実際の文で手がかりがどこにあるかを見ておきます。下の5文は、どの語を根拠にその選択になったのかを和訳のかわりに添えてあります。同じ話題でも、その根拠が入れ替わると選ぶ語が変わります。

The government was criticised for deliberately spreading disinformation about the economic situation.deliberately があるので disinformation

Many people unintentionally share misinformation on social media without verifying the facts.unintentionally と without verifying があるので misinformation

The journalist was dismissed for knowingly publishing disinformation to damage a politician's reputation.knowingly と to damage という目的があるので disinformation

Due to a translation error, the agency accidentally spread misinformation about the agreement.translation error と accidentally があるので misinformation

Campaigns to combat misinformation should focus on teaching people how to check their sources.対策の対象を広く述べているので、広いほうの misinformation

5文目のように、対策や教育の話をするときは misinformation を選ぶことが多くなります。組織的に流された偽情報だけを対象にする文にしてしまうと、情報リテラシー教育の話とかみ合わなくなるためです。逆に規制や処罰を論じるときは、対象を disinformation に絞ると主張が具体的になります。

同じ動詞でも語が変われば含みが変わる

spread misinformation と spread disinformation は、どちらも文法的に正しい形です。ただし前者は「結果として広めてしまった」という読みが可能で、後者は「そうと知って広めた」としか読めません。答案で人を批判する文を書くときは、この差が主張の強さに直結します。

Elderly users often spread disinformation because they cannot tell which sources are reliable.確認できないという理由と、意図的という語が食い違う

Elderly users often spread misinformation because they cannot tell which sources are reliable.理由と語がそろっている

04どちらも数えられない名詞:a misinformation と書けない

misinformation と disinformation は、どちらも数えられない名詞として扱います。a や an を付けず、複数形の s も付けません。information がそうであるのと同じ扱いで、mis- や dis- が付いても数え方は変わりません。答案でこの形を落とすと、文法の正確さの観点で不利になります。

There are many misinformations on social media.複数形にしない

He shared a misinformation about the vaccine.a を付けない

There is a great deal of misinformation on social media.量を表す表現でくくる

He shared a piece of misinformation about the vaccine.1件を指すなら a piece of

量を表す語の選び方

数えられない名詞なので、数を数える語ではなく量を表す語と組みます。much、a great deal of、a large amount of、a lot of、little、less はそのまま使えます。いっぽう many、few、a number of、several は数える語なので合いません。

  • 量:a great deal of misinformation、a large amount of misinformation、so much misinformation
  • 1件を指す:a piece of misinformation、several pieces of misinformation
  • 動詞の一致:Misinformation spreads quickly.(三人称単数扱い)
  • the が付く形:the spread of misinformation、the amount of disinformation online

the spread of misinformation は答案で頻繁に使う形です。spread を動詞で使うか名詞で使うかで文の重心が変わるので、主語を人にしたくないときは名詞のほうを選びます。The spread of misinformation has become a serious problem. のように書けば、誰が広めたかに触れずに問題の存在だけを述べられます。

ライティング・タスク2 development は数えられる?抽象名詞の可算・不可算の揺れ

抽象名詞は語によって可算と不可算が揺れます。information 系のように揺れない語と、意味で分かれる語の見分け方は上の記事にまとめてあります。

05動詞と形容詞の形:misinform・misinformed・misleading

misinformation は名詞なので、そのままでは動詞として使えません。動詞にしたいときは misinform を使い、人や集団を目的語に取ります。この目的語を落とすのが答案でよく見る形の誤りです。

The report misinformed about the risks of the new policy.誰に伝えたのかが抜けている

The report misinformed the public about the risks of the new policy.misinform + 人 + about + 内容

Voters were misinformed about the cost of the project.受け身にすると誰が伝えたかを省ける

disinform という動詞も辞書には載っていますが、実際に見かける頻度はかなり低い語です。答案では動詞を使わず、spread disinformation、a disinformation campaign のように名詞のまま組み立てるほうが読みやすくなります。

misinformed と misleading の違い

形容詞は2つ覚えておくと便利です。misinformed は「誤った情報を与えられた」「思い違いをしている」で、人や人の判断を修飾します。misleading は「誤解を招く」で、情報や表現そのものを修飾します。修飾する相手が違うので、置き換えは効きません。

意味修飾する相手
misinformed誤った情報を与えられている人、判断、意見misinformed voters、a misinformed decision
misleading誤解を招く情報、見出し、広告、グラフa misleading headline、misleading advertising
false事実に反する情報、主張false claims、false information
inaccurate正確でない数値、記述、報道inaccurate reports、inaccurate figures

misleading は意図の有無に触れずに済むので、答案では使い勝手のよい語です。A misleading headline can change how readers interpret a story. と書けば、書き手がわざとやったのかどうかを判断しないまま問題点だけを指摘できます。判断材料が無いときの逃げ道として覚えておくとよいでしょう。

IELTS学習アプリ 表現ニュアンス比較 似た意味の語を並べて、ニュアンスと使い分けを確認できます

06fake news・propaganda・rumour との距離

誤った情報を指す語はほかにもあり、それぞれ指している範囲が違います。答案では、語を並べて言い換えるより、どの語がその文脈に合うかを決めてから書くほうが読みやすくなります。

指しているもの数え方答案での扱い
misinformation誤った情報全般不可算いちばん使いやすい
disinformationあざむく意図で流された虚偽情報不可算意図に触れたときだけ
fake news報道の形をとった虚偽の話不可算くだけた語。多用は避ける
propaganda主義や体制を広めるための組織的な情報発信不可算内容が事実のこともある
rumour(rumor)出どころのはっきりしない話可算真偽が未確定のとき
hoax人をだますために仕組まれた作り話可算個別の事件を指すとき

fake news は答案では控えめに

fake news は日常のニュースでよく耳にする語ですが、政治的な文脈で相手を攻撃するために使われてきた経緯があり、学術的な文章では引用符付きで扱われることもあります。使うと誤りになるわけではないものの、アカデミックな答案では false information や misinformation に置き換えるほうが落ち着きます。

Fake news is a serious problem for modern society.意味は通るが、答案では口語的に響く

The spread of misinformation online is a serious problem for modern society.アカデミックな語に置き換えた

propaganda は虚偽とは限らない

propaganda を「うそのプロパガンダ」という日本語の語感のまま使うと、意味がずれます。propaganda が指しているのは内容の真偽ではなく、特定の考えを広めるために組織的に情報を出すという行為のほうです。事実だけを選んで並べたものも propaganda になりえます。虚偽であることを言いたいなら disinformation を選びます。

malinformation という第3の語

情報の問題を3つに分ける枠組みが、2017年に発表された information disorder の報告書で示されました。misinformation(誤りだが害意が無い)、disinformation(誤りで害意がある)、malinformation(内容は事実だが害を与える目的で公開される)の3つです。3つ目は、私的な会話やプライバシーに関わる事実を暴露する行為などを指します。

malinformation は専門的な文脈で使われる語なので、IELTSの答案で無理に持ち出す必要はありません。ただしこの3分類を知っておくと、disinformation が「虚偽であること」と「害意があること」の両方を含む語だと整理でき、misinformation との境目がはっきりします。

ライティング・タスク2 ソーシャルメディアとは何か?

この2語が実際に使われるのは、SNSや報道を扱うトピックです。話題そのものの整理は上の記事にあります。

07答案でそのまま使えるコロケーション

語を正しく選べても、組み合わせる動詞が不自然だと点になりません。misinformation と disinformation は共起する動詞がある程度決まっているので、まとめて覚えておくと書く速度が上がります。

  • 広まる側:spread misinformation、share misinformation、circulate、be exposed to、come across
  • 対策する側:combat misinformation、tackle、counter、curb、limit the spread of、debunk
  • 確かめる側:fact-check a claim、verify a source、cross-check information
  • 名詞句:the spread of misinformation、the rapid spread、a disinformation campaign、health misinformation
  • 前置詞:misinformation about vaccines、misinformation on social media

Social media platforms have struggled to combat the rapid spread of misinformation about health issues.

ソーシャルメディアの各社は、健康問題についての誤情報が急速に広まるのを抑えるのに苦労してきました

Teaching students to verify sources is more effective than removing every piece of misinformation.

情報源を確かめる方法を教えるほうが、誤情報を1件ずつ削除するより効果的です

Several governments have accused foreign groups of running disinformation campaigns during elections.

いくつかの政府は、選挙期間中に外国の集団が偽情報の流布活動を行っていると非難しています

3文目のように、disinformation は campaign、operation、tactics のような組織的な行為を表す名詞と一緒に使われます。この結び付き自体が、意図があることを示す手がかりになっています。逆に misinformation はこうした語とはあまり組まず、spread や amount のような広がりや量を表す語と組みます。

IELTS学習アプリ コロケーション検索 語と一緒に使われる動詞や形容詞を調べられます

08よくある質問

misinformation と disinformation の違いは何ですか。

広めた側にあざむく意図があったかどうかです。誤りだと気づかないまま広まったものが misinformation、誤りだと知りながら目的を持って流されたものが disinformation です。内容が同じ情報でも、作って流した組織の行為なら disinformation、それを信じて共有した人の行為なら misinformation になります。

どちらを使うか決められないときはどう書けばよいですか。

意図に触れていない文なら misinformation を選びます。中立的に書きたいときは false information や inaccurate information に置き換える手もあります。意図があると本文で示していないのに disinformation と書くと、書いていない前提を読み手に押しつける形になります。

misinformation は数えられる名詞ですか。

数えられない名詞として扱います。a や an を付けず、複数形の s も付けません。disinformation も同じです。1件を指したいときは a piece of misinformation、量を述べたいときは a great deal of misinformation や a large amount of misinformation のように、量を表す表現でくくります。

many misinformation と書いてもよいですか。

many は数える語なので合いません。much、a great deal of、a large amount of、a lot of、little を使います。数の多さを言いたい場合は many pieces of misinformation という形にするか、the amount of misinformation のように量として言い直します。

misinformation を動詞として使えますか。

名詞なので、そのままでは動詞になりません。動詞は misinform で、人や集団を目的語に取ります。The report misinformed the public about the risks. のように、誰に伝えたのかを示す形にします。目的語を省いた The report misinformed about the risks. は形が足りていません。

misleading と misinformation はどう使い分けますか。

misleading は「誤解を招く」という意味の形容詞で、情報や見出し、広告などを修飾します。misinformation は誤った情報そのものを指す名詞です。misleading は意図の有無に触れずに問題点だけを指摘できるので、判断材料が無いときに使いやすい語です。人を修飾する場合は misinformed になります。

fake news はライティングで使ってもよいですか。

使うと誤りになるわけではありませんが、アカデミックな答案では控えめにするほうが落ち着きます。政治的な文脈で相手を攻撃するために使われてきた経緯があり、学術的な文章では引用符付きで扱われることもあるためです。The spread of misinformation online のように置き換えられます。

propaganda と disinformation は同じ意味ですか。

同じではありません。propaganda が指しているのは内容の真偽ではなく、特定の考えを広めるために組織的に情報を出すという行為です。事実だけを選んで並べたものも propaganda になりえます。内容が虚偽であることを言いたい場合は disinformation を選びます。

09まとめ

  • 分かれ目は情報の中身ではなく、広めた側にあざむく意図があったかどうか
  • 意図を示す副詞や目的の表現が文中にあるかを見る。無ければ misinformation か false information
  • 同じ情報でも、流した側の行為なら disinformation、信じて共有した側の行為なら misinformation
  • 2語とも不可算。a や複数形の s は付けず、a piece of や a great deal of でくくる
  • 動詞は misinform で、人を目的語に取る。disinform はまれなので名詞のまま組む
  • 意図に触れたくないときは misleading や inaccurate に逃がす

この2語は、覚える手間のわりに答案での効きが大きい組み合わせです。情報の質を論じるタスク2では、誰の行為を問題にしているのかを語のレベルで示せると、同じ主張が1文短く書けます。次にSNSや報道のトピックを書くときは、意図に触れたかどうかを自分で確かめてから語を選ぶとよいでしょう。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

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