「健康」と訳せる英単語を並べていくと、health のほかに well-being が出てきます。どちらを使っても意味が通る場面はありますが、英語では指している範囲が違います。health は身体や精神の状態、well-being はそこに幸福感や人間関係、心理状態、生活環境なども加えた「より良い状態」です。この記事では、2語の守備範囲の違い、IELTSのトピックごとの選び方、冠詞や複数形といった形の注意点までを整理します。
目次
health と well-being は何が違うのか
health を使う場面
well-being を使う場面
happiness、quality of life との整理
well-being の形の注意点
IELTSのトピック別の選び方
判断に迷いやすい例文
よくある質問
まとめ
01 health と well-being は何が違うのか
health と well-being の違いは、見ている範囲の広さ です。health は「身体や精神がどういう状態か」を指し、well-being は「その人の暮らし全体がどれだけ良い状態か」を指します。重なる部分はありますが、焦点が違う語です。
基本の意味
health:健康状態。とくに身体・精神の状態
well-being:生活全体の幸福、充実した状態
health は、身体や精神の状態を指す語です。医療や公衆衛生など、状態を比較的客観的に扱う場面でよく使われます。
well-being のほうは、人生をどれだけ良い状態で送れているかという、もっと広い概念です。健康はその一要素にすぎません。何が含まれるかは文脈によりますが、次のような要素が入ってきます。
health(健康)
happiness(幸福)
relationships(人間関係)
financial security(経済的安定)
work-life balance(仕事と生活のバランス)
sense of purpose(人生の目的意識)
health は well-being の一部
この関係をそのまま1文にしたのが、次のような書き方です。
Good health is important for overall well-being.
健康は総合的な幸福、充実した生活にとって重要です。
ここでは health が well-being を構成する要素の一つとして扱われています。逆向きに Overall well-being is important for good health. と書くと、意味は通らなくはないものの、大きいものを小さいものの手段にしているぶん不自然になります。どちらが上位の概念かを押さえておくと、こうしたねじれを避けられます。
02 health を使う場面
health は、病気の有無や、身体・精神の機能を話題にするときに使います。医療、疾病、生活習慣、公衆衛生といった文脈が中心です。
I want to improve my health by exercising regularly.
定期的に運動して健康を改善したい。
Smoking has a negative impact on your health.
喫煙は健康に悪影響を与える。
Governments should invest more in public health.
政府は公衆衛生にもっと投資すべきだ。
health と組み合わせやすい語
health は名詞の前に置いて複合語をつくったり、形容詞と組んだりする形が定型化しています。IELTSのライティングでよく出てくるのは次のあたりです。
physical health :身体的健康
mental health :精神的健康
heart health :心臓の健康
public health :公衆衛生
health care :医療、医療制度
health problems / health risks :健康問題、健康上のリスク
health benefits :健康上の利点
いずれも、病院や政策、身体機能といった具体的な対象と結びついています。逆に言えば、こうした語と自然に並ぶ話題であれば health を選んでおけば外しません。
「健康な」と言いたいときは healthy
health は名詞なので、人や食事の性質を述べるときにはそのまま使えません。形容詞の healthy を使います。日本語の「健康になりたい」をそのまま置き換えると崩れやすいところです。
○
I want to stay healthy.形容詞で状態を述べる
✗
I want to be health.名詞のままでは補語にならない
状態を名詞で書きたい場合は、in good health という決まった形があります。この形では a を入れません。
○
Most residents of the area are in good health.その地域の住民の多くは健康です
✗
Most residents of the area are in a good health.health は不可算なので a は付けない
03 well-being を使う場面
well-being は、健康も含めた生活全体の良さを話題にするときに使います。ストレス、幸福度、働き方、生活の質といったテーマと相性のよい語です。
Excessive competition can negatively affect students' mental well-being.
過度な競争は学生の精神的な幸福に悪影響を与える可能性がある。
Long working hours can damage the well-being of employees.
長時間労働は従業員の生活全体の充実度を損なうことがある。
Regular exercise contributes to both physical health and mental well-being.
定期的な運動は身体的健康と精神的な充実の両方に寄与する。
well-being と組み合わせやすい語
overall well-being :総合的な幸福、生活全体の良さ
mental / emotional / psychological well-being :精神的、情緒的、心理的な充実
a sense of well-being :満たされている感覚
promote / improve / enhance well-being :充実度を高める
the well-being of + 人 :〜の生活全体の良さ
physical well-being という形も使えますが、この場合は physical health とほぼ同じ内容になります。身体面だけを述べるのであれば health のほうが素直です。well-being を選ぶ意味があるのは、身体の話にとどまらない広がりを持たせたいときです。
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表現ニュアンス比較
似た意味の2語を入力すると、使い分けとその根拠を返します。health と well-being のように迷った組み合わせをその場で確認できます。
04 happiness、quality of life との整理
health と well-being の周辺には、範囲の似た語がいくつかあります。どこを見ている語なのかで並べると、次のように整理できます。
語 範囲 見ているもの
health 狭い 心身が健康か
well-being 広い 人生全体が良い状態か
happiness 感情寄り 本人が幸せを感じているか
quality of life 生活条件 生活の水準や満足度が高いか
happiness は感情そのものを指す語で、本人がどう感じているかが基準になります。well-being は感情に加えて、人間関係や経済状況といった外側の条件も含みうる語です。そのため、収入や労働時間のような客観的な要素を論拠に挙げるエッセイでは、happiness よりも well-being のほうが受け止められる範囲が広くなります。
quality of life は、住環境、医療、教育、交通といった生活の条件面を指すことが多い表現です。都市計画や公共サービスを論じる段落では、well-being より quality of life のほうが具体的に響きます。
mental health と mental well-being の違い
mental health は精神面の健康全般を指す語ですが、mental health services(精神医療サービス)のように、医療や精神疾患に関連する文脈でもよく使われます。mental well-being は、ストレスへの対処や心理的な充実といった、より日常的な状態に焦点を当てた表現です。どちらが広いかというより、医療の枠組みに寄せるか、日々の状態に寄せるかの違いだと考えると選びやすくなります。学校や職場のストレスを扱う段落では、mental well-being のほうが話の広がりに合います。
ライティング・タスク2
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05 well-being の形の注意点
生活全体の状態を表す意味では、well-being は通常、不可算名詞として扱います。複数形にはせず、a を直接付けることもしません。health も同じく不可算なので、この2語は形のうえでは同じ扱いになります。
○
Schools should pay more attention to the well-being of students.単数のまま of で受ける
✗
Schools should pay more attention to the well-beings of students.複数形にはしない
「高い充実度」のように程度を言いたいときは、a を直接付けるのではなく、sense や level を挟みます。
○
Volunteering can give people a sense of well-being.a sense of を挟む
✗
Volunteering can give people a well-being.不可算名詞に a は付かない
well-being と wellbeing の表記
ハイフンを入れた well-being と、続けて書く wellbeing は、どちらも広く使われています。IELTSのライティングでどちらを書いても問題ありません。避けたいのは、途中で表記が入れ替わることと、well being とスペースで分けて書くことです。1本のエッセイの中では同じ形で通しておきましょう。
動詞形も形容詞形もない
well-being には、health に対する healthy のような形容詞形がありません。動詞形もないので、improve、promote、enhance、affect、damage といった動詞と組み合わせて使います。employee well-being programmes のように、名詞のまま別の名詞の前に置く形は使えます。
The policy aims to promote the well-being of elderly residents.
その政策は高齢の住民の生活全体の充実度を高めることを目的としている。
Financial insecurity can seriously affect the well-being of young families.
経済的な不安定さは、若い家庭の暮らしの質に大きく影響しうる。
06 IELTSのトピック別の選び方
IELTSのライティング・タスク2では、トピックが病気や医療なら health、生活の質や幸福度なら well-being と考えると選びやすくなります。health problems は病気、肥満、医療費などの話に、well-being はストレス、幸福度、生活の質などの話に向いています。
トピック 選ぶ語 使う表現の例
肥満、喫煙、食生活 health health problems、health risks
医療制度、医療費 health public health、health care
受験や進学の競争、学校のストレス well-being students' mental well-being
長時間労働、在宅勤務 well-being employee well-being、work-life balance
都市の緑地、住環境 両方 physical health と overall well-being
1本のエッセイの中で両方を使うと、身体面と生活全体を書き分けられます。次の文では、前半で体への効果を、後半で暮らし全体への効果を述べています。
Access to green spaces improves physical health and enhances the overall well-being of urban residents.
緑地が身近にあることは、身体的健康を改善し、都市住民の生活全体の充実度を高めます。
同じ内容を health だけで2回書くと繰り返しになりますが、範囲の違う2語で書き分ければ、内容も語彙も広がります。言い換えのために無理に置き換えるのではなく、述べている中身が身体面なのか暮らし全体なのかで選ぶのが基本です。
07 判断に迷いやすい例文
ここまでの基準を、実際の文で確認します。カッコ内が、その語を選ぶ理由です。
health を選ぶ例
Air pollution poses a serious threat to public health.
大気汚染は公衆衛生に深刻な脅威をもたらします(病気や身体への害が中心)
Fast food is one of the main causes of health problems among children.
ファストフードは子どもの健康問題の主な原因の一つです(肥満や疾病の話)
The government should increase spending on health care.
政府は医療への支出を増やすべきです(医療制度の話)
well-being を選ぶ例
A sense of purpose contributes to the well-being of older people.
目的意識を持つことは高齢者の生活の充実につながります(健康以外の要素が中心)
Flexible working hours can improve the well-being of employees.
柔軟な勤務時間は従業員の暮らしの質を高めます(働き方と生活のバランス)
Excessive competition can have a negative impact on students' mental well-being.
過度な競争は学生の精神的な充実に悪影響を与える可能性があります(ストレスと心の状態。名詞形にするとよりアカデミックに響きます)
同じ話題を書き分ける
運動の効果のように、どちらでも書ける話題もあります。その場合は、述べたい効果の範囲で決まります。
Regular exercise improves physical health.
定期的な運動は身体的健康を改善します(体の機能の話)
Regular exercise improves overall well-being.
定期的な運動は生活全体の充実度を高めます(気分や人間関係まで含めた話)
後者を選んだ場合、その段落では体の話だけで終わらせず、気分の変化や人とのつながりまで書いておくと、語の範囲と論の中身が合います。広い語を選んだのに中身が身体の話だけだと、語が示す範囲と、段落で述べている内容が一致しなくなります。
08 よくある質問
health と well-being は入れ替えて使えますか。
文として成立する場合はありますが、指す範囲が変わります。health は身体や精神の状態、well-being は健康を含めた生活全体の良さです。病気や医療の話に well-being を使うと話が広がりすぎ、暮らし全体の話に health を使うと範囲が足りなくなります。
well-being と wellbeing はどちらの表記が正しいですか。
どちらも広く使われており、IELTSのライティングでどちらを書いても問題ありません。ただし1本のエッセイの中では表記をそろえ、well being とスペースで分ける形は避けます。
well-being を複数形にできますか。
できません。生活全体の状態を表す意味では、well-being は通常、不可算名詞として扱います。the well-beings of students のような形にはせず、the well-being of students と単数のまま of で受けます。health も同じく不可算です。
「健康的な」と言いたいときに health を使えますか。
使えません。health は名詞なので、I want to be health. とは言えず、形容詞の healthy を使って I want to stay healthy. とします。名詞で状態を書きたい場合は in good health という決まった形があり、この形に a は入れません。
IELTSのライティングでは health と well-being のどちらを使えばよいですか。
トピックで決まります。肥満、喫煙、医療費のような話題は health、ストレス、働き方、生活の質のような話題は well-being が向いています。緑地や住環境のように両方に関わる話題では、physical health と overall well-being を1文の中で書き分けることもできます。
mental health と mental well-being はどう違いますか。
mental health は精神面の健康全般を指す語ですが、医療や精神疾患に関連する文脈でもよく使われます。mental well-being は、ストレスへの対処や心理的な充実といった、より日常的な状態に焦点を当てた表現です。学校や職場のストレスを論じる段落では mental well-being のほうが合います。
quality of life は well-being と同じ意味ですか。
重なりますが、同じではありません。quality of life は住環境、医療、教育、交通といった生活の条件面を指すことが多い表現です。都市計画や公共サービスを論じる段落では、well-being より quality of life のほうが具体的に伝わります。
well-being を動詞として使えますか。
使えません。well-being には動詞形も形容詞形もないため、improve、promote、enhance、affect、damage といった動詞と組み合わせて使います。employee well-being programmes のように、名詞のまま別の名詞の前に置く形は使えます。
09 まとめ
health は身体や精神の状態、well-being は健康を含む生活全体の良さ
health は病気、医療、公衆衛生の文脈で使う。physical health、public health、health care、health problems
well-being はストレス、働き方、生活の質の文脈で使う。overall well-being、mental well-being、a sense of well-being
どちらも不可算名詞。well-beings とも a well-being とも書かない。程度は a sense of で表す
health の形容詞形は healthy。well-being には形容詞形も動詞形もない
well-being と wellbeing はどちらでもよいが、1本のエッセイの中では表記をそろえる
迷ったときは、書こうとしている内容が体や心の機能の話なのか、それとも暮らし全体の話なのかを確かめてみましょう。前者なら health、後者なら well-being です。広いほうの語を選んだときは、段落の中身も健康以外の要素まで届いているかを見ておくと、語と論がそろいます。
ライティング・タスク2
上級者でも間違えやすい形容詞10組の使い分け:economic と economical