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IELTSライティングが6.5から7.0に上がらない:切り捨ての仕組みとテンプレートの限界

執筆:高橋 響 公開日:

ライティングの採点項目のうち3つでBand 7を取ることができても、残る1つがBand 6なら、最終スコアは6.5になります。文法や語彙の誤りを減らしてきたのに6.5から上がらないときは、英語の正確さを磨くとともに、スコアの計算の仕組みと、回答の中身そのものを見直す必要があるかもしれません。

どの採点項目がBand 6になってしまっているのか、タスク1をどこまで対策しているのか。ここを確かめないまま練習量だけを増やしても、6.5をとり続けることになってしまいます。

01ライティングのスコアはどう計算されるのか:Band 6が1つあると6.5になる理由

ライティングでは、4つの採点項目の平均の端数が切り上がらないため、Band 6が1つでもあると7.0に届かないことがあります。IELTS公式サイトでは細かな計算式が公開されていませんが、最終スコアは、採点項目ごとに付いた整数のバンドを平均し、0.5刻みになるよう端数を切り捨てて出すと説明されています。

評価に使われる4つの採点項目は次のとおりです。

  • Task Response(タスク1は Task Achievement):タスクに対して、的確に、十分に答えているか
  • Coherence and Cohesion:情報や主張が論理的な順で並び、つながりが追えるか
  • Lexical Resource:語彙の幅と、語の選び方・組み合わせの正確さ
  • Grammatical Range and Accuracy:文構造の幅と、文法・句読点の正確さ

Overallとは端数の扱いが違う

4技能のOverallは、平均が6.25なら6.5に、6.75なら7.0に上がります。ライティングの4つの採点項目の平均はこれと扱いが異なり、6.75でも6.5になります。

TRCCLRGR合計平均最終スコア
6677266.56.5
6777276.756.5
7777287.07.0
6778287.07.0

2行目のように、3つの採点項目がBand 7でも Task Response がBand 6なら、最終スコアは6.5です。7.0に乗せるには4つの採点項目の合計が28以上になる必要があり、実際には4つすべてでBand 7を揃えるのが現実的な目標になります。4行目のようにBand 8でBand 6を補う形も計算上は成り立ちますが、Band 6の採点項目をBand 7に上げるほうが、得意な採点項目をBand 8に上げるより取り組みやすいはずです。

そのため、6.5の段階でまず確かめたいのは、どの採点項目がBand 6になっているのかという点です。採点項目ごとの見分け方は、5.5から6.5までの段階を扱った記事で詳しく解説しています。

ライティング・タスク2 IELTSライティングが5.5から上がらない:6.5までに変えるのは4つの採点項目のうちどれか

02タスク2の6.5を、タスク1が7.0で取り返せるのか

タスク1で7.0を取っても、タスク2が6.5なら、ライティング全体は6.5のままです。IELTS公式サイトでは、タスク2がタスク1の2倍の重みでライティングのスコアに反映されると説明されています。つまり、タスク2が全体の3分の2、タスク1が3分の1を占めます。

タスク1タスク2計算想定されるライティングスコア
7.06.5(7.0 + 6.5 × 2)÷ 3 ≒ 6.676.5
6.07.0(6.0 + 7.0 × 2)÷ 3 ≒ 6.676.5
7.07.0(7.0 + 7.0 × 2)÷ 3 = 7.07.0

1行目のとおり、比重の小さいタスク1が良くても、タスク2の遅れはほとんど埋まりません。一方で2行目を見ると、逆の組み合わせでも同じ6.5になっています。タスク2を7.0に乗せても、タスク1が6.0のままでは7.0に届きません。

この表から、タスク2を優先しつつ、タスク1も7.0に届く状態にしておく必要があると分かります。

03テンプレートに沿って書くと、なぜ7.0に届きにくいのか

テンプレートで準備した文は、タスクを読む前に作られているため、そのタスクで問われていることに直接答える内容を持っていません。導入はこの文型、ボディの1文目は「理由の1つ目は〜」、というように型を決めておくと、時間内に形の整った回答は書けます。ただ、中身が設問からずれていても、形が整っているぶん書いた本人は気づきにくくなります。

型に当てはめた回答で起きていること

教育と犯罪を扱ったタスクで見てみます。

タスク

Prison is the common way most countries try to solve the problem of crime. However, a more effective solution is to provide people with a better education. Do you agree or disagree?

このタスクで問われているのは、教育が刑務所より効果的な解決策かどうかです。ところが、教育のタスクに備えて準備していた理由をそのまま当てはめると、ボディの冒頭は次のようになりがちです。

Firstly, education plays an important role in society. Educated people can find better jobs and improve their quality of life.教育を扱うどのタスクにも入る2文で、刑務所と比べてどうかという設問に触れていない

Firstly, vocational training for prisoners can do more to prevent reoffending than longer sentences, because people who have a trade are less likely to rely on crime for income after their release.刑務所との比較と、犯罪が減るかという論点に、1文目から答えている

✗の2文は、英文としては誤りがありません。教育と収入の関係も成り立ちます。それでも、この段落は犯罪を減らす手段としての教育を論じていないので、採点基準でいう関連の薄いサポートにあたります。

Band 6 と Band 7 の Task Response はどこで分かれるか

Band 6・Task Response

Main ideas are relevant, but some may be insufficiently developed or may lack clarity, while some supporting arguments and evidence may be less relevant or inadequate.

Band 7・Task Response

Main ideas are extended and supported but there may be a tendency to over-generalise or there may be a lack of focus and precision in supporting ideas/material.

Band 6 に書かれているのは、サポートの関連が薄い、または足りないという状態です。Band 7 では、メインアイデアが展開され、裏づけられていることが求められます。テンプレートの理由は、どのタスクにも使えるように一般的な内容で作られているため、このタスクの主張を支える展開になりにくく、Band 6 の記述に近いところで止まりやすくなります。

一方で、Band 7 の記述には「一般化に流れる傾向があることもある」とも書かれています。身近なアイデアでも、設問に沿った主張を立てて最後まで説明し切れていれば、Band 7 の記述に近づけます。

暗記した表現は語彙の評価にも関わる

型は内容だけでなく、語彙の評価にも関わります。Lexical Resource の Band 4 には、暗記したフレーズや定型表現(memorised phrases, formulaic language)を不適切に使うことがある、という記述があります。This essay will discuss both views and give my opinion. のような文を毎回の導入に使うこと自体が禁じられているわけではありませんが、その文が語彙の幅を示す材料にはなりません。

書いたあとに確かめる方法

各ボディについて、1文目を読み、「この文は、ほかのタスクの回答にもそのまま入るか」を考えてみましょう。入ってしまうなら、その段落はタスクに答える前に書き始めています。次に、設問の中心になっている語(このタスクなら prison と crime)が、段落のどこで論じられているかを確かめます。言い換えた語も含めて一度も触れていないなら、その段落の主張は設問から離れているかもしれません。

メインアイデアを設問に合わせて深めるには、次の記事の4段階の手順が参考になります。

ライティング・タスク2 エッセイのアイデアが浅くなるのはなぜか:思いついた答えに飛びつかない4段階の思考

04内容面の課題は、英語の添削だけで見つかるのか

文法や語彙の誤りを直す添削だけでは、03で見たような内容面の課題はほとんど指摘されません。✗の例のように、英文として正しい文には直す箇所が無いからです。英語の誤りが少ない回答で Task Response がBand 6になっているなら、主張が設問に噛み合っているか、サポートが主張を支え切れているかを疑ってみる必要があります。

論理の組み立ては、自分では判断しにくい

設問に対してどういう主張を立て、どの順で説明すれば読み手が納得するかは、プレゼンテーションの組み立てに近い力です。仕事や大学でこうした説明に慣れている人は、採点基準を読み込むだけで回答を修正できることがあります。一方で、自分の書いた論理は、書いた本人には筋が通って見えます。読み手がどこで引っかかるかは、自分の回答を読み返すだけでは気づきにくいものです。

書いた回答で次の点を確かめてみて、判断がつかない箇所が多いなら、内容面の指導を受ける意味は大きいでしょう。

  • 設問が求めているのは何の比較・評価で、自分の主張はそれに直接答えているか
  • サポートの各文が、トピックセンテンスの主張を支える方向に進んでいるか
  • 主張から結論までのあいだに、説明を省いて飛ばしている段階がないか

予算に余裕があれば、内容を見てもらえる指導を選ぶ

費用をかけられるなら、IELTSの採点基準を踏まえて、なぜこのサポートでは主張を支えきれないのか、どこを補えば説明がつながるのかまで指摘してもらえるレッスンや添削を選ぶといいでしょう。英語の誤りを直すサービスとは、指摘の対象が違います。受講先を比べるときは、実際の添削例で、内容や論理の組み立てに関するコメントが入っているかを確かめておくと選びやすくなります。

レッスンでも独学でも、7.0が保証されるわけではありません。レッスンを受けると、自分の回答が採点基準のどこにあるかを外から確かめる機会が増えます。独学なら費用を抑えられますが、あと何回受験することになるかの見通しは立てにくくなります。費用と受験回数の関係は、次の記事で試算しています。

IELTS総合対策 足りない対策期間はお金で買うのも一つの方法:受験回数・レッスン・自己学習の配分の決め方

プラスワンポイントのライティング添削では、英語の誤りに加えて、主張と論理の組み立てにもコメントを入れています。実際の添削例は次のページで見られます。

コース紹介 IELTSライティング添削:実際の添削例3本と料金

05タスク2を優先するあまり、タスク1がBand 6のまま残っていないか

タスク2の比重が大きいことは、タスク1の対策を後回しにしてよい理由にはなりません。02で見たとおり、タスク2で7.0を取っても、タスク1が6.0ならライティング全体は6.5です。添削を受けるのも書き直すのもタスク2だけで、タスク1は本番で20分かけて書くだけ、という配分になっていないかを振り返ってみましょう。

タスク1のBand 6とBand 7を分けているのは概要文(overview)

アカデミック・タスク1の Task Achievement では、Band 6 と Band 7 の記述が次のように分かれています。

Band 6Band 7
概要 関連する概要を示そうとしている(A relevant overview is attempted) 明確な概要が示され、データが適切に分類され、主な傾向や差異が特定されている
細部 細部や主要な点の説明に、関連性のない・不適切な・不正確な情報が混じることもある 内容は関連性があり正確である。多少の抜けや乱れがあることもある

記述の日本語は、IELTS公式サイト(ielts.org)が公開している Writing Band Descriptors の要約です。差が出ているのは、概要を「示そうとしている」のか「示せている」のかという点です。概要文が1文あるかどうかではなく、その1文でデータが分類され、主な傾向や差異まで言えているかが見られています。

Overall, the figures changed over the period, with some categories rising and others falling.数値が上下したと言っているだけで、何がどう分かれたのかを示していない

Overall, the two urban categories rose steadily throughout the period, whereas the rural categories fell after 2005, leaving the gap between them wider at the end than at the start.都市と農村に分類したうえで、傾向の向きと差の変化まで述べている

タスク1でよくある見落とし

  • 概要文が図を選ばない:どの図のときも「全体として増減があった」という同じ形の1文になっていて、データ全体の主な傾向や対比を示せていない
  • 分類しないまま数値を並べる:20分で書き切ることを優先し、情報をグループに分けたり比べたりしないまま、事実を上から順に書いている

直近の回答からタスク1の概要文だけを抜き出して並べてみると、自分がどちらに当てはまるかが分かります。どの傾向を概要文に選ぶかは、図の種類によって変わります。書き方は次の記事にまとめています。

ライティング・タスク1 アカデミック・タスク1のOverview(概要文)の書き方:置く位置と、概要と詳細の境界を図の種類ごとに整理

06よくある質問

IELTSライティングの平均が6.75だと、7.0に繰り上がりますか。

繰り上がりません。ライティングの4つの採点項目の平均は0.5刻みになるよう端数を切り捨てるので、6.75は6.5になります。平均6.75を7.0に上げるOverallの計算とは扱いが異なります。

ライティングで7.0を取るには、4つの採点項目すべてでBand 7が必要ですか。

必要なのは4つの採点項目の合計が28以上になることで、Band 6とBand 8の組み合わせでも計算上は7.0になります。ただ、3つの採点項目がBand 7でも残る1つがBand 6なら6.5になるため、4つすべてでBand 7を揃えることが現実的な目標です。

タスク1で7.0を取れば、タスク2が6.5でもライティングは7.0になりますか。

なりません。タスク2はタスク1の2倍の重みで反映されるため、タスク1が7.0でタスク2が6.5なら、計算は約6.67で、想定されるライティングスコアは6.5です。

タスク2の対策だけしていれば、ライティングは7.0になりますか。

タスク1が6.0のままだと、タスク2で7.0を取ってもライティング全体は6.5になります。タスク2を優先しながら、タスク1の概要文でデータを分類し、主な傾向や差異まで示せるようにしておきましょう。

テンプレートを使って書くとスコアが下がりますか。

型を使うこと自体で評価が下がるわけではありません。問題になるのは、準備した理由がタスクの設問に噛み合わず、サポートの関連が薄くなることです。暗記したフレーズを不適切に使うことは、Lexical Resource の低いバンドの記述にも挙げられています。

文法の誤りはほとんど無いのに、ライティングが6.5から上がりません。

英文として正しくても、主張が設問に直接答えていなかったり、サポートが主張を支え切れていなかったりすると、Task Response がBand 6になります。ボディの1文目がほかのタスクの回答にもそのまま入る文になっていないかを確かめてみるといいでしょう。

ライティングで7.0を取るには、レッスンを受けるべきですか。

論理の組み立てを自分で判断しにくいなら、予算の範囲で内容面まで指摘してもらえる指導を選ぶ意味はあります。レッスンでも独学でも7.0が保証されるわけではなく、違いは自分の回答の位置を外から確かめる機会の多さです。独学は費用を抑えられるぶん、その機会が少なくなります。

07まとめ

6.5から7.0へ上がるには、英文の誤りを減らす練習に加えて、Band 6になっている採点項目を見つけ、そこをBand 7に上げる必要があります。

  • ライティングの4つの採点項目の平均は0.5刻みに切り捨てられる。Band 6が1つあると、ほかがBand 7でも6.5になる
  • タスク2はタスク1の2倍の重み。タスク1が良くてもタスク2の遅れは埋まらず、逆にタスク1が6.0だと7.0に届かない
  • テンプレートの理由は、設問に直接答える内容になりにくい。ボディの1文目が、ほかのタスクにも入る文になっていないかを確かめる
  • 主張とサポートのつながりは、英語の添削では指摘されにくい。判断がつかないなら、内容面まで見てもらえる指導を検討する
  • タスク1の概要文で、データを分類し、主な傾向や差異まで示す

次に書いた回答では、ボディの1文目とタスク1の概要文から読み返してみましょう。採点項目ごとの対策をまとめて確認したい場合は、ライティング対策の総合記事もあわせて読んでみるといいでしょう。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

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