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ライティング・タスク2

impact と influence の違い:影響の強さと、動詞にできるかどうか

執筆:高橋 響 公開日:

impact と influence は、辞書ではどちらも「影響」と出てくる語です。ただし英語では、その影響がどれくらい強く、どのように現れるかで使い分けます。impact は強く直接的で結果が目に見える影響、influence は穏やかで間接的、時間をかけて考え方や行動を変えていく影響です。さらに、動詞として使えるかどうかにも差があります。この記事では、名詞としての使い分け、動詞にしたときの注意点、迷いやすい例文までを整理します。

01基本的な意味の違い

impact と influence の最も重要な違いは、影響の強さと直接性です。impact は強力で直接的、結果が測定できる影響を表し、influence は穏やかで間接的、時間をかけて作用する影響を表します。

基本的な意味

impact:強い影響、大きな衝撃(強力で直接的な影響)

influence:影響力、影響(穏やかで間接的な影響)

impact は、何かが劇的に変化したり、明確な結果が生じたりする場合に使います。衝撃や打撃のイメージがそのまま残っている語で、地震や政策、パンデミックのように、あとから数字で示せるような影響と相性があります。

一方の influence は、人の考え方や行動に徐々に作用し、時間をかけて変化をもたらす場合に使います。親、教師、広告、文化のように、じわじわと効いてくるものが主語になりやすい語です。

動詞にできるかどうかにも差がある

もう一つの違いは、動詞として使ったときの扱いです。influence は名詞形も動詞形も同じように自然に使えます。impact は動詞としても使えますが、アカデミックな文章では have an impact on という名詞形のほうが好まれ、動詞用法には反対する人もいます。この差は3節以降で詳しく見ます。

02名詞としての使い分け

名詞として使う場合、両者は影響の強さと性質によって使い分けます。目に見える結果や劇的な変化なら impact、人の考え方や行動への穏やかな作用なら influence です。形はどちらも have a ... impact on、have a ... influence on と、前置詞の on を伴います。

観点impactinfluence
影響の強さ強い、衝撃的穏やか、緩やか
現れ方直接的間接的
時間の感覚即座に出る徐々に効く
測りやすさ測定しやすい測りにくい
主語になりやすいもの政策、災害、技術親、教師、文化、広告
影響を受ける側経済、環境、産業人の考え方、行動

have a positive/negative impact

have a positive/negative impact は、明確で強力な良い影響、悪い影響を与えるという意味です。結果が目に見えやすく、はっきりとした変化が確認できる場合に使います。

The new policy had a significant impact on employment rates.

新しい政策は雇用率に大きな影響を与えました。

Climate change has a negative impact on agricultural productivity.

気候変動は農業生産性に悪影響を与えています。

Technology has had a profound impact on modern education.

テクノロジーは現代教育に多大な影響を与えてきました。

いずれも、雇用率、農業生産性、教育制度という、変化が外から確認できる対象が影響を受けています。

have a positive/negative influence

have a positive/negative influence は、穏やかで持続的な良い影響、悪い影響を与えるという意味です。人の考え方や行動に徐々に作用する場合に使います。

Parents have a strong influence on the values of their children.

親は子どもの価値観に強い影響を与えます。

Social media has a negative influence on the self-esteem of young people.

ソーシャルメディアは若者の自尊心に悪影響を与えています。

Teachers can have a positive influence on the career choices of their students.

教師は生徒の進路選択に良い影響を与えることができます。

こちらは、価値観、自尊心、進路選択という、外からは測りにくい内面が影響を受けています。impact の例文と見比べると、影響を受ける側の性質が違うことが分かります。

よく使われるコロケーション

形容詞との組み合わせにも傾向があります。impact には強さや測定可能性を表す形容詞が、influence には持続性や間接性を表す形容詞が付きやすくなります。

  • impact:significant / major / profound impact(重大な影響)、immediate / direct impact(即座の影響、直接的な影響)、devastating / dramatic impact(壊滅的な影響、劇的な影響)、measurable / tangible impact(測定可能な影響、明白な影響)
  • influence:strong / powerful influence(強い影響力)、lasting / enduring influence(持続的な影響)、subtle / indirect influence(微妙な影響、間接的な影響)、cultural / social influence(文化的な影響、社会的な影響)

measurable impact とは言えても measurable influence とは言いにくく、lasting influence とは言えても lasting impact は少し意味がずれます。形容詞のほうから語を選べる場合もあります。

IELTS学習アプリ 表現の違いチェッカー 似た意味の2語を入力すると、使い分けとその根拠を返します。impact と influence のように迷った組み合わせをその場で確認できます。

03動詞としての使い方

impact も influence も動詞として使えますが、文法の振る舞いと、どこまで受け入れられているかが違います。influence は前置詞を伴わずに直接目的語を取る他動詞で、動詞形の使用に制約はありません。impact は他動詞としても使えるものの、アカデミックな文章では名詞形が好まれ、impact on という自動詞の形には反対意見があります。

観点impactinfluence
動詞形の自然さ名詞形のほうが無難どちらも自然
目的語の取り方直接目的語直接目的語のみ
前置詞を挟む形impact on は議論あり使えない
受動態be impacted bybe influenced by

つまり、動詞にするなら influence は安全、impact は一手間かけて名詞形に置き換えるのが無難、ということになります。次の2つの節で、それぞれの注意点を見ていきます。

04impact を動詞で使うときの注意点

impact を動詞で使うときは、名詞形の have an impact on に置き換えられないかをまず考えてください。アカデミックライティングでは名詞形のほうが好まれます。

名詞形が推奨される

The policy has a significant impact on small businesses.名詞形。アカデミックな文章ではこちらが無難

The policy impacts small businesses significantly.動詞形。通じるが、名詞形ほど好まれない

どちらも「その政策は中小企業に大きな影響を与える」という意味です。文法上はどちらも成立しますが、フォーマルな文章では上の形が選ばれやすくなります。

impact on という自動詞の形

動詞の impact には、前置詞 on を伴う自動詞の用法もあります。Climate change impacts on agriculture.(気候変動は農業に影響を与える)のような形です。

この形は辞書にも載っていますが、書き手の間で評価が割れています。用法解説サイトの grammar.com の記事「Impact as a Verb」では、この自動詞用法を専門家の85パーセントが認めなかったという調査が紹介されています。多くの文法解説が、impact on を避けるよう勧めているのが現状です。

IELTSのライティングでは、わざわざ意見が割れている形を選ぶ理由がありません。他動詞の impact か、名詞形の have an impact on を使ってください。

受動態はよく使われる

動詞の impact は、受動態の be impacted by の形では自然に使われます。影響を受ける側を主語にしたいときに便利な形です。

Small businesses are severely impacted by economic downturns.

中小企業は景気後退により深刻な影響を受けます。

The local community was impacted by the factory closure.

地域社会は工場閉鎖により影響を受けました。

まとめると、impact は名詞形を基本にして、受動態のときだけ動詞形を使うと考えておくと迷いません。動詞の impact が誤りというわけではありませんが、名詞形のほうがアカデミックな印象になります。

05influence を動詞で使うときの注意点

influence を動詞で使うときの最大の注意点は、前置詞を挟まないことです。influence は直接目的語を取る他動詞で、impact のような自動詞の用法はありません。

Parents influence the behaviour of their children.前置詞を挟まず直接目的語を取る

Parents influence on the behaviour of their children.動詞に on は付かない。on を使うなら名詞形の have an influence on

on を使いたい場合は、名詞形の have an influence on にします。動詞の influence と名詞の influence on を混ぜてしまうのが、この語でいちばん多い間違いです。

名詞形と動詞形はどちらも自然

influence は impact と異なり、名詞形も動詞形も同じように使えます。文の重心をどこに置きたいかで選んでかまいません。

Advertising has a strong influence on consumer behaviour.

広告は消費者行動に強い影響を与えます。

Advertising strongly influences consumer behaviour.

広告は消費者行動に強く影響を与えます。

名詞形は strong のような形容詞で影響の質を細かく書けます。動詞形は文が短くなり、同じ内容を1語少なく言えます。エッセイの中で同じ表現が続いているときは、片方に言い換えると繰り返しを避けられます。

受動態と副詞

influence は受動態の be influenced by も自然に使えます。影響を受ける側を主語にする書き方です。

Young people are easily influenced by celebrities.

若者は有名人に影響を受けやすいです。

Consumer choices are influenced by advertising campaigns.

消費者の選択は広告キャンペーンに影響されます。

副詞との組み合わせも豊富で、影響の程度や現れ方を細かく書けます。

  • greatly / strongly / heavily influence:大きく影響を与える
  • directly / indirectly influence:直接的に、間接的に影響を与える
  • positively / negatively influence:良い影響、悪い影響を与える
  • subtly influence:気づかれない形で影響を与える

06判断に迷いやすい例文

ここまでの判断基準を、実際に迷いやすい文で確認します。カッコ内が、その語を選ぶ理由です。

impact を選ぶ例

The earthquake had a devastating impact on the local economy.地震は地域経済に壊滅的な影響を与えました(強力で直接的、結果が目に見える)

The new regulation will have a significant impact on business operations.新しい規制はビジネス運営に重大な影響を与えるでしょう(重大で測定できる影響)

The pandemic had an immediate impact on global travel.パンデミックは世界の旅行に即座の影響を与えました(即座に現れる直接的な影響)

Climate change has a major impact on agricultural productivity worldwide.気候変動は世界中の農業生産性に大きな影響を与えています(測定できる影響。動詞形の impacts でも通じますが、名詞形のほうが無難)

influence を選ぶ例

Teachers can influence the attitudes of students towards learning.教師は生徒の学習に対する態度に影響を与えることができます(態度への穏やかで持続的な影響。動詞で直接目的語を取る)

Social media has a strong influence on the behaviour of teenagers.ソーシャルメディアは10代の行動に強い影響を与えています(行動への持続的で間接的な影響)

Parents have a lasting influence on the values of their children.親は子どもの価値観に持続的な影響を与えます(時間をかけて効いてくる影響)

Cultural factors influence the dietary choices of people.文化的要因は人々の食事の選択に影響を与えます(文化による穏やかな影響。動詞形で使う)

同じ出来事でも、どちらで書けるかは焦点の置き方で変わります。The new policy had a major impact on small businesses. は、政策のせいで中小企業に測れる変化が起きたことを述べています。The new policy influenced how small businesses operate. は、経営のしかたが徐々に変わったことを述べています。結果が数字で示せるなら impact、考え方や行動が少しずつ変わったのなら influence と考えると選びやすくなります。

07よくある質問

impact と influence は入れ替えて使えますか。

文として成立する場合はありますが、伝わる内容が変わります。impact は強く直接的で結果が目に見える影響を、influence は穏やかで間接的、時間をかけて作用する影響を表します。同じ出来事を書いていても、焦点が別のところに移ります。

impact を動詞で使うのは間違いですか。

間違いではありません。ただしアカデミックな文章では、have an impact on という名詞形のほうが好まれます。動詞形を使うなら、受動態の be impacted by がいちばん自然です。

influence on という形は使えますか。

名詞のときだけです。have an influence on の形なら問題ありませんが、動詞の influence に on は付きません。Parents influence the behaviour of their children のように、前置詞を挟まず直接目的語を取ります。

IELTSのライティングではどちらの形を使うほうがよいですか。

impact は名詞形の have an impact on を基本にしてください。influence は名詞形も動詞形もそのまま使えます。impact on という自動詞の形は評価が割れているので、避けるほうが安全です。

impact と influence で相性の良い形容詞は違いますか。

違います。impact には significant、immediate、devastating、measurable のように、強さや測定可能性を表す形容詞が付きます。influence には lasting、subtle、indirect、cultural のように、持続性や間接性を表す形容詞が付きます。

「親が子どもの価値観に与える影響」はどちらで書きますか。

influence です。価値観は外から測りにくく、時間をかけて形づくられるものだからです。Parents have a lasting influence on the values of their children のように書きます。

be impacted by と be influenced by の違いは何ですか。

どちらも受動態で自然に使えますが、影響の性質が違います。be impacted by は景気後退や工場閉鎖のように、はっきりした打撃を受けた場合に使います。be influenced by は有名人や広告のように、考え方や選択が徐々に左右された場合に使います。

同じ出来事を impact と influence の両方で書けますか。

書けます。結果が数字で示せることを述べるなら impact、考え方や行動が少しずつ変わったことを述べるなら influence になります。新しい政策について書くなら、had a major impact on small businesses と influenced how small businesses operate は、どちらも成立しますが焦点が違います。

08まとめ

  • impact は強力で直接的、測定できる影響。influence は穏やかで間接的、時間をかけて作用する影響
  • 名詞形はどちらも on を伴う。have a significant impact on、have a strong influence on
  • impact は動詞にもできるが、アカデミックな文章では名詞形が好まれる。impact on という自動詞の形は評価が割れている
  • influence は動詞にすると直接目的語を取る。influence on という動詞の形はない
  • 受動態はどちらも自然。be impacted by は打撃、be influenced by は考え方や選択への作用

迷ったときは、その影響が数字で示せるものか、それとも人の内面が少しずつ変わったものかを考えてみてください。前者なら impact、後者なら influence です。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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