アカデミックのタスク1では、グラフや表を見て150語以上のレポートを書きます。書き出しと全体の傾向まではなんとか進んでも、そのあとの本文をどこで区切るかで迷う人は多いと思います。数字が20個も30個もある図を前にして、どれをどの段落に入れるかの基準がないと、思いついた順に並べるだけのレポートになります。
この記事では、タスク1のレポートを3つの役割で考える型と、その中でいちばん判断が要るボディの区切り方を整理します。区切り方の軸は複数ありますが、上に置く考え方は1つです。図の例も添えてあるので、手元の練習素材に当てはめながら読めます。
目次
タスク1のレポートは3つの役割でできている
導入は設問の言い換えを1文で
Overviewは導入と同じ段落に続けて書く
ボディは、比較が生まれる組み合わせで分ける
判断が付かないときの順番
この型でよくある失敗
よくある質問
まとめ
01 タスク1のレポートは3つの役割でできている
タスク1のレポートは、導入、Overview、ボディという3つの役割で考えると整理しやすくなります。何を書くかが役割ごとに決まっているので、図が変わっても組み立て直す必要がありません。
この3つは、そのまま3段落になるわけではありません。役割と段落は別に考えます。段落としては、導入とOverviewを第1段落にまとめ、ボディを2つに分けた3段落構成をプラスワンポイントではすすめています。
第1段落 導入+Overview
図が何を示しているかを1文。続けて、全体を通して言える傾向を1文から2文。目安50語前後。
第2段落 ボディ1
データのかたまりの1つ目。数値を挙げて裏づける。目安60語から70語。
第3段落 ボディ2
2つ目のかたまり。ここまでで170語前後になります。
語数の目安を添えましたが、これは配分のイメージであって、採点の条件ではありません。IELTSに段落数の決まりもないので、ボディが1つでも3つでもレポートとして成立します。
3つの役割のうち、導入は書くことがほぼ決まっています。設問文を言い換えるだけなので、図が変わっても手が止まりません。一方、Overviewとボディは図を見て自分で判断する部分です。Overviewでは何が重要な傾向かを読み取り、ボディではそれをどう割るかを決めます。この記事の中心は、後半のボディの区切り方です。
タスク1は、ライティング全体60分のうち20分程度を目安に配分する設計になっています。この短い時間で何を書くかをゼロから考えていると、図を読む前に手が止まります。役割を決めておくと、図を見た瞬間に埋まる場所と、考える場所が分かれます。
ライティング・タスク1
アカデミック・タスク1の20分:図を読む時間をどれだけ取るかの判断基準
02 導入は設問の言い換えを1文で
導入で書くのは、その図が何を示しているかの1文だけです。設問文にすでに書いてあるので、それを自分の言葉に置き換えます。
設問文
The chart below shows the number of people using three different types of transport in a European city between 1990 and 2020.
これを、語を入れ替えて書き直します。
The line graph illustrates the number of people using three different means of transport in a European city between 1990 and 2020.
替えているのは、chart を line graph に、shows を illustrates に、types of transport を means of transport に、という3か所だけです。期間も場所も、using という形もそのまま残しています。ここを凝った表現に置き換えても得はありません。むしろ over a thirty-year period のように書き換えると、いつからいつまでなのかが読み手に伝わりにくくなります。
図の種類(line graph、bar chart、pie chart、table)は設問文に書かれていないことがあるので、自分で判断して書きます。
設問文をそのまま写すと、その部分は語数に数えられません。かといって時間をかける場所でもないので、名詞と動詞をいくつか替えるくらいで十分です。ここで悩むより、ボディの数値を選ぶほうに時間を回すほうが効きます。
03 Overviewは導入と同じ段落に続けて書く
Overviewには、図全体を通して言えることを書きます。どれがいちばん多いか、全体としてどちらへ動いているか、順位の入れ替わりがあったか、といった大きな流れを1文から2文でまとめます。
The line graph illustrates the number of people using three different means of transport in a European city between 1990 and 2020. Overall, car use rose steadily throughout the period and remained the most popular option, whereas bus use declined. Cycling, which was the least common form of transport in 1990, showed the sharpest growth after 2010.
導入の1文に続けて、同じ段落の中に書いています。プラスワンポイントが導入とOverviewをまとめてすすめているのは、読み手が全体像を受け取ってから細部に入れることと、時間切れのリスクを避けられることの2つが理由です。最後に独立した段落として置く書き方もあり、それ自体が評価に響くわけではありませんが、時間が足りなくなったときに真っ先に落ちるのがこの段落になります。
Overviewでは、基本的に個別の数値は挙げません。ここで数値を書いてしまうと、ボディで書くことがなくなるためです。ただ、数値を1つ入れたら不適切になるという話ではないので、書くとしてもごく限られた場面に絞ることになります。
もう1つ気をつけたいのが、いちばん大きい値だけを取り上げないことです。目立つ特徴ではありますが、全体を通して言える傾向にはならないので、Overviewの役割と合いません。Overviewの中身の作り方は、図の種類ごとに別記事で詳しく整理してあります。
ライティング・タスク1
アカデミック・タスク1のOverview(概要文)の書き方:置く位置と、概要と詳細の境界を図の種類ごとに整理
04 ボディは、比較が生まれる組み合わせで分ける
ボディの区切り方に、図の種類で決まる正解はありません。上に置く考え方は1つで、似た特徴を持つデータを同じ段落にまとめ、比較や対比がしやすい組み合わせにすることです。すべての段落のあいだに対比を作らなければならない、という意味ではありません。読み手が情報を整理された形で受け取れれば、それで足ります。
そのうえで、実際に使う軸は次の3つです。
4-1 項目やグループでまとめる
まず考えるのがこれです。似た動き方をするもの、似た水準にあるものを同じ段落に入れます。
国 水力 風力 太陽光
Norway 88% 10% 2%
Canada 82% 14% 4%
Germany 12% 55% 33%
Spain 15% 48% 37%
NorwayとCanadaは水力に偏り、GermanyとSpainは風力と太陽光が中心です。ボディ1に前の2か国、ボディ2に後ろの2か国を入れると、対比がそのまま段落の切れ目になります。国名の順に4段落並べる必要はありません。
横軸が年になっている図でも、この軸が使えます。むしろ使えることのほうが多いくらいです。
年 Car Bus Bicycle
1990 40万人 35万人 5万人
2000 55万人 28万人 6万人
2010 70万人 20万人 8万人
2020 78万人 15万人 25万人
この図では、CarとBusが期間を通じて反対方向へ一貫して動いています。一方Bicycleは、2010年まで5万人から8万人へ緩やかに増えたあと、2020年に25万人へ跳ね上がっています。動き方が違うので、ボディ1にCarとBus、ボディ2にBicycleと割ると、それぞれの段落の中で比較が成り立ちます。
この図を1990年から2010年、2010年から2020年と時期で切ることもできますが、そうするとどちらの段落でも3本すべてに触れることになり、CarとBusの対比がぼやけます。横軸が年だからといって、時期で切るのが既定というわけではありません。
4-2 時期で分ける
時期で切るのが向くのは、図に出ている線の多くが同じところで向きを変えている場合です。共通の転換点があるなら、そこで割ると説明が自然につながります。
年 Company A Company B Company C
2000 20 15 12
2005 32 24 19
2010 45 38 30
2015 38 30 25
2020 25 21 18
3社とも2010年まで伸び、そこから下がっています。この形なら、ボディ1に2000年から2010年、ボディ2に2010年から2020年を割り当てると、上昇局面と下降局面という対比が段落のあいだに生まれます。逆に、転換点が3本のうち1本にしかないなら、この軸は向きません。
4-3 図が2つあるときは図ごとに分ける
タスク1では、線グラフと円グラフのように2つの図が並んで出ることがあります。それぞれの図が独立した内容を示しているなら、ボディ1に1つ目の図、ボディ2に2つ目の図を割り当てるのがいちばん簡単です。2つの図が同じ対象を別の角度から見ているような場合は、図ごとではなく共通する項目でまとめたほうが うまくいくこともあります。
ここで気をつけたいのは、2つの図を最後まで別々に扱って終わらないことです。両方に共通して言えることがあるなら、Overviewでそこに触れておくと、レポートが2本のばらばらな報告に見えなくなります。
05 判断が付かないときの順番
3つの軸のどれを使うか決まらないときは、次の順で見ていきます。
手順1:まとめると比較が生まれる組み合わせがないかを探す。動き方や水準が似ているものどうしを組にする
手順2:組にできないなら、多くの線が同じところで向きを変えていないかを見る。共通の転換点があれば、そこで時期を割る
手順3:どちらも決まらないなら、大きいグループと小さいグループの2つに割る
4-1の再生可能エネルギーの表なら、手順1で決まります。水力に偏った2か国と、風力・太陽光が中心の2か国という組ができるためです。4-2の売上の表は、手順1では組が作りにくく、手順2で共通の転換点が見つかります。
手順3は最後の手段ですが、レポートとしては成立します。ボディの分け方に唯一の正解はないので、どの割り方でも、そこに理由があって、段落の中身がその理由と合っていれば問題ありません。評価されるのは割り方そのものではなく、情報が整理されて読めるかどうかです。
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ライティングタスク1模試
本番形式の図でタスク1を書く練習ができます。ボディの分け方を試す素材としてどうぞ。
06 この型でよくある失敗
数字を全部書こうとする
表に24個の数字があっても、レポートに24個並べる必要はありません。挙げるのは、Overviewで述べた傾向を裏づける数値だけです。ボディ1つにつき3つから4つ程度を使えば、傾向を十分に裏づけられることが多いでしょう。数を合わせることが目的ではないので、裏づけになっているかどうかで決めます。全部書こうとすると、150語では収まらないうえ、どれが重要なのかが読み手に伝わらなくなります。
ライティング・タスク1
ライティング・タスク1の変化表現:increase・rise・fallを動詞と名詞で使い分ける
段落ごとに1つの項目を順に説明する
4-1の表で、Norway、Canada、Germany、Spainと4段落に分けてしまう形です。段落は増えますが、段落と段落のあいだに比較が起きていないので、情報を整理したことになりません。並列の項目が出てきたら、まとめられないかを先に考えます。
横軸が年だからという理由だけで時期を割る
年が並んでいる図を見た瞬間に、前半と後半で切ろうとする形です。線がそれぞれ別の動き方をしている図でこれをやると、どちらの段落でも全部の線に触れることになり、同じ内容を2回書いたようなレポートになります。時期で割るのは、多くの線が同じところで向きを変えているときです。
自分の意見や理由を書く
タスク1で問われているのは、図に示されていることを正確に伝えることです。なぜ自転車が増えたのか、どの国のやり方がよいのか、といった説明は図に書かれていないので、書くと図から離れた内容になります。理由や意見を述べるのはタスク2の役割です。
導入とOverviewで同じことを2回書く
導入は図が何を示しているか、Overviewは図から読み取れる傾向です。Overall, the chart shows the changes in car ownership between 1990 and 2020. のような文は、導入で書いた内容の言い換えにすぎず、何が起きたのかという情報が入っていません。同じ段落に並べて書くぶん、この重複は目につきやすくなります。
07 よくある質問
タスク1は何段落で書くのが正解ですか
IELTSに段落数の決まりはないので、正解はありません。プラスワンポイントでは、導入とOverviewを第1段落にまとめ、ボディを2つに分けた3段落をすすめています。図によってはボディが1つでも3つでもレポートとして成立します。
Overviewは独立した段落にしたほうがよいですか
導入の1文に続けて、同じ段落の中に書く形をすすめています。読み手が全体像を受け取ってから細部に入れることと、時間切れのリスクを避けられることが理由です。最後に独立した段落として置く書き方もあり、それ自体が評価に響くわけではありませんが、時間が足りなくなったときに真っ先に落ちるのがこの段落になります。
ボディはどういう基準で分ければよいですか
似た特徴を持つデータを同じ段落にまとめ、比較や対比がしやすい組み合わせにします。実際に使う軸は、項目やグループでまとめる、時期で分ける、図が2つなら図ごとに分ける、の3つです。図の種類で自動的に決まるものではありません。
横軸が年なら、時期で分ければよいですか
そうとは限りません。時期で割るのが向くのは、図に出ている線の多くが同じところで向きを変えている場合です。それぞれ別の動き方をしている図で時期を割ると、どちらの段落でも全部の線に触れることになり、対比がぼやけます。年が並んでいても、まずは似た動きどうしをまとめられないかを考えます。
図の数字はどれくらい書けばよいですか
ボディ1つにつき3つから4つ程度を使えば、傾向を十分に裏づけられることが多いでしょう。個数そのものが目標ではないので、Overviewで述べた傾向の裏づけになっているかどうかで決めます。図にある数字を全部書こうとすると、150語に収まらないうえ、どれが重要なのかが伝わらなくなります。
図が2つ出た場合はどう構成しますか
それぞれの図が独立した内容を示しているなら、ボディ1に1つ目の図、ボディ2に2つ目の図を割り当てるのがいちばん簡単です。ただし最後まで別々に扱って終わらせず、両方に共通して言えることがあればOverviewで触れておくと、2本のばらばらな報告に見えなくなります。
設問文はそのまま書き写してもよいですか
写した部分は語数に数えられないので、自分の言葉に置き換えます。名詞と動詞をいくつか替えるくらいで十分です。期間や場所を凝った表現に書き換えると、かえって何のデータか伝わりにくくなります。
ボディの分け方に正解はありますか
唯一の正解はありません。どの割り方でも、そこに理由があって、段落の中身がその理由と合っていれば問題ありません。評価されるのは割り方そのものではなく、情報が整理されて読める形になっているかどうかです。
08 まとめ
タスク1の構成で自分の判断が要るのは、Overviewに何を書くかと、ボディをどう区切るかの2つです。導入は書くことが決まっているので、図を見て考える時間はこの2つに使えます。
導入、Overview、ボディの3つの役割で考える。役割と段落数は別で、導入+Overviewの第1段落とボディ2つの3段落がすすめやすい
導入は設問文の言い換えを1文。凝った書き換えは狙わない
Overviewは導入と同じ段落に続けて書く。基本的に個別の数値は挙げない
ボディは、比較や対比がしやすい組み合わせを意識して分ける
使う軸は、項目やグループでまとめる、時期で分ける、図ごとに分ける、の3つ
横軸が年でも、時期で割るのが既定ではない。時期で割るのは共通の転換点があるとき
数値はボディ1つにつき3つから4つ。図にある数字を全部書かない
図を見たら、横軸が時間かどうかを最初に確かめておくと、使う動詞も段落の割り方も見当が付きます。横軸の見分け方と、それによって選ぶ動詞が変わる話は別記事にまとめてあります。
ライティング・タスク1
ライティング・タスク1は時系列かスナップショットか:横軸で見分けて動詞を選ぶ