答案を書いていて、make an effort と書くのか make efforts と書くのか、a large amount of なのか large amounts of なのかで決めきれないことがあります。日本語の「努力する」「大量の」には単数と複数の区別がないため、日本語の側からは答えが出ません。
英語では、単数形と複数形のどちらを書くかが、書き手がその内容を何を1つのまとまりとして捉えているかの表明になっています。この記事では effort と amount を軸に、単数形と複数形が分かれる基準、どちらでも成立する場面で読み手に伝わる内容がどう変わるか、in an effort to のように形が固定していて選べない表現までを整理します。
make an effort は、努力することそのものを一つの行為としてまとめて述べる形です。make efforts は、取り組みが重ねられている状態を述べる形です。分かれ目は実際の施策の件数ではなく、書き手が努力をどういうものとして捉えているかにあります。
effort には3つの形がある
形
意味
例文
effort(不可算)
労力そのもの。どれだけ力を注ぐか
Learning a second language requires considerable effort.
an effort(可算・単数)
努力することを一つの行為としてまとめて捉える
Individuals can make an effort to cut down on single-use plastic.
efforts(可算・複数)
継続的、または積極的に重ねられている取り組み
Over the past two decades, governments have made sustained efforts to reduce carbon emissions.
put effort into、require effort、with little effort のように労力そのものを指す使い方では、複数形にしません。Students who put effort into their studies tend to see results. のような文で efforts にすると、注いだ力ではなく取り組みのほうを数えている読み方に変わります。
施策の数からは決まらない
ここがこの語のつまずきやすいところです。Governments should make an effort to reduce food waste. は、政府が政策を1つだけ実施するという意味ではありません。実際にいくつの施策を打つかにかかわらず、食品廃棄を減らそうとすること全体を一つの行為として述べています。目的が並んでも同じで、Governments should make an effort to reduce food waste and improve recycling rates. は問題なく成立します。
主語の数も決め手になりません。次の2文はどちらも自然です。
Governments should make an effort to protect the environment.
Individuals should make greater efforts to reduce their own waste.
1つ目は主語が複数でも an effort、2つ目は主語が個人でも efforts です。単数形と複数形は、主語につられて決まるわけではないということです。
どちらでも成立する場面で何が変わるか
○
Individuals can make an effort to cut down on single-use plastic.プラスチックを減らそうとすることを、一つの行為としてまとめて述べている
○
Over the past two decades, governments have made efforts to cut down on single-use plastic.20年にわたって取り組みが重ねられてきたことを述べている
違いが出るのは、努力をひとかたまりの行為として述べるか、重ねられてきたものとして述べるかという点です。over the past two decades のように期間の長さを示す語や、considerable、sustained、greater のように程度や継続を表す語が付くと、efforts のほうが収まります。逆に、その場で何をするかを述べる文では an effort が落ち着きます。
試験中に決めきれないときは make an effort を選んでおくと形が安定します。主語が個人でも組織でも、目的が1つでも複数でも使えるためです。make efforts は、長期にわたって取り組みが続いてきたことを述べる場面で使うと、役割がはっきりします。
a large amount of は、ある量をひとまとまりとして捉える形です。large amounts of は、量の大きさそのものに焦点を置く形で、複数の場面や複数の種類に分かれて生じる量を指すこともあります。どちらも money、food、time のような不可算名詞に付きます。正誤の差ではなく、量をどう捉えているかの差です。
People spend a large amount of time on social media every day.
Young people spend large amounts of time on social media.
1つ目は、1日あたりの時間をひとまとまりの量として測っています。every day という語が付いていても、測っている単位は1日ぶんの時間です。2つ目は、若い世代がSNSに費やす時間が全体として多いことに焦点を置いています。どちらを書いても意味は通ります。1日の平均時間を数字で出すつもりなら、単数形のほうがそのあとの文とつながります。
動詞は amount に合わせる
○
A large amount of food is wasted before it reaches consumers.主語は a large amount なので is
○
Large amounts of food are wasted before they reach consumers.主語は large amounts なので are
✗
A large amount of food are wasted before it reaches consumers.of のうしろの food につられた形
動詞を合わせる相手は of のうしろの名詞ではなく amount と amounts です。単数形で書き出したのに動詞が are になっている答案は珍しくないので、見直しのときに amount の前後だけを見る習慣をつけると拾えます。
amount を数えられる名詞に使わない
✗
A large amount of people support this policy.people は数えられる名詞なので amount は付かない
○
A large number of people support this policy.数えられる名詞には number を使う
単数形か複数形かで迷う前に、そもそも amount を使ってよい名詞なのかを確かめておくと、この誤りは起きません。number と amount の境目、および a number of と the number of で動詞の形が変わる点は、別の記事で詳しく扱っています。
role と impact は、タスク2の答案で出番の多い組み合わせです。play an important role in と have a significant impact on はどちらも単数形で使われることが多く、役割や影響をひとまとめにして述べているためです。役割や影響を複数のものとして捉えるときに、複数形へ切り替わります。
Climate change has a significant impact on food production.
Climate change has different impacts on agriculture, public health and migration.
2つ目の文では、影響を受ける領域が3つ並んでいます。それぞれ性質の違う影響があるという前提が立つため、ここでは複数形のほうが内容と合います。分野に限らず、Climate change has different impacts on different generations. のように、影響を受ける相手が分かれている場合も同じです。逆に、影響の内容をこのあと1つだけ掘り下げるのであれば、単数形にしておいたほうが段落が締まります。
decision は、日常的に繰り返される判断を述べるか、特定の1つの決定を述べるかで分かれます。Parents make decisions on behalf of young children. は、親が子どもに代わって日々くだしている判断を指しています。一方、The decision to raise university fees was widely criticised. は、実際にくだされた1つの決定を指しています。
主語が複数形でも単数形を選ぶ場面がある
主語が複数形だから、そのあとの名詞も複数形にする、という決め方をしないところが要点です。
○
Schools play an important role in shaping the values of young children.どの学校も同じ1つの役割を担っているという内容
○
Schools play different roles in different societies.社会ごとに役割が分かれているという内容
主語は同じ Schools でも、役割を1つと見るか複数と見るかで形が分かれます。答案では前者の形、つまり複数の主体が共通して1つの役割を担うという書き方のほうが出番が多くなります。play important roles と書いてしまうと、役割が複数あるという前提が立ち、その中身を説明する義務が生じます。
単複で意味そのものが変わる語
take a step と take steps のように、単複の選択が量の問題を超えて意味を変える組み合わせもあります。
Governments should take steps to reduce carbon emissions.(対策を講じる)
Banning plastic bags is a step towards reducing waste.(前進のための一歩)
対策を講じるという意味では、通常 take steps の形を使います。take a step は数の問題ではなく、象徴的な一歩を指す言い方として別に覚えておくと使い分けられます。
Students benefit from studying abroad.留学する学生一般について述べている
△
A student benefits from studying abroad.文としては成り立つ。ある一人の学生を思い浮かべた書き方になり、一般論としては読みにくい
設問の形にそろえる
advantages と disadvantages は、設問がすでに複数形で書かれています。Do the advantages of this development outweigh the disadvantages? という設問を受ける以上、答案でも複数形で受けるのが自然です。
The advantages of this trend outweigh the disadvantages.
The main advantage of remote work is the reduction in commuting time.
1つ目は、利点の総量と欠点の総量を比べています。ここを The advantage outweighs the disadvantage. にすると、利点も欠点も1つずつしかないという内容になり、設問が求めている比較になりません。2つ目のように利点を1つに絞って挙げる文なら、the main advantage という形で単数形が出ます。
the main + 単数形という型
一般論では複数形、絞り込むときは the main を付けて単数形、という型で覚えておくと、答案の中で形がそろいます。
large numbers of のように形容詞が付いた複数形は使える。numbers of だけを付ける形は一般的ではない
a lack of
〜の不足
lacks of とは書かない
Several cities have introduced congestion charges in an effort to reduce traffic.
Employers should make every effort to accommodate working parents.
1つ目の文では、複数の都市がそれぞれに導入しているにもかかわらず in an effort to のままです。ここで in efforts to に変えると、形として落ち着きません。2つ目の every effort も、あらゆる努力という内容でありながら単数形です。意味と形が一対一で対応していない例なので、上の表ごと覚えてしまうほうが早く済みます。
どちらの形も成立する場面でどちらを選んだかが、それだけで問題になることはありません。実際に影響するのは、a effort のように冠詞が落ちている形、A large amount of food are wasted. のように動詞が合っていない形、amount と number を取り違えた形です。採点基準(Band Descriptors)の Grammatical Range and Accuracy では、さまざまな文構造を使い分けられるかと、それを正確に書けるかが見られています。
どちらも正しい形です。努力することを一つの行為としてまとめて述べるなら make an effort、取り組みが重ねられている状態を述べるなら make efforts を選びます。実際の施策の件数や主語の数で決まるものではないため、決めきれないときは make an effort を選んでおくと形が安定します。
個人について書くときに make efforts と書くと誤りになりますか
誤りにはなりません。Individuals should make greater efforts to protect the environment. のように、個人が主語でも efforts は使えます。make efforts は複数の具体策を並べる場面だけでなく、継続的、積極的な努力を述べる場面でも使える形です。そのあとに具体策を複数挙げる必要もありません。
a large amount of と large amounts of は、どちらを使えば安全ですか
どちらか一方だけが安全という関係にはなっていません。量をひとまとまりとして捉えるなら a large amount of、量の大きさそのものに焦点を置くなら large amounts of を使います。複数形にするために量が複数の場面へ分かれている必要はなく、The project requires large amounts of money. のように1つの対象について述べる文でも使えます。
a large amount of people と書いてもよいですか
この形は使いません。amount は不可算名詞に付く語なので、people のように数えられる名詞には number を使います。A large number of people support this policy. のように書きます。
A large amount of money のあとの動詞は is と are のどちらですか
is です。動詞は of のうしろの名詞ではなく amount に合わせます。複数形にした Large amounts of money が主語であれば are になります。
in an effort to は in efforts to と書き換えられますか
答案では in an effort to のまま使うほうが確実です。この形は意味から単複を選ぶ表現ではなく、形ごと決まった言い方として使われています。make every effort to も同じで、every のうしろは単数形で固定されています。
主語が複数形なら、そのあとの名詞も複数形にするのですか
主語の数につられて決めるものではありません。Schools play an important role in shaping the values of young children. のように、主語が複数形でも、それぞれが担う役割が1つであれば単数形を使います。複数形にすると、学校ごとに違う役割があるという内容に変わります。
単数形と複数形の選択は、スコアに影響しますか
どちらも成立する場面での選び方そのものが、答案の評価を左右することはありません。影響するのは、a effort のように冠詞が落ちている形、動詞が amount と合っていない形、amount と number を取り違えた形です。Grammatical Range and Accuracy では、さまざまな文構造を使い分けられるかと、それを正確に書けるかが見られています。