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ライティング・タスク2

bias と prejudice の違い:判断のかたよりと、根拠のない決めつけ

執筆:高橋 響 公開日:

英語の「偏見」は、いつも prejudice とは限りません。報道のかたよりなら bias、人や集団に対する根拠のない決めつけなら prejudice で、日本語ではどちらも「偏見」と訳されますが、英語では使われる場面がかなり違います。

ライティング・タスク2では、報道、採用、男女差別などを論じるときにこの2語を使う機会があります。辞書の定義と実際の用例を見ながら、いま書こうとしているのは bias なのか prejudice なのかを見分けられるようにしていきます。

01bias と prejudice は、それぞれ何に向けられた語か

2語を分けているのは、判断が傾いているという状態そのものか、人や集団についてあらかじめ作られた見方か、という点です。bias は判断が一方に傾いていることを指し、その傾きは賛成の側にも反対の側にも向きます。prejudice は、十分な根拠や知識がないまま、人や集団などに対して抱く不合理な見方を指します。

2語の基本

bias:判断のかたより。向けられる先は人だけでなく、報道・研究・データ・カリキュラムにも広がる

prejudice:十分な根拠や知識がないまま抱く不合理な見方。人種・宗教・性別を理由に、人や集団へ向けられることが多い

辞書の語義を比べると、この差がはっきりします。Cambridge Dictionary は bias を、個人的な意見が判断に影響することで、ある人やものごとを不当に支持したり反対したりすることだと説明しています(2026年9月7日時点)。

Cambridge Dictionary(bias)

the action of supporting or opposing a particular person or thing in an unfair way, because of allowing personal opinions to influence your judgment

一方、prejudice の語義には、向けられる対象と、考える材料が足りていないことの両方が書き込まれています。

Cambridge Dictionary(prejudice)

an unreasonable opinion, especially about a particular group of people, that is formed without thought or knowledge

Oxford Learner's Dictionaries も同じ方向で、prejudice を「人・集団・習慣などに対する不合理な嫌悪や好み。とくに人種・宗教・性別などにもとづくもの」と説明しています。語義そのものに人種・宗教・性別という条件が書かれている語は、bias のほうにはありません。

観点biasprejudice
向けられる先人、報道、研究、データ、教育課程人や集団に向くことが多い
傾きの向き支持する側にも、反対する側にも嫌悪の側が中心。好意の側もある
語義に入っている条件個人的な意見が判断に影響している十分な根拠や知識がないまま抱いている
不当さを含まない使い方ある(好みや傾向、研究データのかたより)両辞書に語義として載っていない
日本語にするとかたより、傾向、先入観偏見、決めつけ

02bias は、いつも「偏見」の意味とは限らない

bias を「偏見」とだけ覚えていると読み違える用例が、両辞書に載っています。ひとつは、単に何かを他より好むという意味の bias です。Cambridge はこれを「ある分野やものを好むこと」と説明し、She showed a scientific bias at an early age. という用例を挙げています。Oxford の The course has a strong practical bias. も同じ用法で、そのコースが実践面に重きを置いているという意味になります。

不当さを含まない bias

She showed a scientific bias at an early age.(幼いころから理科系のものを好んでいた)

The course has a strong practical bias.(そのコースは実践面に重きを置いている)

In some British universities there was a bias towards pure science.(純粋科学に重点が置かれていた)

この意味では prejudice は使いません。両辞書とも、prejudice に「好みや重点」を表す語義を載せていないためです。日本語の「偏見」から入ると2語が同じものに見えますが、bias のほうが守備範囲はひとまわり広くなっています。

研究とデータの話では bias が定訳になっている

もうひとつが、研究や統計で使われる bias です。Oxford はこれを「ある要因が考慮されていないために、研究や実験の結果が正確でなくなること」と定義しています。調査結果の信頼性について書くなら、この意味の bias が使えます。

  • selection bias:調査の対象者の選び方によって結果が偏ること
  • sampling bias:標本が母集団を代表していないこと
  • publication bias:否定的な結果が報告されにくいことによる偏り
  • survivorship bias:失敗して消えた事例が集計から抜け落ちること
  • unconscious bias:本人が気づいていないかたより

If the response rate is low, the risk of bias in the findings increases.研究結果のかたよりは bias

If the response rate is low, the risk of prejudice in the findings increases.辞書はどちらも prejudice にデータのかたよりを表す語義を載せていない

この5語のうち unconscious bias は、採用や昇進を論じる回答でそのまま使える表現です。Cambridge も Unconscious bias can influence decisions in recruitment, promotion, and performance management. という用例を載せています。unconscious は本人が意識していないという意味なので、採用の話では、個人を差別的だと直接批判するかわりに、この語で判断のかたよりを説明できます。

IELTS学習アプリ 表現ニュアンス比較 似た意味の語を並べて、含みと使い分けをAIが解説します

03prejudice が選ばれるのは、人や集団への決めつけを言うとき

prejudice を選ぶ決め手は、その見方が人や集団に向けられていて、しかも十分な材料がないまま作られている点にあります。両辞書の用例も、人種・宗教・障害・性別といった属性に集まっています。

辞書の用例

Laws against racial prejudice must be strictly enforced.

There was often prejudice against people with disabilities.

The experience merely confirmed all his prejudices about living in the city.

3文目のように、prejudice は個々の思い込みを数えて複数形にもできます。ある人が持っている決めつけをひとつずつ指すときは prejudices、社会に広がっている状態を指すときは racial prejudice のように数えない形で書くことが多くなります。

prejudice は嫌悪だけを表す語ではない

prejudice は、否定的な感情だけを指す語ではありません。Oxford の語義は an unreasonable dislike of or preference for となっていて、好意の側も含まれています。用例も She admitted to a prejudice in favour of British universities. のように、根拠なく好んでいる状態を prejudice と呼んでいます。ただし含まれるのは単なる好みではなく、十分な根拠のない不合理な preference のほうです。

Many employers still have a prejudice against older applicants.属性を理由にした決めつけ。もっとも多い形

She admitted to a prejudice in favour of graduates from her own university.好意の側にも prejudice は使える

Statistics show a clear prejudice against female applicants in this industry.statistics show が示すのは結果に表れたかたよりなので bias のほうが収まる

3文目を △ にしたのは、統計を持ち出すと prejudice が使えなくなるからではありません。statistics show a clear ... が示しているのは選考の結果に表れたかたよりで、これは bias が受け持つ範囲です。人々や雇用主が抱いている見方そのものを述べたいなら、There is still widespread prejudice against female applicants in this industry. のように主語を変えれば、prejudice のまま自然に書けます。何について述べている文なのかで、選ぶ語が決まります。

04前置詞・語形・数え方でつまずくところ

語義が分かっても、回答では形のところで崩れます。前置詞、形容詞の形、動詞にしたときの意味の3つを確かめておきましょう。

前置詞は against と towards と in favour of

bias は3つの前置詞と組み、かたよりの向きで使い分けます。against は不利なほうへのかたより、towards は「〜のほうに傾いている」というかたより、in favour of は支持するほうへのかたよりです。prejudice は against との組み合わせが中心で、in favour of も辞書の用例にあります。

biasprejudice
〜に不利なかたよりa bias against American productsprejudice against people with disabilities
〜を支持するかたよりa marked bias in favour of employing mena prejudice in favour of British universities
〜のほうに傾いたかたよりa bias towards emerging marketsこの用法は辞書に無い
形容詞be biased against、a biased reportbe prejudiced against、prejudiced attitudes
数え方可算・不可算の両方可算・不可算の両方

形容詞のところは、修飾する相手が違う点に気をつけると迷いません。biased は報道・記事・調査のような、人以外のものも修飾できます。prejudiced は人と、その人の見方や態度を修飾する形が中心です。報道や調査そのもののかたよりを言うなら The report is biased. が自然で、prejudiced は人やその人の態度・見方を表すときに使います。

動詞の prejudice には「害する」の意味もある

2語とも動詞として使えて、「人の判断をゆがめる」という意味では同じ形になります。Cambridge は bias に The judge withheld the information on the grounds that it would bias the jury. を、prejudice に His comments may have prejudiced the voters against her. を載せています。

ただし prejudice の動詞には、もうひとつ「害を与える」という意味があります。The fact that you were late all this week may prejudice your chances of getting a promotion. がその例で、ここでの prejudice は判断をゆがめるというより、可能性を損なうという意味です。IELTSでは、この多義性をあえて使う必要はありません。人や集団への偏見を言いたいなら prejudice against ...、判断を一方に傾けるという意味なら bias ... against ... と書けば、意味が明確になります。

Negative reports prejudice the public.文脈がないと、判断をゆがめるのか害を与えるのかが取りにくい

Negative reports bias the public against immigrants.against で向きまで示すと意味が定まる

Negative reports reinforce prejudice against immigrants.名詞のまま使えば動詞の多義を避けられる

どちらも可算・不可算の両方で使われます。個別のかたよりや思い込みを指すときは a bias や a prejudice、一般的・抽象的な状態を指すときは bias や prejudice のような形がよく使われます。racial prejudice remains widespread と a bias against older workers の両方を書けるようにしておきましょう。

05実際のタスクで、どちらを選ぶか

ここまでの違いを、実際のタスクで確認してみましょう。1問目は報道を扱ったタスクです。

タスク

The tendency of news reports in the media to focus more on problems and emergencies than on positive developments is harmful to individuals and society as a whole. To what extent do you agree or disagree?

ここで論じるのは、報道の取り上げ方が一方に傾いているという状態です。特定の集団への決めつけの話ではないので、選ぶ語は bias になります。報道全般の傾きなら media bias、悪い知らせに注意が向きやすいという傾向を指すなら negativity bias と書けます。

This prejudice in news coverage makes readers unnecessarily anxious.報道の傾きを prejudice とは呼ばない

This bias in news coverage makes readers unnecessarily anxious.取り上げ方のかたよりは bias

Editors are biased towards stories that provoke a strong reaction.形容詞にすると主語を人にできる

採用を扱うタスクでは、2語を使い分けられる

2問目は採用を扱ったタスクです。

タスク

In many countries, companies hire more men than women for certain positions. Some people believe that employers should be required to recruit equal numbers of men and women in every field. To what extent do you agree or disagree?

選考の過程で判断が傾いているという話なら bias、応募者への見方そのものを問題にするなら prejudice です。2語を並べて使い分けると、原因の説明が1段細かくなります。

Unconscious bias in recruitment can favour male candidates even when employers intend to be fair.

採用における無意識のかたよりは、雇用主が公平であろうとしていても男性の候補者に有利に働くことがあります

Prejudice against women in physically demanding roles is often based on assumptions rather than evidence.

体力を要する職種で女性に向けられる決めつけは、証拠ではなく思い込みにもとづいていることが多くあります

Quotas address the outcome, but they do not remove the prejudice that produced it.

割当制は結果には対処しますが、その結果を生んだ決めつけそのものを取り除くわけではありません

3文目のような書き方をすると、制度と意識を分けて論じられます。数字に表れた不均衡そのものは the gap や the imbalance で受けます。その差につながる判断のかたよりが bias、人や集団への根拠のない見方が prejudice です。3つを使い分けると、反対意見の段落でも同じ語の繰り返しになりません。

06discrimination・stereotype とどう並べるか

差別や不平等を扱う回答では、この2語のまわりに discrimination と stereotype も出てきます。ここは、全部 prejudice の言い換えだと考えないことが大切です。

指しているもの回答での位置づけ
stereotypeある集団についての固定したイメージ。誤っていることが多い思い込みの中身
prejudice十分な知識のないまま作られた、人や集団への見方個人が抱く態度
bias判断が一方に傾いていること判断や制度に表れたかたより
discrimination人種や性別などを理由に、実際に不利な扱いをすること表に出た行為

Cambridge が discrimination に載せている語義は、人種や性別などを理由に、ある人や集団を他と違う扱い、とくにより悪い扱いをすることです。態度ではなく扱いの話なので、法律や制度を論じる段落と結び付きます。stereotype は「ある人やものについて人々が持っている固定した考え。とくに誤っているもの」で、こちらは中身の話です。

イメージ・態度・扱いに分けて書く

回答では、この3つを分けて並べると原因と結果のつながりが説明できます。固定観念が個人の偏見につながり、それが採用や賃金の場面で差別的な扱いとして表れることがある、という順です。1文で書くと次のようになります。

Stereotypes about who is suited to leadership harden into prejudice, and that prejudice appears in hiring decisions as discrimination.

誰が指導的な立場に向いているかという固定したイメージが決めつけになり、その決めつけが採用の判断のなかで差別として表れます

Anti-discrimination laws can change behaviour long before they change attitudes.

差別を禁じる法律は、人々の意識を変えるよりずっと早く行動を変えられます

2文目のように、行為と態度を分けたうえで対策の届く範囲に触れると、反論を先取りした段落が作れます。IELTSでは、同じ語を何度も繰り返すより、何が原因で何が結果なのかに合わせて語を選ぶほうが自然です。

ライティング・タスク2 misinformation と disinformation の違い:だます意図があるかどうか

報道やソーシャルメディアを扱うタスクでは、情報の正しさを指す語も同じように分かれます。意図の有無で選ぶ2語は上の記事にまとめてあります。

07よくある質問

bias と prejudice の違いは何ですか。

bias は判断が一方に傾いていることを指し、その傾きは支持する側にも反対する側にも向きます。prejudice が指すのは、十分な知識のないまま作られた、人や集団についての見方です。bias は報道や研究データにも使えますが、prejudice はおもに人や集団に向けられる語です。

bias はいつも悪い意味ですか。

悪い意味だけの語ではありません。単に何かを他より好むという意味の用法があり、She showed a scientific bias at an early age. や The course has a strong practical bias. のように使います。研究や統計で結果のかたよりを指す用法も、善悪の評価を含みません。

報道のかたよりは media prejudice と書けますか。

報道の取り上げ方の傾きを指すなら media bias を選びます。prejudice の語義は人や集団への見方に向いているため、報道の取り上げ方そのものを指す語としては bias が使われます。特定の集団に対する報道の決めつけを問題にする文なら、prejudice against ... in the media のように、対象を人や集団にして書きます。

biased と prejudiced はどう使い分けますか。

修飾する相手が違います。biased は人にも、報道や記事や調査のような人以外のものにも使えます。prejudiced は人と、その人の見方や態度を修飾する形が中心です。報告書の内容を批判するなら The report is biased. のほうが自然です。

prejudice を動詞で使ってもよいですか。

使えますが、意味が2つあるので注意が必要です。人の判断をゆがめるという意味のほかに、可能性や利益を損なうという意味があります。回答では prejudice against ... と名詞で書くか、判断をゆがめる意味なら bias ... against ... を選ぶと、読み手に迷いが出ません。

prejudice と discrimination はどう違いますか。

prejudice は人が抱く見方、discrimination は実際に人を不利に扱うことです。Cambridge は discrimination を、人種や性別などを理由に、ある人や集団を他と違う扱い、とくにより悪い扱いをすることだと説明しています。態度と行為を分けて書くと、原因と対策のつながりを示せます。

08まとめ

  • bias は判断のかたより。向きは支持の側にも反対の側にも向き、報道・研究・データにも使う
  • prejudice は、十分な知識のないまま作られた、人や集団についての見方
  • bias には不当さを含まない用法がある。好みや重点、研究データのかたよりがこれにあたる
  • prejudice は嫌悪の側だけではない。in favour of の形も辞書の用例にある
  • データや判断のかたよりなら bias、人や集団への不合理な見方なら prejudice
  • 動詞の prejudice には「害する」の意味もある。名詞で書くか、動詞なら bias を選ぶ
  • stereotype はイメージ、prejudice は態度、discrimination は扱い。分けて書くと論が進む

この2語は、差別・報道・雇用・教育と、タスク2でよく出るテーマの多くにまたがります。次にこの種のタスクを書くときは、いま自分が問題にしているのが判断の傾きなのか、人に向けられた見方なのかを決めてから語を選んでみましょう。決めてから書くと、同じ主張でも段落の中で語が重ならなくなります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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