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ライティング・タスク2

IELTSエッセイの段落分け:どこで改行するかの判断基準

執筆:高橋 響 公開日:

IELTSライティングのタスク2を書いていると、「ここで改行していいのか、まだ同じ段落で続けるべきか」で手が止まることがあります。日本語の作文とは段落の区切り方の感覚が違うため、1つの段落に理由を詰め込みすぎたり、逆に1文ごとに改行してしまったりしがちです。この記事では、段落とは何かという基本から、1段落に何を入れるべきか、どこで改行するかの判断基準、そして段落の見せ方まで整理します。

01段落とは何か

段落とは、複数の文をひとつのまとまりとしてグループ化する単位です。改行によって視覚的に区切られ、「ここから先は新しい話題です」という合図を読み手に送る役割を持っています。段落が正しく機能していれば、読み手は本文を1文ずつ読まなくても、段落の切れ目を見ただけでエッセイ全体がいくつのパートに分かれ、それぞれが導入・理由1・理由2・結論のどれにあたるのかをおおよそ把握できます。

段落構成は、Coherence and Cohesion(一貫性とつながり)の評価と関係する要素です。公開されているBand Descriptorsでは、たとえばBand 8で「Paragraphing is used sufficiently and appropriately.」、Band 9で「Paragraphing is skilfully managed.」というように、paragraphingという語そのものが明示されています。これは、語数が採点基準の記述そのものには登場しないのとは違う扱いです。語数の位置づけについては、別の記事で詳しく扱っています。

ライティング・タスク2 IELTSライティングの語数:250語に足りないとどうなるか

ただし、paragraphingという語がすべてのバンドの記述に登場するわけではなく、どのバンドで段落分けがどう扱われるか、乱れがあった場合にどの程度スコアに影響するかという詳細な線引きは公開されていません。「段落を適切に使えているかが評価と関係している」というところまでが確認できる事実です。

021段落1アイデアの原則

段落を組み立てるときの基本的な考え方は、1つの段落を1つの中心的なアイデアでまとめることです。ここでいう「1つのアイデア」は、1つの文だけを意味するわけではありません。1つの中心的な主張を、理由・説明・具体例といった形で掘り下げていくところまでを含めて、1つのアイデアとして扱います。逆に、途中で別の主張に話が移ってしまうと、読み手はどこからどこまでが1つのまとまりなのかを判断しにくくなります。

なお、「1段落1アイデア」はIELTSの公式な規則ではありません。公開されているBand Descriptorsに、このような形での段落の分け方が明記されているわけではなく、段落を組み立てるときに有効な考え方として捉えてください。

この考え方を守る理由は、読み手である採点官が、段落の切れ目を見ただけで論理構成を追えるようにするためです。段落の変わり目がそのまま論理の変わり目と一致していれば、本文を精読しなくても構成の見通しが立ちます。逆に、1つの段落に複数の主張が混ざっていると、段落の見た目上の切れ目と、内容上の切れ目がずれてしまい、Coherence and Cohesionの評価で論理展開を追いにくいと判断されることがあります。

次の2つの例を比べてみましょう。

同じ中心アイデアを掘り下げている例
Working from home can improve productivity. This is because employees can work during the hours when they are most focused. For example, someone who concentrates best in the early morning can start work before the household wakes up, rather than being tied to a fixed nine-to-five schedule.

この3文は、「生産性が上がる」という1つの中心的なアイデアを、理由と具体例で掘り下げています。だからこの3文は、1つの段落のままで問題ありません。

別々のポイントを並べている例
Working from home improves productivity. It also reduces commuting costs. Furthermore, employees can spend more time with their families.

一方、こちらの3文は「生産性」「通勤コストの削減」「家族との時間」という3つの別々のポイントを、それぞれ1文で並べているだけです。どれも掘り下げられずに次の話へ移ってしまっているため、それぞれを独立した段落として、理由・説明・具体例を加えて展開したほうが内容が充実します。

段落の使い方起こりやすいこと
1段落を1つの中心的なアイデアでまとめる段落の切れ目がそのまま論理の切れ目になり、読み手が構成を追いやすい
1段落に複数の中心的なアイデアを詰め込む段落が何を主張しているのか曖昧になり、一貫性の評価が下がりやすい
ポイントを1文書くごとに改行する理由や具体例を展開する前に段落が終わり、内容が薄くなりやすい

「1段落1アイデア」は、段落を作るときの基本の考え方であって、機械的に必ず守らなければならない規則ではありません。ただし、これを崩す積極的な理由がない限りは、この考え方に沿って組み立てるほうが、読み手にとっても書き手にとっても構成を管理しやすくなります。

03IELTSエッセイは何段落で書くか

1段落1アイデアの考え方に沿うと、エッセイ全体の段落数は、ボディで扱う中心的なポイントの数によって決まります。導入が1段落、結論が1段落という点は共通していて、変わるのはボディの段落数です。ボディで2つのポイントを扱うならボディは2段落、3つのポイントを扱うならボディは3段落になります。

ここでいう「ポイント」は、意見型の問題では理由にあたりますが、Discuss Both Views型なら賛成側の視点と反対側の視点、Advantages/Disadvantages型なら利点と欠点というように、問題タイプによって呼び方が変わります。呼び方は変わっても、ボディで扱う中心的なまとまりの数がそのままボディの段落数になるという考え方は共通しています。

構成段落数内訳
ボディ2つの構成4段落導入1+ボディ2+結論1
ボディ3つの構成5段落導入1+ボディ3+結論1

ボディをいくつにするか、それぞれの段落にどのくらいの語数を配分するかは、内容の展開のしやすさと関わってきます。この判断については、別の記事で詳しく扱っています。

ライティング・タスク2 IELTSエッセイの構成:ボディを2つにするか3つにするかの判断

この記事では、エッセイ全体の段落数ではなく、1つ1つの段落の中で何をどう書くか、そしてどこで次の段落に移るべきかという、段落単位の判断に焦点を当てます。

041つの段落の中身の型

ボディの1段落は、次の順番で組み立てると、1段落1アイデアの原則を保ったまま内容を展開できます。

  • トピックセンテンス:その段落で扱う中心的なアイデアを1文で言い切る
  • 説明:なぜそう言えるのかを1〜2文で補う
  • 具体例:説明を具体化する事例や状況を添える
  • 結果・補足(任意):主張を補強する結果や一言を添える

この順番は決まった型ですが、毎回すべての要素をそろえなければならないわけではありません。トピックセンテンス・説明・具体例の3つがそろっていれば、段落として十分に機能します。

トピックセンテンスの書き方そのものについては、別の記事でより詳しく扱っています。

ライティング・タスク2 【6.0以上では必須】トピックセンテンスはなぜ重要なのか?

実際にこの型に沿って書いたボディ1段落は、次のような分量になります。

Furthermore, allowing employees to choose their own working hours can significantly improve their overall productivity. When people are free to work during the time of day that suits them best, they tend to complete tasks more efficiently and make fewer mistakes. For instance, someone who concentrates better in the evening is likely to produce lower-quality work if forced to start at eight in the morning. Without this kind of flexibility, many employees end up wasting valuable hours simply trying to stay alert.(82語。1文目がトピックセンテンス、2文目が説明、3文目が具体例、4文目が結果を添えて主張を補強する一文)

この段落の中には、生産性の向上という1つの中心的なアイデアしか出てきません。給与の話や通勤時間の話など、別のアイデアを同じ段落に混ぜていない点に注目してください。新しいアイデアが出てくるなら、それは次の段落の役割です。

05どこで改行するか:判断基準

段落の改行は、「何文書いたか」ではなく「中心的なアイデアが変わったか」で判断します。次に書こうとしている1文が、それまでと同じ中心的なアイデアを扱っているかどうかで考えてください。

次の3つに当てはまる間は、まだ改行しません。

  • 今のアイデアについて、理由や原因を説明している
  • 今のアイデアの具体例を挙げている
  • 今のアイデアの結果や補足を付け加えている

一方、次のどちらかに当てはまるなら、そこが改行の場所です。

  • 別の中心的なアイデアに移るとき:今のアイデアの説明・具体例が終わり、次のアイデアの話を始めるなら、そこが改行の場所です
  • 異なる側の議論に移るとき:Discuss Both Views型のように、賛成側の議論から反対側の議論に移るなら、それぞれを別の中心的なまとまりとして段落を分けます。ただし「立場が変わったから機械的に改行する」のではなく、扱っている中心的なアイデアが切り替わったかどうかで考えるのは同じです

注意したいのは、「文の役割が変わる」こと自体は改行の合図にならないという点です。たとえば、原因の説明のあとに具体例を挙げる文は、役割としては「説明」から「具体例」に変わっていますが、扱っているアイデアは同じなので改行しません。改行するのは、原因の説明から、その原因とは独立した解決策の提案に移るときのように、中心的なアイデアそのものが切り替わるときです。

具体例も同じ考え方で、それが支えている主張と同じ段落の中に置いてはじめて、何の例なのかが読み手に伝わります。具体例だけを次の段落に切り出すと、その段落が何を言いたいのかわからなくなってしまいます。

迷ったときは、「今書こうとしている1文は、今の段落の中心的なアイデアを説明・具体化しているか」を自問してみてください。説明・具体化しているなら同じ段落、そうではなく別のアイデアの一部なら次の段落、という判断ができます。

06段落の見せ方:字下げ(インデント)は必要か

段落の中身が決まっても、それをどう見せるかで迷うことがあります。日本語の作文では、段落の最初を1マス下げる(字下げ、英語ではインデント)のが決まりですが、英語のライティングではこの決まりは必須ではありません。

そもそも英語の字下げは、タイプライターの時代に定着した習慣です。手書きの時代は、行頭を字下げする方法と、段落の間を1行空ける方法のどちらでも段落の区切りとして認められていました。コンピューターで文章を書くのが当たり前になった今は、Enterキーで改行するだけで段落の区切りが明確に伝わるため、字下げという一手間をかける理由自体がなくなっています。

コンピューター形式の解答画面では、Enterキーで改行すれば、それだけで新しい段落として扱われます。段落の頭を字下げする機能はなく、その必要もありません。改行して次の行から書き始めれば、それが段落の区切りとして読み手に伝わります。

手書きで受験する場合も考え方は同じです。段落が変わったとわかるように、新しい行の頭から書き始めれば十分です。日本語の作文のように1マス空ける決まりはありません。

IELTSでは、段落の冒頭を字下げすること自体に特別な意味はありません。重要なのは、新しい段落であることが読み手に明確に伝わることです。

07段落と語数の関係

1段落1アイデアの考え方に沿って理由・説明・具体例をきちんと展開すると、段落の語数は結果として一定の範囲に収まってきます。ただし、これから説明する数字は採点基準ではありません。語数を先に決めて段落を書くのではなく、中心的なアイデアを十分に説明・具体化できているかを優先し、語数は結果として確認する程度に使ってください。

ボディを2段落にする場合、ボディ全体でおよそ170〜190語を書くことが多く、結果として1段落はおよそ80〜100語程度になりやすいです。ボディを3段落にする場合は、同じ170〜190語を3つに分けることになるため、1段落がかなり短くなりやすく、各段落で中心的なアイデアを十分に説明・具体化できているかを確認するようにしてください。目安として60語前後を大きく下回る場合は、その段落で中心的なアイデアを十分に展開できているか、見直してみるとよいでしょう。

ボディの段落数結果としてこうなりやすい
2段落1段落あたりおよそ80〜100語
3段落1段落あたりおよそ60語前後(短くなりやすいので要注意)

1段落が20語や30語で終わっている場合は、その段落にはトピックセンテンスしかなく、理由や具体例が足りていない可能性が高いといえます。逆に1段落が150語を超えて長くなっている場合は、実は2つ以上のアイデアが1つの段落に混ざっていないかを疑ってみてください。語数はあくまで、内容が十分に展開できているかを振り返るための目安として使うものです。語数そのものの考え方については、別の記事でさらに詳しく扱っています。

IELTS学習アプリ MockTest-WT2 タスク2の模擬試験を通しで練習できます。段落ごとの語数配分を意識しながら、実際に何段落で書き切れるかを体感しておくのに使えます。

08よくある質問

段落はいくつに分ければいいですか。

導入1段落・結論1段落は共通で、ボディの段落数はボディで扱う中心的なポイントの数によって決まります。ポイントを2つ扱うならボディ2段落で合計4段落、3つ扱うならボディ3段落で合計5段落になります。

1段落に何文書けばいいですか。

文の数そのものに決まりはありません。トピックセンテンス・説明・具体例という役割がそろっていれば、結果として4〜5文程度になることもありますが、文数そのものに意味があるわけではなく、中心的なアイデアを十分に展開できているかのほうが重要です。

段落の途中で改行してもいいですか。

今のアイデアの理由・説明・具体例・結果を書いている途中では改行しません。改行するのは、別の中心的なアイデアや立場に移るときです。「文の役割が変わる」こと自体は改行の合図にはならないので、具体例だけを次の段落に切り出すようなことはしません。

段落の頭は字下げ(インデント)したほうがいいですか。

字下げは必須ではありません。コンピューター形式では改行するだけで段落の区切りとして扱われ、手書きの場合も新しい行から書き始めれば区切りが伝わります。日本語の作文のように1マス空ける決まりはありません。

具体例が長くなった場合、別の段落にすべきですか。

具体例は、それが支えている主張と同じ段落の中に置きます。具体例が長くなったとしても、元の主張から離れていないなら同じ段落のままで問題ありません。話の対象がまったく別のものに切り替わった場合だけ、改行を検討します。

1段落1アイデアは絶対に守らないといけませんか。

機械的に必ず守らなければならない規則ではありませんが、崩す積極的な理由がない限りは沿っておくほうが、読み手にとっても書き手にとっても構成を管理しやすくなります。基本の考え方として持っておくとよいものです。

段落分けは採点にどう影響しますか。

公開されているBand Descriptorsでは、Band 8・9でparagraphingという語が明示されており、段落構成はCoherence and Cohesionの評価と関係する要素です。ただし、段落の乱れがどの程度スコアに影響するかという詳細な仕組みは公開されていません。

1段落の語数が極端に少ない、または多い場合はどうすればいいですか。

1段落が20〜30語で終わっている場合は理由や具体例が不足している可能性があり、150語を超えて長い場合は複数のアイデアが混ざっている可能性があります。ただしこれは採点基準ではなく、あくまで内容が十分に展開できているかを振り返るための目安です。

09まとめ

段落は、複数の文を1つのまとまりとしてグループ化し、話がどこで切り替わるかを読み手に伝える単位です。1段落を1つの中心的なアイデアでまとめるという考え方に沿って、トピックセンテンス・説明・具体例という型で組み立てると、改行のタイミングは自然と決まります。改行するのは、別の中心的なアイデアや立場に移るときで、理由・説明・具体例・結果を展開している途中では改行しません。段落の見せ方は字下げが必須ではなく、区切りが読み手に伝わることが目的です。

  • 段落の役割:話の切れ目を読み手に伝える単位。Band 8・9のDescriptorsにparagraphingの記述がある
  • 1段落1アイデア:公式のルールではなく基本の考え方。1つの段落を1つの中心的なアイデアでまとめる
  • 段落数:ボディ2段落なら合計4段落、ボディ3段落なら合計5段落
  • 段落の中身:トピックセンテンス→説明→具体例→結果・補足(任意)の順
  • 改行する場面:別の中心的なアイデア・別の立場に移るとき
  • 改行しない場面:理由・説明・具体例・結果を展開している途中。文の役割が変わるだけでは改行しない
  • 見せ方:字下げは必須ではない。改行または新しい行から書き始めれば区切りは伝わる
  • 語数の目安:採点基準ではないが、ボディ2段落は結果として1段落80〜100語程度になりやすい
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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