スピーキングのPart 2では、トピックのカードを渡されてから話し始めるまでに1分の準備時間があります。この1分をどう使うかを決めていないと、思いつくままに単語を書き並べて終わり、話し始めてから構成に困ることになります。この記事では、準備の1分で何を決めるのか、メモに書いておくとよいもの、書くと話しにくくなるもの、そして話し始めてからメモをどう見るかを、実際のトピックを例に解説します。
目次
準備の1分で決めるのは、話す順番
メモに文章を書くと、なぜ話しにくくなるのか
メモに書いておくとよいもの
カードの箇条書きをどう扱うか
1分をどう配分するか
話し始めてから、メモをどう見るか
よくある質問
まとめ
01 準備の1分で決めるのは、話す順番
1分で決めるのは、何を話すかと、どの順に話すかの2つです。英語の文を用意する時間ではありません。1分のあいだに英作文を進めても、使える量は数文にしかならず、その数文を言い終えたところで手持ちがなくなります。
本サイトのスピーキング練習に収録している、実際のトピックで見ていきます。
Part 2 のトピック
Describe an occasion when you had to do something in a hurry.
You should say:
- what you had to do - why you had to do it in a hurry - how well you did this
and explain how you felt about having to do this in a hurry.
このカードで最初に決めるのは、どの出来事を話すかです。次に、その出来事をどの順に並べるかを決めます。並べ方が決まっていれば、話しながら次に言うことを探さずに済むので、Fluency and Coherence の観点で見られている流れが保ちやすくなります。
逆に、語彙を思い出すことから始めると、1分が終わったときに手元にあるのは単語の集まりだけです。単語はあるのに、どの順で使うのかが決まっていないため、話し始めてから並べ替えることになります。
前提として
Part 2では紙と鉛筆が渡され、準備の1分のあいだにメモを取ることが認められています。話しているあいだもメモを見て構いません。採点で見られているのは Fluency and Coherence、Lexical Resource、Grammatical Range and Accuracy、Pronunciation の4つで、メモそのものに対する採点項目はありません。
02 メモに文章を書くと、なぜ話しにくくなるのか
準備時間に英文をそのまま書こうとする方は少なくありません。書いておけば安心できるからです。ただ、この書き方には無理があります。
書ける量が、話す量に届かない
1分の準備時間で英文をそのまま書こうとすると、書くこと自体に時間を使ってしまいます。書き取れる量は人によって違いますが、Part 2で話すのは1分から2分なので、書けた分を読み上げても必要な長さには届かず、残りは結局その場で組み立てることになります。一度1分を測って、自分がどれだけ書けるかを確かめてみましょう。
読み上げになると、流れも音も平板になる
書いた文があると、目がそこへ戻ります。文字を追いながら話すと、間の取り方が不自然になり、抑揚も平らになります。Fluency and Coherence は、つかえずに話せているかだけでなく、話の流れが自然かどうかも見ています。Pronunciation でも、強弱と抑揚は評価に関わります。読み上げは、この両方で持ち味を消します。
✗
Last year, I had to finish a report in a hurry because my manager suddenly asked me to submit it by the end of the day.1分でここまで書くと、準備の時間がそれだけで終わる。しかも話せるのはごく短い時間
○
report / manager / by 5pm → printer broke → finished 10 min late → relieved but exhausted出来事の順番が決まっていて、話す量は自分で伸ばせる
書いているあいだ、文法の確認に気を取られる
もう一つ見落としやすいのが、英文を書くと正しさが気になることです。時制が合っているか、冠詞が要るかを確かめながら書くので、1分の大半が1文の点検で終わります。その1文を正しく書けたとしても、残りの1分半は準備のないまま話すことになります。単語だけのメモなら正しさを気にする対象がないので、材料を集めることに時間を使えます。
下のメモは10語ほどですが、話す材料としては上より多く含んでいます。矢印が時間の流れを示しているので、次に何を言うかで迷いません。文にしていないぶん、その場の言葉で話すことになり、読み上げにもなりません。
03 メモに書いておくとよいもの
書く価値があるのは、忘れると話が止まるものだけです。思い出せるものは書きません。
書くとよいもの 理由 例
話の順番を示す矢印 次に何を言うかで詰まらなくなる report → printer broke → 10 min late
数字と固有名詞 話している最中に思い出そうとすると流れが切れる 2019、by 5pm、Osaka
最後の箇条書きへの答え 話の締めが決まっていると、途中で時間を調整できる relieved but exhausted
出てこなさそうな単語 その場で言い換えを探さずに済む deadline、last-minute
逆に、書かないほうがよいものもあります。つなぎ言葉(first、then、finally)は、書かなくても出てきます。文全体も、先ほど見たとおり書く価値がありません。カードに印刷されている語をそのまま書き写すのも、時間を使うわりに得るものがありません。
最後の箇条書きから先に決める
順番として意外に感じるかもしれませんが、いちばん先に決めておきたいのは最後の項目です。今回のカードなら how you felt about having to do this in a hurry にあたります。
ここが決まっていると、話しながら時間を調整できます。材料が尽きそうなら早めにこの部分へ移り、時間が余りそうなら手前の説明を伸ばします。逆に、締めを決めないまま話し始めると、2分に近づいたところで急に終わり方が分からなくなります。
実際にどう書くか
先ほどのトピックで、1分のあいだに書くメモは次のような形になります。行を分けるのは、カードの箇条書きに対応させるためです。
メモの例
1) finish report 2) manager asked → deadline 5pm 3) printer broke → 10 min late 4) relieved / exhausted → now I start earlier
4行で、語数にすると20語ほどです。1行目から3行目までは出来事の骨格で、4行目が締めにあたります。4行目の最後に now I start earlier と足してあるのは、時間が余ったときに伸ばすための材料です。
このメモから話し始めると、最初の2文は次のように出てきます。メモに文が書かれていないので、その場の言葉で話すことになります。
I would like to talk about a time when I had to finish a report in a hurry.
It happened about two years ago, when my manager suddenly asked me to submit it by five in the afternoon.
1文目でトピックを受け、2文目で1行目と2行目の内容に入っています。メモの行をたどっているだけなので、次に何を言うかで止まりません。
04 カードの箇条書きをどう扱うか
カードには You should say: に続けて箇条書きが並んでいます。この箇条書きは、基本的にはそのまま話す順番として使えます。上から順に話すだけで、出来事の説明として自然な流れになります。
ただし、全部の項目に触れないと評価が決まらない、というものではありません。採点基準(Band Descriptors)に、箇条書きへの対応を見る項目はありません。とはいえ、項目を順に使えば1分から2分の中身が埋まりやすくなるので、初級のうちは全部に触れておくと組み立てやすくなります。
箇条書きの項目 話す長さの目安 入れる内容
what you had to do 短く 何をしたのかを1文か2文で。前置きは要らない
why you had to do it in a hurry ふつう 急ぐことになった事情。ここで場面が具体的になる
how well you did this ふつう 結果。うまくいかなかった話のほうが説明する材料が増える
and explain how you felt ... 長く 気持ちと、そう感じた理由。ここがいちばん厚くなる
最後の and explain ... の項目が、いちばん話を広げやすい部分です。前の3つは事実の説明で終わりますが、ここは理由を続けられます。時間が余ったときに伸ばせるのもここなので、準備の段階で 材料を2つ用意しておくと安心です。
IELTS学習アプリ
トピック検索
話したいトピックを検索すると、AIがサンプルの例文と使えるフレーズを表示します。準備の1分でどんな材料を思い出せばよいかの見当をつけるのに使えます。
05 1分をどう配分するか
公式に決まっているのは、準備時間が1分だということだけです。この中をどう割るかに決まりはないので、以下は練習で使う目安として読んでください。
時間 すること 確かめること
最初の10秒から15秒 どの出来事を話すかを決める 話す材料が3つ以上あるか
次の30秒ほど 順番の矢印と、数字・固有名詞をメモする 締めの部分が決まっているか
残りの15秒 最初の一文を頭の中で作る 言い出しでつかえずに始められるか
題材選びで迷わないために
1分を使い切ってしまう原因のほとんどが、最初の題材選びです。ぴったり合う出来事を探そうとすると、10秒で決まりません。
選ぶ基準は、話が面白いかどうかではなく、材料が多いかどうかです。日付や場所を思い出せて、なぜそうなったかを説明できて、そのときどう感じたかを言える出来事なら、内容が平凡でも2分話せます。話す内容そのものは採点の対象ではないので、劇的な出来事を探す必要はありません。
それでも思い当たらないときは、細部を作って構いません。実際に起きたことでなくても、それ自体が評価を下げるわけではありません。ただし、作り話は話の一貫性を保ちにくくなることがあるので、基本的には実際の経験から選ぶほうが話しやすくなります。
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06 話し始めてから、メモをどう見るか
メモは見て構いません。ただし読み上げにならないよう、次に話す内容を確かめるために短く見るようにします。基本的には、話が次のブロックへ移るときに確認します。
今回のカードなら、急ぐことになった事情を話し終えて結果の話へ移るところ、そして結果から気持ちの話へ移るところが、その切れ目にあたります。ここで矢印の次の項目を確認すれば、途中で迷いません。
材料が足りなくなったとき
1分ほど話したところで言うことがなくなる、という場面があります。このとき、新しい出来事を足そうとすると話が散らかります。用意しておいた締めの部分へ移り、そこで理由を厚くするほうが、まとまった話になります。
気持ちを述べたあとに、なぜそう感じたのかを続け、さらに今ならどうするかまで足せば、それだけで30秒ほど伸びます。同じ話題の中で掘り下げるので、流れも切れません。
2分で止められたとき
2分たったところで試験官が止めます。話の途中で止められることになりますが、これは時間どおりに進んでいるだけで、評価が下がる合図ではありません。むしろ、2分続けて話せたという材料が残ります。話し終える前に止められることを前提に、締めの部分を先に用意しておくと、途中で止まっても言いたいことは伝わっています。
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07 よくある質問
Part 2 の準備時間は何分ですか。
1分です。話す時間は1分から2分で、2分たったところで試験官が止めます。準備のあいだは紙と鉛筆が渡され、メモを取ることが認められています。
メモは採点されますか。
採点されません。スピーキングで見られているのは Fluency and Coherence、Lexical Resource、Grammatical Range and Accuracy、Pronunciation の4つで、メモそのものに対する採点項目はありません。日本語で書いても構いません。
メモを日本語で書いてもよいのですか。
構いません。ただし、話すときに訳す手間が増えるので、単語は英語で書いておくほうが流れが保ちやすくなります。順番を示す矢印や記号は、どちらの言語でも同じように使えます。
カードの箇条書きには全部触れないといけませんか。
全部に触れることが条件になっているわけではありません。採点基準に箇条書きへの対応を見る項目はないためです。ただ、項目を順に使うと1分から2分の中身が埋まりやすくなるので、初級のうちは全部に触れておくと組み立てやすくなります。
話す内容が作り話でも問題ありませんか。
事実かどうかそのものは採点の対象ではないので、思い当たる出来事がなければ細部を作っても構いません。ただし、作り話は途中で話の一貫性が崩れて、結果的に話しにくくなることがあります。まずは実際の経験から探し、足りない部分だけを補うほうが確実です。
1分で英文を書いておくのはだめですか。
だめではありませんが、書くこと自体に準備時間を使ってしまい、書けた分だけでは必要な長さに届きません。書いた文を読み上げると抑揚が平らになりやすく、Fluency and Coherence と Pronunciation の両方で持ち味が出にくくなります。全文ではなく短い語句でメモするほうが、同じ1分で多くの材料を残せます。
途中で止められたら評価が下がりますか。
下がりません。2分は上限として決まっている時間なので、そこで止められるのは進行どおりです。締めの部分を先に用意しておくと、途中で止まっても言いたいことは伝わります。
準備の1分で緊張して何も浮かばないときはどうすればよいですか。
出来事を1つ決めることだけに最初の10秒を使いましょう。材料が多い出来事であれば、内容は平凡で構いません。決まったあとで、時間の流れに沿って矢印を書いていけば、そこから話が組み立てられます。
08 まとめ
準備の1分は、英文を用意する時間ではなく、話す順番を決める時間です。この記事のポイントを整理します。
決めるのは順番: どの出来事を話すかと、どの順に並べるかの2つ
文章は書かない: 書くこと自体に1分を使ってしまう。読み上げると流れも音も平板になる
忘れると止まるものだけ書く: 矢印、数字、固有名詞、出てこなさそうな単語
締めから先に決める: 最後の項目が決まっていると、話しながら時間を調整できる
メモは短く確認する: 話が次のブロックへ移るときに、次の項目だけを見る
次に練習するときは、1分を測って、出てきたメモを見返してみましょう。文が書かれていたら、それを矢印と単語に置き換えるところから始めるとよいでしょう。