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スピーキング

It depends on the people. が「人による」にならない理由:depend on のうしろで単数と複数を選び分ける

執筆:高橋 響 公開日:

スピーキングの回答でよく使われる「人によります」。これを英語で言おうとすると、It depends on the people. という表現になる人が一定数います。文法的には正しく、おそらく試験官にも通じます。ただ、実はこの文が伝えているのは「人による」ではありません。伝えたい内容に近い形は、It depends on the person. と、on のうしろを単数にする必要があります。単数と複数をどのような基準で選ぶのか、そして複数形のほうが自然になるのはどんなときかを、例文で追っていきましょう。

01It depends on the people. は何を言っている文になるか

It depends on the people. は誤った英語ではありません。この形が生きる場面もあります。ただしその場面では、the people がどの集団を指すのかが、話の流れから聞き手に分かります。「人によります」のつもりで使うと、聞き手はその集団を探しにいくことになります。

△

It depends on the people.その人たち次第だ。どの人たちの話なのかを聞き手が探す

○

It depends on the person.人によります

差を作っているのは the です。Cambridge Dictionary は the について、話し手と聞き手のあいだですでに分かっているものを示す語だと説明しています。the people と言われた聞き手は、その集団がどれなのかを思い浮かべようとします。

ところが「人によります」と言うときに頭にあるのは、特定の誰かたちではありません。相手がどんな人かによって答えが変わる、と述べています。指したい集団がないところで the people と言うと、聞き手はどの人たちの話なのかつかめないまま次の文を聞くことになります。試験官に伝わらないわけではありませんが、言いたかったことと別の情報が伝わります。

なぜ people のほうが出てくるのか

日本語の「人」は、1人なのか大勢なのかを示しません。「人による」の「人」も、頭のなかでは大勢の顔が浮かんでいるはずです。そこに、単語を覚えるときに person は「人」、people は「人々」と対応づけた記憶が重なります。大勢を思い浮かべながら話しているのだから people だ、という選び方になります。

英語のほうで単位になっているのは、答えが変わるたびに入れ替わる1人です。頭に浮かぶ人数とは別のものを数えています。

the と on を落とした形

同じ場面で出やすい崩れが2つあります。どちらも文として成り立ちません。

✗

It depends on person.数えられる名詞の person が裸で置かれている

✗

It depends the person.depend は名詞を直接続けられず、on が要る

○

It depends on the person.人によります

02「人による」が単数になるのは、比べている単位が1人ずつだから

depend on のうしろに来るのは、答えを左右しているものです。「人によります」と言うとき、答えは1人ずつ入れ替えながら決まります。この人ならこう、別の人ならこう、という比べ方です。比べている単位が1人なので、単数の the person になります。

同じ考え方でできている言い方が英語にいくつもあることが、その裏づけになります。

It varies from person to person.

We look at each application on a case-by-case basis.

The answer is different for each student.

from person to person も、case-by-case も、each のあとも、すべて単数です。1つと1つを並べて比べる言い方だからです。「人による」を英語にするときの the person も、この並びに入ります。

この the は、その場面で当てはまる人を指すために要ります。日本語の「その人」に近く、話が変わるたびに中身が入れ替わります。the を落とした It depends on person. が成り立たないのは、数えられる名詞の person を裸で置けないからです。

日本語で言いたいこと間違えやすい形自然な形
人によりますIt depends on the people.It depends on the person.
時と場合によりますIt depends on the situations.It depends on the situation.
その日によりますIt depends on the days.It depends on the day.
国によって違いますIt depends on the countries.It depends on the country.
会社によりますIt depends on the companies.It depends on the company.

右の列の形は辞書の例文でも確認できます。Cambridge Dictionary の depend の項には、"Would you ever get involved in a fight?" "It would depend on the situation." というやりとりと、Whether or not we go to Mexico for our holiday depends on the cost. という文が載っています。どちらも the の付いた単数です。

日本語の形に引かれて英語の組み立てが崩れる癖は、この構文に限りません。同じところから出てくる別の形は、次の記事で扱っています。

スピーキング 日本語の「〜は〜だ」をbe動詞で表現しない:スピーキングで一段上に行くための言い直し方

03複数形のほうが自然になるとき

ここまでを「on のうしろは単数」と覚えてしまうと、今度は複数形が必要な場面で迷います。単数か複数かは形の決まりではなく、答えを左右しているものが1つずつ入れ替わるのか、まとまりとして入れ替わるのかで決まります。

まとまりが答えを左右しているとき

職場の雰囲気やグループ作業の話では、1人の性格ではなく、顔ぶれ全体が結果を変えます。このときは複数形が自然です。

○

It depends on the people you work with.どんな同僚に当たるか次第です

○

It depends on the people around you.まわりの人たち次第です

この2つが自然なのは、うしろに you work with や around you が付いて、どの集団のことかが文の中で決まっているからです。01で見た裸の the people が落ち着かなかったのは、集団を指す形なのに、その集団が示されていなかったためです。

もともと複数形で使う語のとき

複数形で使うのが決まっている語もあります。circumstance がその一つで、Cambridge Dictionary はこの語を通常は複数形で使う名詞として示しています。

○

It depends on the circumstances.事情によります

△

It depends on the circumstance.事情のまとまりを指すときは複数形のほうが普通

事情のまとまりを指すときは複数形が普通なので、単数にそろえようとして the circumstance にすると落ち着きません。situation は単数、circumstances は複数、というように、語ごとの使われ方のほうが先に来ます。

判断のしかた

答えを左右しているものが1人ずつ、1つずつ入れ替わるなら単数。顔ぶれや条件のまとまりとして入れ替わるなら複数。そのうえで、circumstances のように語の側で形が決まっているものは、その形に従います。

04depend on のうしろに置ける言葉を増やす

Part 3 で意見を聞かれる設問が続くと、It depends on the person. だけで受けてしまうことが起きます。答えを左右しているものを言い当てられると、同じ設問でも違う角度から答えられますし、その名詞がそのまま次の文の話題になります。

何で変わると言いたいか英語
人It depends on the person.
場面It depends on the situation.
前後のつながりIt depends on the context.
その日ごとIt depends on the day.
国It depends on the country.
世代・年齢層It depends on the age group.
費用It depends on the cost.
話題It depends on the topic.
まわりの人たちIt depends on the people around you.
事情It depends on the circumstances.

この表では the が付いた形を並べていますが、the が付かない場合もあります。Oxford Learner's Dictionaries は depending on の例として Starting salary varies from £26 000 to £30 500, depending on experience. を挙げています。ここで experience に the が付いていないのは、応募者それぞれが持っている経験の話で、特定のひとまとまりを指していないからです。

depend on から離れた言い方

同じ内容は、depend 以外の動詞でも言えます。Part 3 の長い答えでは、1つの設問のなかで同じ構文を3回使うより、言い換えたほうが落ち着きます。

It varies quite a lot from person to person.

Attitudes differ from one generation to the next.

It really comes down to the person.

I don't think there is one answer that fits everyone.

05名詞で止めずに、how や what で続ける

単数か複数かで迷ったときにいちばん確実なのは、名詞をやめて節で続けることです。節にすれば数を選ぶ必要がなくなりますし、何によって変わるのかを名詞1語より細かく言えます。

It depends on how much time I have.

It depends on what kind of work it is.

It depends on who you ask.

It depends on where you live.

It depends on whether the group gets on well.

辞書もこの形を例に挙げています。Oxford Learner's Dictionaries の depend の項には "Your job sounds fun." "It depends what you mean by ‘fun’." というやりとりと、He either resigned or was sacked, depending on who you talk to. という文があります。Cambridge Dictionary が挙げているのは "Can you lift this case?" "It depends how heavy it is." というやりとりです。

on が落ちる形と落ちない形

上の例のうち、It depends what you mean by ‘fun’. と It depends how heavy it is. には on がありません。how や what で続けるときは、話し言葉で on が落ちることがあります。どちらの形でも通じます。

一方、名詞を続けるときに on を落とすことはできません。It depends the situation. は成り立ちません。節のときだけ落ちる、と分けて覚えておくと混ざりません。

whether と if

on を残すときは、そのうしろに whether を使います。It depends on whether ... の形です。on を落とした言い方では if も使われ、Oxford Learner's Dictionaries には I shouldn’t be too late. But it depends if the traffic’s bad. という例が出ています。on が残っているかどうかで選ぶと迷いません。

○

It depends on whether the traffic is bad.on が残っているので whether

○

It depends if the traffic is bad.on を落とした話し言葉の形

06It depends. のあとに2つの枝を出す

It depends. と答えること自体は問題ありません。Part 3 には、どちらとも言い切れない設問が並びます。そこで一方に決めつけるより、条件によって答えが変わると示したほうが、設問に正面から答えたことになります。

ただ、It depends. で文を終えると、そのあとに続ける材料が自分の手元に残りません。何によって変わるのかを言い、両方の場合を出すところまでを一続きにすると、答えが自然に伸びます。

Q. Do you think people work better in teams or on their own?

I'd say it depends on the person. Some people think out loud, so they get their best ideas when someone is there to react to them. Others need a quiet room, and putting them in a group meeting just slows them down. In my own case it depends more on the task than on the person. I plan alone, but I always check the plan with someone before I start.

最初の1文で it depends on the person と言い、答えを左右しているものを名詞で示しています。そのあとの Some people ... と Others ... が、その名詞から出てくる2つの場合です。最後は自分の話に戻して、person より task のほうが答えを左右していると言い直しています。名詞を1つ決めておくと、このように途中で取り替えることもできます。

答えそのものを伸ばす型は、次の記事にまとめてあります。

スピーキング スピーキングで話を広げる5つの方法:短い返答のあとに沈黙しないための型

練習のしかた

手持ちのPart 3の設問に、It depends on ___. の形で答えを1つずつ作ってみるといいでしょう。person 以外の語が入るかどうかを探すのが目的です。situation、context、country、age group、topic のどれが入るかを考えるだけでも、その設問が何を聞いているのかが見えてきます。入る語が見つからない設問は、意見をはっきり言ったほうが答えやすい設問だということです。

07よくある質問

It depends on the people. は間違いですか

誤りではありません。ただし「人による」という意味では受け取られず、話の流れから分かる特定の人たちを指す文として聞こえます。「人によります」と言いたいときは It depends on the person. を使います。

It depends on the person. の the は省略できますか

省略できません。person は数えられる名詞なので、裸で置くことができません。the を付けて、その場面で当てはまる人を指す形にします。

「on のうしろは単数」と覚えてよいですか

覚え方としては不正確です。It depends on the people you work with. のように、顔ぶれのまとまりが答えを左右しているなら複数形が自然です。1人ずつ入れ替わるのか、まとまりとして入れ替わるのかで決めます。

circumstance は単数と複数のどちらで使いますか

It depends on the circumstances. と複数形にします。Cambridge Dictionary はこの語を通常は複数形で使う名詞として示しています。事情のまとまりを指すときに単数へそろえると落ち着きません。

It depends how heavy it is. のように on を落としてもよいですか

how や what で続けるときは、話し言葉で on が落ちることがあります。Cambridge Dictionary もこの形を例に挙げています。名詞を続けるときに on を落とすことはできません。

It depends on whether と It depends if はどちらを使いますか

on を残すなら whether を使います。on を落とした話し言葉では if も使われ、Oxford Learner's Dictionaries には it depends if the traffic's bad という例が挙がっています。on が残っているかどうかで判断できます。

Part 3 で It depends. と答えるのは避けたほうがよいですか

避ける必要はありません。どちらとも言い切れない設問では自然な出だしです。そこで文を終えずに、何によって変わるのかを言い、両方の場合を続けると、答えが伸びます。

「人による」を毎回 It depends on the person. で言ってもよいですか

同じ設問のなかで繰り返すと、同じ形が並びます。It varies quite a lot from person to person. や It really comes down to the person. のように言い換えられます。

08まとめ

It depends. は、Part 3 でいちばん出番のある言い方の一つです。そのうしろに何を続けるかで、答えを左右しているものを言い当てた文にも、聞き手が集団を探しに行く文にもなります。

  • It depends on the people. は誤りではないが、「人による」ではなく、話の流れで分かる特定の人たち次第だという意味になる
  • 「人によります」は It depends on the person.。比べている単位が1人ずつなので単数になる
  • It depends on person. と It depends the person. は成り立たない。the と on の両方が要る
  • 1人ずつ入れ替わるものが答えを左右しているなら単数、顔ぶれや条件のまとまりなら複数
  • まとまりが答えを左右しているときは It depends on the people you work with.。circumstances のように語の側で複数形が決まっているものもある
  • 迷ったら how、what、who、whether の節で続けると、数を選ばずに済む
  • It depends. で文を終えず、何によって変わるのかを言ってから両方の場合を出す

練習で確かめるなら、自分の録音を聞き返して It depends. のあとに何を続けているかを数えてみるといいでしょう。the person ばかりが並んでいたら、04の表から別の語を1つ選んで言い直してみると、そこから先の話が変わります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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