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リーディング

False と Not Given の違い:本文と矛盾するか、何も書かれていないか

執筆:高橋 響 公開日:

IELTSリーディングのTrue・False・Not Given、そしてYes・No・Not Givenは、受験者がもっとも判定に迷う設問タイプです。本文に書かれていないというだけでFalseを選んでしまったり、部分的に似た内容があるだけでTrueだと思い込んでしまったりと、誤読にはいくつかの決まった型があります。

この記事では、「IELTSリーディング設問タイプ完全攻略」で扱った基本的な区別からさらに踏み込み、本文の情報を問うTrue・False・Not Givenと筆者の主張を問うYes・No・Not Givenの違い、そして実際によくある3つの誤読パターンを、具体例とともに整理します。判断の軸は一つで、同じトピックが本文に出てくるかではなく、設問文が述べている内容を本文から判断できるかを見ます。

01True・False・Not Given と Yes・No・Not Given は何が違うか

True・False・Not Givenは本文に示されている情報と設問文を照合する設問で、Yes・No・Not Givenは筆者の主張・見解と設問文を照合する設問です。見た目はどちらも似た三択ですが、照らし合わせる相手が違います。

IELTSリーディングの設問には、この2つの三択があります。どちらも本文と設問文を照らし合わせて一致・矛盾・記載なしを判定する形式は共通していますが、照合する対象が異なります。

True・False・Not Givenでは、本文に提示されている情報と設問文を照合します。設問文の内容が本文と一致していればTrue、本文と矛盾していればFalse、その内容が本文から確認できなければNot Givenと判定します。

Yes・No・Not Givenでは、本文の筆者が示している主張や見解と設問文を照合します。設問文の内容が筆者の立場と一致していればYes、筆者の立場と矛盾していればNo、筆者がその点について見解を示していなければNot Givenと判定します。

テストで実際に書かれている定義

この2つの基準は、受験者が自分で覚えるものではなく、試験用紙の設問の冒頭にそのまま印刷されています。判定に迷ったときは、まずこの定義に戻ります。なお試験用紙では、設問名はTrue/False/Not Given、Yes/No/Not Givenとスラッシュ区切りで表記されます。

True・False・Not Given

TRUE if the statement agrees with the information
FALSE if the statement contradicts the information
NOT GIVEN if there is no information on this

Yes・No・Not Given

YES if the statement agrees with the claims of the writer
NO if the statement contradicts the claims of the writer
NOT GIVEN if it is impossible to say what the writer thinks about this

照らし合わせる相手が、前者は"the information"(本文に示されている情報)、後者は"the claims of the writer"(筆者の主張)と書き分けられています。ここがこの2つの設問形式の違いです。

もう1つ確認しておきたいのが、FalseとNoの基準がどちらも"contradicts"(矛盾する)と書かれている点です。「正反対」とは書かれていません。本文がThe project was completed in 2022.で設問文がThe project was completed in 2020.という場合、正反対の主張とは言えませんが、両立しないので矛盾でありFalseです。本文が設問文とは異なる範囲や程度を示している場合も、同じように矛盾になります。

Not Givenの基準も、前者は"there is no information on this"(その情報がない)、後者は"impossible to say what the writer thinks about this"(筆者がどう考えているか判断できない)です。「本文に一言も出てこない」ではなく、「判定に必要な情報が本文から確認できない」という基準になっています。

判定の考え方自体はどちらも似ていますが、照らし合わせる先が本文の情報なのか筆者の見解なのかで、本文のどこを根拠にするかが変わります。なお、どちらの形式が出るかは、パッセージのテーマだけで判断できるものではありません。設問が情報の確認を求めているのか、筆者の見解への一致・不一致を問うているのかを、設問の指示文で確かめることが先になります。

本文が情報を述べている場合と、筆者の見解を述べている場合

指示文にある"the information"と"the claims of the writer"は、どちらも本文(パッセージ)の側を指しています。同じ本文の中にも、調査結果のような情報を伝える一文と、筆者自身の考えを述べる一文があります。次の2組を比べてみましょう。上が本文、下がそれに対する設問文です。

本文

A survey conducted by the Institute for Workplace Studies in 2021 tracked 4,000 employees across twelve countries in the two years following the shift to home-based work. Sixty-two per cent of those surveyed reported higher levels of job satisfaction than they had recorded before the change, while a further 21 per cent reported no measurable difference. The remaining respondents, most of whom held roles requiring frequent collaboration, reported a decline.

設問文

Nearly two-thirds of the employees surveyed said that they were more satisfied with their jobs than they had been before.

本文は調査の規模と数値を挙げて情報を伝えています。62%を"nearly two-thirds"、higher levels of job satisfactionを"more satisfied with their jobs"と言い換えているだけで、内容は本文の情報と一致します。True・False・Not Givenの形式であればTrueです。

本文

The debate over home-based work has focused almost entirely on productivity figures. In my view, this framing misses what matters most. The shift has given millions of people control over how their days are organised, and that, rather than any measurable gain in output, is the most significant change the modern workplace has seen in a generation.

設問文

The writer regards the control people have gained over their working day as more important than any change in productivity.

こちらは"In my view"に続けて、筆者自身がどちらをより重要と考えるかを述べています。設問文の内容は筆者の主張と一致するので、Yes・No・Not Givenの形式であればYesです。

同じテーマを扱っていても、本文のその一文が情報を伝えているのか筆者の見解を述べているのかで、照らし合わせる相手が変わります。"A survey conducted by..." "In my view"のような表現が、その手がかりになります。この区別を意識せずに読むと、本文が示している情報を確認しないまま印象で判定したり、逆に筆者の見解を述べた一文に対して客観的な裏づけがないという理由でNot Givenと誤って判定したりすることがあります。

02「トピックは出てきたのに」で間違える誤読

2-1 トピックが出てくると、聞かれている側面まで書かれていると思い込む

本文

Solar panel installations in the region grew steadily between 2015 and 2020, rising from around 4,000 units to just over 31,000. Analysts attribute most of this growth to a subsidy scheme introduced by the regional government in 2014, which covered up to 40 per cent of installation costs. Wind and hydroelectric capacity expanded over the same period, though at a considerably slower rate.

設問文

Solar panels were the most cost-effective source of renewable energy in the region.

solar panel も cost も他の再生可能エネルギーも本文に出てくる材料がそろっていると感じてFalseかTrueのどちらかを選んでしまう

設問文はコスト効率(cost-effective)で比較している本文のcostは補助金がカバーした割合の話で、風力・水力との比較も設置量にとどまる。コスト効率をTrueともFalseとも判断できる記述がない。Not Given

なぜ読み違えるのか

本文と同じ話題が出てくると、それだけで「この設問の答えが書かれている」と思い込んでしまうためです。実際には、トピックが同じでも、設問が聞いている側面そのものが本文に存在しないことがあります。

解答では何が起きるか

本文をざっと流し読みしてトピックの一致だけで判定すると、Not Givenの設問をFalseやTrueと誤答することになり、正答率が安定しません。

読むときのポイント

設問文の中で聞かれている具体的な内容(この例ではコスト効率)を先に確認し、本文の中にその内容そのものが存在するかを探す読み方に切り替えましょう。トピックの一致ではなく、聞かれている側面の一致を探します。その内容について本文からTrueともFalseとも判断できなければ、その時点でNot Givenです。

03他者の意見と筆者の主張を混同する誤読

3-1 本文中で紹介されている他者の意見を、筆者自身の主張だと思い込む

本文

Some researchers argue that home-based work reduces employee productivity, pointing to studies that record fewer hours logged on company systems. This criticism rests on an outdated assumption: that time spent at a desk is a reliable measure of what a worker actually produces. When output is assessed by the quality of completed projects rather than by hours recorded, employees working from home are no less productive than their office-based colleagues.

設問文

The writer believes that home-based work makes employees less productive.

home-based work reduces employee productivity という記述が本文の1文目にある筆者もそう考えていると判定してYesを選んでしまう

1文目は some researchers の主張筆者は3文目でno less productiveと自分の立場を述べている。設問文は筆者の主張と矛盾するのでNo

なぜ読み違えるのか

設問文に出てくる語句が本文にそのまま見つかると、それだけで一致していると判断してしまうためです。Yes・No・Not Givenでは、その語句が誰の意見として書かれているかまで確認する必要があります。

解答では何が起きるか

研究者や第三者の意見を筆者の意見と取り違えると、本来Noと判定すべき設問にYesを選んでしまいます。

読むときのポイント

"some researchers argue" "according to" "it is often said that" のような、意見の出どころを示す表現に注目しましょう。出どころが明示されている主張は、筆者自身の見解とは限りません。逆に、出どころが示されていない断定的な一文は筆者自身の見解として読みます。howeverやalthoughの後に筆者が自分の立場を示すことが多いので、その一文まで読んでから判定します。

04語句の一部一致で間違える誤読

4-1 共通する語句があるだけで、範囲や程度のズレを見落とす

本文

In the trial, 180 participants took a low dose of the compound for eight weeks and recorded their sleep patterns each morning. Most reported a moderate improvement in the quality of their sleep, although a small number noticed no change at all. None of the participants reported any adverse effects.

設問文

All of the participants experienced a significant improvement in the quality of their sleep.

participants と improvement in the quality of their sleep が本文と設問文で共通している内容が一致していると判断してTrueを選んでしまう

本文は「most」「moderate」で、変化がなかった人がいたとも述べている設問文の「all」「significant」は本文の記述と両立しない。矛盾するのでFalse

なぜ読み違えるのか

共通する語句が多いと、それだけで内容が一致していると感じてしまうためです。範囲を表す語(most / all / some)や程度を表す語(moderate / significant / slight)は意味の一致を左右する情報ですが、見落としやすいところです。

解答では何が起きるか

範囲・程度のズレを見落とすと、Falseと判定すべき設問にTrueを選んでしまいます。

読むときのポイント

共通する語句を見つけたら、その前後にある範囲や程度を表す語を本文と設問文で突き合わせましょう。語句そのものの一致ではなく、範囲・程度まで含めた意味の一致を確認します。なお、範囲や程度のズレが常にFalseになるわけではありません。本文が設問文とは異なる範囲や程度を示していて両立しない場合はFalse、本文がその範囲や程度について判断できる情報を示していない場合はNot Givenです。

05判定の手順を整理する

ここまでの誤読パターンを踏まえて、判定の手順を整理しておきましょう。

ステップ すること 確かめること
1 設問形式の確認 True・False・Not GivenかYes・No・Not Givenかを確認する 本文の情報を問う形式か、筆者の主張を問う形式か
2 該当箇所を探す 設問文の中心となる語句をキーワードに、本文中で対応する記述を探す トピックの一致ではなく、聞かれている側面そのものが本文にあるか
3 範囲・程度の突き合わせ 本文と設問文の範囲(all / most / some)、程度(significant / moderate / slight)を比べる 語句が一致していても範囲・程度がズレていないか
4 出どころの確認 意見が筆者自身のものか、本文中で紹介されている他者のものかを確認する(Yes・No・Not Givenのとき) "according to" "some argue" のような出どころを示す表現があるか

判定そのものの基準も、あわせて表にまとめておきます。

判定 確認すること 見分けるポイント
True・Yes 設問文の内容が本文の記述(情報または筆者の主張)と一致するか 語句が違っても意味が一致していればよい。パラフレーズされていることが多い
False・No 設問文の内容が本文の記述と矛盾するか 正反対とは限らない。本文と異なる範囲・程度が示されていれば矛盾になる
Not Given 設問で聞かれている内容を、本文から判断できるか トピックが出てきても、TrueともFalseとも判断できなければNot Given

「IELTSリーディング設問タイプ完全攻略」で扱った「断定的な言葉(always、only、all、neverなど)に注目する」という対策は、この手順のステップ3にあたります。今回整理した4つのステップを通して読めば、Not Givenの見落としや意見の取り違えといった、より踏み込んだ誤読にも対応できます。

06よくある質問

True・False・Not GivenとYes・No・Not Givenはどう違いますか。

試験用紙の指示文が、それぞれ"the information given in Reading Passage"(本文に示されている情報)と"the claims of the writer"(筆者の主張)と書き分けています。True・False・Not Givenは本文の情報と設問文を、Yes・No・Not Givenは筆者の主張と設問文を照合します。

どちらの設問形式が出るかは、パッセージによって決まっているのですか。

どちらの形式が使われるかを、パッセージのテーマだけから予測することはできません。True・False・Not Givenは本文に提示された情報と設問文が一致するか、Yes・No・Not Givenは筆者の主張と設問文が一致するかを確認する形式です。文章の内容から推測せず、まず設問の指示文でどちらの形式かを確認しましょう。

本文に同じトピックが出てくるのに、Not Givenと判定されるのはなぜですか。

設問が聞いている具体的な側面(程度、コスト効率、期間など)について、TrueともFalseとも判断できる記述が本文にないためです。トピックが一致していても、聞かれている内容を本文から判断できなければNot Givenになります。

本文中に出てくる意見は、すべて筆者の意見として扱ってよいですか。

いいえ。本文には筆者以外の研究者や第三者の意見が紹介されていることがあります。"some researchers argue" "according to" のような出どころを示す表現がある場合は、それが誰の意見かを確認する必要があります。

設問文と同じ単語が本文にあれば、Trueと判定してよいですか。

単語が一致しているだけでは判断できません。all / most / someのような範囲を表す語や、significant / moderate / slightのような程度を表す語がズレていないかを確認する必要があります。

範囲や程度がズレている場合と、情報が無い場合はどう見分けますか。

本文に設問文とは異なる範囲や程度が示されていて両立しない場合はFalse、本文がその範囲や程度について判断できる情報を示していない場合はNot Givenです。ズレの有無ではなく、本文にその情報自体があるかどうかで見分けます。

「IELTSリーディング設問タイプ完全攻略」と、この記事の内容はどう違いますか。

「IELTSリーディング設問タイプ完全攻略」では、False(本文と矛盾)とNot Given(本文に記述がない)の基本的な区別と、断定的な言葉に注目する対策を扱っています。この記事では、Yes・No・Not Givenとの違いや、トピックの一致による早合点、他者の意見との混同、範囲・程度のズレといった、より踏み込んだ誤読パターンを扱っています。

この設問タイプはどうやって練習すればいいですか。

「IELTSリーディング設問タイプ完全攻略」にある他の設問タイプの対策とあわせて、模擬試験の復習で「True・False・Not GivenかYes・No・Not Givenか」「範囲・程度がズレていないか」を1問ずつ確認する練習が効果的です。「LR学習記録ツール」で解いた問題と誤答の傾向を記録しておくと、自分がどのパターンで間違えやすいかが見えてきます。

07まとめ

True・False・Not GivenとYes・No・Not Givenは、どちらも似た三択に見えますが、本文の情報を照合するか筆者の主張を照合するかという違いがあります。試験用紙の指示文がその違いを書き分けているので、迷ったらそこに戻れば判定の根拠がはっきりします。

判定の軸そのものはシンプルです。本文の内容と一致すればTrue・Yes、本文に矛盾する情報があればFalse・No、判断に必要な情報が本文になければNot Givenです。「同じトピックが出てくるか」ではなく、「設問文が述べている内容について、本文から判断できるか」を見ます。

誤読の多くは、トピックの一致・語句の一致だけで「書かれている」と判断してしまうことから起きています。聞かれている側面そのものが本文にあるか、その意見が誰のものか、範囲や程度がズレていないかを1つずつ確認する読み方に切り替えていきましょう。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

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